業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の防止策を講じつつ、政府主導の各種政策により経済活動レベルは段階的に引き上げられているものの、いまだ収束の目処は立たず、景気の先行きについては依然として不透明な状況が続いております。

 一方、米国及び欧州では新型コロナウイルス感染症拡大のピークが過ぎ、経済活動も徐々に正常化しつつある状況となったものの、2022年2月に発生したロシアのウクライナ侵攻により、地政学的リスクや原材料及び原油高などの新たな問題も発生しております。

 また、中国においては新型コロナウイルス感染症再拡大を回避するための活動制限が続いたほか、海運の停滞、半導体の供給不足等も継続して発生しており、不透明な状況が続いております。

 介護保険制度の状況につきましては、2022年3月時点の要支援及び要介護認定者の総数は、前年比で1.6%増加し714万人、総受給者数は同2.1%増加し536万人となっております。また、福祉用具貸与制度における特殊寝台利用件数については前年比で3.3万件増加し、103.5万件(前年比3.3%増)となっております(出所:厚生労働省HP「介護給付費等実態統計月報」)。

 このような市場環境の中、福祉用具流通市場におきましては、主力商品である介護用電動ベッド「MioletⅢ」は発売から約3年が経過し需要が一巡したほか、新製品の発売が遅延したことなどから、当連結会計年度の同市場の販売実績は前期比で14.9%減少し、4,641百万円となっております。

 医療・高齢者施設市場におきましては、介護保険制度における施設サービス(特別養護老人ホーム等)、特定施設及び地域密着型サービス(有料老人ホーム等)を提供する事業所数が2022年3月時点で4.1万事業所(前年比1.0%増)となっております(出所:厚生労働省HP「介護給付費等実態統計月報」)。また、国土交通省による「高齢者等居住安定化推進事業」に基づく高齢者住宅(サービス付き高齢者住宅)につきましては、2022年3月時点で8,064棟(同2.3%増)、27.5万戸(同2.9%増)となっております(出所:サービス付き高齢者住宅情報提供システムHP「登録情報の集計結果等」)。

 このような市場環境の中、新型コロナウイルスの感染対策により、一部の医療施設や高齢者施設への営業活動が停滞したものの、引き続き営業活動を強化したことで、当連結会計年度の同市場の販売実績は前期比で19.4%増加し、1,515百万円となっております。

 家具流通市場における医療介護用電動ベッドの状況としましては、一般ベッドと同様に長期的には減少傾向が続いていることから、当連結会計年度の同市場の販売実績は前期比で24.6%減少し、101百万円となっております。

 海外市場におきましては、中国で新型コロナウイルス感染症が再拡大し、ロックダウンの実施による経済活動が制限された影響で連結子会社である富若慈(上海)貿易有限公司の営業活動も大きく制限を受けたため、当連結会計年度の海外市場の販売実績は前期比で34.6%減少し、120百万円となっております。

 なお、当社及び連結子会社における当連結会計年度の医療介護用電動ベッドの総販売台数は4.9万台(前期比14.4%減)となっております。

 為替の状況に関しましては、当連結会計年度の期中平均為替レートが1ドル=117円45銭となり、前期と比較して円安傾向となりました。また、海外物流コストや原材料の高騰の影響も重なったことなどから、売上総利益率は34.0%(前期比で6.6ポイント減)となっております。

 また、営業外収益として持分法による投資利益69百万円(前期比46.3%減)、為替差益186百万円(前期比753.8%増)、保険解約返戻金31百万円を計上したほか、特別損失として、2020年10月8日公表の「特別損失の計上に関するお知らせ」に記載しております判決により発生する遅延損害金として訴訟損失引当金繰入額19百万円を計上しております。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

A.財政状態

 当連結会計年度の資産合計は、前連結会計年度に比べ254百万円増加し、6,468百万円となりました。

 当連結会計年度の負債合計は、前連結会計年度に比べ24百万円増加し、3,494百万円となりました。

 当連結会計年度の純資産合計は、前連結会計年度に比べ230百万円増加し、2,974百万円となりました。

 

B.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高6,379百万円(前期比9.4%減)、営業利益100百万円(同86.1%減)、経常利益394百万円(同54.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益263百万円(同13.8%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ88百万円減少し1,455百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況の分析内容と資本の財源及び資金の流動性に係る情報は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、減少した資金は103百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益374百万円、減価償却費60百万円、売上債権の減少額110百万円等の増加と、為替差益166百万円、棚卸資産の増加額232百万円、法人税等の支払額245百万円等の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、減少した資金は142百万円となりました。これは主に、貸付金の回収額31百万円、保険積立金の解約等に伴うその他項目42百万円の増加と、有形固定資産の取得額184百万円及び投資有価証券の取得額31百万円の減少によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、増加した資金は151百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済額301百万円、配当金の支払額118百万円等の減少と、短期借入額300百万円及び長期借入額150百万円、セール・アンド・リースバックによる収入141百万円等の増加によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

A.仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

前年同期増減率

(%)

医療介護用電動ベッド事業(千円)

4,005,091

2.9

 

B.受注実績

 当社グループは需要予測に基づく見込み生産を行っておりますので、該当事項はありません。

 

C.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

前年同期増減率

(%)

医療介護用電動ベッド事業(千円)

6,379,051

△9.4

 (注)1.金額は販売価格によっております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりで

あります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年7月1日

至 2021年6月30日)

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

㈱日本ケアサプライ

864,280

12.3

881,508

13.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、会計方針の選択・適用、資産・負債、収益・費用の金額等開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、過去の実績を勘案し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。

 なお、当社の連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1(1)連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に、新型コロナウイルス感染症の影響は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表、注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析

イ.経営成績等

A.財政状態

(資産合計)

 流動資産は、前連結会計年度末に比べて17百万円増加し、3,997百万円となりました。これは主に、現金及び預金、受取手形及び売掛金、為替予約は減少したものの、商品及び製品、未着品が増加したことによるものです。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べて237百万円増加し、2,470百万円となりました。これは主に、無形固定資産、投資その他の資産のその他は減少したものの、建物及び構築物、リース資産、投資有価証券、長期貸付金が増加したことによるものです。

 この結果、当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて254百万円増加し、6,468百万円となりました。

 

(負債合計)

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ113百万円増加し、1,838百万円となりました。これは主に、買掛金、未払法人税等、流動負債のその他は減少したものの、リース債務、短期借入金が増加したことによるものです。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ88百万円減少し、1,655百万円となりました。これは主に、リース債務、訴訟損失引当金が増加したものの、長期借入金が減少したことによるものです。

 この結果、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて24百万円増加し、3,494百万円となりました。

(純資産合計)

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて230百万円増加し、2,974百万円となりました。これは主に、利益剰余金が増加したことによるものであり、この結果、自己資本比率は46.0%となりました。

 

B.経営成績

(売上高及び売上総利益)

 売上高は、前連結会計年度に比べて9.4%減少し、6,379百万円となりました。これは主に、医療高齢者施設市場の販売実績が前期比で19.4%の増加したものの、福祉用具流通市場において、主力商品である介護用電動ベッド「MioletⅢ」は発売から約3年が経過し需要が一巡したほか、新製品の発売が遅延したことなどにより当連結会計年度の同市場の販売実績は前期比で14.9%減少したことなどによります。

 売上総利益は、前連結会計年度に比べて24.2%減少し、2,166百万円となりました。これは主に、上述の売上高が前連結会計年度に比べて減少したことに加え、当連結会計年度の期中平均為替レートが1ドル=117円45銭となり、前期と比較して円安傾向となったほか、海外物流コストや原材料の高騰の影響も重なったことなどから売上総利益率は34.0%(前期比で6.6ポイント減)となったことなどによります。

 

(営業利益及び経常利益)

 営業利益は、前連結会計年度に比べて86.1%減少し、100百万円となりました。この結果、売上高営業利益率は、前連結会計年度に比べ8.7ポイント減の1.6%となりました。

 経常利益は、前連結会計年度に比べて54.9%減少し、394百万円となりました。この結果、売上高経常利益率は、前連結会計年度に比6.2ポイント減の6.2%となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて13.8%減少し、263百万円となりました。この結果、1株当たり当期純利益は74.64円、自己資本当期純利益率は9.2%となりました。

 

C.キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

ロ.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営に重要な影響を与える可能性のある要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避に、又は発生した場合の対応に万全を期すべくリスク管理に努めてまいります。

 

ハ.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入を資金の源泉としております。また、設備投資並びに事業投資等の長期資金需要につきましては、自己資金はもとより、金融機関からの借入等、金利コストの最小化を図れるような調達方法を検討しております。なお、現在は新型コロナウイルス感染症の影響拡大に対応するため、十分な手許資金を確保しております。

 

ニ.経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、中長期的にROE(自己資本利益率)の向上を目指す価値創造企業を目指しております。当連結会計年度におけるROEは9.2%であり前期比で1.8ポイント減少、中期経営計画における当該指標の目標値であった17.1%と比べて7.9ポイント下回りました。「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載のとおり、新型コロナウイルスの感染拡大に適切に対応しつつ、製品コストダウンや生産性の向上などにより、当該指標の向上に邁進していく所存でございます。

 

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