業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要及び経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識並びに分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財務状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により、個人消費が持ち直し、経済活動も徐々に正常化に向かうなど、緩やかな回復基調となりました。しかしながら、新型コロナウイルス第7波の感染再拡大に加え、原材料価格や原油価格の上昇など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

ジュエリー業界においても、円安進行による物価上昇が影響し、ジュエリーに対する消費マインドの冷え込みが続いております。加えて、地政学リスクの発生による地金やダイヤモンドなどの原材料価格が高騰するなど、当社グループを取り巻く事業環境は依然として厳しい状況が続いております。

このような状況下、当社グループは2025年7月期までの3か年を対象とした中期経営計画「Challenge for innovation」を推進しました。この取り組みの結果、当連結会計年度は3期ぶりに通期で黒字転換を達成いたしました。具体的には、「Dancing Stone」(※1)、「テニスチェーン」(※2)の主軸製品の売上が伸長し、新製品である「スターシリーズ」や「Single Dancing Stone」(※3)を次世代の柱とすべく拡販提案を進めました。一方、海外においても、タイの協力工場で生産している「Dancing Stone」パーツの製造原価の低減を図り、ライセンス契約を進めているインドを中心としたアジア諸国の市場開拓を順調に進めております。加えて、本年6月に3年ぶりに対面での開催となった国際展示会である「JCK Las Vegas」へも参加し、米国市場の新たな販路拡大に向けた取り組みを着実に進めております。管理面においても、業務のデジタルトランスフォーメーションの推進、管理経費の抑制に加え、間接要員の収益部門への再配置等により収益の最大化に努めました。

こうした活動を行った結果、国内売上高は、1,945,061千円となり、海外売上高は、1,153,191千円となり、当連結会計年度における当社グループの売上高は3,098,252千円(前期比10.2%増)、営業利益は44,344千円(前連結会計年度は営業損失138,020千円)、経常利益は103,641千円(前連結会計年度は経常損失121,830千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は221,512千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失113,649千円)となりました。

なお、当社グループの事業セグメントは、「ジュエリー事業」の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。

※1 「Dancing Stone」とは、当社の特許技術により宝石に穴をあけることなく、宝石を揺らすことができる宝石のセッティング方法であります。

※2 テニスチェーン(テニスブレスレット)とは、一周全てにダイヤモンドが施された大変豪華な作りのブレスレットの総称です。

※3 「Single Dancing Stone」とは、「Dancing Stone」のハンガーパーツを使用した技術であり、片側吊りにすることで回転するような動きをするセッティング方法であります。

 

 

b.財政状態の状況

ⅰ.資産の部

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ532,461千円増加し、5,185,412千円となりました。これは主に、製品が272,897千円、原材料及び貯蔵品が218,010千円増加したこと等によるものであります。

ⅱ.負債の部

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ289,271千円増加3,056,137千円となりました。これは主に、短期借入金が200,000千円減少し、社債が180,000千円(1年以内償還予定を含む)及び長期借入金(1年以内返済予定を含む)が250,088千円増加したこと等によるものであります。

ⅲ.純資産の部

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ243,190千円増加し、2,129,274千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益221,512千円を計上したこと等によるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」)は、前連結会計年度末に比べ90,476千円減少し、725,996千円となりました。当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により使用した資金は、248,327千円(前期は176,378千円の収入)となりました。

これは主に、税金等調整前当期純利益106,746千円及び仕入債務の増加額100,995千円等の増加要因があったものの、売上債権増加額124,382千円及び棚卸資産の増加額340,157千円等の減少要因によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は、121,973千円(前期は163,951千円の支出)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出80,244千円等の減少要因によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により獲得した資金は、230,086千円(前期は546,128千円の支出)となりました。

これは主に、長期借入金の返済による支出841,011千円等の減少要因があったものの、長期借入による収入1,091,100千円等の増加要因によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当社グループは、ジュエリー事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

a.生産実績

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年8月1日

2022年7月31日)

生産高(千円)

前年同期比(%)

ジュエリー事業

2,235,913

108.5

合計

2,235,913

108.5

 

(注) 金額は、製造原価によっています。

 

b.受注実績

当社グループでは、概ね受注から販売までの期間が短く、また、一部については見込生産を行っているため、受注実績の記載を省略しております。

 

 

c.販売実績

当社グループの販売実績を地域別に示すと次のとおりであります。

地域別

当連結会計年度

(自 2021年8月1日

2022年7月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

国内向け製品販売

1,945,061

96.3

海外向けパーツ、製品販売

1,153,191

145.6

合計

3,098,252

110.2

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

SWAROVSKI MANUFACTURING(THAILAND) CO., LTD.

331,660

11.8

323,711

10.4

 

(注) MARIGOTJEWELLERY(THAILAND) CO., LTD.は、2022年9月13日にSWAROVSKI MANUFACTURING(THAILAND) CO., LTD.に社名変更しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財務状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態の分析)

財政状態の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 b.財政状態の状況」をご参照ください。

 

(経営成績の分析)

a.売上高

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ286,647千円増加し、3,098,252千円となりました。

売上高の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 a.経営成績の状況」をご参照ください。

 

b.売上原価、売上総利益

当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ188,157千円増加し、2,047,236千円となりました。主な要因は、売上高が増加したことによるものであります。

この結果、当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度に比べ98,490千円増加し、1,051,015千円となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ83,873千円減少し、1,006,671千円となりました。

販売費及び一般管理費、営業利益の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 a.経営成績の状況」をご参照ください。

この結果、当連結会計年度の営業利益は44,344千円(前期は営業損失138,020千円)となりました。

また、当社が重要な経営指標として掲げる営業利益率は、前連結会計年度に比べ6.3%増加し、1.4%となりました。

 

 

d.営業外損益、経常利益

当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に比べ37,659千円増加し、85,401千円となりました。主な要因は、為替差益の計上によるものであります。

また、当連結会計年度の営業外費用は、前連結会計年度に比べ5,448千円減少し、26,104千円となりました。主な要因は、支払利息が6,166千円が増加しましたが、貸倒引当金繰入額が7,196千円、コミットメントフィーが2,764千円及びその他費用が1,653千円減少したこと等によるものです。

この結果、当連結会計年度の経常利益は103,641千円(前期は経常損失121,830千円)となりました。

 

e.特別損益、税金等調整前当期純利益

当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度に比べ3,059千円増加し、3,105千円となりました。主な要因は、固定資産売却益を2,874千円計上したことによるものであります。

この結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は106,746千円(前期は税金等調整前当期純損失125,170千円)となりました。

 

f.親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の法人税等は△114,765千円となりました。主な要因は、法人税等還付税額を119,184千円計上したことによるものであります。

この結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は221,512千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失113,649千円)となりました。

 

(経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容)

世界的に生活様式としてウィズコロナは進展しつつあり、新型コロナウイルス感染症に対処するための財政支出などの経済浮揚の動きもありますが、ウクライナ危機がもたらしたモノの供給不足及びエネルギー価格の上昇に端を発して世界的にインフレが進行しております。こうした状況下、消費者は生活防衛のために節約志向を強めており、当面、特に国内事業については抑制的な運営を図っていかざるを得ないと考えております。また、円安の進展は当社の海外事業にとってフォローの現象ですが、いずれは海外からの原材料や加工費を上昇させる要因と考えております。

こうした状況に適応すべく、当社は従来の考え方にとらわれずに、新たな成長軌道に乗せるという意味を込めて、2023年7月期のスローガンとして「Re-Born」を掲げております。最重要課題であるトップラインの向上のために今一度ゼロから考え、さらなる売上の増加と利益の創出を目指してまいります。

具体的には、利益率の高い海外事業で「Dancing Stone」に次ぐ、第二、第三の軸となる製品を生み出すべく、新商品の「スターシリーズ」や「Single Dancing Stone」といった新たな特許技術を世界に発信してまいります。そのために、世界各国の代理店やエージェント契約をより獲得していくことに加え、渡航制限の緩和により対面での参加が可能となった国際展示会へ積極的に参加し、米国市場やインドを中心としたアジア市場の更なる販路拡大にも注力してまいります。また、販売戦略においても、高品質で多用途な製品の開発に軸足を置き、製品ブランディングを徹底することで「価格ではなく、価値で売る」という事業の原点に基づき、モノや情報に溢れている市場において、改めて他社製品との差別化やブランド価値の維持・発展に注力してまいります。

以上により、引き続き、長期にわたって安定的に収益を生み出す収益構造の改革に努めてまいります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況の分析)

キャッシュ・フローの状況の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)

当社グループの資金需要のうち主なものは、製品を製造するための地金購入費用及びその加工費であります。それらの財源は営業キャッシュ・フロー及び金融機関から調達した有利子負債であり、状況に応じて充当しております。

また、当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保するため、PSIに基づいた在庫の適正化及び売上債権の適正管理に努めてまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。これらの見積りの評価については過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の報告数値と異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、連結財務諸表に与える影響が大きいと考えられる項目は以下のとおりであります。

 

a.新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関する会計上の見積り

新型コロナウイルス感染症拡大の影響については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)(新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関する会計上の見積り)」に記載しております。

 

b.固定資産の減損

固定資産は、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として、事業用資産については管理会計上の区分を基準にグルーピングし、遊休資産及び処分予定資産等については個別資産ごとにグルーピングしております。減損の兆候が識別された資産又は資産グループについては割引前将来キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回った場合には、減損の認識をしております。減損の測定にあたっては、使用価値又は不動産鑑定士による鑑定評価額等を用いて見積った正味売却価額のうち、どちらか高い金額を回収可能価額として使用し、これが帳簿価額を下回った部分について帳簿価額を減額し、減損損失を計上しております。割引前将来キャッシュ・フローや使用価値の見積りで使用する将来キャッシュ・フローは主に事業計画を基礎として見積っておりますが、当事業計画に含まれる将来の収益及び費用は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)(新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関する会計上の見積り)」に記載した一定の仮定に基づき予測しており、不確実性を伴っております。そのため、実際の経済環境や損益の状況が一定の仮定と大きく乖離した場合には、翌連結会計年度に減損損失が発生する可能性があります。

 

c.売上債権の貸倒引当金

当社グループは、売上債権の貸倒損失に備え回収不能となる可能性のある金額を合理的に見積り、その額を貸倒引当金として計上しております。将来、販売先の財務状況が悪化し支払い能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

 

 

d.棚卸資産の評価

当社グループの棚卸資産の評価は、主として総平均法による原価法及び最終仕入原価法に基づいております。

なお、棚卸資産は、宝石、貴金属及びこれらを使用したジュエリー・アクセサリー製品で構成されており、長期間保有することができますが、これらに対する収益性は、国内及び海外の個人消費動向や貴金属相場の変動など外部環境の影響を受けるため、一定の回転率を下回る棚卸資産については収益性が低下している滞留在庫として、帳簿価額を処分見込価額まで切り下げております。

この評価にあたっては、保有する棚卸資産の品目が多岐にわたることから、複雑性を伴っております。また、滞留在庫と判断する回転率の仮定や、貴金属相場等に基づく処分見込価額の算定には、評価時点における国内及び海外の個人消費動向や貴金属相場に基づき見積っているため、不確実性を伴っております。そのため、実際の消費動向や貴金属相場が大きく乖離した場合には、翌連結会計年度の棚卸資産の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

e.繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産は、将来減算一時差異の解消により、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる範囲を回収可能性があると判断し計上しております。

具体的には、将来の一時差異解消スケジュール、タックスプランニング及び収益力に基づく課税所得の見積り等に基づいて判断しております。これらは主に事業計画を基礎として見積っておりますが、当該事業計画に含まれる将来の収益及び費用は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)(新型コロナウイルス感染症拡大の影響に関する会計上の見積り)」に記載した一定の仮定に基づき予測しており、不確実性を伴っております。

そのため、実際の経済環境や損益の状況が一定の仮定と大きく乖離した場合には、翌連結会計年度の繰延税金資産の回収可能性に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

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