事業等のリスク

2 【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等の状況に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。当社は、グループ全体のリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定め、その基本方針及び管理体制に基づき、上席執行役員を委員長とするリスク管理委員会において、リスクの発生防止、発生した場合の適切な対応に努めております。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 有利子負債について

 当社グループは、設備及び運転資金について、主に金融機関からの借入金に依存しております。財務体質の改善を図るため、キャッシュマネジメントシステムの導入などにより、資金効率の向上と手元流動性の確保に努めておりますが、総資産額に占める有利子負債の割合は当連結会計年度末において60.8%(前連結会計年度は60.2%)となっており、今後の金融環境の変化や金利動向により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 金融機関等からの借入金等の連結決算日後の1年ごとの返済予定額

 

1年以内

1年超
2年以内

2年超
3年以内

3年超
4年以内

4年超
5年以内

5年超

短期借入金(千円)

1,346,316

長期借入金(千円)

1,266,830

220,729

35,880

33,120

83,120

273,040

その他(千円)

1,158

1,062

96

合計

2,614,304

221,791

35,976

33,120

83,120

273,040

 

 

(2) 外国為替変動のリスク

 当社グループは、ベトナム、カンボジア、中国(委託生産)に生産拠点が、中国(香港)に営業拠点が存在しております。営業債務の一部につきましては、恒常的に同じ外貨建ての売掛金の範囲内にあります。また、外貨建ての金融負債につきましては、主に外貨により返済しておりますが、外国為替レートの変動により当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 大口取引先の戦略変更のリスク

 当社グループの売上高のうち時計関連は、当連結会計年度末において68.0%(前連結会計年度は65.8%)となっており、大きな割合を占めております。定期的にバランスのチェックを行い、新規取引先の拡大や他社のシェア拡大など営業力の強化に努めており、また大口取引先との定期的な会議の開催など絶えず情報交換も行っておりますが、大口取引先の戦略変更、製品仕様の変更もしくは、大口注文の解約やスケジュール変更は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) 取引先の変化

 当社グループは、与信管理規定に従い取引先の管理を行うとともに、主な取引先の信用状況を定期的に把握する体制を整えておりますが、取引先の倒産などにより、不良債権の発生や商品の調達に支障が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5) 人的資源のリスク(海外拠点における技術者及び管理者の他社への突然且つ集団移籍)

 当社グループの市場競争力の核は、技術開発力にあるため、国内だけでなく海外においても専門性の高い技術者の確保が不可欠であります。当社グループは、優秀な人材の確保及び社内人材の教育に努めておりますが、計画通りに進まない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 減損会計に関するリスク

 当社グループの保有資産につきましては、減損リスクを意識することにより、資産収益性を高める取り組みを行っておりますが、実質的価値の低下等による減損処理が必要となった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 災害等予測困難な事象によるリスク

 当社グループは、日本(委託生産)、中国(委託生産)、ベトナム及びカンボジアに生産拠点が、日本及び中国(香港)に営業拠点が存在しております。定期的なリスク管理委員会や各拠点とのテレビ会議の開催など、様々な情報の収集に努めておりますが、当該国における政情の悪化、戦争やテロ、経済状況の変動、法律や税制の変更、労働力不足やストライキの発生、感染症の拡大などの予期せぬ事象により当社グループの事業戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、当社グループのNISSEY VIETNAM CO.,LTD.が所在するベトナム国ホーチミン市におきまして、新型コロナウイルス感染症が拡大し、令和3年7月9日よりロックダウン(都市封鎖)が施行され、同社工場は行動制限を受け、令和3年10月3日までの約3ヵ月間にわたり製造活動を停止しておりました。対応策として、他工場への生産移管及び協力会社への生産委託等の対策を実施し、またNISSEY VIETNAM CO.,LTD.の操業再開後は、フル操業の実施により挽回を図りました。

 これにともない、当連結会計年度におきましては、製造活動の停止に係る固定費など206,736千円を新型コロナウイルス感染症拡大による損失として特別損失に計上しております。内訳は、人件費及び減価償却費などであります。

 

(8) 継続企業の前提に関する重要事象等

 当社グループは、平成29年3月期以降、継続的な売上高の減少傾向にありました。前連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症という。)拡大の影響もあり、売上高は4,767,963千円となり前年同期比1,921,635千円(28.7%)の減少、営業損失481,212千円、経常損失529,040千円、親会社株主に帰属する当期純損失631,927千円をそれぞれ計上、営業キャッシュ・フローも305,471千円の支出を計上しました。当連結会計年度におきましては、売上高は5,739,949千円となり前年同期比971,985千円(20.4%)の増加、営業利益は80,580千円、経常利益は189,895千円とそれぞれ黒字に転換しましたが、感染症拡大に伴う災害による損失の計上などもあり、親会社株主に帰属する当期純損失は128,166千円と連続して赤字を計上しております。営業キャッシュ・フローにつきましても、173,640千円の支出を計上しております。感染症の影響から業績は回復基調にあり、今後は、ウクライナ情勢などによる不透明感は残りますが、事業構造改革の継続などにより、更なる収益の拡大を見込んでおります。
 なお、ベトナム国ホーチミン市におきまして、令和3年7月9日より感染症拡大によるロックダウン(都市封鎖)が施行されたため、主に時計関連及び釣具用部品(その他)の製造子会社であるNISSEY VIETNAM CO.,LTD.は行動制限を受け製造活動を停止しておりましたが、令和3年10月4日から操業を再開いたしました。
 しかしながら、当社グループは、設備及び運転資金につきまして、主に金融機関からの借入金に依存しており、総資産額に占める有利子負債の割合は、当連結会計年度末において60.8%(前連結会計年度末は60.2%)と依然として高い水準が続いております。
 これらの状況から、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象が存在しております。
 こうしたなか、当社グループは以下の施策を事業構造改革として引き続き実施し、収益体質の改善を実現してまいります。
 前年度は、ASEAN地域における製造部門におきましては、主要な設備投資の凍結及びそれにともなう減価償却費の削減、人員の適正化及び残業の抑制などによる労務費単価の圧縮、消耗品や電気料などの経費削減、日本精密㈱グループ本社(当社)及び香港支店、メガネフレームの販売子会社である㈱村井の販売管理部門におきましては、役員報酬の減額、人員の適正化や再配置などによる労務費の削減、予算統制の厳格化による諸経費の削減などを、前々年度より継続して推進してまいりました。これらの施策はほぼ一巡しておりますが、当年度は、ASEAN地域の製造部門であるNISSEY VIETNAM CO.,LTD.及びNISSEY CAMBODIA CO.,LTD.を中心に、グループ各社が相互協力のもと、連携を密にしながら製造活動を行い、在庫管理の徹底、生産性の向上及び製造原価の改善を図り、今後の受注増加への対応を進めるとともに、サプライチェーンの基盤強化を行いました。
 財務面におきましては、当年度も当社グループの取引金融機関に対し、長期借入金元本の返済条項の緩和を要請し、要請しているすべての取引金融機関から同意を頂いており、今後も継続的な支援を受けられる見込みであります。また、当社は令和2年6月において、第三者割当増資200,003千円を実施しております。
 これらの具体的な対応策を実施又は継続することにより、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
 

 

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