① 財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、「中期経営計画2021」の達成に向けた取り組みを推進し、事業構造改革のスピードを上げ、機能性材料メーカーへの転換を目指して初年度の計画実行に取り組んでまいりました。
2022年に入り中国での新型コロナウイルスの感染拡大やウクライナ情勢など、経済環境の変化による不確実性や金融資本市場の変動の影響が懸念され、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きましたが、当連結会計年度の当社グループの経営成績に大きな影響はありませんでした。
断熱材事業については、連結子会社・阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司において、産業炉や異型成型品の販売及び為替レートが円安に進んだことに伴う円換算額の増加等により、前年同期の売上高を上回り、売上高が前年同期比27.2%の増加という結果となりました。
アーカイブ事業については、ストレージソリューションにおいて、物流停滞の不安から前倒し受注が続いている米国及び欧州向けの産業機器用光ドライブの販売が増加したこと等により、前年同期の売上高を上回りました。
インダストリアルソリューション事業については、光ディスク以外の媒体への移行が進んでいることから、前年同期の売上高を下回りました。
その他事業については、ナノマテリアル事業において、国内外共に幅広い業種へのサンプル出荷件数や、1企業で複数の用途を検討する顧客が増加していること等により、前年同期の売上高を上回りましたが、当期の販売計画を下回りました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、3,266百万円(前年同期比21.8%増)となりました。利益面は、営業利益74百万円(前年同期は営業損失11百万円)、経常利益97百万円(前年同期は経常損失3百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失39百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失135百万円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用による連結財務諸表に与える影響はありません。
各セグメントの業績は次のとおりであります。
当事業は、連結子会社・阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司において、電子部品用副資材、耐火材料及び関連製品の開発・製造・販売を行っております。また、当社でも同社製品を中心とした輸入販売を行っております。
国内は、異型成形品の販売が増加しました。また、高付加価値商品の販売にも注力し、高温窯道具である棚板を、日本国内の商流を通じて新規開拓した海外の顧客へ販売、さらに、断熱材に拘らない商材の販売を開始し、定期受注につながりました。その結果、前年同期の売上高を上回りましたが、当期の計画を下回りました。
阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司は、産業炉や異型成形品の販売が増加しました。また、売上構成比率は低いものの高温窯道具である棚板の販売が前年同期と比べ約60%増加しました。その結果、前年同期の売上高及び当期の計画を上回りました。
以上により、断熱材事業の売上高は2,192百万円(前年同期比27.2%増)となりました。
アーカイブ事業
当事業は、重要な情報を長期に亘って保存及び利用するための長期保存用光ドライブと長期保存用光ディスクの販売を行う「アーカイブ」と、産業用及びAV機器用光ドライブの開発・製造・販売を行う「ストレージソリューション」が含まれます。
アーカイブは、企業活動によって得られた過去の蓄積データの長期保存と、保管コスト削減を目的とした需要に対し、長期保存用光ドライブ及び長期保存用光ディスクを起点としたソリューション提案を行い、長期保存用光ドライブの販売が、医療機器向けを中心に順調に増加しました。また、写真プリント店の端末向け長期保存用光ディスクの販売も伸張し、前年同期の売上高及び当期の計画を上回りました。
ストレージソリューションは、産業機器用光ドライブの販売において、米国向けでBlu-rayドライブが前年同期と比べ増加し、また、物流停滞の不安から前倒し受注が続いている米国及び欧州向けが増加したこと等により、前年同期の売上高及び当期の計画を上回りました。
以上により、アーカイブ事業の売上高は1,033百万円(前年同期比13.4%増)となりました。
当事業は、オーディオ・ビデオ機器やコンピュータ周辺機器等の規準及び調整用テストディスク等の開発・製造・販売を行っております。
主要顧客であるカーオーディオ・カーナビ等の車載機器メーカー向けの販売が、テストメディア使用量の減少等の影響により、前年同期の売上高及び当期の計画を下回りました。また、AV機器市場及びPC市場においても、光ディスク以外の媒体への移行が引き続き進んでいることから、需要は減少しました。
以上により、インダストリアルソリューション事業の売上高は53百万円(前年同期比15.6%減)となりました。
当事業は、ナノマテリアルの研究開発・製造及び販売を行う「ナノマテリアル事業」が主な事業となっております。
ナノマテリアル事業は、粉末状の炭素繊維を製品化しております。
有償でのサンプル品の販売を行い、1月から3月の売上高が伸張しました。サンプル評価が進展していく中で、特に航空・宇宙、自動車産業等からの強い引き合いをいただくようになってきており、航空・宇宙産業の有力企業との共同開発等の契約締結や、自動車産業の有力企業との秘密保持協定の延長が合意されました。国内外共に幅広い業種へのサンプル出荷件数や、1企業で複数の用途を検討する顧客が増えていること等により、前年同期の売上高を上回りましたが、当期の販売計画を下回りました。
なお、営業・技術部門の集約と設備の充実化を目的として、2021年8月に東村山事業所を開設しました。これにより、ターゲットニーズを絞ったトライ&エラーを行い、内部評価してスクリーニングできるようになり、リードタイムの短縮、基礎及び開発研究のスピードアップを実現しております。
さらに、2022年1月に福島双葉工場の建設に着工し、本格採用に向けた生産体制の構築を進めております。
以上により、その他事業の売上高は15百万円(前年同期比94.2%増)となりました。
当連結会計年度末における財政状態については、以下のとおりであります。
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べて21.4%増加し、3,686百万円となりました。これは、主として受取手形及び売掛金の増加等によるものであります。
当連結会計年度末における固定資産の残高は、前連結会計年度末に比べて51.1%増加し、662百万円となりました。これは、主として福島双葉工場の建屋取得にかかる代金の一部を計上したことによる建設仮勘定並びに機械装置及び運搬具の増加等によるものであります。
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べて14.5%増加し、955百万円となりました。これは、主として断熱材事業の受注増加に伴う前受金の増加等によるものであります。
当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末に比べて391.1%増加し、642百万円となりました。これは、主として長期借入金の増加等によるものであります。
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末に比べて9.6%増加し、2,751百万円となりました。これは、主として新株予約権の行使による株式の発行による資本金及び資本剰余金並びに為替レートが円安に進んだことに伴う為替換算調整勘定の増加等によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は1,388百万円(前連結会計年度は1,397百万円)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.当連結会計年度において、断熱材事業の受注残高に著しい変動がありました。これは、主として産業炉の受注及び前連結会計年度と比べ為替レートが円安に進んだことに伴う円換算額の増加等によるものであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.天津世通器械進出口有限公司及び蘇州伊爾賽高温无机耐材有限公司の社名は中国語簡体字を含んでいるため、日本語常用漢字で代用しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高3,266百万円(前年同期比21.8%増)、利益面は、営業利益74百万円(前年同期は営業損失11百万円)、経常利益97百万円(前年同期は経常損失3百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失39百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失135百万円)となりました。
当社グループは、「中期経営計画2021」に基づき施策を実施することで、事業構造改革のスピードを上げ、機能性材料メーカーへの転換を図るべく、ナノマテリアル事業の成長スピードアップ、断熱材事業の更なる成長、成長が見込まれる事業への積極的投資に取り組んでまいりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高及び営業利益並びに経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期及び当期の計画を上回りました。
その他事業
ナノマテリアル事業において、売上の拡大、及び生産体制を確立し、事業成長のスピードアップを図ります。
売上の拡大につきましては、国内外共に幅広い業種へのサンプル出荷件数や、1企業で複数の用途を検討する顧客が増加しており、前年同期の売上高を上回りましたが、当期の販売計画を下回りました。
営業・技術部門の集約と設備の充実化を目的として、2021年8月に東村山事業所を開設しました。これにより、ターゲットニーズを絞ったトライ&エラーを行い、内部評価してスクリーニングできるようになり、リードタイムの短縮、基礎及び開発研究のスピードアップを実現しております。
売上の拡大に向け、本格採用の道筋が見えてきた顧客への対応力アップ、及び新規顧客の開拓(採用が見えてきた業界への横展開営業活動など)、並びに海外展開を行ってまいります。また、航空・宇宙産業の有力企業と共同開発等の契約締結や、自動車産業の有力企業と秘密保持協定の延長が合意さたことから、引き続き航空・宇宙及び自動業界へ重点的に展開してまいります。
生産体制の確立につきましては、本格採用に向けた生産能力を担保し、顧客の要求に的確に対応するため、2022年1月に福島双葉工場の建設に着工し、本格採用に向けた生産体制の構築を進めております。
断熱材事業
販売戦略の強化、及び製品ラインナップを拡充し、更なる成長と環境問題対策とのバランスコントロールを図ります。
連結子会社・阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司において、産業炉や異型成型品の販売及び為替レートが円安に進んだことに伴う円換算額の増加等により、断熱材事業は前年同期の売上高及び当期の計画を上回りました。為替の影響によらず現地通貨での売上高も当期の計画を上回っております。
高付加価値商品である高温窯道具の棚板の開発・生産及び販売を強化しております。連結子会社・阿爾賽(蘇州)無機材料有限公司において販売が増加しており、当社においても日本国内の商流を通じて新規開拓した海外の顧客への販売を開始しております。
さらに、当社において、断熱材に拘らない商材の販売を開始し、定期受注につながっております。
今後も、これらの取り組みを更に強化してまります。
アーカイブ事業
運営の効率化やリソースの再配置を行い、利益の最大化を図ります。
利益の最大化を目指し、リソースの再配置を行いました。ストレージソリューションにおいて、物流停滞の不安から前倒し受注が続いている米国及び欧州向けの産業機器用光ドライブの販売が増加したこと等により、アーカイブ事業は前年同期の売上高及び当期の計画を上回りました。
インダストリアルソリューション事業
市場規模に対応した効率的な事業運営を進め、利益の最大化に注力します。
減少傾向が続き、効率化に取り組みましたが、前年同期の売上高及び当期の計画を下回りました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。
当社グループは、財務基盤の強化については、収益力及び資産効率の向上によることを基本としております。当連結会計年度の運転資金及び設備投資資金等につきましては、内部資金及び銀行からの借入による間接金融並びに新株予約権の発行による直接金融の手段により調達しております。
資金の流動性については、事業規模に応じた現金及び現金同等物の適正額を維持することとしており、当社においては、資金の流動性の確保を目的として、主要取引銀行とコミットメントライン契約等を締結しております。
当社グループの経営指標及びキャッシュ・フロー関連指標は、以下のとおりであります。
目標とする経営指標の進捗状況
キャッシュ・フロー関連指標の実績
自己資本比率 : 自己資本/総資産
財政状態の状況に関しましては、棚卸資産の削減、固定資産の効率化及び営業債権の早期回収が各セグメントに共通する課題であると認識しており、資産効率の改善に向け、注力してまいります。
また、当社は、2017年3月期から2022年3月期までの個別業績において、6期連続の営業損失を計上しております。
これにより、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在していると認識しており、「2 事業等のリスク」において、重要事象等が存在する旨及びその内容を記載しております。
しかしながら、当面の十分な自己資金も確保しており、当該事象又は状況を解消し、又は改善するための対応策として、「中期経営計画2022」を策定し、これを反映した事業計画に基づく翌事業年度の資金計画による評価を実施した結果、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
② 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、連結会計年度末における資産・負債及び連結会計年度の収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因に基づき判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
お知らせ