課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

 当社グループは、経営理念を「愛」とし、「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」を存在意義として事業展開しております。当社グループはこの考えに基づき、「世界の赤ちゃんとご家族に最も信頼される育児用品メーカー(Global Number One)」を中長期的な「ビジョン(到達したい姿)」としております。

 当社グループでは、これら「存在意義(Purpose)」及び「ビジョン(Vision)」、さらに業務上で社員個々が大切にする3つの「基本となる価値観(Values)」、すべての行動のベースでありガイドとなる5つの「行動原則(Action Principles)」から構成される『Pigeon Way』を制定しております。

 

(2)経営環境

 当連結会計年度では、世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響が継続し、外出自粛による消費の低迷や、一部市場ではロックダウンによる営業活動の縮小を余儀なくされる等の厳しい状況となりましたが、「総合育児用品ブランド」としての強みと高いブランド力を活かし、グループ事業の拡大と経営品質の向上を目指しております。

 

①日本事業

 新型コロナウイルス感染症拡大による訪日外国人の消滅により、インバウンド需要が大きく、かつ利益率が高い商品である哺乳びん等の売上が大きな影響を受けております。また国内需要においては、前年見られた衛生管理用消耗品特需の一巡や、新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う影響等を受け、厳しい状況となっております。

 その一方で、哺乳びんを含む基幹商品の市場シェア(当社調べ)は拡大しております。

 

②中国事業

 中国経済は、全体としては新型コロナウイルス感染症の影響から早期に回復しておりますが、前年の特需状況が落ち着いたことや、E-コマースでの市場競争の激化、また一部実店舗ルートではコロナ禍の影響が継続した事もあり、経営環境は厳しさを増しております。

 

③シンガポール事業

 当社グループが事業を展開するASEAN地域及びインドでは、断続的にロックダウンが実施され、経済の停滞や営業活動の自粛など、依然としてコロナ禍による影響を受けております。当事業の展開国・地域における育児および女性向け用品市場では、オフライン(実店舗)での販売を主とする市場も多いため、他の事業と比較しますと、外出規制や小売店の店舗休業・閉店といった経営環境の変化が経営成績に与える影響は大きいと言わざるを得ません。

 

④ランシノ事業

 主要な市場である北米は、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、主力商品である乳首クリーム等のE-コマースチャネルにおける販売が堅調に推移している状況です。その一方で、消耗品類の小売価格引き下げによる競争激化や、コロナ禍による物流の混乱および輸送コスト高騰等が経営環境の課題となっております。

 

(3)経営戦略等

 当社グループは、「第7次中期経営計画(2020年12月期~2022年12月期)」において、以下の3つのテーマを掲げ、グループの事業拡大と経営品質向上を目指してまいります。

① Pigeon Wayをベースとしたブランド戦略と事業戦略の一体化を推進することで、経済価値の最大化と同時に、育児に関する社会課題の解決に向けた取組みを強化し、「商品を買ってもらう」から、「ビジネスに共感し、選んでもらう」ブランドへの進化を目指す。

② グローバルで自社の優位性を活かせる基幹商品カテゴリでの成長を加速させ、競合他社との一層の差別化を図り、強固な収益基盤を構築する。

③ 4事業体制及び各事業への権限移譲を推進し、現場での意思決定を迅速化することで、各地域の市場特性に合わせた「開発・生産・販売」サイクルを構築し、スピード感を持った事業運営を行う。

 

なお、各事業戦略の概要は、下記のとおりであります。

また、売上高目標については、新収益認識基準を考慮後の数値となっております。

「日本事業」

売上高目標 38,900百万円(2022年12月期)

・ベビーカー市場でトップシェア奪取

・スキンケアカテゴリ強化のための投資

「中国事業」

売上高目標 41,000百万円(2022年12月期)

・「こだわり」のモノづくりで高価格化

・Ssenseでの新ビジネスモデル構築

・最新トレンドを掴むための「深圳Creative Studio」創設

「シンガポール事業」

売上高目標 12,400百万円(2022年12月期)

・インドネシア工場拡大による生産能力の増加と取扱品目の拡大

・新興市場での現地調達品の拡充(インド・インドネシア)

「ランシノ事業」

売上高目標 14,600百万円(2022年12月期)

・"Breastfeeding"から"Maternal health"へブランド拡張

・さく乳器リーダーとしての地位確立(病産院向け商品、臨床研究の拡充)

 

(目標とする経営指標)

 当社グループは、2020年12月期を初年度とする第7次中期経営計画に沿った取組みを着実に実行していくことで、最終年度である2022年12月期の到達目標水準、売上高987億円、営業利益142億円、親会社株主に帰属する当期純利益95億円としております(※)。また収益性、資本効率の一層の改善を図るために、PVA(Pigeon Value Added)・ROICなどを経営指標として重視し、さらなる向上を目指してまいります。

 ※なお、2020年2月13日に発表いたしました「第7次中期経営計画(2020年12月期~2022年12月期)」につきましては、2020年12月期の業績及び新型コロナウイルス感染症動向を踏まえ、2021年2月10日に定量目標の修正を行っております。

 また、2022年2月15日に発表いたしました当社グループの2022年12月期業績予想につきましては、当連結会計年度の業績を踏まえ、上記の数値としています。

 また、各目標値については、新収益認識基準を考慮後の数値となっております。

 

(4)対処すべき課題

 当社グループの経営環境は、世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大に加え、中国における成長鈍化への懸念や日本国内でのインバウンド需要低迷や少子化、また欧米を中心とした世界経済の動向等不透明な状況が続くものと予想されますが、中国でのE-コマース拡大を主とした消費動向は依然として堅調であり、またアジア各国やその他新興国の経済成長が一時的に鈍化する中でも、E-コマースの浸透・発達等による成長は十分期待できるものと考えております。

 そのような状況の中、当期を初年度とする「第7次中期経営計画(2020年12月期~2022年12月期)」において新たに掲げた3つのテーマおよび各事業戦略に基づく諸施策を確実に実行してまいります。「日本事業」におきましては、既存カテゴリの市場シェア向上および新規商品カテゴリの育成、また、引き続き成長分野として位置付けております海外市場に関しましては、「中国事業本部」、「シンガポール事業本部」および「ランシノ事業本部」の3つの事業本部体制を一層推進し、各事業運営上の迅速な意思決定を促すとともに、海外既存市場での事業拡大、深耕に加えて、新規市場への積極的参入や各市場に合わせた商品ラインアップの拡充を図ることで、業績のさらなる拡大を目指してまいります。

 加えて、さらなる企業価値向上のため、当社グループ全体を統括するグローバルヘッドオフィス(GHO)の機能をさらに強化してまいります。これにより、地域別に事業の運営と成長を担う4つの事業部門(日本事業、中国事業、シンガポール事業およびランシノ事業)の役割と責任を明確にし、グローバルヘッドオフィスと連携することで、永続的な成長の実現を図ってまいります。

 なお、当社グループにおける事業継続計画につきましては、既に構築されておりますグローバルリスクマネジメント体制をより一層充実させてまいります。

 また、当社では、Pigeon ESG/SDGs基本方針を設定し、環境(E)や社会(S)、ガバナンス(G)の観点から持続可能なオペレーションを追求するとともに、製品やサービスの提供による新たな価値の創造により、SDGsに代表される社会課題の解決に貢献すべく事業活動を展開してまいります。当社の事業活動を通してステークホルダーの皆さまとの信頼関係の構築に努め、企業価値を向上させることで、持続可能な社会の発展に貢献していくことを目指してまいります。

 

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