(1) 経営成績の状況
当連結会計年度(2021年4月1日から2022年3月31日)における国内及び世界経済は、上半期においては、新型コロナウイルス感染症の拡大に対応した各種制限措置の影響から、社会生活、経済活動に多くの制約を受けました。下半期に入りますと各国の感染拡大防止策とワクチン接種が進んだことで、全世界的に行動制限が緩和される動きが見られ、景気の好転が期待されました。しかしながら、オミクロン株の出現による感染症の世界的な再拡大に加え、半導体や原材料の入手難や価格高騰、そしてウクライナ情勢に起因する世界的な経済活動への影響など、先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループの業績は、生活用品事業が個人消費低迷の影響などもあり依然回復途上にはあるものの、精密部品事業における堅調な受注に支えられ、全体では好調に推移いたしました。
以上のことから、当連結会計年度の売上は、299億99百万円(前期比9.9%増)となり、営業利益は8億92百万円(前期比180.5%増)、経常利益は12億86百万円(前期比118.7%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、10億31百万円(前年同期は12億62百万円の純損失)となり、4期ぶりに黒字に転換いたしました。
なお、当連結会計年度より報告セグメント区分および名称を変更しており、前連結会計年度のセグメント情報につきましては変更後の区分により作成したものを記載しております。
以上から業績は次のとおりとなりました。
(単位:百万円)
セグメント別の状況は次のとおりです。
① 精密部品事業
国内では、半導体製造装置向けなどの産業機械部品の受注が好調に推移しました。また自動車(HV/EV)関連の新規部品立ち上げや新型コロナウイルス感染症の巣ごもり需要によるエアコンをはじめとした家電の買い替え需要に支えられ、関連部品の受注も好調に推移しました。原材料の入手難や価格高騰による生産活動への影響は継続しておりますが、年間を通して堅調に受注できたことから、増収増益となりました。
海外では、新型コロナウイルス感染症拡大によって、ベトナム、インドネシア拠点が一時的に生産活動の制限を受けましたが、第3四半期以降は新型コロナウイルス感染症拡大前の水準に受注は回復しました。また、中国、シンガポール拠点においても、自動車や家電関連部品の受注が堅調に推移したことから、全体でも増収増益となりました。
これらの結果、精密部品事業全体では前期と比べ増収増益となりました。
以上のことから、当連結会計年度の売上高は221億33百万円となり、前期179億58百万円に対し、23.2%の増収となりました。営業利益は15億35百万円となり、前期4億88百万円に対し、214.1%の増益となりました。
② 生活用品事業
国内では、新型コロナウイルス感染症対策の規制緩和など部分的には回復の兆しは見られたものの、年間を通じて緊急事態宣言やまん延防止措置等重点措置による行動制限の影響が続いたことから、店舗販売が大きく低迷しました。また、世界的な半導体不足に起因した売れ筋商品の生産の遅れや、原材料価格の高騰、円安による仕入価格の上昇など、複合的に要因が重なった結果、減収営業損失となりました。
海外においては、一部地域を除いて新型コロナウイルス感染症の行動制限の緩和が進んだことから、香港、米国拠点における販売は好調に推移し増収となりました。しかしながら、中国における人件費、原材料価格、物流費の上昇を吸収するには至らず、営業損失となりました。
これらの結果、生活用品事業全体では、減収営業損失となりました。
以上のことから、当連結会計年度の売上高は74億22百万円となり、前期87億17百万円に対し、14.9%の減収となりました。営業損失は1億74百万円となり、前期2億34百万円の黒字から赤字となりました。
③ その他
その他事業では、前期好調であった体温計、消毒液等の衛生商品の販売が一服したことから、減収減益となりました。
以上のことから、当連結会計年度の売上高は4億44百万円となり、前期6億29百万円に対し、29.3%の減収となりました。営業利益は64百万円となり、前期98百万円に対し、34.6%の減益となりました。
(2) 財政状態
① 資産
総資産は382億93百万円となり、前連結会計年度末357億4百万円に比べ25億88百万円増加しました。流動資産は、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ22億42百万円増加しました。固定資産は、繰延税金資産の増加により、前連結会計年度末に比べ3億45百万円増加しました。
② 負債
負債合計は112億86百万円となり、前連結会計年度末106億57百万円に比べ6億28百万円増加しました。
流動負債は、1年内償還予定の社債の増加等により、前連結会計年度末に比べ40億36百万円増加しました。
固定負債は社債の減少等により、前連結会計年度末に比べ34億7百万円減少しました。
③ 純資産
純資産合計は、270億6百万円となり、利益剰余金や為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ、19億59百万円増加しました。
(3) 資本の財源及び資金の流動性について
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ3億34百万円減少し、当連結会計年度末には99億41百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加等により、12億45百万円の資金の増加(前連結会計年度に比べ6億4百万円の資金の減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、8億76百万円の資金の減少(前連結会計年度に比べ2億91百万円の資金の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出等により、12億3百万円の資金の減少(前連結会計年度に比べ5億16百万円の資金の減少)となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要は、日々の運転資金の他、事業計画に照らして必要な資金として、設備投資、研究開発投資などがあります。設備投資、研究開発投資などの投資資金需要に対しては、主に自己資金を充当し必要に応じて金融機関からの借入または社債の発行等により資金を調達することを基本方針としております。
当連結会計年度の設備投資の総額は、9億52百万円、研究開発投資の総額は1億2百万円となり、全額自己資金により充当いたしました。その結果、当連結会計年度末の有利子負債は49億1百万円となり前連結会計年度末と比べて4億83百万円の減少となりました。
資金の流動性につきましては、当社グループにおける余剰資金の有効活用に努めるほか、金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、急な資金需要や不測の事態にも備えております。なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は99億41百万円となっており、当社グループの事業活動を推進していくうえで十分な流動性を確保していると考えております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成に際し、当連結会計年度末日における資産・負債の報告数値及び当連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去の実績や当社グループを取り巻く環境等に応じて合理的と考えられる方法により計上しておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
また、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表
等 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。
なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。
(6) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度におけるセグメントごとの生産実績は次のとおりです。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は販売価格によっております。
② 受注実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの受注実績は次のとおりです。
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
③ 販売実績
当連結会計年度におけるセグメントごとの販売実績は次のとおりです。
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
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