業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループは、資本市場における財務諸表の国際的な比較可能性の向上及びグループ内での会計処理の統一等を目的とし、2016年3月期から従来の日本基準に替えて国際会計基準(IFRS)を任意適用し、連結財務諸表を作成し開示しております。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(2020年12月31日)

 

当連結会計年度

(2021年12月31日)

 

対前連結会計年度

増減率(%)

資産合計

236,660

 

264,324

 

11.7

 流動資産

88,453

 

78,099

 

△11.7

 非流動資産

148,206

 

186,224

 

25.7

負債合計

117,477

 

137,404

 

17.0

 流動負債

41,476

 

46,106

 

11.2

 非流動負債

76,000

 

91,298

 

20.1

資本合計

119,183

 

126,919

 

6.5

 親会社の所有者に帰属する持分

105,414

 

111,207

 

5.5

 非支配持分

13,769

 

15,711

 

14.1

 

(資産、負債及び資本の状況)

 当連結会計年度末の資産合計は2,643億24百万円となり、前連結会計年度末と比較して276億63百万円増加いたしました。当連結会計年度においてPEAG, LLC dba JLab Audio(以下「JLab」という。)を買収し新たに連結の範囲に含めております。主としてその影響により資産及び負債が増加しております。詳細は以下のとおりであります。

 なお、当連結会計年度にデータインデックス株式会社の企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行ったことにより、前連結会計年度の各数値は修正再表示しております。

 

 流動資産は、103億54百万円の減少となりました。これは主に売上債権及びその他の債権が98億28百万円、棚卸資産が88億82百万円増加し、現金及び現金同等物が314億55百万円減少したことによるものであります。

 非流動資産は、380億17百万円の増加となりました。これは主にのれんが142億43百万円、無形資産が238億16百万円増加したことによるものであります。

 

 負債合計は199億27百万円の増加となりました。これは主に借入金(流動・非流動)が145億83百万円、仕入債務及びその他の債務が50億15百万円増加したことによるものであります。

 

 資本合計は、77億35百万円の増加となりました。これは主に親会社の所有者に帰属する当期利益52億99百万円等に伴って利益剰余金が45億70百万円、非支配持分が19億42百万円増加したことによるものであります。

 

 

 資本の財源及び資金の流動性に関しては以下のとおりであります。

 2022年1月より始まる「中期経営計画 FY25」において、当社グループでは純有利子負債EBITDA倍率が3倍を超過しない範囲を目安として調達をコントロールしております。

 2022年12月期に計画している主な設備投資はものづくりセグメントにおける生産設備と基幹系システムのリプレイス等であります。その他、提出日現在、大規模な投資計画については予定しておりません。

 なお、新型コロナウイルス感染症の拡大等により、一定の影響を受ける可能性があるため、その対策として、当社グループは手元現預金を一定の水準で保っており、親子間の融資を機動的に実施できる体制にしております。さらに当社及び一部の連結子会社は取引金融機関との間で短期借入枠を設定し、外部からの資金調達も可能な状態としております。当連結会計年度末の現金及び現金同等物のアロケーション及び借入枠の未使用残高は以下のとおりであります。

(国内会社保有分)   31,767百万円

(海外子会社保有分)   6,374

(借入枠の未使用残高) 12,162

 

 当社は、2020年6月19日に開催の第65期定時株主総会で「定款一部変更の件」を決議し、前連結会計年度より決算期を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い、決算期変更の経過期間となる前連結会計年度は、2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヶ月間となっております。前年同期と比較する場合については、当連結会計年度の連結対象期間と同一の期間に調整した数値との対比による前年同一期間比を記載しております。

 

 当連結会計年度における事業の状況は、以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

 

対調整後

前年同一期間

増減額

 

前年同一期間比(%)

売上収益

75,326

 

27,096

 

156.2

事業EBITDA(注)

16,412

 

5,140

 

145.6

営業利益

10,733

 

4,362

 

168.5

税引前当期利益

9,835

 

7,400

 

403.9

親会社の所有者に帰属する当期利益

5,299

 

△4,806

 

52.4

基本的1株当たり当期利益(円)

148.73

 

△135.03

 

52.4

(注) 事業EBITDA=営業利益±その他の収益・費用+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)

 

 

(売上収益)

 2020年4月にものづくりセグメントにおいてAlphaTheta株式会社(以下「ATC」という。)が、2021年5月にJLabがそれぞれ加入したことによる純増、部品・材料に関する事業においても前年度の新型コロナウイルス感染症拡大の影響からの回復による増収、またヘルスケアセグメントにおいても、医療情報に関する事業が好調に推移したこと、医療検査に関する事業も前年同一期間の新型コロナウイルス感染症拡大の影響から一定程度回復し増収となり、全社合計の売上収益は753億26百万円(前年同一期間比156.2%)となりました。

 

(事業EBITDA)

 ものづくりセグメントのうち、音響機器関連に関する事業においては、世界的な物流網の混乱の影響や半導体調達のためのコストの増加の影響を受けましたが、部品・材料に関する事業の増収及びATCとJLabの加入により事業EBITDAについても大きく増益となりました。ヘルスケアセグメントにおいても、売上収益の増加が貢献し前年同一期間と比較して増益となりました。その結果全社合計で164億12百万円(前年同一期間比145.6%)となりました。

 

(営業利益)

 事業EBITDAの増加を受け、企業結合の会計処理による無形資産の償却費は増加したものの、営業利益は107億33百万円(前年同一期間比168.5%)となりました。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

 前年同一期間においては、事業ポートフォリオ再編による一過性の要因として、非継続事業からの当期利益に子会社株式の売却益が33億円計上されました。

 上述の通り事業EBITDAが大きく増加し、税引前当期利益は増益となりましたが、上記前年同一期間における一過性の要因により、親会社の所有者に帰属する当期利益は52億99百万円(前年同一期間比52.4%)と減益となりました。

 

 セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。

 各セグメント別の売上収益は外部顧客への売上収益を記載しており、また、セグメント利益を表す事業EBITDAは営業利益±その他の収益・費用+減価償却費及び償却費(使用権資産の減価償却費を除く)の計算式で算出しております。

(単位:百万円)

 

 

 

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

 

対調整後

前年同一期間

増減額

 

対調整後

前年同一期間比

(%)

売上収益

 

事業EBITDA

 

事業EBITDA

マージン

(%)

 

売上収益

 

事業EBITDA

 

事業EBITDA

マージン

(pt)

 

売上収益

 

事業EBITDA

ものづくり

部品・材料

12,282

 

4,185

 

34.1

 

2,070

 

973

 

2.6

 

120.3

 

130.3

 

音響機器関連

41,107

 

7,395

 

18.0

 

19,577

 

2,686

 

△3.9

 

190.9

 

157.1

 

合計

53,390

 

11,581

 

21.7

 

21,647

 

3,659

 

△3.3

 

168.2

 

146.2

ヘルスケア

医療情報

20,845

 

5,353

 

25.7

 

5,259

 

1,354

 

0.0

 

133.7

 

133.9

 

医療検査

1,090

 

273

 

25.0

 

235

 

109

 

6.0

 

127.5

 

167.4

 

合計

21,936

 

5,626

 

25.6

 

5,494

 

1,464

 

0.3

 

133.4

 

135.2

その他

 

 

 

 

△46

 

4

 

 

 

全社費用

 

 

△795

 

 

 

12

 

 

 

98.5

 

a.ものづくり

 部品・材料に関する事業において、前年同一期間では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けていたためその同一期間との比較において増収増益となりました。また、音響機器関連に関する事業は、2020年4月にATCが連結加入したこと及び2021年5月にJLabが連結加入したことにより純増いたしました。セグメント合計では売上収益は533億90百万円(前年同一期間比168.2%)、事業EBITDAは115億81百万円と前年同一期間と比べ36億59百万円の増益となりました。

 

b.ヘルスケア

 ヘルスケアセグメントにおいても、前年同一期間では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けていた医療検査に関する事業が一定程度回復したこと、医療情報に関する事業が事業機会の拡大に伴い順調に推移したことにより、売上収益は前年同一期間比増収となりました。医療検査に関する事業においては体制強化にかかるコスト増、医療情報に関する事業においては人件費を中心とした先行投資を実行しているもののそれぞれ順調に利益が計上され、結果、セグメント合計では売上収益は219億36百万円(前年同一期間比133.4%)、事業EBITDAは56億26百万円と前年同一期間と比べ14億64百万円の増益となりました。

 

c.その他

 その他の事業は、前年同一期間における重要性の乏しい事業を表示しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

 

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2020年12月31日)

 

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

営業活動によるキャッシュ・フロー

5,557

 

3,907

投資活動によるキャッシュ・フロー

△21,984

 

△40,460

財務活動によるキャッシュ・フロー

35,808

 

4,275

現金及び現金同等物の為替変動による影響額

9

 

821

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

19,390

 

△31,455

現金及び現金同等物の期末残高

69,596

 

38,141

 

 

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ314億55百万円減少し、381億41百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは39億7百万円の資金の増加となりました。

 表示科目単位での資金の増加の主な要因は、税引前当期利益98億35百万円、減価償却費及び償却費60億79百万円となっております。資金の減少の主な要因は、法人所得税費用の支払額66億52百万円、売上債権及びその他の債権の増加額60億42百万円となっております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 主としてJLabの持分の取得により、投資活動によるキャッシュ・フローは404億60百万円の資金の減少となりました。

 表示科目単位での資金の減少の主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出389億23百万円となっております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 主としてJLabの買収資金の調達により、財務活動によるキャッシュ・フローは42億75百万円の資金の増加となりました。

 表示科目単位での資金の増加の主な要因は、長期借入れによる収入314億92百万円、短期借入れによる収入276億51百万円となっております。資金の減少の主な要因は、短期借入金の返済による支出352億22百万円、長期借入金の返済による支出174億7百万円となっております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

ものづくり

12,109

ヘルスケア

158

合計

12,268

(注)1 金額は標準的販売価格にて算出しております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

3 上記には非継続事業からの実績は含んでおりません。

4 前連結会計年度は、決算期の変更により、2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヶ月間となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。

 

b.仕入実績

 ものづくりセグメントに属する音響機器関連に関する事業においては、ファブレス経営を実施しております。

 製造委託の仕入実績は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

ものづくり

17,677

合計

17,677

(注)1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2 前連結会計年度は、決算期の変更により、2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヶ月間となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。

 

c.受注実績

 当社グループは、受注生産方式の該当事項はありません。

 

d.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

ものづくり

53,390

ヘルスケア

21,935

合計

75,326

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 総販売実績に対する割合が10%を超える相手先はありません。

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

4 上記には非継続事業からの実績は含んでおりません。

5 前連結会計年度は、決算期の変更により、2020年4月1日から2020年12月31日までの9ヶ月間となっております。このため、前年同期比については記載しておりません。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、「No.1/Only1を創造し続ける事業グループ」を目指し、事業活動を行っております。当連結会計年度においては、コア事業と定めた「ものづくり」及び「ヘルスケア」セグメントのうち、「ものづくり」セグメントにJLabを迎え、「ものづくり」セグメントの基盤事業の収益力・キャッシュ創出力の向上を図ってまいりました。当社グループは収益力・成長分野への投資実効性の指標として、事業EBITDAを重要な管理指標として結果を分析、評価しております。その詳細は「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。当連結会計年度は中期経営計画 FY21の最終年度でありました。経営目標の事業EBITDA90億円~120億円に対して164億円と目標を達成いたしました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループは、当連結会計年度において「ものづくり」セグメントの収益力の強化のため、JLabの買収を実行いたしました。詳細は「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりでありますが、前連結会計年度の事業ポートフォリオ再編によって得た自己資金と金融機関からの借入金により、JLabの持分を取得いたしました。その結果、当連結会計年度末は、前連結会計年度末と比較し314億55百万円の資金の減少となりました。

 資金の流動性については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 引き続き、基盤事業の収益力を高め、成長分野に適切に投資し、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「2.作成の基礎 (5) 重要な会計上の見積り及び判断の利用」に記載しております。

 

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