(1)業績の概況
1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における経済環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移いたしました。
当社をとりまく環境においては、外出自粛や店舗休業等の影響を大きく受けた前期と比較して、当期は僅かながら商業施設等への出足は回復傾向にありましたが、未だ感染防止対策に伴う販促イベント等の中止や制限が余儀なくされる環境となりました。
このような中、当社はデジタルシフトを進め、テレワークを中心とした働き方への改革を行いコロナ禍においても営業活動への支障が最小限になるよう努めてまいりました。
海外販売においては、主力の米国向け知育玩具が既存品・新商品ともに量販店での取扱いが増え、需要を大きく伸ばしました。コロナ禍の影響で世界的な輸送船確保が困難な状況となり、出荷が不安定となる悪影響を受けつつも、結果としては売上を大きく伸ばしました。
国内販売においても、前期コロナ特需のあった「遊具・乗り物カテゴリー」では売上が萎んだ一方で、「乳児・知育玩具カテゴリー」の定番シリーズを主にお部屋遊びの玩具類が好調に推移した結果、売上を伸ばしました。
結果、当期の売上高は、54億81百万円(前期比22.4%増)となりました。
売上高を伸ばした一方、収益性において課題を残しました。製造地での材料や人件費の高騰に伴い仕入コストが上昇した一方、販売先からは値下げ要求が強まる傾向にありました。また海外販売はじめ高原価率のアイテムが売上構成を大きく占めたことで、売上総利益段階では前期比12.6%増に留まりました。
費用面では、新規企画の研究開発や従業員の自律に向けた教育セミナー等に一定の費用を投じながらも、ほぼ前期並みに収まりました。
これらの結果、営業利益は5億10百万円(前期比4.1%増)、経常利益は4億96百万円(前期比4.3%増)、当期純利益は3億43百万円(前期比4.4%増)となりました。
財政状態につきましては、後掲の「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等」に記載のとおり、資産合計は、前事業年度末より1億11百万円増の27億85百万円となりました。
負債合計は、前事業年度より44百万円増の4億74百万円となりました。
純資産合計は、23億11百万円となりました。
新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期に及んだ場合においても、現時点の手元流動資金によって事業継続は可能であると考え、特段の対処等は行う予定はありません。
なお、当社は玩具及び自転車等乗り物類の企画・販売を事業とする単一セグメントであるため、セグメント別情報の記載を省略しております。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、13億5百万円となりました。
営業活動から得られた資金は、2億65百万円の収入となりました。
投資活動に使用した資金は、1億17百万円の支出となりました。
財務活動に使用した資金は、2億63百万円の支出となりました。
なお、前事業年度は連結キャッシュ・フロー計算書を作成しており、個別キャッシュ・フロー計算書は作成していないため、前期比較は行っておりません。
2)当期商品の評価及び販売の状況
各カテゴリーごとの販売状況は以下の通りです。
(カテゴリー別売上高の前期対比)
(単位 千円)
注)2022年1月期第1四半期より個別業績を表示しております。このため、前期についても個別業績(参考値)を記載しております。
(各カテゴリーごとの状況)
■玩具市場へのコロナ禍の影響
コロナ禍は新奇性の高い新商品よりもロングセラーの定番品の需要が高まる影響を与えました。消費者は店頭で長時間商品を探したり、サンプル品で子供を遊ばせるよりも、すでに知っている定番品をECで購入したり、店頭を訪れても事前に狙いを定めて短時間で買い物をする傾向があったため、と見ています。
■乳児・知育玩具カテゴリー
ロングセラーの多い当社の商品は当乳児・知育玩具カテゴリーを中心に店頭にて積極的に展開をされました。大きく牽引したのが、構成玩具「ピタゴラスシリーズ」です。中でも当期新商品『ピタゴラスBASIC ボールコースター』はシリーズを牽引するヒット商品となりました。その他「やりたい放題ビッグ版」や「知脳リモコン」も大きく貢献しました。
(主な商品:ノンキャラベビーシリーズ、ピタゴラスシリーズ、やりたい放題シリーズ)
■女児玩具カテゴリー
「ねじハピシリーズ」がSDGsナンバー5「ジェンダー平等の実現」という観点からメディアにも注目商品として取り上げられました。中でも人気キャラクターを採用した「ねじハピすみっコぐらしメガDIYセット」などが、発売後すぐに完売するなど好調に推移いたしました。
一方厳しい状況が続く「ぽぽちゃんシリーズ」は、当期は誕生25周年のアニバーサリーイヤーとして、ぽぽちゃんの魅力を伝えるTVCMなど積極的なプロモーションを行うなど、引き続き訴求してまいります。
(主な商品:ぽぽちゃんシリーズ、女児ホビーシリーズ「ねじハピ」)
■遊具・乗り物カテゴリー
昨年のコロナ禍での需要過熱に対して、前期比2割減となりました。足けりバイク・キックスケーター・自転車と1台で3役可能な新製品『キックル』を発売するなど、厳しい状況の中でも新しいチャレンジは続けてまいります。
(主な商品:自転車シリーズ、白いわんぱくジム、知育ボールジャングル)
■家具・育児、その他のカテゴリー
SNSを中心としたプロモーションで、子育て世代にダイレクトな情報発信をすることで「ラッコハグ」などを中心に、妊娠期の出産準備アイテムにご指名いただくことが増え、年間を通して順調に推移いたしました。
(主な商品:ラッコハグ、Teddy Hug)
■海外販売
当期、年間を通して米国向け販売において外航コンテナ不足の影響による出荷計画のずれが発生しておりましたが、できる限りの手段を講じてコンテナを確保し、この状況下でも前期比51.6%増の売上となりました。店頭の販売では入荷次第、順調に商品が売れていく状況は続いておりますので、欠品でのチャンスロスを起こさぬよう、引続きコンテナ確保の対策は続けてまいります。アジア向け(台湾・中国・韓国)の販売では、日本でも人気の「やりたい放題ビッグ版」や「知脳リモコン」を、各国の言語バージョンにローカライズした商品が売上に貢献しております。
(主な商品:Magna-Tilesシリーズ、BBシリーズ、他、玩具全般)
当事業年度における仕入実績を区分別に示すと、次のとおりです。
(注) 1. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2. 海外仕入比率は前事業年度が92.7%、当事業年度が95.0%であります。
当社は、受注生産は行っておりません。
当事業年度における販売実績を区分別に示すと、次のとおりです。
(注) 1. 上記の金額には、消費税等は含まれていません。
2. 主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は次のとおりです。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この作成においては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
また、引当金の計上や資産の評価等、当社の財務諸表の作成に当たり必要となる見積りについて、経営者は過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。
②財政状態及びキャッシュ・フローの状況
イ. 資産、負債、純資産の概況
資産の部では、当事業年度末の総資産は、前事業年度末より1億11百万円増の27億85百万円となりました。
流動資産は24億22百万円で、その主な内訳は現金及び預金13億5百万円、売掛金4億39百万円、商品・原材料の棚卸資産4億4百万円です。固定資産は3億63百万円で、主な内訳は金型等の有形固定資産1億5百万円、社内利用ソフトウエア等の無形固定資産33百万円、関係会社株式・保険積立金等の投資その他の資産2億25百万円です。
負債の部では、流動負債は4億74百万円で、主な内訳は次期販売用の商品仕入に伴う買掛金が1億円、未払法人税等1億54百万円です。
当事業年度末の純資産は、配当金支払の一方当期純利益の計上により、純資産合計は前事業年度末より67百万円増の23億11百万円となりました。
以上の結果、当事業年度末における1株当たり純資産は528円40銭、自己資本比率は83.0%となりました。
「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ハ. 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資金需要は、新製品企画から製造に必要な運転資金(研究開発費、仕入、人件費、諸経費)、販売費及び一般管理費等の営業活動および広告宣伝等費用によるもののほか、投資活動において、金型等の設備投資を毎期行っております。
上記運転資金及び設備投資資金の調達は、自己資本を基本としております。
(3)経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
第2「事業の状況」の冒頭1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(1)「会社の経営の基本方針及び目標とする経営指標等」に記載のとおりです。
(4)たな卸資産の状況
一般的棚卸資産管理では売上が下がると在庫増となります。当社は売上が下がると即減産する体制となっており、向こう3ヶ月の需要予測を毎月精密に行い過剰在庫とならないよう調整を行っております。一方、毎期末、販売力の伴わなかった商品については、規則的に帳簿価額を切り下げ、翌期に損失を繰り延べないようにしております。当期では21,172千円の評価損を計上しましたが、売上対比では0.4%と例年並みに留まりました。
(5)営業成績及び財産の状況の推移
(注)1.上記表の数値は個別業績を示しております。
2 .「 『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)等を2020年1月期の期首から適用しており、2019年1月期の財政状態については、当該会計基準等を遡って適用した後の数値となっています。
(6)株式について
<株式、株主の状況>
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