文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは「素晴らしい人間環境づくり」のスローガンのもと、「お客様本位の姿勢」「創意開発」「明るい風通しのよい職場づくり」を経営の基本理念として、株主・取引先・社員など当社グループを支えていただいている全ての関係者の信頼と期待に応え、共に栄えることを日々の経営活動の指針としております。
(2) 目標とする経営指標
経営指標として当社グループは、自己資本当期純利益率(ROE)を重視しております。販売拡大並びにコストの削減及び品質強化などに伴う利益の最大化を図ることにより、中期経営計画(2021年4月~2024年3月)において
ROE10%程度を中期的な目標としております。
当連結会計年度においては、ROE9.5%の実績となりました。今後も引き続き、持続的な企業成長と中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。また、健全な財務体質を維持するため、適正な自己資本の充実を図る方針であります。
(3) 経営環境並びに事業上及び財務上の対処すべき課題
当社グループでは、人口減少に伴う国内住宅市場の縮小やカーボンニュートラルへの取組拡大 など社会構造・経営環境が変化する中、持続的な成長を実現するため、「中期経営計画」(2021年4月~2024年3月)に基づき、スピード感を持って次の重点課題に取組んでおります。
① 生産能力の大幅増強
今後の安定したシェアアップと新市場開拓を確固たるものにするため、想定を上回る需要に対しても着実にビジネスチャンスを掴み販売量を伸長できるよう、余力のあるフレキシブルな生産体制を構築いたします。具体的には、国内において生産効率の面でボトルネックとなっている工程への増産投資により、製造ラインの新設に比べはるかに少ない投資で生産能力の増強を進めております。これまで取組んできた生産効率向上も含め、国内と米国新工場を合わせて生産能力を約20%アップとする計画です。
② 海外市場開拓
米国新工場の稼働に伴い、主力商品「モエンエクセラード」の生産・供給能力が大幅に増強されることになります。現地の顧客ニーズに寄り添った高付加価値商品の開発を推進するとともに、北米を中心とした成長市場における販売戦略の強化に取組んでおり、さらなる拡販に注力しております。また、米国市場以外では、中国・オーストラリア・韓国などの既存の有望市場における販売を伸長させるほか、将来的には欧州市場も視野に入れた新たな販路の開拓を進めてまいります。
③ 非住宅市場開拓
これまで商業施設や中高層建築物向けなどの非住宅市場をターゲットに、専用金具の使用による高さ45mまでの施工が可能な新工法や1時間及び2時間の耐火構造用新工法など、顧客ニーズに即した工法を開発してまいりました。これらの工法とともに、当社商品の優れたデザイン性・耐火性・耐候性に加え、特に施工現場で求められる工期の短縮及び高い環境性能といったメリットを活用して非住宅市場の開拓を進めております。
④ 金属事業拡大
金属サイディングは、新築住宅のほかリフォームにも使用されており、新築住宅が減少する中でストックビジネスとしての安定的な成長が期待されます。加えて、主力の窯業系外装材と同様に非住宅市場においても潜在的な需要が見込まれており、今後は、2021年6月に認定取得した鉄骨造1時間耐火構造に対応した新商品や、2021年度グッドデザイン賞を受賞した新商品「スマートフラットプレミアム」などを武器に、さらなる市場の開拓を進め、金属事業の拡大に繋げてまいります。
⑤ ESGの取り組み強化(環境対応)
当社の窯業系外装材はデザイン性や性能だけでなく環境への貢献という点においても強みを有しております。例えば、主力商品「モエンエクセラード」をはじめとするオフセットサイディングは、本来であれば廃材となる国産の木材チップを原材料に使用することでCO2を固定化させています。昨今、カーボンニュートラルへの動きが加速する中で、環境に配慮した建材へのニーズが高まっており、当社のオフセットサイディングには大きなビジネスチャンスがあると考えております。また、当社では、住宅等の建築時に発生する窯業系外装材の端材を回収し再利用することにより産業廃棄物の発生を抑制するリサイクルシステムを構築し、その普及に取組んでおります。さらに、今後はエネルギー原単位の改善など製造時のCO2排出量削減にも注力するなど、環境負荷軽減に対する各種取組を強化してまいります。
お知らせ