課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものです。
   

   (1)会社の経営の基本方針及び目標とする経営指標等

  (2022年1月期の経営方針)

 当期初において経営方針として以下のミッション・ヴィジョン・バリューを掲げて進行してまいりました。

・ミッション (Peopleの果たすべき社会的役割)
  子育て生活を研究し、新しい「ためになる」をつくる。

・ヴィジョン (なりたい姿)
  一番身近で「私達(=子育て生活者)のことを、

  本当にわかってくれている」商品・サービスを、
  最前線で世の中に提供し続ける。

・バリュー (社員が共有する価値観)

1. 最終的な価値を決めるのは消費者
  時代とともにどんどん変わっていく消費者と真摯に向き合い続ける。
2. 市場の主流・最大より、新しい挑戦
  既存商品からの差別化にとどまらず、独自の戦略で新しいモノ・コト・トキを生み出す。
3. 個性を集めた少数精鋭
  多様な知見を持ち寄ることで、誰も考えつかなかった新しいアイディアが生まれてくる。
4. 欺かない・貪らない・侮らない

 

   (2022年1月期の経営指標)
    「売上営業利益率10%以上」を、上場来、目標として掲げております。


  (2)事業別課題

 
(第45期(2022年1月期)の振り返り)

当期は期初の計画通り、下記4項目の課題に取組んでまいりました。

1. 人材開発

 社員全員が視座を上げ、全員が自律的に活動できる人財になることを目標とした「人財開発プロジェクトチーム」を発足し、活動を開始しました。1年目となる当期は、外部のパートナー企業の協力を仰ぎ、全社参加のワークショップなどを行いました。改めて長期的な取組みが必要になる課題と捉え、今後も一定の時間とお金を投資しPDCAを続けてまいります。

2. 組織力の強化

 組織変更、人員配置の変更、一部社員のジョブローテーションを試みました。それによって、いわゆる仕事の属人化の弊害が根深く、組織や人員配置だけ変えてもうまくいかない確信を得ました。私達が向かっていきたい姿を明らかにした上で、今後さらなる抜本的な改革に取組みたいと思います。

3. 商品企画・開発力の強化

 社員に挑戦を促すこと、人事評価制度改革、新プロジェクトに対する全社的な協力体制、失敗は咎めずに次に活かすためのルール作りなど、あらゆる施策を行うことを掲げ、各々第一歩を踏み出しました。

4. 新しい経営モデルの確立

 収益性改善に向けて、優先すべき事業、しない事業を仕分け実行していく準備を整えました。特に既存市場では、シェア獲得のためのリソースが大きいわりに、成果が伴わない状況は今後一層厳しくなると見ています。新しい事業を次々に生み出し、良い収益を得られる経営モデルの確立に今後も取組んでまいります。

 

(第46期(2023年1月期)の課題)

 ■第45期の総括

 第45期の業績は、売上高こそ過去最高の水準に達したものの、収益性としては後退する結果となりました。長期的視点では、これまでにない厳しい状況に立っていると見ています。要因は、コロナ禍も相まって外部環境が急激に変化していることにあります。コロナ禍は、2020年の当初こそ巣ごもり特需を生んだものの、現時点では当社にとって以下のような懸念事項があります。

・原材料の高騰による商品原価アップによる利益圧迫

・輸送のコストアップによる経費増

・製造工場の稼働が不安定になり、商品手配のための作業時間増

・輸送船確保のための作業時間増

これらは直接、間接的な原価構造の悪化の要因となり、業績に影響が現れ始めました。

 また市場においては、玩具市場全体として、新奇性の高い商品よりも既存の定番商品に需要が偏る状況が、当社では原価率の高い商品にシェアが偏る要因となりました。

 こうした要因で国内販売が伸び悩む一方、原価率の高い海外販売商品が伸びたことで、当社売上高シェアが大きく海外に偏ったことが、全体の売上総利益率の悪化につながりました。

 

一極集中の海外販売シェアの偏りによる弊害

 売上高が急伸長している海外販売ですが、そのシェアの大半を占める米国販売は、元々ディストリビューターを介して販売する構造から売上総利益率を低く設定しており、当社の総売上に対する比率としては「国内販売を補助するもの」という程度の位置づけでした。

 ところが、2019年から2020年にかけて、ディストリビューターが大手量販店との取引を最重要視する方針転換を行った結果、大幅に当社の売上高は拡大したものの、利幅の縮小に伴い、当社の売上総利益率の低下につながりました。当社にとりましては、米国販売売上高の急伸長が当社の予想以上であったことで、国内販売と同程度にまで膨らみ、全体の利益構造を大きく変化させる状況を生んでいます。

 このような経緯と状況を踏まえ、当社では、米国販売が当社の総売上に対し大きなシェアを占めている状態をリスクと捉え、対処すべき課題と認識しています。

 

今後の課題

これら外部状況の急激な変化に対して、次期以降当社が取組むべき最重要課題は収益性の改善と考えます。そのためには、既存市場でのシェア争いに始終する現状を抜け出し、新しい収益性の高い事業にシフトしていくことが肝要です。新しい事業を生み出すことにリソースを集中させ、挑戦する数を増やす体制を整えます。具体的には下記のような課題に整理できます。

 (1)意思決定の精度とスピードのUP

      プロジェクトの進行をスピーディーにするため、社内の承認体制を見直し、これまで経営判断としてきた事項の一部を権限移譲する制度改革を行います。同時に、大きな問題に至らないよう当社らしいガバナンスを再度整備することも必要です。

 (2)収益性の高いビジネスにリソースを集中させる

      これまで単品毎行っていた企画・開発の提案・審議を、基本的な年間計画を作成の上、プロジェクト進行スケジュールを一元化することで、進行中の商品・事業の将来性や収益性を比較し、投資の優先順序をつける方式に改めます。これにより、ドラスティックにリソースを集中させられる事業開発のしくみに改革していきます。

 (3)優先しないビジネスを終了させる

      優先事業にリソースを集中するためには「ロングセラーでも収益性の低い、または先の成長が見込めない商品や事業」について、終了させることも重要と考えています。社内外への悪影響を最小限にするような、プロジェクト終了のやり方を模索していきます。

 

■新たなる経営方針の制定

上記3項目の課題を優先的に遂行していくためには、「当社がリソースを集中すべきビジネスとは?逆に手放していくべき優先しないビジネスは?」この問いに対し、全員が一丸となり、同じ志を持って前向きに取組むことが重要です。同時に中長期を見据えて、企業としての「存在価値」・「企業の役割」を明確にするため、私たちの強み・私たちが夢中になってやりたいこと・それを全力で楽しみ取組んだ結果、新しい価値が生み出され収益性も改善されていくと信じられること、これらを方針とし明文化した「パーパス」を新たに掲げてまいります。ステークホルダーの皆様ともパーパスを共有し、外部環境の変化に対しスピード感のある課題解決や、新しい事業創造につなげてまいります。

 

<パーパス>  

― 子どもの好奇心が、はじける瞬間をつくりたい!―

・私達の目は、子どもの関心を見逃さないために

・耳は、子どもの本音をじっくり聴くために     

・頭は、子どもの表にでない欲求を探るために

・手足は、子どもの好奇心がはじける瞬間を実現するために

・心は、子どもの未来を想像するために

 

また、先の予測が難しい環境においては、柔軟に行動変容する事が大切と考えています。先の行動をお約束するのではなく、パーパスに沿って行動する日々の様子を紹介していく場を設け、企業変革へ向かう様子をありのままに発信する「ピートラ(ピープルトランスフォーメーションの略)」を開始いたします。こちらは当社ホームページから辿れるnoteを利用し、かつ四半期毎には四半期報告書等に事業の経過の中でご報告していく予定でおります。

 

 ■経営指標の改定

上記パーパスの制定に伴い、新たなるパーパスに沿って新事業分野へリソースを集中し取組んでいくため、目標とする経営指標について、これまでの「売上高営業利益率10%以上」を廃止し、新たに「ROE(自己資本利益率)」を指標とすることへ改めます。

これは、これまでの当期の営業利益率という短期の目標を置いた経営から、中長期的な視点に基づき企業価値の向上と持続的な成長を図れる経営へとシフトすることを目的としております。自己資本を積極的に有効活用し、より将来に事業が伸びていく、質の高い収益体質の獲得を図っております。

2023年1月期より経営指標は「ROE」とし、毎期、当期ROE10%以上出すことを目標といたします。

また、経営指標を変更することに伴い、執行役に対するインセンティブ支給の要件も変更し、業務執行の責務とつなげてまいります(詳細につきましては後掲(役員報酬等)(2023年1月期以降の算定式)をご参照ください)。同時に従業員賞与の支給基準についても定めてまいります。


《 付加事項≫新型コロナウイルス感染症への対応 》

当社では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う影響を最小限に止めるための対応として、社員およびお客様をはじめとするステークホルダーの皆様の安全確保を最優先に考慮し、海外・国内出張の抑止、社員の時差出勤・在宅勤務のほか、就業時間中のマスク着用の徹底、テレビ会議システムの活用を実施するなど、同感染症の拡大を止めるための対策を講じております。

今後におきましても、引き続き、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う経済活動への影響を注視するとともに、想定外のリスクや不測の事態を想定し、経営環境の変化に臨機応変に対応できる体制の構築を図ってまいります。


 

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