業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要

①経営成績の分析

当社グループは米国Massachusetts Institute of Technology(マサチューセッツ工科大学)の研究者の発明による自己組織化ペプチド技術を基にした医療製品の開発・製造・販売に引き続き注力しております。自己組織化ペプチド技術は幅広い応用が可能なプラットフォーム技術です。既に安全性が確認されており人への使用も広く認められていること、また、医療機器の適応拡大としての開発が可能なこと等から、当社においては幅広い領域での事業展開を可能にしております。

現時点では主に、外科領域、組織再生領域、ドラッグ・デリバリー・システム(以下「DDS」という。)領域で事業を展開しております。外科領域においては、日米欧3極においてそれぞれ複数の承認済製品を獲得しており、規模の経済を獲得するための製造のスケールアップ等にも取り組んでおります。

今後は自己組織化ペプチドの技術優位を活用し、将来的にさらに大きなニーズが見込める組織再生領域やDDS領域において、3極展開の強みを活かしグローバル最適の開発・販売方針を採用してまいります。

 

[販売進捗の状況]

欧州における製品販売は、820,592千円となり前年同期比で79.7%増と拡大し引き続き高い成長性を維持しております。当第4四半期は、年末より蔓延したCOVID-19のオミクロン株の影響を受けたものの、一時的ではありますが単月黒字を達成し確実に成長しております。このままの成長性を維持し、2023年4月期の通期黒字化を目指します。

オーストラリアにおける製品販売は、510,430千円となり前年同期比で3.1%増となりました。当期に入りCOVID-19の感染者数が大幅に増加し、さらに、2021年12月以降のオミクロン株の急拡大により病院に対する規制が強化され、当社が狙う選択的手術(命に関わらない手術)が大幅に延期されております。このため当社の販売活動も大きな制約を受けており、成長速度が一時的に鈍化しました。しかしながら、こうした状況は一時的であり選択的手術といえども長期に延期することは難しいことから、2023年4月期にむけて需要は回復することを見込み高成長の軌道に戻る準備を進めております。

米国では、耳鼻咽喉科領域の癒着防止材兼止血材「PuraSinus」の販売を直販体制で開始しました。当初アカウント開拓は順調であったもののオミクロン株の急拡大により病院の業務が逼迫し、当社が狙う選択的手術が大幅に減少しました。このため、当期下期以降ターゲットをCOVID-19の影響を受けにくい市場セグメントにシフトし、将来的に十分な使用件数を確保できるよう顧客ポートフォリオの入れ替えを図っております。本施策の成果は2023年4月期第1四半期に現れると見込んでおります。

日本においては、2021年12月から内視鏡用止血材の保険適用が開始となりました。病院が費用負担なしで使用できることとなったため、引き続き強い引き合いを頂いている状況です。その効果もあいまって顧客獲得は計画を上回るペースで進んでおります。現時点で2023年4月期のターゲット施設の多くが既にトライアルに進んでいる状況であり、これらの施設の早期顧客化に向けて引き続き営業力を強化してまいります。

このような結果、当期の業績については、止血材の製品販売は欧州で820,592千円、オーストラリアで510,430千円、米国で52,028千円及び日本では84,023千円を計上し、その他地域39,155千円を含めますと、事業収益1,506,230千円(前年同期比481,855千円増加)と前年同期の47.0%増となりました。

費用面に関しては、日本及び米国での販売開始に伴い、営業体制確立等のために相当額の先行費用を計上しております。移動平均法による見かけ上の原価が想定のスピードで下がらない等費用削減施策に遅れが出ており、全体として費用は増加しております。

この結果、経常損失1,807,067千円(前年同期は経常損失1,900,344千円)、親会社株主に帰属する当期純損失1,894,757千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失2,012,615千円)となりました。

 

②財政状態の分析

当連結会計年度末における総資産は5,610,723千円(前連結会計年度末比2,102,436千円の増加)、総負債は4,153,004千円(同2,304,545千円の増加)及び純資産は1,457,719千円(同202,109千円の減少)となりました。

当連結会計年度末における資産、負債及び純資産の状況に関する分析は以下のとおりです。

(流動資産)

当連結会計年度末における残高は5,577,520千円(同2,101,534千円の増加)となりました。これは主に、現金及び預金の増加1,710,841千円、売掛金の増加273,030千円及び棚卸資産の増加223,370千円がある一方で、前渡金の減少126,920千円があることによるものです。

(固定資産)

当連結会計年度末における残高は33,203千円(同901千円の増加)となりました。これは主に、投資その他の資産に含まれる敷金の増加1,341千円によるものです。

(流動負債)

当連結会計年度末における残高は867,096千円(同93,443千円の増加)となりました。これは主に、未払金の増加91,058千円及び未払法人税等の増加23,936千円がある一方で、未払費用の減少18,592千円及び短期借入金の減少7,600千円があることによるものです。

(固定負債)

当連結会計年度末における残高は3,285,907千円(同2,211,102千円の増加)となりました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債の増加2,215,093千円によるものです。

(純資産)

当連結会計年度末における残高は1,457,719千円(同202,109千円の減少)となりました。これは主に、資本金及び資本剰余金がそれぞれ1,238,081千円の増加がある一方で、親会社株主に帰属する当期純損失による利益剰余金の減少1,894,757千円及び為替換算調整勘定の減少808,195千円があることによるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,710,841千円増加し、2,848,641千円となりました。

当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果、減少した資金は2,903,268千円(前連結会計年度は3,249,736千円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失が1,893,547千円であり、増加原因として減損損失92,239千円、前渡金の減少127,087千円や未払金の増加67,335千円等があるものの、減少要因として為替差益861,101千円、売上債権の増加255,916千円や棚卸資産の増加195,015千円等があることによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果、減少した資金は79,861千円(同160,321千円の減少)となりました。これは主に、長期前払費用の取得による支出67,702千円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果、得られた資金は4,663,641千円(同3,462,805千円の増加)となりました。これは主に、株式の発行による収入2,094,883千円及び転換社債型新株予約権付社債の発行による収入2,565,093千円があることによるものです。

 

(2) 生産、受注及び販売の状況

 当社グループは、医療製品事業の単一セグメントであります。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

医療製品事業

1,665,441

+113.5

合計

1,665,441

+113.5

 

(注) 上記の金額は、製造原価によっております。

 

② 受注実績

当連結会計年度における受注実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

医療製品事業

1,504,338

+46.1

3,288

△36.5

合計

1,504,338

+46.1

3,288

△36.5

 

(注) 当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは主に医薬製品事業においてFujifilm Europe B.V.、St. John of God Hospital及びNicolai Medizintechnik GmbH等への販売が増加したことによるものであります。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績を示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

医療製品事業

1,506,230

+47.0

合計

1,506,230

+47.0

 

(注)1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

Fujifilm Europe B.V.

210,666

20.5

404,652

26.8

Nicolai Medizintechnik GmbH

152,793

14.9

210,877

14.0

St. John of God Hospital

170,765

16.6

106,546

7.0

 

2 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは医薬製品事業においてFujifilm Europe B.V.、St. John of God Hospital及びNicolai Medizintechnik GmbH等への販売が増加されたことによるものであります。

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りを用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては第5経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)及び2.財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりです。

 

② 当連結会計年度の経営成績の分析

「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ①経営成績の分析」に記載のとおりです。

 

③ 当連結会計年度の財政状態の分析

「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ②財政状態の分析」に記載のとおりです。

 

④ 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析

「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性について

  (資金の需要)

当社グループは、自己組織化ペプチド技術を基盤技術とした医療製品の開発・製造・販売を行っております。当社グループの資金需要のうち主なものは、研究開発費用、販売費及び一般管理費等の事業運営費用であります。

  (資金の調達及び流動性)

当社グループは医療製品事業においてグローバルに展開している止血材の製品販売による売上収入を計上してまいります。また親子会社間での研究開発成果の共有・事業運営上の効率化も進んでいることから、諸経費の節減等にも注力し販売費及び一般管理費の圧縮にも取り組んでまいります。

また、当社グループの研究開発及び事業運営を進めるための十分な資金確保に向けて、米国においてバイオ業界への投資に多くの実績を有する投資ファンドのハイツ・キャピタル・マネジメント・インクに対し、2021年8月に第4回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第30回新株予約権を発行し、2022年4月に第5回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第31回新株予約権を発行しました。これにより、当連結会計年度において、第4回無担保転換社債型新株予約権付社債の発行並びに第30回新株予約権の発行及び全ての権利行使により2,298,805千円、第5回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第31回新株予約権の発行により1,771,928千円、また既発行分の第27回新株予約権の残り全ての権利行使により619,500千円を調達することができております。今後も既発行分の新株予約権も含めて順調に行使が進むものと考えております。

しかしながら、今後も新株予約権の行使に関しては株価下落などにより当初想定した資金調達を確保できないリスクもあります。そのため、当該リスクに備えるためにも新たな資金調達手段の検討を進めてまいります。その他の機動的な資金調達手段として、株式会社りそな銀行との間で借入コミットメントライン契約を締結しております。

 

⑥ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等及び(3)目標とする経営指標 に記載のとおりとなっております。当期の経営成績並びに研究開発活動の詳細につきましては「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」及び「第2 事業の状況 5研究開発活動 (2)研究開発活動」をご覧ください。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得