業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長引く中で、ワクチン接種の進展等を背景に、感染拡大の局面での経済活動の制限と収束局面での経済活動再開の動きが繰り返され、米国経済や中国経済をはじめとする世界経済の回復基調に牽引される形で景気は徐々に持ち直しの動きが見られたものの、オミクロン株の急速な広がりが景気回復に水を差すとともに、世界的なサプライチェーンの混乱や原材料価格の高騰が経済活動全般に影響を与えるなど、依然として不透明な状況で推移いたしました。

このような状況のもと、当社グループは、2023年3月の創業100周年を節目に、次なるステージを目指すべく2021年度をスタートさせておりますが、引き続きグループ一丸となって新型コロナウイルスの感染拡大防止に努めるとともに、全力で持続的な成長と安定的な収益確保のための取り組みを進めております。

当社グループの事業の成長を支えるのは主力事業である試験機事業でありますが、併せて商事事業、エンジニアリング事業、海外事業といった事業とともに企業としての収益基盤を強固にしていくことに注力してまいりました。各事業は異なるビジネスモデルではありますが、社会の「安全・安心」を支え、人々の暮らしに寄与する価値提供であると考えており、これらを踏まえ、引き続き企業価値の向上を図るべく、すべての事業において業績の向上・改善の取り組みも行っております。

しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大という厳しい環境やそれに伴う先行き不透明な状況のもと、主力の試験機事業において、顧客企業における設備投資の中止や先送りが想定以上に発生したことにより、売上高、利益ともに厳しい結果となりました。

また、新潟県長岡市所在の工場の建物及び土地については、以前から他社に賃貸しておりましたが、2021年11月25日付で売却するとともに、連結子会社の無錫三和塑料製品有限公司については、全出資持分を2022年2月21日付で他社に譲渡いたしました。

以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高7,449,982千円(前年同期比10.5%減)、営業利益269,919千円(前年同期比20.6%減)、経常利益259,180千円(前年同期比20.1%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は121,510千円(前年同期比59.9%減)となりました。

 

セグメントの業績は次のとおりであります。

 

 (試験機事業)

試験機事業では、全世界的な新型コロナウイルスの蔓延により様々な制約がある中で、製品のブラッシュアップや製造原価の低減等を継続的に推進し収益力の強化に努めるとともに、リモート会議ツールを用いた営業活動や日本に拠点を有する中国の代理店にトレーニングを実施して現地作業も委託する体制の構築等に取り組みました。その結果、政府のデジタル化推進予算を追い風とした工業高校向けの標準的材料試験機の販売は好調であったものの、顧客企業における設備投資や修理・メンテナンスの中止ないし先送り、それに伴う競合企業との価格競争の激化、海外渡航制限による韓国・東南アジア向けの売上減少等により、売上高、営業利益ともに前年度を下回りました。

以上の結果、試験機事業の売上高は2,844,103千円(前年同期比3.5%減)、営業利益は431,003千円(前年同期比7.3%減)となりました。

 

 (商事事業)

商事事業では、従来からのインバウンド需要を見込んだ量販店向け生活関連商品の販売は、引き続き新型コロナウイルスの感染拡大の影響で回復の兆しが見られず、海外向けの一般雑貨品や家電品等の商品の仕入・販売については、競争の激化により苦戦を強いられ、売上高は前年度を上回ることができなかったものの、営業利益については前年度を上回ることができました。

以上の結果、商事事業の売上高は3,421,032千円(前年同期比23.3%減)、営業利益は61,620千円(前年同期比41.0%増)となりました。

 

 

 (エンジニアリング事業)

エンジニアリング事業では、主力製品であるゆるみ止めナット・スプリングについて、高速道路や橋梁、エネルギー関係等の社会インフラ向けや国内建設市場向けに引き続き安心・安全を支える技術・品質をアピールし、製品の浸透と市場シェアの拡大に努めた結果、既存顧客を中心に一定の売上を確保することができましたが、ここ数年東京オリンピック関連で好調であった受注の反動を解消することはできず、前年度に比べ売上高、営業利益ともに下回る結果となりました。

以上の結果、エンジニアリング事業の売上高は365,009千円(前年同期比6.2%減)、営業利益は62,756千円(前年同期比39.7%減)となりました。

 

 (海外事業)

海外事業では、中国子会社において、主に日系企業や中国国内の企業向けにオフィス家具部品や生活用品部品、家電部品等のプラスチック成型品の販売に努めた結果、米国経済や中国経済を中心とする世界経済の復調の影響もあり、売上高は前年度を上回ることができました。また、販売先や仕入先との価格交渉の強化や人員体制の見直しを含めた事業の再構築を併せて実施し、材料費や人件費を含めた経費の改善を進めた結果、営業利益ベースで黒字転換を果たすことができました。

一方で、海外事業につきましては、本年2月8日開催の臨時株主総会にて当社の経営体制が変更されたことに伴い、改めて当社グループの事業ポートフォリオの見直しを行った結果、中国子会社の経営の継続には一定のリスクがあるため、海外事業からは撤退し他の事業に経営資源を集中させるべきとの判断に至り、同年2月21日付の取締役会決議に基づき無錫三和塑料製品有限公司の出資持分を他社に譲渡し、連結の範囲から除外いたしました。なお、連結の範囲から除外するまでの期間損益は当連結財務諸表に含めております。

以上の結果、海外事業の売上高は813,825千円(前年同期比58.0%増)、営業利益は43,424千円(前年同期は25,870千円の営業損失)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ224,349千円増加し、1,110,433千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローの増加は217,312千円(前年同期は207,458千円の増加)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益153,350千円、減価償却費59,967千円、関係会社株式売却損110,831千円、未払消費税等の減少額44,562千円、法人税等の支払額60,367千円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローの減少は92,971千円(前年同期は98,230千円の減少)となりました。これは主に定期預金等の預入による支出76,500千円、定期預金等の払戻による収入50,000千円、有形固定資産の取得による支出150,425千円、有形固定資産の売却による収入71,099千円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローの増加は98,700千円(前年同期は129,191千円の減少)となりました。これは主に短期借入れによる収入5,158,700千円、短期借入金の返済による支出4,756,035千円、長期借入金の返済による支出333,291千円等によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

試験機事業

2,901,468

4.5

エンジニアリング事業

365,009

△6.2

海外事業

813,825

58.0

合計

4,080,303

10.9

 

(注) 1  金額は販売価額によっております。

2  セグメント間の取引は相殺消去しております。

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4  商事事業は該当事項がないため、その他は、提供するサービスの性格上生産実績に馴染まないため記載しておりません。

 

b. 受注状況

当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

試験機事業

2,673,517

25.5

1,518,461

△3.1

合計

2,673,517

25.5

1,518,461

△3.1

 

(注) 1  金額は販売価額によっております。

2  セグメント間の取引は相殺消去しております。

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4  商事事業、エンジニアリング事業、海外事業及びその他は受注生産ではないため、上記の金額に含まれておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

試験機事業

2,844,103

△3.5

商事事業

3,421,032

△23.3

エンジニアリング事業

365,009

△6.2

海外事業

813,825

58.0

その他

6,011

△32.4

合計

7,449,982

△10.5

 

(注) 1  セグメント間の取引はありません。

2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱ワンプラス

3,103,131

37.3

2,546,575

34.2

 

3  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に固定資産の減損、たな卸資産の評価、貸倒引当金、賞与引当金及び法人税等であり、継続して評価を行っております。

なお、見積り及び判断・評価については、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

詳細は、第5 経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要となるものは、第5 経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による会計上の見積りについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 財政状態の分析

(資産の部)

総資産は4,400,144千円となり、前連結会計年度末に比べ68,125千円減少いたしました。

流動資産は3,233,119千円となり、前連結会計年度末に比べ799千円減少いたしました。これは主に現金及び預金の増加250,759千円、受取手形及び売掛金の減少359,284千円によるものであります。

固定資産は1,167,025千円となり、前連結会計年度末に比べ67,326千円減少いたしました。これは主に建物及び構築物の減少50,215千円、機械装置及び運搬具の減少38,772千円、工具、器具及び備品の減少17,026千円、土地の増加64,110千円、繰延税金資産の減少10,075千円、破産更生債権等の減少180,524千円、貸倒引当金の減少180,524千円によるものであります。

(負債の部)

流動負債は1,506,565千円となり、前連結会計年度末に比べ25,570千円減少いたしました。これは主に支払手形及び買掛金の減少91,439千円、短期借入金の増加406,130千円、1年内返済予定の長期借入金の減少146,414千円、未払法人税等の減少26,943千円、未払消費税等の減少44,562千円、未払費用の減少32,784千円、前受金の減少79,910千円によるものであります。

固定負債は753,671千円となり、前連結会計年度末に比べ140,750千円減少いたしました。これは主に長期借入金の減少136,877千円によるものであります。

(純資産の部)

純資産は2,139,907千円となり、前連結会計年度末に比べ98,194千円増加いたしました。これは主に当期純利益121,510千円、為替換算調整勘定の減少23,310千円によるものであります。なお、2021年7月1日付で資本金2,213,552千円及び資本準備金95,977千円を減少し、その他資本剰余金に振り替え、また、同日付でその他資本剰余金2,309,529千円を減少し、繰越利益剰余金に振り替え、欠損填補に充当しております。

 

 

b. 経営成績の分析

当連結会計年度の売上高は7,449,982千円(前年同期比10.5%減)となりました。これは主に商事事業における売上が減少したことによります。営業利益は269,919千円(前年同期比20.6%減)となりました。これは主にエンジニアリング事業において、前年度のイベント関連需要による受注拡大の反動を受けたことや試験機事業において、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響により減収したことによります。経常利益は259,180千円(前年同期比20.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は121,510千円(前年同期比59.9%減)となりました。

 

c. キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、第2 事業の状況  3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、営業キャッシュ・フローで充当することを基本としており、必要に応じて借入により資金調達を実施しております。

 

④ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、中長期的な経営指標として、売上高成長率10%以上、営業利益率7%以上、ROE(自己資本利益率)5%以上を目標としております。

当連結会計年度は、売上高成長率△10.5%、営業利益率3.6%、ROE(自己資本利益率)5.8%となり、売上高成長率と営業利益率は目標とする指標を下回ったものの、ROEについては目標とする指標を上回ることができました。

 

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