業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ① 財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は43,721,012千円となり、前連結会計年度末に比べ6,205,663千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が2,145,183千円、売掛金が1,221,373千円、建物及び構築物(純額)817,643千円及び土地が818,939千円それぞれ増加したことによるものです。

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は27,528,194千円となり、前連結会計年度末に比べ3,907,327千円増加いたしました。これは主に長期借入金が515,641千円及び転換社債型新株予約権付社債が1,000,000千円減少した一方、買掛金が2,186,940千円及び未払法人税等が1,397,761千円増加したことによるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は16,192,818千円となり、前連結会計年度末に比べ2,298,336千円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が3,508,304千円並びに転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権(ストック・オプション)の行使により、資本金及び資本準備金がそれぞれ563,075千円増加した一方、自己株式の取得により自己株式が2,000,579千円増加、収益認識会計基準等の適用により利益剰余金の期首残高が656,758千円減少したことによるものであります。

 

 ② 経営成績の分析

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。

 当社は、2020年10月27日に開催された第14期定時株主総会で、「定款一部変更の件」が承認されたことを受け、決算期(事業年度の末日)を7月31日から6月30日に変更し、当社グループの決算期を6月30日に統一しております。これに伴い、前連結会計年度は2020年8月1日から2021年6月30日まで、当連結会計年度は2021年7月1日から2022年6月30日までと対象期間が異なっております。このため、経営成績に関する対前期比較の記載は省略しております。

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大により経済活動が制約され、厳しい状況が続いておりました。ワクチン接種率の高まりや段階的な経済活動の再開により、緩やかな景気回復の動きが見られたものの、新たな変異株の発生による感染者の再拡大やロシア・ウクライナ情勢の緊迫化による資源価格や物価の高騰の懸念等、先行きが不透明な状況が続いております。

 このような環境の中、当社グループは「IPディベロッパー」戦略のもと、当社の特長であるワンストップ型メディアミックスモデルを推進しつつ、自社IP・他社IPを活用してともに成長するプラットフォームとしての位置付けを強化・確立してきました。また、新型コロナウイルス感染症の状況に応じて、国内・海外ともに大小様々な規模のリアルイベントを年間通して開催しIPの盛り上げを行うとともに、海外展開をさらに強化してまいりました。

 その結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高41,966,359千円、営業利益3,390,997千円、経常利益5,113,149千円、親会社株主に帰属する当期純利益3,508,304千円となりました。

 

 各セグメントの経営成績は次のとおりであります。なお、セグメント売上高につきましては、外部顧客への売上高を記載しております。

 

1.デジタルIP事業

 デジタルIP事業は、TCG(トレーディングカードゲーム)部門、ゲーム部門、MD(マーチャンダイジング)部門、メディア部門の4部門が属しております。なお、第1四半期連結会計期間より、MOG(モバイルオンラインゲーム)部門をゲーム部門に名称変更しております。

 

①TCG部門

 海外の著しい伸長とヴァイスシュヴァルツのプラットフォームとしての地位確立、新規タイトルの発売により、TCG部門として当連結会計年度の売上は過去最高となりました。「ヴァイスシュヴァルツ」は日本語版・英語版ともに昨年から大きく伸長し、両言語版ともに過去最高の売上を達成しました。「カードファイト!! ヴァンガード」は、新シリーズ「カードファイト!! ヴァンガード overDress」から続編の「カードファイト!! ヴァンガード will+Dress」へ向けてリアルイベントと連動した施策を行うなど、オリジナルIPとして展開をさらに拡大しております。また、㈱Cygamesとの共同制作となる新タイトル「Shadowverse EVOLVE(シャドウバース エボルヴ)」を2022年4月に発売いたしました。

②ゲーム部門

 2021年9月に「D_CIDE TRAUMEREI(ディーサイドトロイメライ)」を、2022年2月に「新日本プロレスSTRONG SPIRITS」を新たにリリースいたしました。また、「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」が2022年3月に5周年を迎え、各種施策を実施するとともに6周年に向けた超大型アップデートの告知を行いました。しかし、上位寡占が進むモバイルオンラインゲーム市場において当社の既存アプリゲームタイトルの売上は伸び悩み、部門全体としては軟調に推移しました。なお、当期よりコンソールゲームに本格参入し、2021年9月に「バンドリ! ガールズバンドパーティ!for Nintendo Switch」、2022年3月に「小林さんちのメイドラゴン 炸裂‼ちょろゴン☆ブレス」を発売しており、新たな収益の柱として広げていきます。

③MD部門

 2022年5月から6月にかけて富士急ハイランド・コニファーフォレストにて自社IPの大型ライブが続き、ECにおける販売も含めライブグッズがコロナ禍から順調に復調しております。カプセルトイも人気IPのほか、TAMA-KYUをはじめとしたノンキャラ商品が健闘し、年間を通して好調に推移しました。合わせて、催事販売では「Dead by Daylight」が安定的な人気を見せるなど、総じて多種多様な取扱いIPの広がりが見られました。その結果、MD部門として当連結会計年度の売上は過去最高となりました。

④メディア部門

 2021年7月に、中米共同制作のフル3DCGアニメ映画『「白蛇:縁起」日本語吹替版』の配給・制作を、㈱ブシロードムーブがチームジョイ㈱と共同で行いました。その後、2022年4月に当社はチームジョイ㈱の第三者割当増資を引受けて資本業務提携を行い、この先重要となる海外IPに目を向けた取り組みを開始いたしました。

 これらの結果、デジタルIP事業は、売上高31,739,239千円、セグメント利益3,438,876千円となりました。

 

2.ライブIP事業

 ライブIP事業は、音楽部門、スポーツ部門の2部門が属しております。

①音楽部門

 新型コロナウイルス感染症の影響を受け、マスクプレイミュージカルを中心に一部公演の中止・延期が重なりましたが、年末から年始にかけては中小規模でのイベントや舞台を多数開催したのち、2022年5月と6月に富士急ハイランド・コニファーフォレストで大型音楽ライブを複数開催いたしました。音楽・映像ソフトにおいては、自社IPだけではなく「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」など他社IPの商品も多数販売したことによって売上が拡大し、音楽部門として当連結会計年度の売上は過去最高となりました。また、2021年10月にはIPプロデュースの拡充および公演会場の確保円滑化を図る狙いからイベントホールを取得、2022年3月に「飛行船シアター」としてリニューアルオープンいたしました。

②スポーツ部門

 新日本プロレスリング㈱では、国内の観客動員が回復傾向にあり、また2022年6月27日(日本時間)に米国イリノイ州シカゴで開催された米国のプロレス団体「All Elite Wrestling」との合同興行「AEW x NJPW: FORBIDDEN DOOR」の収入も大きく寄与したことで当第4四半期連結会計期間は収益率が大きく改善しました。

 女子プロレスブランド「スターダム」では、SNSを駆使したオンラインのプロモーション施策及び、興行の開催エリアを全国へ拡大するオフラインでのファン獲得施策を推進し、各SNSの登録者数、観客動員数が引き続き好調に伸長しており、㈱ブシロードファイトとして当連結会計年度の営業利益は過去最高となりました。

 これらの結果、ライブIP事業は、売上高10,227,119千円、セグメント損失47,681千円となりました。

 

 

 ③ キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べて656,427千円増加し、23,102,877千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は6,868,927千円となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益4,873,283千円、減価償却費501,340千円、仕入債務の増加額2,068,281千円及び助成金の受取額1,111,893千円であり、主な支出要因は、売上債権の増加額1,904,536千円及び法人税等の支払額321,886千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、4,437,822千円となりました。主な支出要因は、固定資産の取得による支出2,084,491千円及び投資有価証券の取得による支出1,479,366千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、2,295,944千円となりました。主な収入要因は、長期借入れによる収入4,295,000千円であり、主な支出要因は、長期借入金の返済による支出4,547,160千円及び自己株式の取得による支出2,023,028千円であります。

 

 ④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループにおいては、提供するサービスの性格上、当該記載が馴染まないことから記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループにおいては、一部請負業務を行っておりますが、「a 生産実績」に記載の理由から、記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

前年同期比(%)

デジタルIP事業(千円)

31,739,239

ライブIP事業(千円)

10,227,119

合計(千円)

41,966,359

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.決算期変更に伴い前連結会計年度は11カ月決算となっておりますので、前年同期比については記載しておりません。

 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来事項に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ①財政状態の分析・②経営成績の分析」をご参照ください。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。また、経営者の問題意識及び今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ③キャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、自社IP開発、他社IP投資、IPを発展させるための広告宣伝費等の営業費用であり、事業運営上必要な資本の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 運転資金は、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

 また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、2020年3月に当社グループの24ヵ月分相当(約240億円)の経常運転資金を確保し財務的基盤のより一層の安定を図り、より機動的に企業活動をするため、8,050,000千円を調達しております。その結果、当連結会計年度末における借入金の残高は、12,512,151千円となっております。

 また、グループ全体でのメディアミックスによる収益モデルを確立し、IPづくりのペースを上げること、さらに新型コロナウイルス感染症が国内外において急速に拡大し、当社グループにおきましても、主力事業であるライブIP事業において、新日本プロレスの興行、音楽ライブ及びイベントの延期・中止の事態が発生したことを受け、ライブIP事業におけるオンラインライブの制作、デジタルIP事業における電子コミックの制作及びさらなるEC(オンラインでの販売)、アプリへの注力といったオフラインやアナログのよさを保ちつつDX(Digital transformation:デジタルトランスフォーメーション)をすすめることで、当社のさらなる成長を実現するために、2020年7月30日開催の取締役会において、第三者割当により発行される新株予約権付社債の発行を決議し、2020年8月17日に5,000,000千円の払込が行われております。なお、その概要は「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況 ③ その他の新株予約権等の状況」をご参照ください。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」をご参照ください。

 

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