業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済はウィズ・コロナの生活様式が定着しつつ緩やかながらも回復に向かい始めましたしかしながら原油価格の高騰並びに円安進行により企業業績は大きなダメージを受けウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクの高まりは先行き不透明感を高めております

当社グループの事業と関連性の深い建設業界では新設住宅着工戸数が回復基調にあり非住宅市場でも都市圏を中心とする大型再開発案件が進行しておりますが当期における内装材の納材ペースは低水準で推移しましたまた国産ナフサ価格の上昇に伴う各種原材料価格の高騰並びに世界的なサプライチェーンの混乱による供給不安等事業環境は厳しさを増しております

このような状況の中当社グループは中期経営計画SHINKA Plus ONEを2021年4月より展開しております長期ビジョン<TOLI VISION 2030>の実現に向けてA.コア事業の強靭化B.伸びしろ事業の成長拡大C.第5事業の創造D.グループ横断機能の強化E.成長を支える経営基盤の構築の5つの重点戦略を推進しております当期においては特にA・Dに該当する原着ナイロン紡糸内製化の本格稼働やタイルカーペットリサイクルプラントの活用に注力し製品の安定供給や製造原価低減に寄与いたしました

また昨年春先からの原材料価格の数次にわたる高騰に対して昨年7月より販売価格改定を打ち出し10月には製品上代の価格改定を進めましたが後追いの価格転嫁による収益改善は一定程度にとどまりました

これらの結果当連結会計年度における連結業績は売上高88,513百万円(前期比3.0%増)営業利益878百万円(前期比44.9%減)経常利益1,244百万円(前期比38.6%減)親会社株主に帰属する当期純利益720百万円(前期比48.1%減)となりました

なお当連結会計年度の期首から収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております詳細については「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください

 

<プロダクト事業>

ビニル系床材では10月にビニル床シート見本帳シートコレクションを新発売しワックスメンテナンスが長期間不要な床材NWシリーズと抗ウイルス製品(SIAA登録)の拡充を図りましたその他ビニル床タイルの主力商品であるロイヤルストーン」「ロイヤルウッドが店舗リニューアル市場で伸長するなどビニル系床材の売上高は前年実績を上回りました

カーペットでは堅調なオフィスリニューアル市場を背景に主力商品であるタイルカーペットGA-100シリーズが伸長しまた10月新発売のグラフィックタイルカーペットGXシリーズの販促強化を図りました加えて住宅向けタイルカーペット東リファブリックフロアが国内外で好調に推移したことにより売上高は前年実績を上回りました

壁装材では住宅着工戸数が回復基調にあることから汎用タイプのビニル壁紙VSは伸長しまた新発売の洗練されたデザインと機能性が特長のパワー1000を中心に壁装材の拡販に努めたことから壁装材全体での売上高は前年実績を上回る結果となりました

カーテンでは総合見本帳フフルは堅調に推移しましたが教育・医療施設向けコントラクトカーテンの需要が低迷し売上高は前年実績を下回りました

これらの結果プロダクト事業の売上高は52,539百万円(前期比2.5%増)となりました利益面では塩ビ樹脂やナイロン原糸をはじめとする各種原材料価格高騰による収益悪化要因に対して販売価格改定及び生産効率の向上間接経費の縮減に努めてまいりましたこれらの結果セグメント利益は539百万円(前期比60.2%減)となりました数次にわたる原材料価格の高騰に対しまして2022年5月より販売価格の再改定を実施するとともに更なる原価低減活動に努めてまいります

<インテリア卸及び工事事業>

インテリア卸及び工事事業ではコロナ禍からの回復途上の中主にオフィス向けのリニューアル需要が堅調であったことなどから売上高は前年を上回りましたまた東璃(上海)貿易有限公司は中国国内における経済活動の回復により増収増益となりました

これらの結果インテリア卸及び工事事業の売上高は59,123百万円(前期比2.9%増)セグメント利益は876百万円(前期比1.6%増)となりました

(注)セグメントの業績は、セグメント間の取引を含めて表示しております。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前期末に比べ78百万円減少し、10,189百万円(前期末 10,268百万円)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは4,962百万円の収入(前期 4,161百万円の収入)となりましたこれは主に税金等調整前当期純利益が1,129百万円減価償却費が2,167百万円仕入債務の増加額2,275百万円及び棚卸資産の増加額748百万円等があったことによるものです

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは4,016百万円の支出(前期 3,106百万円の支出)となりましたこれは主に有形固定資産の売却による収入580百万円がありましたが有形固定資産の取得による支出3,667百万円関係会社出資金の払込による支出1,097百万円等があったことによるものです

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは1,060百万円の支出(前期 987百万円の支出)となりましたこれは主に長期借入れによる収入1,580百万円がありましたが長期借入金の返済による支出1,505百万円長期未払金の返済による支出422百万円配当金の支払額489百万円等があったことによるものです

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前期増減率(%)

 プロダクト事業

42,165

8.5

 インテリア卸及び工事事業

合計

42,165

8.5

(注)金額は販売価格によっております。

b.仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前期増減率(%)

 プロダクト事業

6,590

18.0

 インテリア卸及び工事事業

51,695

3.6

 内部取引消去

△23,059

1.6

合計

35,226

7.4

(注)1 金額は仕入価格によっております。

2 セグメント間の取引を含めて表示しております。

c.受注実績

各事業は概ね見込生産を行っているため、該当事項はありません。

d.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前期増減率(%)

 プロダクト事業

52,539

2.5

 インテリア卸及び工事事業

59,123

2.9

 内部取引消去

△23,149

1.7

合計

88,513

3.0

(注)セグメント間の取引を含めて表示しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

<資 産>

当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末に比べ1,045百万円増加し46,839百万円となりましたこれは主に商品及び製品の増加によるものです固定資産は前連結会計年度末に比べ2,119百万円増加し33,142百万円となりましたこれは主に滋賀事業所の設備投資に伴う機械装置及び運搬具等の増加及び中国(江蘇省)におけるビニル床タイル製造・販売に関する合弁会社江蘇長隆装飾材料科技有限公司への出資による投資その他の資産の増加によるものです

この結果、資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,165百万円増加し、79,982百万円となりました。

<負 債>

当連結会計年度末における流動負債は前連結会計年度末に比べ1,783百万円増加し29,353百万円となりましたこれは主に支払手形及び買掛金の増加によるものです固定負債は前連結会計年度末に比べ1,184百万円増加し12,343百万円となりました

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ2,967百万円増加し、41,697百万円となりました。

<純資産>

当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末に比べ197百万円増加し38,285百万円となりましたこれは主に利益剰余金の増加によるものです

b.経営成績の分析

<売上高>

当連結会計年度における売上高は、国内外ともにウィズ・コロナの生活様式が定着しつつあり、緩やかながらも回復に向かい、増収となりました。加えて、原材料価格の高騰を受け、販売価格改定を実施したことも増収の要因となりました。

当連結会計年度の前半では、度重なる緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の実施により経済活動や個人消費の動きが鈍く、厳しい状況が続きましたが、オフィスリニューアル需要の回復や巣ごもり需要の拡大等が売上高を下支えいたしました。後半にかけては、当社グループの主力商品であるビニル床シート「シートコレクション」やタイルカーペット「GXシリーズ」等の新製品の販促強化に注力し、前年を上回る売上高となりました。

 

<利 益>

利益面につきましては、当社グループの主要な原材料である塩ビ樹脂やナイロン原糸をはじめとする各種原材料価格の高騰に歯止めがかからず、また、サプライチェーンの混乱により製品の供給不安への対応コストが増加しました。そのような中、販売価格及び商品上代の改定を実施し、製造原価低減及び販管費の縮減に努めましたが、その後も原材料価格の高騰が続いたことから減益となりました。更に、不安定な世界情勢を背景とする原油・ナフサ価格の更なる急騰や円安相場により、各種原材料価格は上昇の一途をたどっており、当社グループでは2022年5月より再度、販売価格の改定を実施し、収益改善に努めてまいります。

 

なお、セグメント別の売上高及びセグメント利益の概況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。

 

<今後の見通し>

今後の見通しにつきましてはコロナ禍の収束に伴う経済活動の回復が期待されますが未だ感染者数は高止まり先行き不透明な状況が続くと見込まれますまた不安定な世界情勢を背景とする原油・ナフサ価格の更なる急騰や円相場の下落などにより各種原材料価格は上昇の一途をたどっておりますインテリア需要が回復途上にある市況の下輸送費やエネルギーコストも上昇し収益環境は更に厳しい状況が続くものと認識しております

このような状況の中当社グループは中期経営計画SHINKA Plus ONEをベースに経済的価値と持続可能な社会の実現に向けた社会的価値の両立を図ってまいります特に5月から実施する販売価格の再改定の早期浸透を目指し取引先との交渉を進めるとともに更なる原価低減活動の推進並びに販売管理費の縮減などの収益改善に努めてまいります一方で循環型社会の形成に向けた環境配慮型商品の拡充や製品の安定供給といった持続可能な社会の実現に資する事業活動を強化すべくタイルカーペットリサイクル設備の増強や原材料内製化推進などの成長投資にも力を注いでまいります

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標は次のとおりであります。

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

 自己資本比率 (%)

46.1

46.1

49.2

47.5

 時価ベースの自己資本比率 (%)

21.1

20.3

19.9

16.7

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率 (年)

3.8

1.7

2.1

1.8

 インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍)

30.6

68.4

66.2

81.5

(注) 自己資本比率 : 自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い

1. 各指標は、何れも連結ベースの財務数値により計算しております。

2. 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3. 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの主要な資金需要は、運転資金及び設備投資資金等であり、これらの資金調達は、主に営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入により行っております。また、当社と一部の関係会社は、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を通じて当社グループ企業相互間で余剰・不足資金を融通し、資金の効率化を図っております。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

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