課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、経営理念を「我々は信用を第一とし、情報の具現化によって、相互の利益を追求する」と定め、自らの意思で情報を具体的なビジネスへと形にし、今までにないマーケットを創出することを目指しています。

当社グループが運営するBESS事業においては、『「住む」より「楽しむ」』をブランドスローガンに、ログハウスなど自然材をふんだんに使った個性的な木の家の提供を通じて、「ユーザー・ハピネス」の実現を目指します。家がモノとして完成した際の満足=カスタマー・サティスファクションよりも、ユーザーが暮らしてからの満足=“楽しい暮らし”を大切にし、日本人の暮らし文化の「明日」を造っていきます。

 

(2)経営環境

わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染対策と社会経済活動の両立を進める中、業種等により所得や雇用環境改善等の景気持ち直しの動きも見られる一方、足元ではロシアによるウクライナ侵攻により、世界経済は不安定かつ先行きの不透明感がいっそう強まっております。

住宅市場においては、コロナ禍での生活様式の変化を背景に、グリーン住宅ポイント制度やこどもみらい住宅支援事業、住宅ローン減税延長等の住宅取得支援策が消費を後押しする形で新設住宅着工数は増加し、2021年4月~2022年3月の新設住宅着工数は前年同期比6.7%増、うち新設戸建持家木造住宅着工数は同6.7%増となりました。

しかし、ログハウスを主力事業とし、無垢の木材を多用する当社にとって、欧米や中国における木材需要の増加に端を発した木材供給不足や相場上昇(ウッドショック)による急激な資材の高騰は当期収益を大きく圧迫する要因となりました。

 

(3)経営戦略等

当社は、この厳しい環境下における黒字確保を至上命題と捉え、まず感性に訴えるマーケティング活動に磨きをかけ、いわゆる口コミ効果も最大限に活かして潜在客のLOGWAY来場を促進します。BESS事業の利益を圧迫する部材コスト高に対しましては、その影響を柔軟に吸収すべく、原価管理方式を見直すとともに、木材の価値(経年価値等)の再訴求を前提とした販売価格の適時改定や、契約~着工の期間短縮などの施策により、収益構造の立て直しを急ぎ進めてまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するために客観的な指標等

当社グループでは、新中期3ヵ年計画における最終年度の2023年度に連結売上高200億円、連結営業利益率5%の達成を目標に掲げておりますが、現状の厳しい事業環境を踏まえると、同修正目標に対し、遺憾ながら未達で着地する見通しとなっております。そのほか、成長性、収益性(営業効率)の観点から、売上高の先行指標としてBESS LOGWAY数、全国LOGWAYにおける新規来場件数及びLOGWAYクラブ入会者数、契約(受注)高及び件数、また、資本効率及び株主価値創造の尺度としてROE(自己資本当期純利益率)、加えてDOE(純資産配当率)を重要な経営指標と認識しております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上課題

① 中期経営計画における事業戦略

イ 「LOGWAY戦略のベストサイクル追求」

「LOGWAY戦略」を更に加速させ、BESSファンと共に、「ユーザー・ハピネス」を拡散させていきます。「LOGWAY戦略」成功の決め手は、LOGWAYコーチャー(BESSの暮らしの伝道師、すでにBESSでの暮らしを楽しんでいる先輩ユーザー)の活動とLOGWAYクラブ会員(会費制BESSファンクラブ、建設時期は未定でも、いつかはBESSの家に暮らす選択をすると意思表明された方)の会員数です。

LOGWAYクラブ会員数については、コロナ禍でLOGWAYへの新規来場者数が減少しているにもかかわらず、当連結会計年度末における未契約のクラブ入会者数が1,134組(前年同期比20.3%増)と順調に増加しております。この会員数が将来の成約にスムーズに繋がるフローを確立させ、安定的に売上計上を確保できるよう引き続き取組んでまいります。

 

また、LOGWAYコーチャーについては、すでに2,000組超のコーチャーに活動いただいておりますが、この中期計画においては、コーチャーの活動を更に盛り上げ、クラブ会員の増加へと繋げ、BESSの暮らしをより広く世の中に伝えていくとともに、こうしたファン同士の繋がりを通じて、クラブ会員へのサービスの充実を図ってまいります。さらに、ユーザーとの関係を強化し、コーチャーになっていただけるユーザーを拡げていきます。これらにより、「BESSファンづくりサイクル」をより効率的に循環させていきます。

 

ロ 「『梺ぐらし』の本格化~地方を真の主役に」

自然を身近に感じながら、おおらかに。そんなメッセージを込めた新しい暮らし方「梺ぐらし」を先の中期計画で創出し、直販部門で着実に成功実績を積み上げながら、今後はその開発・供給エリアを首都圏から全国の地方都市へと拡大していく予定です。

この中期計画では、地方の良さを活かした「梺ぐらし」を更に本格化させ、開発案件数の拡大を図るとともに、住替え・移住・再販等、BESS元来の強みが発揮できる企画も推進します。また、全国展開するBESSグループの強みを活かし、地区販社での企画・開発も推進します。

 

ハ 「ブランドパートナー型フランチャイズ制度の確立」

先の中期計画においても取り組んできたBESS事業の「価値観の統一」を更に進め、ブランド価値を共有するファンづくりパートナー関係を強化していきます。

また、元販社の一部から拠点を引き継いだBP社については、本部による経営指導強化を通じて拠点ごとの収益性を高めており、営業損益の黒字化転換を果たしております。今後も引き続き経営強化を図りながら、BESSブランドを担ぐパートナーとしての独立、のれん分けの道筋を作っていきます。

 

ニ 「長寿企業を目指す収益構造改革」

先の中期計画においては、ブランド力が収益性に結びつかず課題が残りました。また、昨今では、新型コロナウイルス感染症拡大をはじめ自然災害発生などによる外部環境の急激な変化が、企業業績に多大な影響を及ぼすことが少なくありません。長寿企業を目指すためにはそうした外部要因による業績影響への耐性を高めていくことが必須であり、そのためにも収益性の高い筋肉質な企業体質にすべく継続的に取組んでまいります。この中期計画においては、受注平準化と着工/引渡平準化、ログ構法における施工・収益力改善、生産・物流コスト削減等に、BESS本部・地区販社一体となった組織力で取り組むことにより、収益性の向上を目指していきます。

 

② 新型コロナウイルス感染症への対応

当社は社員の安全確保のため、リモートワーク・WEB会議を活用した在宅勤務を導入し、また、出社する場合は、外出前の検温、マスクの着用、手指の消毒、換気・相互の離隔による「3密」防止を実施し感染防止に努めております。BESS事業に従事する全国拠点スタッフにおきましても同様の防止策を徹底しております。施工現場におきましては、毎朝の検温と異常時の報告、手洗い・うがいの徹底、マスクの着用、十分な換気、密集を避ける工程管理等により、感染防止を徹底した上で工事を実施しております。

全国の営業拠点「LOGWAY」の運営におきましては、必要なお客様への「予約制」にて運営し、お客様の安全を確保しながら商談を進めております。また、BESS単独で運営するLOGWAYならではの営業活動として、モデルハウスでの「貸切り暮らし体験」をお勧めしております。また、お客様との個別商談をはじめ各種セミナー等のイベントについてもWEBを最大限に活用しながら3密を避けるよう努めてまいります。当面は、新規来場客の減少など営業活動への影響は避けられない見通しですが、このように、十分な対策を施していることをご理解いただきつつ、これまで築き上げてきたBESS事業の特長を活かして運営していくことで、この未曽有の難局に対処してまいります。

工事進捗におきましては、資材調達や公的手続き、お客様との打合せの進捗の遅延等により、売上計上が遅れるケースが想定されます。特に、コロナ禍でグローバルな需給バランスが大きく変化したことなどによる木材の調達難及び急激な資材価格高騰(ウッドショック)が生じているため、仕入購買先の複数化や部材の汎用化等、対応樹種の拡大によるサプライチェーンの強化等を通じて対策を講じてまいります。

 

③ 財務戦略

イ 「財務の健全性確保」

当社グループは、積極的な事業拡大を財務面から支えるために、複数の金融機関との間でシンジケーション方式による金銭消費貸借契約を締結し、資金調達の機動性及び効率性を高めておりますが、当連結会計年度末において、当該契約に付されている財務制限条項に抵触しています。各金融機関から期限の利益喪失についての権利行使を行わない旨の合意を得ていることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は存在していないものの、こうした状況の速やかな解消を目指してまいります。

木材供給不足や相場上昇(ウッドショック)による急激な資材の高騰による収益圧迫要因は長期に及んでおり、依然警戒が必要な状況にあることから、当社グループの財務の健全性を確保するために、既存取引金融機関との連携をこれまで以上に密にしながら新規の資金調達等に継続的に取り組み、手元流動性資金の残高維持(月商の3ヵ月分以上)に努めてまいります。

 

ロ 「資本効率の向上」

当社は、地区販社とのパートナーシップ(フランチャイズシステム)により、本部(当社)の陣容拡大を抑えながら売上成長を可能にする高効率の収益構造を目指しております。これにより、事業成長局面でも最小限の設備投資・在庫でフリーキャッシュ・フローを増大させるビジネスモデルを確立しています。

金融機関からの資金調達により経営環境の変化に対して機動的かつ柔軟に対応しつつ、販社の営業拠点拡大等による少資本型事業のメリットを最大限に活かして更なる資本効率の向上を目指し、株主資本比率の改善及び財務体質強化を図ってまいります。

 

 

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