(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が続きましたが、先進国中心にワクチン接種進展を踏まえて経済活動の再開に取り組んだことで、全体としては景気持ち直しの方向に進みました。一方で、物流停滞の継続や一部地域でのロックダウン実施に加え、米中貿易摩擦の長期化、部材の供給不足深刻化、資源・エネルギー価格上昇等が見られ、更にウクライナ情勢の緊迫化が加わり、予断を許さない情勢が続き先行きは不透明な状況でした。
このような状況下、当社を取り巻く環境は、半導体製造装置部門取引先である半導体やハイテク関連企業では引き続き好況が続いたほか、計測機器部門の取引先であるものづくり業界全般についても回復基調となり設備投資再開の動きが見られました。こうした中で、当社は、部材調達難や物流停滞の影響を受けつつも、高稼働の生産、出荷を維持しました。
その結果、当連結会計年度における業績は、半導体製造装置部門の伸長並びに計測機器部門の回復により、受注高、売上高、各利益ともに既往ピークを更新しました。
当連結会計年度の経営成績、売上高133,277百万円(前年同期比37.3%増)となり、利益面は、営業利益28,550百万円(同83.5%増)、経常利益29,390百万円(同85.2%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は21,441百万円(同76.1%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
半導体製造装置
半導体製造装置部門では、期を通じて5G、サーバ等の通信関連ロジックデバイス向け需要が堅調に推移したほか、半導体デバイス国産化を推進する中国からの需要が高水準を維持しました。また、当期後半はディスプレイドライバICやウェーハ増産向け需要も増加に転じたこと等から、当セグメントの受注高、売上高はともに既往ピークを更新しました。
中国向けでは検査工程向け装置、加工装置ともに堅調だったほか、検査工程向け装置は台湾、日本向け等で堅調に推移、加工装置は日本、東南アジア向け等で堅調に推移しました。このような状況下、当社としては、引き続き顧客のニーズを満たす製品の開発を進めたほか、生産キャパシティや部材調達先の拡充、消耗品販売促進等に努めました。
この結果、当連結会計年度における当セグメントの業績は、売上高103,360百万円(前年同期比44.1%増)、営業利益24,893百万円(同83.5%増)となりました。
計測機器
計測機器部門では、ものづくり業界全般における設備投資が回復に転じたことから、計測機器需要も緩やかに回復しました。こうした中で、機械部品・ロボット用途等に向けた計測需要の回復に加え、新規分野として注力していた半導体製造装置等の機械用途需要を新たに獲得することができました。また、主要ユーザーである自動車業界においては、三次元座標測定機等の汎用計測製品向け需要が増加し回復の兆しが見えました。これにより、当セグメントの受注高、売上高は前期比で増加しました。
このような状況下、当社としては、ものづくり全般の自動化ニーズに対応するソリューションの提供、NEVや医療・精密機械分野の開拓、受託測定サービスの強化等のほか、オンラインセミナー開催による顧客との関係強化等に努めました。
この結果、当連結会計年度における当セグメントの業績は、売上高29,917百万円(前年同期比18.0%増)、営業利益3,657百万円(同83.1%増)となりました。
次に当連結会計年度末時点の財政状態の概要を示すと次のとおりです。
当連結会計年度末時点の当社グループの財政状態は、資産合計190,188百万円(うち、流動資産133,785百万円、固定資産56,403百万円)に対し、負債合計59,202百万円、純資産合計130,986百万円となりました。
好業績を受けて「現金及び預金」残高が大きく増加したことに加え、受注・売上増加により売掛債権、棚卸資産も増加したことが主な要因となり、当連結会計年度末の資産の総額は、前連結会計年度末に対し28,632百万円増加しました。
生産の拡大に伴って仕入債務が増加したことが主な要因となり、当連結会計年度末の負債の総額は前連結会計年度末に対し14,423百万円増加しました。
2021年8月3日開催の取締役会決議に基づく自己株式取得に伴い「自己株式」が増加した一方で、「親会社株主に帰属する当期純利益」の計上により「株主資本」が大きく増加したことが主な要因となり、当連結会計年度末の純資産の総額は前連結会計年度末に対し14,208百万円増加しました。
この結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末に比べ3.3ポイント減少し、68.1%となりました。
当連結会計年度中「現金及び現金同等物」は5,382百万円増加し、当連結会計年度末の「現金及び現金同等物」の残高は49,006百万円となりました。
以下、前連結会計年度末と比較して、その内容を営業、投資、財務の各活動別に示すと次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、その入金超の金額が前連結会計年度22,062百万円から当連結会計年度末は24,062百万円へと増加しました。これは主に「税金等調整前当期純利益」が前連結会計年度の16,147百万円から当連結会計年度は29,746百万円へ増加したことのほか、法人税等の支払額7,648百万円、棚卸資産の増加7,148百万円、売上債権の増加6,575百万円、契約負債の増加6,192百万円、仕入債務の増加6,016百万円、減価償却費3,574 百万円等によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、その支出超の金額が前連結会計年度の5,191百万円から当連結会計年度9,036百万円へと増加しました。これは主に現在建設中である飯能工場の土地及び工事着手金等、有形固定資産の取得による支出9,367百万円等によるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、その支出超の金額が前連結会計年度8,282百万円から当連結会計年度10,350百万円へと増加しました。これは主に配当金の支払額5,956百万円、自己株式の取得2,501百万円、長期借入金の返済 2,000 百万円等によるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注) 上記生産実績は販売価額によります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりです。
(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先別の販売実績が連結売上高の100分の10以上となる主要な販売先はないため記載を省略しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
① 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度末時点の財政状態の概要は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりですが、業容の拡大に伴い、資産及び負債が急速に増加する中では総資産回転率を向上させ、収益性の確保に努めることが肝要なことになると認識しています。
② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの営む半導体製造装置事業及び計測機器事業は、いずれも技術革新のテンポが早く、製品自体にも高度に技術的な要求が求められる競争の激しい事業です。また、特に半導体製造装置事業におけるユーザーの属する半導体業界等は好不況のサイクルが大きな振幅をもって循環的に訪れる業界であり、当社グループの業績も過去幾度となくその影響を受けてきました。このような事業環境の中にあっては継続的に製品開発を続け、市場動向の影響を最小限にとどめることのできるような競争力の強い製品群をつくり続けていくことが何よりも重要なことであると認識しています。
ⅰ.売上高
当連結会計年度の「売上高」は、半導体製造装置事業が103,360百万円(前年同期比44.1%増)、計測機器事業が29,917百万円(同18.0%増)、両事業合計で133,277百万円(同37.3%増)でした。
半導体製造装置事業は、5G通信の拡大に伴い、メタバースに代表される仮想空間技術の進化や、現実空間との融合が続くことで、関連するサーバ・データセンター向け半導体需要は、引き続き高水準で安定した推移が見込まれます。また、脱炭素社会の実現に向け、パワー半導体の生産拡大が見込まれるほか、自動運転や電装化の盛り上がりによる車載半導体においても中長期的な市場拡大を予想しています。
このような状況下、翌連結会計年度の半導体製造装置事業の業績は、受注高においては、製品納期の長期化に伴う一時的な調整はあるものの、過年度に比して引き続き高水準が続くと予想するほか、売上高については、部材の調達難や物流停滞などの問題に対応しつつ、累積した受注案件の出荷に注力することで、総じて堅調な推移を見込んでいます。当社グループは、調達網の多角化、生産キャパシティの拡大を進めるほか、顧客のカスタマイズ要求に応える製品並びにオプションの開発を進めていきます。
計測機器事業では、ものづくり業界全般で設備投資の回復が続き、当社主要ユーザーである自動車並びに工作機械関連業界での需要も緩やかな回復を想定しています。堅調な半導体製造装置に関連した計測需要や、自動化の進展に伴うロボット関連需要、EV化の進展による電池測定需要も増加傾向が続くと想定しています。
このような状況下、翌連結会計年度における当社グループの計測機器事業の業績も、緩やかな回復を見込んでいます。当社グループは、コア事業である三次元座標測定機、表面粗さ測定機、真円度測定機等の汎用計測機器と、マシンコントロールゲージやセンサ等の自動計測機器の製品群において、高精度化・高機能化・自動化の要請に応える製品開発により一層の需要取り込みを図るほか、EV化に対応する新たな製品領域である充放電試験システムについても、きめ細かくお客様のニーズを汲み上げ市場開拓を進めていきます。
ⅱ.売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の「売上原価」は79,772百万円、「販売費及び一般管理費」は24,954百万円でした。
「売上高」に対する「売上原価」の比率は前連結会計年度の62.0%に対し当連結会計年度は59.9%、「販売費及び一般管理費」の比率は前連結会計年度の22.0%に対し当連結会計年度は18.7%でした。
ⅲ.営業損益
これらの結果、当連結会計年度の営業損益は28,550百万円(前年同期比83.5%増)の利益となりました。セグメント別の損益では、半導体製造装置事業が24,893百万円(同83.5%増)、計測機器事業が3,657百万円(同83.1%増)の利益でした。
当社グループは、当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画において、連結営業利益22,000百万円を目標に掲げていましたが、売上高の拡大と利益率の向上という質量両面からのアプローチを進めてきた結果、この目標を達成することができました。
ⅳ.営業外収益、営業外費用
当連結会計年度の営業外収益は、「受取配当金」「為替差益」等により総額994百万円、営業外費用は「輸送事故による損失」「支払利息」等により総額154百万円でした。
ⅴ.経常損益
これらの結果、当連結会計年度の経常損益は29,390百万円(前年同期比85.2%増)の利益となりました。
ⅵ.特別利益、特別損失
当連結会計年度の特別利益は、在外関係会社を清算した際に生じた「関係会社清算益」等により390百万円、特別損失は「固定資産減損損失」等により34百万円でした。
ⅶ.税金等調整前当期純損益
これらの結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純損益は29,746百万円の利益となりました。
ⅷ.法人税等
当連結会計年度の「法人税等合計」の金額は8,247百万円で、「税金等調整前当期純利益」に対する割合は 27.7%でした。
ⅸ.非支配株主に帰属する当期純損益
当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純損益は57百万円の利益でした。
ⅹ.親会社株主に帰属する当期純利益
これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損益は21,441百万円(前年同期比76.1%増)の利益となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりですが、営業活動によるキャッシュ・フローを入金超過に維持しつつ、その資金を投資及び財務活動キャッシュ・フローの出金超過分に使用できているものと考えています。また、こうして蓄積された資金については、新製品開発と生産能力拡充を継続的に推し進めていくための開発投資、設備投資等に有効に活用していきます。
なお、当社グループは、設備投資計画に基づく所要の長期的資金は自己資金の他、主として銀行借入により調達することを方針としており、安定的な資金の財源の確保のためには金融機関との良好な関係を維持していくことも重要なことと認識しています。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末時点における資産及び負債並びに連結会計期間における収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いています。これらは過去の実績をもとに将来の予測を加味した上で、継続的かつ合理的、保守的な評価に重点を置き見積られたものとなっています。
なお、新型コロナウィルス感染症につきましては、当社グループの事業全体への大きな影響はなく、現時点では財政状態及び経営成績に与える影響は軽微であるとの仮定のもとに、会計上の見積りを行っています。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討していますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
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