(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2)経営成績
当連結会計年度における連結経営成績は以下のとおりであります。
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対する経済への影響を緩和した欧米において回復基調がみられましたが、中国ではゼロコロナ政策によるロックダウンや活動制限の強化により景気は失速することとなり、ウクライナ侵攻長期化による地政学的リスクの高まり、資源価格の高騰、半導体不足に伴う部品調達難、歯止めが掛からないインフレの上昇等、引続き不透明な状況が続いております。一方、わが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が和らぐ中で持ち直しの動きが見られたものの、再び新たな変異株による感染拡大が懸念されております。電力供給不足による活動制限、食品を始めとする物価上昇、急速な円安進行もあり景気の下振れも想定される状況となっております。
このような経済環境の中ではありますが、当社が関連する情報通信市場、半導体市場、エレクトロニクス市場は、引続き堅調に推移しました。
なお、弊社が取扱う一部の貴金属価格は依然高い水準にあり、当連結会計年度における売上、利益に影響しております。
その結果、当連結会計年度において、売上高45,321百万円(前期比33.9%増)、売上総利益16,152百万円(前期比18.0%増18.0)、営業利益13,055百万円(前期比24.9%増)、経常利益13,297百万円(前期比25.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9,142百万円(前期比32.7%増)となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は前期比33.9%増の45,321百万円となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、前期比44.7%増の29,168百万円となり、売上総利益は前期比18.0%増の16,152百万円となりました。また、売上高総利益率は4.8ポイント下落し35.6%となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は前期比4.3%減の3,096百万円となりました。これは主に研究開発費が375百万円減少したことによるものです。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は前期比24.9%増の13,055百万円となり、売上高営業利益率は前期比2.1ポイント下落し28.8%となりました。
(営業外収益・費用)
当連結会計年度の営業外収益は前期比446.7%増の956百万円となりました。これは主にデリバティブ評価益が929百万円増加したことによるものです。また、営業外費用は前期比926.2%増の715百万円となりました。これは主に為替差損が588百万円増加したことによるものです。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は前期比25.9%増の13,297百万円となり、売上高経常利益率は前期比1.9ポイント下落し29.3%となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計が4,170百万円となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比32.7%増の9,142百万円となり、売上高当期純利益率は前期比0.2ポイント下落し20.2%となりました。
セグメントごとの経営成績は以下のとおりであります。
(電子)
光学ガラス向けプラチナ製品は堅調に推移したものの、単結晶育成用イリジウムルツボの動きが鈍くなっていることに加え、前期後半からの貴金属価格高騰の影響を受け貴金属材料の販売につながる受注が減少し、売上高4,507百万円(前期比24.9%減)、売上総利益1,547百万円(前期比1.0%増)となりました。
(薄膜)
新用途向け銀合金ターゲット、半導体向けターゲットが予想より弱含んで推移したものの、データセンター用に使用されるHD向けルテニウムターゲットが引続き堅調に推移し、売上高12,413百万円(前期比31.8%増)、売上総利益5,314百万円(前期比46.0%増)となりました。
(サーマル)
世界的に好調な半導体需要が継続しており、半導体製造装置メーカーや海外半導体メーカーからの受注が引続き好調に推移しました。旺盛な需要に対応するため増産体制を構築し、高付加価値品の取込みを増やしたことで、高付加価値製品の割合増加が寄与し、売上高5,020百万円(前期比37.9%増)、売上総利益1,445百万円(前期比25.1%増)となりました。
(ケミカル)
一昨年実施した設備投資により精製・回収(リサイクル)や化学プラント向け触媒の受注が引続き好調に推移しました。有機EL向け化合物、電極向け貴金属化合物も好調に推移したことから、売上高22,199百万円(前期比85.9%増)、売上総利益7,265百万円(前期比25.0%増)となりました。
(その他)
当社製品の受注に紐付かない貴金属原材料の受注があったことにより、売上高1,180百万円(前期比58.3%減)、売上総利益580百万円(前期比62.6%減)となりました。
海外売上情報は以下のとおりであります。
当連結会計年度における海外売上高は25,000百万円(総売上高に占める割合は55.2%)となりました。地域別にはアジア向け輸出売上高11,124百万円(海外売上高に占める割合は44.5%)、欧州向け輸出売上高9,085百万円(海外売上高に占める割合は36.3%)、北米向け輸出売上高4,789百万円(海外売上高に占める割合は19.2%)となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
①生産実績及び受注実績
当社グループの生産・販売品目はリサイクル製品も多く、受注生産実態を正確に把握することが困難なため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
②販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
対前期増減率(%) |
電子(百万円) |
4,507 |
△24.9 |
薄膜(百万円) |
12,413 |
31.8 |
サーマル(百万円) |
5,020 |
37.9 |
ケミカル(百万円) |
22,199 |
85.9 |
その他(百万円) |
1,180 |
△58.3 |
合計(百万円) |
45,321 |
33.9 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年7月1日 至 2021年6月30日) |
当連結会計年度 (自 2021年7月1日 至 2022年6月30日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
デノラ・ペルメレック株式会社 |
3,919 |
11.6 |
7,713 |
17.0 |
(4)財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は53,278百万円となり、前連結会計年度末比11,223百万円増加しました。これは主に、棚卸資産が11,682百万円、デリバティブ債権が929百万円それぞれ増加し、未収消費税等が888百万円減少したことによるものです。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は19,383百万円となり、前連結会計年度末比5,747百万円増加しました。これは主に、建物および構築物が544百万円、機械装置及び運搬具が5,281百万円それぞれ増加したことによるものです。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は28,485百万円となり、前連結会計年度末比8,037百万円増加しました。これは主に、支払手形及び買掛金が5,284百万円、短期借入金が2,500百万円、1年内返済予定の長期借入金580百万円、未払金が494百万円それぞれ増加し、未払法人税等が1,386百万円減少したことによるものです。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は7,477百万円となり、前連結会計年度末比732百万円増加しました。これは主に、長期借入金が705百万円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は36,699百万円となり、前連結会計年度末比8,201百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が8,096百万円増加したことによるものです。
(5)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は3,857百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により使用した資金は1,225百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益が13,297百万円、仕入債務の増加が5,737百万円ありましたが、棚卸資産が11,682百万円、棚卸資産から固定資産への振替が5,084百万円それぞれ増加し、法人税等の支払額が5,725百万円あったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用した資金は1,786百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出が1,628百万円あったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は2,717百万円となりました。
これは主に、長期借入金の返済による支出が2,514百万円、配当金の支払額が1,041百万円ありましたが、短期借入金の純増額が2,500百万円、長期借入金による収入が3,800百万円あったことによるものです。
(6)資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、運転資金及び設備投資資金であり、主として営業活動、金融機関からの借入により必要とする資金を調達しております。また当連結会計年度末の現金及び預金は3,859百万円であり、流動比率(流動資産/流動負債)は187.0%となっており、十分な流動性を確保できているものと認識しております。また、短期的な資金需要に対応するため、300億円の銀行融資枠(コミットメントライン)を有しております。
(7)経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況
経営方針・経営戦略、経営上の目標は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。当社は「第2 事業の状況(2)中長期的な会社の経営戦略」に従い、人材の育成や設備投資を行い、その達成に向け順調に推移していると考えており、引き続き諸施策に取り組んで参ります。
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