課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針・経営戦略等

 当社グループは、「現場主義」「顧客第一主義」を経営理念に掲げ、常に「環境、安全、安心、健康」を追求し、お客様の立場に立った製品づくり、お客様のご期待にお応えする提案とサービスの提供を実践しております。また、循環型社会の構築に向けて「エフピコ方式リサイクル(トレーtoトレー)(ボトルtoトレー)」の普及に努めております。

 当社グループの中長期的な経営戦略は、企業価値の最大化を追求することにあり、そのための積極的な戦略投資を推進してまいります。そしてこの戦略投資により、「食品トレー容器を通じて、お客様の快適な食生活を創造する企業グループ」を目指し、メーカーとして「もっとも高品質で環境に配慮した製品を」「どこよりも競争力のある価格で」「必要なときに確実にお届けする」という基本3本柱を追求してまいります。

 具体的な取り組みとして、マーケティング・製品開発力・提案力・生産技術力・物流ネットワーク・SCMによる安定供給・リサイクル・ITシステムが互いに補完するバリューチェーンをより強化し、お客様の価値を創造し続けることで、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を目指した経営に努めてまいります。

(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは連結経営目標として、売上高3,000億円、経常利益300億円の達成を目指しております。株主本位の経営を実践するために、グループ経営計画の諸施策を着実に実行することにより企業価値を高め、目標とする

連結経営指標は、売上高経常利益率10%以上、1株当たり当期純利益250円とし、株主還元方針としては、当社

グループの親会社株主に帰属する当期純利益に対して、連結配当性向30%を目途としております。

(3) 経営環境

 食品容器市場は、近年、単身世帯や共働き世帯の増加を背景に、弁当・惣菜を中心とした中食市場の拡大と共に成長を続けてきました。今後、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い急成長したテイクアウト・デリバリー市場、長期保存が可能な冷凍食品市場や高齢者向けの宅配給食など病院介護食市場の更なる拡大が見込まれます。

 一方で、食品小売業界においては、人手不足に対応した効率化・省力化が求められるとともに、原材料費、人件費や物流費等のコスト増加、食の安全・安心といった衛生面での要求の高まり、CO2削減や海洋プラスチック問題への関心の高まりなど、変化の時期を迎えております。

 このような状況下、安全・安心な食生活を支える当社グループは、容器によってお客様の生産性向上に貢献すること、容器によってお客様の価値を創造すること、結果、お客様の収益拡大に貢献するご提案を行っております。

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 環境経営の推進

 業界のリーディングカンパニーとして、エフピコ方式のリサイクル「トレーtoトレー」「ボトルtoトレー」を柱にした事業活動により、循環型社会の実現による持続可能な社会の構築を目指し、石油由来製品と比較してCO2削減効果が30%あるエコ製品の販売を進めます。

 さらに、当社は2022年3月にTCFD提言へ賛同表明するとともに、当社グループ事業における2050年のカーボンニュートラル達成に向けた温室効果ガスの排出量削減に関する中長期目標を定め、TCFD提言に基づく開示を通じて、これらの目標達成に向けたガバナンス、戦略などを公表しております。サプライチェーン全体でのCO2排出削減を重要な経営課題と認識し、気候関連のリスク及び機会を評価・管理し、再生可能エネルギーの導入、省

エネ設備の導入、各部門に設置したワーキンググループによる活動などを通じてCO2排出削減に取り組みます。

 再生可能エネルギーの導入については、2022年3月、関東エコペット工場及び関東八千代工場に設置した太陽光発電設備が稼働開始いたしました。今後、太陽光発電を中部・関西エリアへ展開することで、使用済みトレーリサイクル工場(関東・中部・福山)における再生原料製造工程を全て再生可能エネルギーでまかなうことが

可能となり、エコトレーのCO2削減効果が30%から37%に上昇する見込みです。

 引き続き、技術は進歩するという前提のもと、石油由来のプラスチックに代わる選択肢として、各種リサイクル手法の調査研究や紙・バイオマスなどの新素材の情報収集を進めるとともに、環境配慮設計による業界トップクラスの環境負荷の低い容器の開発を通し、事業活動に伴う廃棄物の発生抑制及び再資源化の取り組みを進めます。加えて、2020年3月に創設したエフピコ環境基金を通じて環境保全等をテーマに活動するNPO団体等への

助成を行い、また、当社グループ社員も助成先団体の活動に参加することにより、地域の皆様とともに持続可能な社会の構築を目指します。

 

② 技術革新と製品開発

 最新鋭の生産設備の導入と更新を行うとともに、製品の軽量化、新機能開発、新素材開発など、総合的な技術革新を推し進め、高品質で高付加価値な製品、機能性を高めた製品等、お客様のニーズに対応した製品を開発しております。

③ マーケティングと価値創造の提案

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い消費者の購買行動が大きく変化し、テイクアウト・デリバリー市場や

冷凍食品市場が成長する中、当社グループはこれらの変化に対し、お客様のニーズや課題を把握し最適な提案を行うとともに、新製品の開発に繋げております。

 また、CO2削減による環境への取り組みや人手不足に対応した作業生産性向上のための改善提案、流通コストの削減に対してエフピコのもつ物流ネットワークの提供等、小売業界が抱える問題に対しトータルで提案しております。

④ 供給体制の強化

 新型コロナウイルスの感染拡大の長期化、自然災害の増加に伴い、安全安心な食を支えるインフラとして、

食品容器の安定供給へのニーズが高まっております。当社グループは、サプライチェーンマネジメント(SCM)の強化を目指し、販売予測におけるAIの導入、生産部門における産業用ロボットの導入、物流部門における音声ピッキングシステムの導入、無人搬送車(AGV)・無人フォークリフト(AGF)の導入や自動ソーター出荷システムの配置など、省人化を図るとともに作業生産性を向上させております。また、全国を網羅する生産・物流体制の整備に取り組み、安定供給及びトータルコストの最適化を目指しております。

⑤ 社会的責任を重視した経営

 障がい者就労支援に積極的に参画し、地域社会からの信頼を得ることも企業価値の向上を目指した経営の一つと考えております。

 また、お客様の事業活動の継続に寄与するため、災害などにより停電が発生した際に物流業務を継続するため、全国の主要物流21施設すべてに非常用発電設備を設置し、72時間(3日間)の電力を確保できる体制を整えております。

⑥ 知的財産権の強化

 当社グループの独自性・差別化を市場においてより確実なものとするため、特許や実用新案・意匠登録などの申請を進め、知的財産権の取得により企業価値を高めております。

⑦ 「中食」マーケット拡大への備え

 製品開発力・生産技術力・物流ネットワーク・提案力・リサイクル・SCMシステム、これらエフピコの培ってきたリソースとインフラを有機的に結合し、「中食」マーケットの拡大に備えてまいります。

 当社グループは、新市場であるテイクアウト・デリバリー市場や冷凍食品市場に向けた製品開発に加え、新たな需要の取り込みに向け、包装資材のECサイト「パックマーケット」の品揃え充実、WEBマーケティングやInstagram・YouTube・LINEなどSNSによる情報発信を通じた認知度向上への取り組みを進めております。

⑧ ディーセントワークの推進

 当社グループの社員一人ひとりが個々の能力や特性を最大限に発揮してその役割を果たし、やりがいや充実感を持ちながらいきいきと働ける環境を作ることが、企業価値の向上につながる経営課題の一つであると考えております。このような考え方の下、時差出勤制度の導入、5日間の連続有給休暇取得の義務化、時間単位の有給

休暇制度導入、定年年齢を60歳から65歳までの間で選択できる選択式定年制度の導入などにより、自身のライフスタイルに合わせ、様々な働き方ができる取り組みを進めます。さらに、3ヶ年計画で「健康経営優良法人

(ホワイト500)」の認定を目指すとともに、当社子会社においても「健康経営優良法人(中小企業法人部門)」などの認定を受けられるよう、エフピコグループ全体で健康への取り組みを強化してまいります。

 

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