当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の収束が見通せない中で、一部では持ち直しの動きも見られたものの、サプライチェーンの混乱や地政学的リスクの懸念によりエネルギー価格をはじめとする諸資材価格が高騰するなど、厳しい状況で推移しました。
印刷業界におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による個人消費や企業活動の停滞、情報媒体のデジタルシフトによるペーパーメディアの需要減少や競争の激化、価格の低迷が長期に渡るなど、依然として厳しい経営環境が続きました。
このような環境下にあって当社グループは、2019年度からInnovation for 100th anniversaryサンメッセ新・中長期経営のアクションプランを達成すべく、2035年の100周年を迎えることを意識した“当社のありたい姿”を追求し、その中期的位置づけである2025年に向けた90周年スローガン「Challenge for Change 2025 ~変革への挑戦~」により、ペーパーレス化などの台頭をはじめとした外部環境の急激な変化に積極的な変革への対策を推進しております。当社の強みである「社内一貫生産による一社責任体制」を最大限活かし、コア事業である商業印刷における価値の基盤を堅持・伸長していくとともに、従来までの印刷に偏らぬ付加価値の高い提案や新しいビジネスの創造や展開、成長事業への戦略的重点投資を行い、更なる事業成長と企業価値向上を実現できるよう努めております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は166億3百万円(前年同期比11.2%増)、営業利益は4億63百万円(前年同期比110.3%増)、経常利益は6億6百万円(前年同期比56.7%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、日本年金機構様より受託いたしました「年金振込通知書」の誤送付に係るやり直し等の負担額として製品保証費を特別損失に計上したこと等により2億64百万円(前年同期比13.2%減)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 会計方針の変更」をご参照ください。
セグメントの業績を示すと、次の通りであります。
(印刷事業)
一般商業印刷物の売上高は、定期刊行物などは減少しましたが、カタログや個人情報を扱う印刷物などの増加により116億88百万円(前年同期比13.7%増)となりました。また、包装印刷物の売上高は、パッケージなどが若干増加して28億63百万円(前年同期比1.5%増)、出版印刷物の売上高は14億2百万円(前年同期比2.3%減)、合計売上高は159億54百万円(前年同期比9.7%増)となりました。なお、営業利益は売上高が増加したことや減価償却方法の変更並びに経費抑制に取り組んだこと等により3億63百万円(前年同期比102.6%増)となりました。
(イベント事業)
新型コロナウイルス感染症が一向に収まらない中、イベント需要の減少を上回るコロナ関連事業の受注増加により、売上高は6億48百万円(前年同期比67.0%増)と大きく増加いたしました。また、営業利益は売上高が増加したこととコスト低減等に努めたこと等により、96百万円(前年同期比157.2%増)となりました。
財政状態につきましては次の通りであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末と比べて9億8百万円減少し、65億56百万円となりました。これは、現金及び預金が10億57百万円減少したこと等が主な要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末と比べて10億89百万円増加し、127億32百万円となりました。これは、投資有価証券が1億57百万円減少しましたが、建物及び構築物が6億74万円、機械装置及び運搬具が3億86百万円、繰延税金資産が97百万円それぞれ増加したこと等が主な要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末と比べて1億27百万円増加し、52億58百万円となりました。これは、短期借入金が1億円減少しましたが、未払費用などのその他の流動負債が2億11百円増加したこと等が主な要因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末と比べて64百万円減少し、33億3百万円となりました。これは、役員退職慰労引当金が89百万円減少したこと等が主な要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末と比べて1億18百万円増加し、107億27百万円となりました。これは、その他有価証券評価差額金が65百万円減少しましたが、利益剰余金が1億56百万円増加したこと等が主な要因であります。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、12億8百万円となり、前連結会計年度末より9億43百万円減少いたしました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は9億44百万円(前年同期は4億85百万円)となりました。収入の主な要因といたしましては、税金等調整前当期純利益3億26百万円、減価償却費5億87百万円等であり、支出の主な要因といたしましては、売上債権及び契約資産の増加額1億83百万円等によるものであります。
前連結会計年度と比べ4億58百万円収入が増加した主な要因は、投資有価証券評価損が87百万円発生したことや、売上債権及び契約資産の増加額(前連結会計年度は売上債権の増加額)が95百万円、法人税等の支払額が1億49百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、15億94百万円(前年同期は7億49百万円)となりました。支出の主な要因といたしましては、有形固定資産の取得による支出15億52百万円等によるものであります。
前連結会計年度と比べ8億44百万円支出が増加した主な要因は、有形固定資産の取得による支出が7億76百万円増加したことや、投資有価証券の売却及び償還による収入が1億48百万円減少したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、2億92百万円(前年同期は92百万円)となりました。収入の主な要因といたしましては、短期借入れによる収入2億80百万円等であり、支出の主な要因といたしましては、短期借入金の返済による支出3億80百万円、配当金の支払額1億8百万円等によるものであります。
前連結会計年度と比べ2億円支出が増加した主な要因は、短期借入金の返済による支出が50百万円、長期借入金の返済による支出が51百万円、社債の償還による支出が50百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価格で表示しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.金額は販売価格で表示しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
(注) セグメント間取引については相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1(1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末における資産・負債の報告数値、連結会計年度における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、継続して評価を行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。また、新型コロナウィルス感染症の影響など不確実性が大きく将来の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、連結会計年度末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。なお、特に下記の見積りが連結財務諸表作成において重要な影響を及ぼすと考えております。
a. 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得は過去の課税所得の推移や将来の課税所得の見込に基づいて見積っているため、税制改正や経営環境の変化及び新型コロナウイルス感染症の影響等により課税所得の見積りが大きく変動した場合には、繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
b. 固定資産の減損
当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき、減損処理の要否を検討しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や経営環境の変化及び新型コロナウイルス感染症の影響等により前提とした条件や仮定に変更が生じた場合には、減損処理が必要となる可能性があります。
c. 退職給付に係る負債
従業員退職給付費用及び債務は、数理計算上使用される前提条件に基づいて算出しております。これらの前提条件には、割引率、退職率、死亡率及び昇給率など多くの見積りが含まれており、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合、認識される費用及び債務に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度の経営成績につきましては、次の通りであります。
印刷事業の売上高につきましては、一般商業印刷物の定期刊行物や出版印刷物などは減少しましたが、一般商業印刷物のカタログや個人情報を扱う印刷物、包装印刷物のパッケージなどが増加しました。また、イベント事業の売上高につきましても、新型コロナウイルス感染症が一向に収まらない中、イベント需要の減少を上回るコロナ関連事業の受注が増加しました。以上により、前連結会計年度に比べ16億75百万円増収の166億3百万円(前年同期比11.2%増)となりました。
売上総利益につきましては、売上高が増加したことや減価償却方法の変更並びに経費抑制に取り組んだ影響等により、前連結会計年度に比べ4億62百万円増益の35億70百万円(前年同期比14.9%増)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、売上高の増加等により、前連結会計年度に比べ2億19百万円増加の31億6百万円(前年同期比7.6%増)となりました。
その結果、営業利益は前連結会計年度に比べ2億43百万円増益の4億63百万円(前年同期比110.3%増)となりました。
営業外損益につきましては、保険解約返戻金の減少等により、前連結会計年度に比べ24百万円減益の1億42百万円の利益(前年同期比14.5%減)となりました。
その結果、経常利益は前連結会計年度に比べ2億19百万円増益の6億6百万円(前年同期比56.7%増)となりました。
特別損益につきましては、製品保証費の計上等により、前連結会計年度に比べ3億19百万円減益の2億79百万円の損失(前年同期は39百万円の利益)となりました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は連結会計年度に比べ40百万円減益の2億64百万円(前年同期比13.2%減)となりました。
当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況」の「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載の通りであります。
「第2 事業の状況」の「2 事業等のリスク」に記載の通りであります。
設備投資、運転資金及び配当金の支払いに資金を充当しております。
主として営業活動によるキャッシュ・フローにより、必要とする資金を調達しております。
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況」の「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
なお、キャッシュ・フロー指標は、以下の通りであります。
(注) 自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの株主資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :キャッシュ・フロー/利払い
※株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
2021年8月4日に当初の予想を修正し公表しました「2022年3月期の連結業績予想」にかかる当連結会計年度の達成状況は以下の通りです。
売上高は計画比3億92百万円増(2.4%増)となりました。この主な要因といたしましては、印刷事業において一般商業印刷物のセットアッセンブリ案件や出版印刷物が想定より増加したこと、また、イベント事業につきましてもコロナ関連事業の受注が増加したこと等によるものであります。営業利益は計画比1億11百万円増(31.6%増)となり、営業利益率は計画の2.2%を上回り2.8%となりました。この主な要因といたしましては、売上高が増加したことや経費抑制に取り組んだ影響等によるものであります。
ROEは計画比0.4ポイント減の2.5%となりました。この主な要因といたしましては、製品保証費の計上などで特別損失が増加したこと等により親会社株主に帰属する当期純利益が減少したことによるものであります。
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