有価証券報告書に記載されている将来に関する記述は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。
(Ⅰ)経営の基本方針
アシックスグループは、「ASICS SPIRIT」に掲げた創業哲学「健全な身体に健全な精神があれかし- "Anima Sana In Corpore Sano" 」を基本に、ビジョン「Create Quality Lifestyle through Intelligent Sport Technology-スポーツでつちかった知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する」の実現に向けて、「アシックスの理念」をもって事業運営を行っております。
(Ⅱ)長期ビジョン「VISION2030」策定
当社は、「健全な身体に健全な精神があれかし」を創業哲学とし、主に「パフォーマンス・アスリート」のための「プロダクト」を中心にビジネスを展開してきました。しかし、世界の60歳以上の人口が今後非常に速いペースで伸びていくことが予測され、より長く健康でいることが注目されています。また「健康」の定義も、昨今は身体の健康だけでなく、心の健康まで含めるようになっています。このように急激に変化していく社会環境の中で創業哲学を実現するため、誰もが「ライフタイム・アスリート」として、スポーツを通じて心も身体も満たされるライフスタイルを創造していくことを目指し、そのために当社が2030年にあるべき姿としてVISION2030を策定いたしました。 |
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2030年に向けて、当社は「プロダクト」に加え「ファシリティとコミュニティ」「アナリシスとダイアグノシス」これら3つの事業ドメインでビジネスを拡大していきます。この3つの事業ドメインを通じて、人々の心と身体の健康を実現していきます。
すべての事業ドメインに共通して、この3つのテーマを掲げています。進化を続けるデジタル技術を活用し、各個人に合わせてパーソナライズされた製品・サービスを、環境に配慮したサステナブルな手法で開発・提供していきます。これら3つのテーマを通じて、各事業ドメインを単独で成長させつつ、それぞれの事業ドメインが交わることで相乗効果を生み出し、価値の最大化を図ります。
(Ⅲ)中期経営計画2023策定
① 中期経営計画2023の進捗状況
コロナという未曽有の危機にありながらも、注力カテゴリーであるランニング市場が成長していることもあり、売上も成長トレンドに入っています。そして利益体質の確立に向けた選択と集中施策の実行により、収益力も大きく改善しており、中期経営計画2023を達成するための基盤となる1年となりました。
戦略目標である「デジタルを軸にした経営への転換」では、当社会員プログラムのOneASICS会員数が2022年1月末時点で550万人を突破し、中期経営計画における2023年の目標を前倒しで達成しました。EC売上も前年同期比で23.3%の成長を実現し、全体の粗利益率の改善に繋げています。また、もう一つの戦略目標である「事業活動を通したサステナブルな社会の実現」では、繊維由来のリサイクル材を活用した商品の発売や、新たな循環型ビジネスモデル構築に向けた取り組みを通じて、高い外部評価もいただいており、今後も強化することで世界の人々の心身の健康とスポーツができる環境を守ることに貢献していきます。
重点戦略の一つとして掲げた主力のパフォーマンスランニングでは、新商品の「METASPEED Sky/Edge」を着用して、数多くのアスリートたちが成果を生み出してくれました。それらの製品をはじめとする高い商品評価もあり、主要地域である日米欧においてランニングシューズ市場で高いマーケットシェアを達成しております。ランニング専門店との取り組みの継続や、コロナ禍で新たにランニングを始めた顧客層の取り込みを通じて、このポジションを維持・拡大していきます。
また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、当社はゴールドパートナー(スポーツ用品)として、参加アスリートおよびボランティアの方々に向けたサポートを実施いたしました。無観客開催となりましたが、日本選手団や契約アスリートなど、数多くの国々の選手の活躍によりアシックスブランドを全世界に発信することができました。今後も様々な活動を通じて真の共生社会の実現に向け貢献していきます。
② 経営環境
●市場環境
依然新型コロナウイルス感染症の影響は避けられないものの、先進国を中心にワクチン接種が進み、徐々に経済活動が再開してきています。そのような中、人々の健康意識も高い状態を維持しており、ランニングやウォーキング市場が引き続き好調であることに加え、その他のスポーツにおいても各種大会が開催されるようになってきたことで、人々のスポーツをする機会が増え、市場全体も回復を見せています。
これらの健康意識の高まりやスポーツへの期待の傾向は、今後さらなるワクチンの普及やwithコロナにおける生活様式の定着とともに、2022年以降も継続していくことが考えられます。コロナ禍で成長したランニングやウォーキング市場のみならず、コロナ禍前に実施されていた大勢が集まって行うスポーツの実施も徐々に再開され始め、スポーツ市場全体としてさらに回復が進んでいくと想定されています。
購買動向という観点では、コロナ禍で急速に浸透したEコマースの市場が今後も拡大していき、引き続き各業界でオムニチャネル化に向けた取り組みが進んでいくことが想定されます。
また、あらゆる場面でデジタルとリアルを結び付けようとする様々な取り組みが社会全体で進んでおり、今後もその傾向はますます加速していくことが予想されます。
●競合他社の状況
スポーツメーカー各社も回復傾向にある市場状況を追い風にし、業績を持ち直してきています。
直営店やスポーツ用品店など実店舗での営業は、一時休業や営業時間短縮などの影響は受けているものの少しずつ回復傾向にあります。また、Eコマース市場の急速な拡大を背景に、各社ともに売上は伸張しており、今後もデジタルを成長のドライバーとした売上拡大を目指していくことが想定されます。さらに、実店舗とEコマースをつなぐオムニチャネル化に向けた取り組みも進んできていることから、引き続き各社ともにデジタル分野への投資に注力していくことが予想されます。
サステナビリティという観点においては、プロダクト及びサービスがサステナブルであることは当たり前に求められる社会となっており、スポーツメーカー各社もプロダクトやサービスだけではなく、ビジネスのあらゆる面でサステナビリティに関する目標を設定し、様々な取り組みを通じてその達成を目指しています。
●顧客動向
コロナ禍以降、免疫力を高めることや健康でいることの重要性が強く認識され、健康を維持するための手段として、身体を動かすこと、スポーツを行うことがより人々にとって身近なものになりました。そして、スポーツには身体的な効果だけではなく、気分転換やストレス発散など心の健康を実現するといった精神的な効果もあり、世界各国における新型コロナウイルス影響下での自粛や制限された生活の中で、心の健康を保つためにスポーツを始めた人も多く、このトレンドは今後も継続すると見通しております。
健康やスポーツに対する意識の他には、生活者の購買動向として、コロナ禍で普及したEコマースでの購入や非接触型決済方法の普及がさらに進み、デジタルを活用したツールがより多くの人の日常に取り入れられ、拡大していくことが想定されます。
また、より持続的な社会を実現するための消費に対する価値観の変化やニーズはさらに大きくなることが予測されています。
③ VISION2030と中期経営計画2023の位置づけ
中期経営計画2023は、VISION2030実現のための重要な最初の3ヵ年計画であり、将来の持続的成長に向けて、まずはランニングにおいてプロダクトを軸に3つの事業ドメインの連携を強めることに注力します。また、収益性にフォーカスすることで、安定した財務基盤の確立を目指します。
④ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
中期経営計画2023を実行していく上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として、以下の戦略目標、方針に従って定めた重点戦略を着実に実行することで、収益性を高めることに注力し、将来の持続的成長のための安定した財務基盤を確立します。
⑤ 経営指標
中期経営計画2023では、以下の財務指標を設定し、利益体質の確立と資産効率の向上により、強固な財務基盤の確立を目指しております。また財務指標だけでなく、VISION2030達成に向けた非財務指標も設定し、追求していきます。
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