(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、「紙媒体」と「電子媒体」両方でのサービス、ソリューションを提供するユニークな情報ベンダーとして、証券会社、機関投資家、上場会社の各セクター間での情報伝達とドキュメント処理の各サービス、ソリューションを提供しております。これらのサービス・インフラを強化するとともに顧客基盤を更に拡大し、インタラクティブな情報仲介サービスへ発展させることを会社の基本方針としております。
各種情報の処理・伝達方法の効率化への要求はますます高まっており、多様化、増大化する情報サービスの領域で、当社の企業理念である以下の4つを掲げ、コンプライアンス、社会環境に十分配慮し、事業の発展、企業価値の向上を目指します。
1. Innovation「革新」
「Idea」「Action」「Identity」におけるInnovationを追求。独創的な発想を確実にカタチに変え、市場へ継続投入しながら卓越した価値を創造します。
2. Fair「公正」
公明公正なお客様への対応で最良のパートナーシップを構築。社内では公平かつ正当な人事制度を確立。社内外で強固な信頼関係と組織作りを実現します。
3. Initiative「先取」
技術・サービス・マーケットにおいて常にイニシアチブを取り、アイフィスジャパンならではの高い付加価値を提供しながら金融情報サービス業界をリードします。
4. Satisfaction「充足」
創意工夫と自立の精神を養い、お客様の満足に確実に応える姿勢を徹底。社員の自己実現の喜びと企業価値が比例して高まる組織づくりを目指します。
(2) 目標とする経営指標
当社グループの主な事業は、1.投資情報事業、2.ドキュメントソリューション事業、3.ファンドディスクロージャー事業、4.ITソリューション事業の4事業に分かれております。これら4つの事業をバランス良く拡大しながら売上の増加を図りつつ、それぞれの事業が粗利率の高いサービスを拡大させることで、収益性の向上を目指しております。主な成長性・収益性の財務的な指標として、営業利益率の平均水準を15%、自己資本利益率(ROE)の平均水準を15%として目標に掲げております。
(3) 中長期的な会社の経営戦略
当社グループは「情報提供」サービスの電子配信ビジネスと「情報処理」を主としたドキュメントビジネスを両輪とした事業展開を行ってまいりました。ここ数年では印刷会社向けW2Pクラウドサービスや機関投資家向け運用業務支援アプリケーションサービスなどのサービス・ラインアップを拡充してきております。これらのサービスを統合することで顧客ニーズの高度化・多様化に応え競争力の向上を図ることを基本的な経営戦略としております。今後の具体的な事業展開としては、以下の市場・サービスに重点をおいてまいります。
① 発行市場に関する情報配信
連結子会社の株式会社キャピタル・アイでは、債券や株式の発行市場情報を取材して作成したニュースを、インターネットまたは金融情報端末を通して配信するサービスを提供しており、大手の証券会社、投資銀行、発行体から順調に購読契約を獲得し業績を拡大してきております。株式会社キャピタル・アイの事業は安定的に推移しており、今後も、当社グループの収益基盤の一つとして寄与するものと位置づけております。
② 個人向け投資情報サービスの拡大
当社では、機関投資家向けに提供しているIFIS Consensusを加工し、オンライン証券会社やメディア(雑誌、新聞、金融ポータルサイト)等を通じ、個人投資家向けの情報提供サービスを行っております。また2008年4月からはポータルサイト「Yahoo! JAPAN」上のファイナンス情報サービス「Yahoo!ファイナンス」のパートナーサイトとして、個人投資家向け情報提供サービス『IFIS 株予報』を開始し、業績予想や企業開示情報などを連動したコンテンツにより、多くのユーザーに利用されております。今後も新規コンテンツの追加などにより収益性の強化に努めてまいります。
③ ITソリューション事業の拡大
当社及び子会社の株式会社インフォーテックのITソリューション力と、これまで当社が提供してきたドキュメント関連のサービスや情報提供のサービスを組み合わせることで、当社の顧客の業務の生産性向上に寄与する付加価値の高いサービスを提供していく方針です。
④ 「IFISブランド」の確立
機関投資家における証券調査レポートの閲覧サービスに関して、機関投資家の当社グループに対する認知度はかなり高いものと考えておりますが、個人投資家における当社グループの認知度は競合他社に比べ低いものと認識しております。当社グループとしては、個人向けサービスの開発やメディアへの露出度を高めることで、個人投資家市場における「IFISブランド」の確立に努めます。
なお、当社グループにおける新型コロナウイルス感染症の影響は限定的なものであると考えておりますが、今後、新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動への影響が長期化し金融市場の状況が著しく悪化した場合、当社グループの経営成績および今後の事業展開に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 組織体制について
当社では、継続的に企業価値を高めていくために、事業規模に応じた内部管理体制の充実が不可欠であると認識しております。現在、当社グループは国内に7社の連結子会社、海外に1社の子会社と1社の関連会社を有する規模に拡大してまいりました。各社が適正に事業活動を行っていくために、業容拡大に対応した組織の整備を行い、内部統制が有効に機能する経営管理体制の確立が重要であると認識しております。
② 人材の確保と育成について
当社は金融情報サービスベンダーとして、金融市場の進歩や変化に対応できる専門家、IT技術の進化と高度化に対応した技術者、各部門を統括できるマネジメントスキルを備えた人材等の確保及び育成が重要な経営課題であると認識しております。
これまでも即戦力となる人材の採用や、パートナー企業との協業により、必要な専門知識・リソースを確保してきましたが、競合他社を超える革新的な金融情報サービスを提供していくためには、当社グループ各部門の従業員の専門性の維持・向上が不可欠と認識しております。そのために当社グループでは社内外研修やOJTを通じて従業員の能力向上を図ると共に、優秀な人材の採用も積極的に進めております。
③ システム障害の防止と対応
当社グループの主力サービス「IFIS Research Manager」や「IFIS Consensus Manager」は、独自に開発したシステムにより運営されております。既に多くの投資家の情報インフラとして日々活用されていることから、システムの安定運用は経営上最も重要な課題の1つと認識しております。
対策として、効率的なキャパシティ管理のほか、2重化構成、24時間監視、バックアップシステム等の施策により、障害発生を防ぐと共に障害発生時の混乱及び損害の軽減に努めております。
④ 情報セキュリティの強化
機密性の高い情報を扱う当社グループとしましては、現在も万全の情報セキュリティの体制をとっておりますが、個人情報保護法が普及したことにより、その重要性はますます高まるものと思われます。当社グループといたしましては、ネットワークにおけるデータやプログラムの保護、またはプライバシー保護に関する様々なネットワークセキュリティにおいて、より厳格なセキュリティ体制を構築することを推進してまいります。
以上を実現するためには、企業基盤を整備し、正確でタイムリーな情報提供ができる情報処理体制、クオリティーの高いサービスを提供できる営業体制を維持する必要があります。そのためには優秀な人材の採用と社内教育の充実が不可欠であると考えております。
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