課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針・理念

当社グループは、『眼』の専門総合メーカーとして、“お客様の『見える』をサポートする“を使命とし、コンタクトレンズ事業を中心に、コンタクトレンズケア用品、眼鏡等、幅広く事業を展開しています。経営理念は以下のとおりであります。

(経営理念)

・専門特化した研究開発力を基盤に安全かつ高品質な製品を提供し、多くの人々の健康と幸せに貢献する

・スピードを重視した経営により、環境変化に先駆けて対応するとともに、お客様のニーズに的確に応える

・社員ひとり一人が自発性と創意工夫を発揮できる場を作り、社員の努力に対してしっかりと報いる

・良き企業市民として、法令を遵守し、環境・社会・地域との調和をはかり、その発展に貢献する

 

(2)経営環境

当連結会計年度における世界経済及び日本経済は通期に亘って新型コロナウイルス感染症の周期的拡大により経済活動が繰り返し制限を受ける等厳しい状況で推移しました国内においてはワクチン接種の進行等同感染症の拡大防止と社会・経済活動の維持・両立を目指した各種政策の効果により緊急事態宣言の解除後は段階的な経済活動の再開により景気回復の兆しが見られ年明け後は今後の経済活動の持ち直しに向けた動きに期待が高まりましたしかし感染力の強いオミクロン株の感染急拡大により多くの地域でまん延防止等重点措置が実施されましたまたロシアによるウクライナ侵攻に端を発する地政学リスクの高まりとエネルギー価格や原材料価格等の上昇は企業卸売物価を押し上げ消費者物価へと波及しています日本経済の基本的脆弱性と金融政策の差異によって生み出される急激な円安は国富の流出を招き始めており消費行動の制約となる等日本経済の先行きは低位かつ不安定な状況にあります

国内のコンタクトレンズ市場におきましてもコロナ禍における在宅勤務の定着やマスク着用によるメイク機会減少また中高等学校の部活動や課外活動の停滞がコンタクトレンズ全般の需要を減退させる等厳しい市場環境は続いておりますが2022年の卒業・入学シーズンを迎え消費者の購入活動については回復の兆しが見られております

海外におきましてはアジア諸国によるワクチン接種の普及そして欧米諸国を中心にワクチンのブースター接種の普及等により、「ウィズコロナの考えに根差した行動制限の緩和策が取られ経済・社会活動は国や地域によるばらつきを伴いながらも回復しつつあります当社が営業を展開している欧州諸国・東南アジア諸国・インド・オーストラリア等では2021年秋口から順次コンタクトレンズの販売は回復の兆しを見せ始めております一方中国市場においては年明けからのオミクロン株の感染急拡大により、「ゼロコロナ政策の下の上海の都市封鎖等で物流機能は損なわれコンタクトレンズの小売り活動にも大きな支障が出てきております

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

今後の景気見通しにつきましては新型コロナウイルスの変異株による感染の再拡大リスクや消費者の生活防衛意識の高まりによる価格競争の一層の激化に加えロシアのウクライナ侵攻等を受け原油を中心とした一次産品価格上昇の動向やエネルギー価格の高止まり円安の進行が日本全体の購買力を弱め経済活動や個人消費に影響を及ぼしており景気は依然として先行き不透明な状況が続くものと思われます通年での円相場が130円を超える場合は一段のコストアップ要因となることが懸念されます

国内のコンタクトレンズ市場につきましては在宅勤務の定着等により需要の低迷が続くことに加え各種コストの上昇に基づく消費者の購買力の低下が予想され厳しい市場環境が継続するものと認識しております海外市場におきましても最大の中国市場の活動が大きく停滞し地域によっては感染再拡大の懸念もあります本格的な経済活動の再活性化には時間を要するものと思われますしかしながら近視率の増加により人口減を上回るコンタクトレンズユーザーが創出されまた遠近両用コンタクトレンズオルソケラトロジーレンズ等の高付加価値商品は継続的に成長するため感染者数の減少に伴い経済活動制限が緩和されることで緩やかながら回復基調に向かうことが期待されます

2023年3月期につきましては中期経営計画を踏まえつつも外部環境に応じた臨機応変な経営を行ってまいります2022年4月から製造原価低減等の企業努力では吸収しえない製造原価の増加や円安による輸入原価の高騰を吸収すべく使い捨てコンタクトレンズ商品の大部分での値上げをお客様に順次お願いしております概ね2022年6月から7月には新価格が適用されると想定しておりこれによる採算の改善が段階的に図れると考えておりますが2023年3月期中においては原価の上昇が先んずる為値上げによる改善効果との間にはタイムラグが発生します

商品戦略としては引き続き主力のワンデーピュアシリーズを中心として品質力の高さやきめ細やかな製品ラインナップのアピールに努めるとともに当社初となる自社オリジナルのシリコーンハイドロゲル素材ワンデーコンタクトレンズシード 1day Silfa(シルファ)市場の伸長が最も見込まれる遠近両用コンタクトレンズ及びオルソケラトロジー等の高付加価値商品の拡販に注力してまいりますサークル・カラーコンタクトレンズにおいては2022年4月に発売したライフスタイルやトレンドに合わせてなりたいわたしを選べるブランドとして手に取りやすい全5色のブラウン系レンズをラインナップしたBelleme(ベルミー)の発売により低迷した市場環境下における需要創設を目指してまいりますまた将来への投資としてスマートコンタクトレンズ事業等の新しい分野にも積極的に経営資源を投下してまいります海外事業においては各国の法令や認証制度に対応しながら既存進出地域の売上拡大と新規販売品目の拡大に注力してまいります

 

(4)TCFD提言に対する当社の対応

(ガバナンス)

① 気候変動関連のリスク及び機会についての取締役会による監督体制

気候変動関連のリスク及び機会を含む経営上の最重要事項に関する意思決定機能は取締役会が担っており、業務執行状況に関する定期報告やリスク・セキュリティ管理委員会における重要決定事項の報告を受け、業務執行の監督を行っています。

 

EMS(環境マネジメントシステム)における各実施責任者が環境法規におけるリスクや気候変動関連リスクに関して十分な審議を行った上で、環境管理責任者に報告し、リスク・セキュリティ管理委員会に付議されます。リスク・セキュリティ管理委員会はリスク管理プロセスにおいて中心的な役割を果たしており、全社に影響を及ぼすリスクの特定及び対策を策定し、適宜取締役会に付議しています。また、年度毎に各実施責任者が現状のリスク及び機会についての評価案をまとめ、環境管理責任者に報告し、環境管理責任者がリスク・セキュリティ管理委員会に付議し、委員会における討議を経て、リスク・セキュリティ管理委員会の委員長でもある代表取締役が取締役会に報告を行います。

 

② 気候変動関連のリスク及び機会を評価・管理する上での経営者の役割

当社のEMSにおけるトップマネジメントは代表取締役が担っております。代表取締役は、取締役会のメンバーであり、リスク・セキュリティ管理委員会の委員長です。EMSのポリシー、リスクと機会、ビジネス戦略、目的、行動計画、及び進捗状況について、リスク・セキュリティ管理委員会で意思決定された事項の報告を受け、EMS推進業務執行及びリスク管理システムの監督を行います。

 

(戦略)

① 短期・中期・長期のリスクと機会

リスク:TCFDが定義するハイリスクセクターのように、長期的に大規模な事業転換や投資を必要とするような重大な気候関連リスクは認識されていませんが以下のリスクについて今後対応策を検討してまいります。

・物理的リスク

気候変動に伴う製造設備地域での災害リスク、サプライチェーンの寸断リスク等

・移行リスク

カーボンプライシングによるコスト増(炭素税によるコスト増加。排出権取引)

・法令リスク

環境関連法令の厳格化に伴う遵守に向けての体制整備、設備対応等によるコストアップ等

 

機会:気温上昇に起因する生活環境の変化による、アレルギー罹患率の増加等の事業機会が考えられます。眼におけるアレルギー罹患率も同様に増加すると考えられ、1日使い捨てコンタクトレンズユーザーの増加や、抗アレルギー薬を持続的に投与できる機能性コンタクトレンズへのニーズの増加が予測されます。また、環境意識の高まりによる環境配慮商品への期待等、新たな商品開発や研究開発の機会が増加すると考えております。

 

② 事業・戦略・財務計画に及ぼす影響

製造業一般に対する新たな規制強化が実施される可能性も念頭に規制動向は注視することが必要であると認識しております。一方で、環境負荷を低減する製造プロセスの構築や、サプライチェーン全体の気候レジリエンス強化への対応による、機会のポテンシャルもあると考えています。

 

③ 2℃目標等の気候シナリオを考慮した組織戦略の強靭性

現在、検討中でございます。

 

(リスク管理)

① リスク識別・評価のプロセス

リスク・セキュリティ管理委員会は、EMS(環境マネジメントシステム)における各実施責任者が特定し、環境管理責任者より報告された環境法規におけるリスクや気候変動関連リスクのうち、特に経営に大きな影響を与えるものを全社リスクとして特定します。さらに、リスクの影響度(財務的影響)及び発生可能性(発生頻度)を討議し、高・中・低の3段階で優先順位を決定するとともに、対応する部署を選定し、取締役会へ報告します。

 

② リスク管理のプロセス

実施責任者は、抽出したリスクの評価と改善を行い、適切なタイミングで環境管理責任者に報告を行います。環境管理責任者は、報告内容を評価し、代表取締役がトップマネジメントを行うリスク・セキュリティ管理委員会に報告します。

 

③ 組織全体のリスク管理への統合状況

リスク・セキュリティ管理委員会規程に基づく全社的なリスクマネジメント体制を構築しております。気候変動を含む外部環境変化についても、全社的「リスク」、業務別「リスク」の大きさ・発生可能性・発生頻度の評価を行い、重要なリスクの対策及び対応に関しては、取締役会に上程し、取締役会で検討及び関係各署への改善指示を行います。

 

(指標と目標)

① 組織が戦略・リスク管理に即して用いる指標

当社は中長期的な視点をもって環境保全活動を推進しており、2021年11月に発表した中期経営計画の一つの柱としてSDGsの推進を掲げております。今後、社会からの期待・要望の変化を踏まえ、中長期視点でマテリアリティを設定し対応してまいります。最終的には、2050年カーボンニュートラルの実現を目指しております。

 

② 温室効果ガス排出量(Scope1、2、3)

Scope1、2についてはすでに算出を終了し、削減計画の検討を行っております。また、Scope3につきましては、現在算出中でございます。

 

③ リスクと機会の管理上の目標と実績

2022年度を通じて現状把握を行い、目標を策定してまいります。

 

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