当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症という。)の影響による厳しい状況が緩和される中で、持ち直しの動きがみられましたが、ウクライナ情勢等からの不透明感により、期末にかけては原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスクが懸念されました。国内におきましては、景気は感染症の影響による厳しい状況が続いているものの、感染対策に万全を期すことにより、一部に弱さがみられるものの持ち直してきました。
このような状況下、当社グループは業績拡大のため、またグローバルに信頼される企業集団としてその地位を着実に築いていくため、中期経営計画である「ASEANプロジェクトⅡ期」(令和5年3月期を最終年度とする4ヵ年計画)の3年目を迎え、「収益の拡大」「生産能力及び採算性の向上」「サプライチェーンの基盤強化」をテーマに“手のひらロマンで世界を刻む”をコーポレートスローガンに掲げ、事業構造改革の推進とともに計画の達成に向けて引き続き取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度の連結売上高は5,739,949千円(前年同期は4,767,963千円)となりました。全てのセグメントにおきまして、感染症の影響からは回復基調にあり、大幅な増加となりました。
損益につきましては、売上総利益は、主に時計関連及び釣具用部品の製造子会社であるNISSEY VIETNAM CO.,LTD.(以下、ベトナム工場という。)はロックダウンにより令和3年7月9日から令和3年10月3日までの約3ヶ月間にわたり製造活動を停止しておりましたが、操業再開後の下半期はフル操業の状態となり、コロナ禍からの受注増加による売上高の増加に加え、前々年度から取り組んでおります事業構造改革にともなう製造部門の人件費などのコスト削減はほぼ一巡しましたが、当年度はASEAN地域の製造子会社2社(3工場)を中心に、サプライチェーンの基盤強化を目的として、在庫管理の徹底、生産性の向上及び製造原価の改善を推し進め、製造原価の低減にともなう利益計上などもあり1,241,055千円(前年同期は660,852千円)となりました。営業利益は、事業構造改革にともなう人件費や諸経費など販売管理費の削減はほぼ一巡しましたが、売上総利益の増加などにより80,580千円(前年同期は営業損失481,212千円)となり黒字に転換しました。経常利益は、営業損益の黒字化、為替相場の変動による為替差益の計上及び雇用調整助成金収入などにより189,895千円(前年同期は経常損失529,040千円)となり黒字に転換しました。親会社株主に帰属する当期純損失は、事業構造改革にともなう費用を事業構造改善費用として、またベトナム工場の製造活動停止に係る費用などを災害による損失としてそれぞれ特別損失に計上、そして当社及びメガネフレームの販売子会社である㈱村井の法人税の計上などにより128,166千円(前年同期は631,927千円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 令和2年3月31日)等の適用による当連結会計年度の損益に与える影響はありません。また、NISSEY CAMBODIA METAL CO.,LTD.は、令和3年8月12日付で、NISSEY CAMBODIA CO.,LTD.を存続会社とする吸収合併により消滅しておりますが、当連結会計年度の損益に与える影響は軽微であります。
連結の損益には影響しませんが、個別決算におきまして、NISSEY CAMBODIA CO.,LTD.に対し、関係会社短期貸付金及び関係会社長期貸付金に対する貸倒引当金繰入額273,400千円(前年同期は284,784千円)を営業外費用に計上しております。同子会社の損益は赤字が継続しており、黒字化には想定以上の時間を要すると予測されるため、投資資金等の回収可能性が低下したと判断しております。
セグメント別の経営成績は次のとおりです。
当社グループのセグメントごとの連結業績 (単位:千円)
① 時計関連
時計関連の売上高は3,905,541千円となり、前年同期比で770,077千円(24.6%)増加しました。このうち、時計バンドの売上高は、海外の取引先は、ベトナム工場の製造活動停止の影響により約31%の減少となりました。一方、国内の取引先は、ベトナム工場の操業再開後のフル操業により製造活動停止の影響を挽回することができ、また、受注も感染症の影響から回復してきており約25%の増加となりました。時計外装部品の売上高も同様に、国内の取引先からの受注が増加しており約30%の増加となりました。
これにより、セグメント損失は185,194千円(前年同期は579,167千円)となりました。今後は、製造部門の事業構造改革の推進などにより、セグメント損益の黒字化を目指します。
② メガネフレーム
メガネフレームの売上高は985,349千円となり、前年同期比で112,986千円(13.0%)増加しました。㈱村井は、国内眼鏡市場は、感染症の影響などにより受注は依然として厳しい状況ではありますが、一部には展示会の再開など復調の兆しが見えており、大型チェーン店の在庫調整終了などにともなう受注の増加や販促活動の強化、海外の新規取引先の開拓の実施などにより、売上高はコロナ禍前の水準に近づいてきました。なお、リモート営業やオンライン営業は継続しておりますが、訪問営業を徐々に再開しております。
これにより、セグメント利益は35,306千円(前年同期は22,828千円)となりました。今後も、損益を重視した営業の強化などにより、更なる収益の拡大を目指します。
③ その他
その他の売上高は849,058千円となり、前年同期比で88,922千円(11.7%)増加しました。釣具用部品は、感染症の影響もなく高級品向けを中心に好調を維持しており、ベトナム工場の操業再開後のフル操業により製造活動停止の影響を挽回することができ、139,122千円(21.9%)の増加となりました。釣具用部品以外の売上高は、静電気除去器は4,744千円(18.5%)増加しましたが、その他の製品についてはベトナム工場の製造活動停止の影響などにより56,143千円(58.1%)の減少となりました。
これにより、セグメント利益は23,767千円(前年同期はセグメント利益56,274千円)となりました。今後は、製造部門の事業構造改革の推進などにより、更なる収益の拡大を目指します。
(2) 事業構造改革
当社グループは、収益構造を安定的又は継続的に利益を生み出す体質に変えるため、また、キャッシュを確保し当面の資金繰りに目処をつけるため、前々連結会計年度より(来期も継続の予定です。)事業構造改革を実施しております。製造及び販売管理のすべての部門における労務費経費等の削減はほぼ一巡しましたが、当年度は、ASEAN地域の製造部門であるNISSEY VIETNAM CO.,LTD.及びNISSEY CAMBODIA CO.,LTD.を中心に、グループ各社が相互協力のもと、連携を密にしながら製造活動を行い、在庫管理の徹底、生産性の向上及び製造原価の改善を図り、今後の受注増加への対応を進めるとともに、サプライチェーンの基盤強化を行いました。また、財務面におきましては、当社グループの取引金融機関に対し、長期借入金元本の返済条項の緩和を要請し、要請している全ての取引金融機関から同意を頂いており、今後も継続的な支援を受けられる見込みであります。
これにともない、当連結会計年度におきまして、事業構造改善費用(報酬等の支払い)67,324千円(前年同期は96,270千円)を事業構造改革費用として特別損失に計上しております。
(3) 災害による損失
当社グループのNISSEY VIETNAM CO.,LTD.が所在するベトナム国ホーチミン市におきまして、新型コロナウイルス感染症が拡大し、令和3年7月9日よりロックダウン(都市封鎖)が施行され、同社工場は行動制限を受け、令和3年10月3日までの約3ヶ月間にわたり製造活動を停止しておりました。
これにともない、当連結会計年度におきましては、製造活動の停止に係る固定費など206,736千円を新型コロナウイルス感染症拡大による損失として特別損失に計上しております。内訳は、人件費及び減価償却費などであります。
当社グループは、主に長期及び短期借入により資金を調達しております。また、財務体質の改善を進めるため、キャッシュマネージメントシステムの導入などにより、グループ全体としての資金効率の向上と手元流動性の確保に努めております。
当社グループの資金の状況につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5) 財政状態及びキャッシュ・フローの状況 b.キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当連結会計年度における、当社グループの財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりであります。
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末における総資産は5,366,104千円となり、前連結会計年度末と比べ5,695千円減少しました。このうち、流動資産は2,800,449千円となり、51,540千円増加しました。これは主に受注高の増加にともなう商品及び製品及び仕掛品のそれぞれの増加、現金及び預金の減少などによるものです。固定資産は2,562,707千円となり、52,946千円減少しました。これは主に、有形及び無形固定資産の減価償却による減少などによるものであります。
負債合計は4,188,091千円となり、220,738千円増加しました。流動負債は3,440,151千円となり、409,059千円増加しました。これは主に売上高の増加にともなう支払手形及び買掛金の増加などによるものです。固定負債は747,939千円となり、188,321千円減少しました。これは主に長期借入金から1年内返済予定の長期借入金への振替などによるものであります。
純資産は1,178,013千円となり、226,433千円減少しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金及び為替換算調整勘定の減少などによるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、前連結会計年度と比較して、197,182千円減少し486,485千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は173,640千円(前連結会計年度は305,471千円)となりました。収入の主な内訳は、減価償却費164,485千円の計上及び受注高の増加にともなう仕入債務の増加137,266千円などであります。一方、支出の主な内訳は、為替相場の変動による為替差益の計上239,850千円及び棚卸資産の増加193,159千円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は42,639千円(前連結会計年度は78,123千円)となりました。支出の主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出40,151千円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は28,536千円(前連結会計年度は581,375千円)となりました。収入の主な内訳は、短期借入れによる収入39,072千円などであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1) 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2) キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注3) 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としており
ます。
(注4) 利払いは、キャッシュ・フロー計算書に計上されている「利息の支払額」を使用しております。
(注5) 第41期、第43期及び第44期は営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債
比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは記載しておりません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、連結決算日における資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
有形固定資産及び無形固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能性価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。固定資産の減損の判定において、将来キャッシュ・フロー及び長期成長率等について一定の仮定を設定しておりますが、将来の不確実な経済状況及び会社の経営状況等の影響により、その見積り額を前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(7) 生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) セグメント間取引はありません。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引はありません。
2. 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
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