(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、持ち直しの動きが続いているものの、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が残る中で、一部に弱さがみられております。また、先行きにつきましては、感染対策に万全を期し経済社会活動が正常化に向かう中、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待されるものの、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等による下振れリスクに十分注意する必要があり、また、感染症による影響についても引き続き注視する必要があります。
このような経済環境の下で当社グループは、デジタルトランスフォーメーションによる事業構造の変革がもたらすイノベーションによる新たな成長を果たすべく、その核となるべきシステムソリューション事業の強化を進めつつ、グループの経営資源を有効に活用し、高品質と低コストを兼ね備えた製品を提供するとともに、顧客の抱える課題に対するソリューションを提案することで新たな顧客価値を創造することを通じて、中長期的な展望の下で安定的かつ持続的な成長を実現し、更なる企業価値向上を図ってまいりました。
そして、当社グループの主力事業である電子機器事業及びスポーツ事業に、不動産事業を加えた事業形態により、グループ一丸となって以下のような諸施策に粘り強く取り組んでまいりました。
(電子機器事業)
まず、電子機器事業の主要な市場であるパチンコ・パチスロ関連市場は、2022年4月に経済産業省が公表した「特定サービス産業動態統計調査」(確報)によると、2022年1月のパチンコホール売上高は2,267億32百万円と、緊急事態宣言が発令されていた前年同月と比べ104.6%と7ヶ月ぶりに増加へ転じたものの、2020年1月と比較すると77.2%となる等、稼働状況に大きな動きが見られず集客に苦戦を強いられているなか、ホール企業の機器入替の負担は大きく、遊技機関連施設の買い替え意識の薄れや設備投資の先送りが加速するなど、遊技関連業界全体を取り巻く環境は依然として厳しいものがあります。
しかしながら、このような事業環境に置かれながらも当社は、引き続き既存OEM先顧客との信頼関係を維持強化するとともに、2022年3月24日に日本遊技機工業組合と日本電動式遊技機工業協同組合より業界プレス向けに市場への納品目標設定がリリースされた、次世代型遊技機といわれるスマート遊技機の専用ユニットや、2024年に予定されている紙幣改刷に伴う紙幣識別機などへの特需を最大限に取り込むべく、開発投資を強化しつつ市場対応の方針を策定し生産体制を確立するために必要な準備を、着実に進めております。
また、自社ブランド製品である液晶小型券売機につきましては、コロナ禍及びこれを契機に悪化し続ける人手不足を背景とした、非接触型(コンタクトレス)機種への強いニーズを適切に捉えたタイムリーな製品として、飲食店以外への販売チャネルや大口顧客となる新規販売店等の法人をターゲットとした戦略的マーケティングを強化促進するとともに、「券売機プロ」をはじめとしたWebマーケティングの強化に加え、営業支援ツールを効果的に活用した戦略的営業活動や、展示会出展等の積極的プロモーション活動に取り組むなど、Operal(オペラル)シリーズの販売にグループ一丸となって取り組みつつ、政府が推進するキャッシュレス決済への社会的潮流を先取りした新製品の開発と市場展開に向けた準備を進めてまいりました。
同時に、自律走行システム「I-GINS」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、ベース機となる車両の納期遅延、営業先へのアプローチが制限される等の厳しい市場環境が続くなか、名門ゴルフコースへの導入で築き上げてきた市場における信頼を追い風として、関東圏における戦略的な営業活動の実践、中部・関西地方における認知度向上を目的としたデモンストレーション、保守メンテナンス体制の確立、そして搭載部品の更新や部品点数削減等による既存製品の改良などにも、粘り強く取り組んでまいりました。
加えて、当社グループのICTリソースを集約したマミヤITソリューションズにおきましては、ICTソリューション(システム及び製品)の「調査(市場・特許・技術)」「企画立案」「提案」「インフラ構築」「システム保守」の全てを受託することができる体制の構築を図りつつ、既存顧客との信頼関係の維持強化によるシステム開発案件の安定的な受注に加え、ローコード開発及びAI言語の開発体制の強化充実並びに企画提案・設計開発・保守を、一気通貫で請け負うワンストップサービス体制の確立による差別化によって、ソフトウェア開発ベンダとしての競争優位を確立するための取り組みを進めてまいりました。
(スポーツ事業)
スポーツ事業におきましては、総合ゴルフ用品メーカーであるキャスコの国内市場においては、コロナ禍の中でも3密を回避しながら運動不足を解消できるレジャーとしてのゴルフ人気の高まりにより、ゴルフ場・練習場を中心とした集客が好調で市場が活況を見せている中で、業務提携やOEMの戦略的な展開によって製造原価低減による利益水準の底上げを図るとともに、バリューチェーン全体の効率化により各工程の付加価値を高めることで、持続的成長を可能とする収益構造の構築にも粘り強く取り組んでまいりました。
しかしながら、好調に推移するシャフト事業の国内市場における更なる販売拡大を図る経営戦略に基づき、完成品メーカーであるキャスコの全株式を譲渡するとともに、USTMamiyaブランドの国内総販売代理店であるシャフトラボの全ての株式を取得し完全子会社とし、同社の商号をUST-Mamiya Japanに変更いたしました。
一方、海外におけるカーボンシャフト事業におきましては、アイアン市場におけるスペック多様化に対応すべく、精悍なブラックボディをもつピンポイントで狙えるアイアン「RECOIL DART」をはじめ、Nanocoreテクノロジーを採用したウッド用の「LIN-Q」や「HELIUM」などの多品種展開により、シェアアップを図るための戦略的な取り組みを進めてまいりました。
また、生産拠点であるバングラデシュやタイにおける現地の不安定な治安及び社会情勢に対しては今まで同様に臨機応変に対応しながら、同時に、OEM供給先顧客の受注獲得に向けた諸施策の展開に引き続き貪欲に取り組むとともに、精緻なSCM(サプライチェーンマネジメント)と出荷サイクルの最適化による生産の平準化を図り、不良率の減少とリードタイムの短縮等によって、急な受注増にも臨機応変に対応できる製造オペレーションの確立を推進してまいりました。
なお、海外におけるグローブ事業の拠点としてバングラデシュ工場と緊密に連携しているタイの工場であるKamatari(Thailand)を、当社の完全子会社(非連結)といたしました。
(不動産事業)
不動産事業におきましては、コロナ禍が長期化する中で、テレワークなど働き方の変化により人々の住まいに対する関心は高まっているものの、オフィスの移転縮小や飲食店の廃業などにより東京都心の賃料下落が続く状況の下、不動産事業子会社であるエフ・アイ興産が所有する収益不動産を有効かつ効率的に活用し、着実に賃貸収入を確保するとともに新たな収入源となる賃貸物件の拡充、アフターコロナにおける景気及び不動産市況の動向を正しく見定めた戦略的な視点から、当社が所有する賃貸用不動産及び販売用不動産の売却を含む有効活用をはじめとする、収益拡大に向けた諸施策に貪欲に取り組んでまいりました。
(その他)
当社が匿名組合出資しております「合同会社メガソーラー市島発電所」が運営する太陽光発電設備である「MJSソーラー市島エネルギーファーム」が、当連結会計年度において、関西電力に対して固定価格買取制度(FIT)に基づく電気供給(電力の販売)を開始しており、その「出資金運用益」を営業外収益として計上しております。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は遊技機関連製品及びスポーツ関連製品の販売が大幅に増加したことから128億72百万円(前期比33.8%増)、損益につきましては、売上の増加などにより営業利益5億10百万円(前期は8億66百万円の営業損失)、経常利益は6億85百万円(前期は8億40百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億34百万円(前期は14億94百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりです。
(電子機器事業セグメント)
まず、電子機器事業セグメントは、全日遊連が発表した「組合員加盟店舗の実態調査」結果によると、2022年2月末日の全日遊連加盟パチンコホール店舗数は7,418店舗(前年同月は8,174店舗)となり、2022年1月から2月の2ヶ月間で219店舗減少するなど、旧規則機撤去に伴い資金力のないホール企業は廃業の選択をせざるを得ないような状況となっております。このような厳しい遊技業界の状況に加え、電子部品等の供給について、世界的な半導体不足に止まらずハーネスやコネクタ類も長納期化に陥るなど、部品等の調達が困難な状況が継続するとともに、原材料価格も高騰しております。また、物流コストについても、ロシアによるウクライナ侵攻で原油相場の高騰に拍車がかかるなど、上昇が続いております。
このような予断を許さない状況に置かれながらも、紙幣搬送システム関連製品を含めた遊技機周辺設備の売上が、部材調達を含む生産体制を強化した効果もあり、好調に推移するとともに、電子部品の売上増や徹底したコスト削減の効果もあり、一定の利益を確保するにいたりました。
また、自社ブランド製品である液晶小型券売機につきましては、コロナ禍の状況下における対人非接触型券売機ニーズの順調な高まりを背景に、展示会への出展によるアプローチや券売機専用サイト「券売機プロ」をはじめとしたインターネット上のマーケティング強化の効果もあいまって、過去最高の台数を販売するなど、売上は底堅く推移いたしました。
さらに、ICカードリーダライタについては、半導体及びハーネス材料等のリードタイムの長期化は続いているものの、見合わせが続いていたタンクローリー用車載端末の生産が加速したことで新ICカード対応石油配送システムの石油元売会社への導入が動き出したこともあり、売上は底堅く推移いたしました。
この結果、電子機器事業セグメントの売上高は56億63百万円(前期比34.4%増)、営業利益は67百万円(前期は2億35百万円の営業損失)となりました。
(スポーツ事業セグメント)
スポーツ事業セグメントについては、キャスコの国内事業においては、先述したコロナ特需ともいうべきゴルフ場・練習場の来場者数増加により、消耗品であるボールやグローブだけでなく、ドルフィンウェッジシリーズ等のクラブ販売が堅調であったこともあり、売上は底堅く推移いたしました。
また、海外におけるカーボンシャフト事業におきましては、USTMamiya独自の革新的カーボン積層テクノロジーが搭載された「RECOIL」シリーズシャフトの露出度が大手クラブメーカー各社に対する大量のOEM供給によって高まったことで、USTMamiyaブランドの認知度とバリューが強化され高付加価値商品としてのポジションが確立されたこともあり、受注数は好調に推移いたしました。
他方、生産現場では、品質管理体制の強化による顧客満足度の向上、更に従業員が安全に仕事に取り組める職場環境を整備する等の諸施策に取り組むとともに、遊休スペースを有効活用することで、コンポジット製品、特に弓矢の生産能力を増強し多品種展開を図るなど、多角化による事業基盤の強化に取り組むとともに、日々の生産数量を平準化した効果もあいまって、輸送費の高騰は依然として続いているものの、受注数を大量に獲得することができたため、売上・利益は堅調に推移いたしました。
この結果、スポーツ事業セグメントの売上高は70億4百万円(前期比34.1%増)、営業利益は3億67百万円(前期は1億67百万円の営業損失)となりました。
(不動産事業セグメント)
不動産事業セグメントにおきましては、テレワークの定着により上昇を続けていた東京都心5区の3月のオフィス空室率は、一部のベンチャー企業でより広いオフィスを確保して移転する事例等もあり、前月比マイナス6.37%と2ヶ月ぶりに改善したものの、供給過剰の目安である5%を14ヶ月連続で上回っており、平均賃料についても20ヶ月連続の下落となるなど、下げ止まりの兆しは見えない状況となっております。また、住宅設備や建材においても、コロナを契機とした東アジアでのロックダウンの影響による供給制約や、世界的な物流の停滞及びロシアのウクライナ侵攻に対する経済制裁により、原油や液化天然ガス(LNG)などの資源価格が高騰したことなどで、給湯器をはじめとした住宅設備機器、ビニールクロスなどの内装材の価格が上昇し、部材不足が発生するなど、大半を輸入に頼っている日本の国内市場に多大な影響を及ぼしております。
また、米国に端を発したウッドショックについても、ウクライナ侵攻への追加制裁によりロシアからの木材輸入が禁止されたことで、木材価格が高止まりする可能性があります。
このような状況の下、コロナ禍をむしろチャンスと捉え、不断の情報収集により、働き方改革の進展とテレワークの急速な普及による新たなビジネスチャンスを逃すことなく、アフターコロナにおける景気及び不動産市況の動向を正しく見定め、中古の区分マンションをはじめとする販売用不動産を戦略的視点から仕入れ、ベストタイミングで売却することで収益の極大化を図るとともに、単身者向けかファミリータイプかを問わず、マンションの開発用地及び狭小建売用地の仲介・転売ビジネスの展開にも取り組んでまいりました。
この結果、不動産事業セグメントの売上高は2億22百万円(前期比9.7%増)、営業利益は74百万円(前期は4億62百万円の営業損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、売上債権及び棚卸資産の増加による支出等の要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益が6億66百万円(前期は12億92百万円の税金等調整前当期純損失)、仕入債務の増加及び有形固定資産の売却による収入等により、前連結会計年度末に比べ10億72百万円増加し、当連結会計年度末には65億72百万円となりました。
当連結会計年度末における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は4億16百万円(前期は4億49百万円の使用)となりました。これは主に、売上債権の増加12億7百万円、棚卸資産の増加11億11百万円等があったものの、税金等調整前当期純利益6億66百万円、子会社株式売却損の計上3億23百万円、仕入債務の増加15億18百万円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果獲得した資金は1億78百万円(前期は2億83百万円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出2億44百万円等があったものの、有形固定資産の売却による収入5億92百万円等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は4億33百万円(前期は1億47百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出10億38百万円等があったものの、長期借入れによる収入18億80百万円等があったことによるものであります。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
自己資本比率(%) |
55.7 |
53.6 |
53.6 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
26.3 |
29.9 |
28.1 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
- |
- |
15.8 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
- |
- |
7.6 |
(注)自己資本比率 : 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 : 株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 : 有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ : 営業キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
※ 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
※ 2020年3月期及び2021年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
③生産、受注及び販売の実績
ⅰ)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
電子機器事業 |
3,751,189 |
22.9 |
スポーツ事業 |
6,551,162 |
27.8 |
合 計 |
10,302,352 |
26.0 |
(注)1.金額は、販売価格によっております。
ⅱ)商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
電子機器事業 |
1,589,089 |
48.2 |
(注)1.金額は実際仕入額によっております。
ⅲ)受注実績
当社グループは見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
ⅳ)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
電子機器事業 |
5,663,037 |
34.5 |
スポーツ事業 |
7,002,223 |
34.1 |
不動産事業 |
207,370 |
10.4 |
合 計 |
12,872,631 |
33.8 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.前連結会計年度及び当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
||
金 額(千円) |
割 合 (%) |
金 額(千円) |
割 合 (%) |
|
日本ゲームカード㈱ |
1,331,559 |
13.85 |
2,591,088 |
20.13 |
エムディーアイ㈱ |
978,754 |
10.18 |
1,602,816 |
12.45 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであり
ます。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、貸倒引当金、繰延税金資産等の算出評価について見積りを行っております。この見積りは当連結会計年度末現在において判断したものであり、見積りには不確実性、あるいはリスクを内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の売上高は128億72百万円(前期比33.8%増)、営業利益は5億10百万円(前期は8億66百万円の営業損失)、経常利益は6億85百万円(前期は8億40百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億34百万円(前期は14億94百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当該経営成績につき、収益性の観点から分析した結果は以下の通りです。
(売上高総利益率) 32.3%(前期比4.8%増)
(売上高営業利益率) 4.0%(前期は-%)
(売上高経常利益率) 5.3%(前期は-%)
(売上高当期純利益率) 4.9%(前期は-%)
※前期売上高営業利益率、前期売上高経常利益率、前期売上高当期純利益率につきましては営業損失のため記載しておりません。
③ 財政状態の分析
当連結会計年度末における流動資産は139億66百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億36百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が10億72百万円、受取手形及び売掛金が4億34百万円、棚卸資産が6億49百万円増加したことによるものであります。固定資産は91億81百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億69百万円減少いたしました。これは主に有形固定資産が11億45百万円減少したことによるものであります。この結果、総資産は231億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億66百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における流動負債は63億7百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億3百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が5億48百万円、電子記録債務が7億11百万円、1年以内償還予定の社債が6億30百万円増加したことによるものであります。固定負債は43億64百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億3百万円減少いたしました。これは主に社債が6億90百万円、長期借入金が3億71百万円減少したことによるものであります。この結果、負債合計は106億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億99百万円増加いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は124億75百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億66百万円増加いたしました。これは主に剰余金の配当2億18百万円により減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益6億34百万円により増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は53.6%(前連結会計年度末は53.6%)となりました。
以上の結果として、自己資本比率は前連結会計年度の53.6%を維持するとともに、1株当たり純資産は、1,378円39銭から1,431円84銭へと増加し、流動比率、当座比率等についても健全な水準を維持する等、財政状態は堅調に推移しており、持続的な安定成長を支える基盤となっております。
当該財政状態につき、当連結会計年度の経営成績を踏まえ分析した結果は以下の通りです。
(総資産回転率) 0.5 回(前期は0.4 回)
(固定資産回転率) 1.3 回(前期は0.8 回)
(総資産経常利益率) 3.0 %(前期は - %)
④ キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は65億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ10億72百万円増加いたしました。これは営業活動の結果獲得した資金が4億16百万円、投資活動の結果獲得した資金が1億78百万円、財務活動の結果獲得した資金が4億33百万円によるものであります。
上記の他、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。なお、フリーキャッシュフローは、収益の改善になどにより営業活動によるキャッシュ・フローがプラスとなり、有形固定資産の売却による収入等により投資活動によるキャッシュ・フローがプラスとなったことから、2億38百万円(前期はマイナス7億33百万円)となりました。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、本有価証券報告書の、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載したとおりであり、当社は、これらのリスクを的確に把握・評価し、その顕在化を回避するための適切な施策を、適宜に立案・実施するよう努めます。
⑥資本の財源及び資金の流動性について
ⅰ)資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、電子機器事業における新製品開発及び金型等、スポーツ事業におけるゴルフ用品製造設備等及び不動産事業における賃貸不動産設備等があります。
ⅱ)財政政策
当社グループの事業活動の維持拡大における資金を安定的に確保するため、金融機関からの銀行借入や社債発行により資金調達を行っております。また、支払金利の変動リスクを回避し、また支払利息の固定化を図るために金利スワップ取引を行っております。
⑦経営上の目標の達成状況について
当社グループは、継続的な安定配当等により株主利益の向上を図る観点から各利益の極大化を目指すとともに、資産効率の向上及び株主資本の有効利用が全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、ROEを経営上の目標の達成状況を判断するための重要な指標と位置付けております。
そして、その具体的な目標数値を5.0%として経営に邁進した結果、当連結会計年度におきましては、ROE5.0%を達成しております。
引き続き、利益の拡大を最重要課題と位置づけROEの改善及び向上がなされるように粘り強く取り組んで参ります。
⑧セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、具体的な課題認識と解決への方策については、「第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべ
き課題等](3)⑤優先的に対処すべき事業上の課題」をご参照ください。
[電子機器事業セグメント]
(1)アミューズメント事業
遊技機関連市場の長期低落トレンドが続く中、大都市圏を中心としたまん延防止策に伴う飲食店に対する営業時間短縮の要請、コロナ禍による消費マインドの冷え込み、そして当局による射幸性規制の強化等のマイナス要因が重なった結果として売上高が引き続き低迷し、若干の赤字計上を余儀なくされたものの、来期市場投入される遊技機周辺機器の量産を開始し、大幅な増産となったことにより、赤字幅は大きく縮小したものと分析しております。また、今後につきましては、ワクチン接種の進捗に伴い経済・社会活動が正常化に向かうであろうことを踏まえ、遊技場における設備投資意欲の回復、改刷及び次世代遊技機の市場投入などに伴う特需、キャッシュレス決済のさらなる拡大、といったビジネスチャンスを貪欲にものにして売上及び利益に結び付けていく取り組みが必須であると考えております。
(2)システムソリューション事業
当社は、デジタルトランスフォーメンションの奔流が産業構造や社会基盤に歴史的な変革をもたらしつつある
現在こそ、当社が事業構造の抜本的な改革を通じてイノベーションを創生し、新たな成長軌道を見出すための最大
のチャンスであると分析しております。そして今後は、グループのICTリソースを集約して2021年4月に立ち上
げたシステムソリューション事業部を牽引車として、総力を挙げてソフトウェアソリューション事業への戦略的な
展開を強力に推進し、ソフトウェア開発ベンダとしての競争優位を確保していくことが必要であると考えておりま
す。
(3)券売機事業
液晶小型券売機「Operal(オペラル)VMT-600シリーズ」の売上は、コロナ禍における非接触(コンタクトレ
ス)及びキャッシュレス決済への需要が高まり、中小零細事業者に対する公的補助金なども追い風となり、比較的
堅調に推移しており、これには、グループ一丸となったマーケティング活動及びコールセンターの設置を含めたア
フターサービス体制の運用強化も寄与しているものと分析しております。今後につきましては、自動券売機を単な
る機能拡充に止まらないICTソリューションのツールへと進化させることを通じて新たな営業基盤を構築すること
が必要であると考えております。
(4)I-GINS事業
名門ゴルフ場に対する地道なアプローチを重ねた成果が製品に対する信頼の形で実を結びつつあり、導入保守メ
ンテナンス体制の構築・整備とあいまって販売につながっているものと分析しております。また今後につきまして
は、販売チャネルの拡充など営業基盤の強化が下支えする戦略的マーケティングの展開や製品改良による生産性向
上等が喫緊の課題であると考えております。
[スポーツ事業セグメント]
カーボンシャフトのマーケティング及び製造の両面において粘り強く取り組んできた各種の施策が徐々に実を
結び、売上及び利益の増加に結びついているものと認識しており、具体的には、マーケティング面ではブランド
バリューの確立・強化、製品ラインナップの拡充等、製造面ではバングラデシュ工場における設備更新、カーボン
素材の加工技術を応用した製品レンジの拡大といった取り組みが一定の成果を上げているものと分析しておりま
す。
また、コロナ禍による業績の低迷も、コロナワクチン接種の進捗につれ正常化しつつあり、屋外スポーツなら
ではの、いわば「コロナ特需」もあいまって、業績は当面の間、順調に推移するものと判断しており、今後につき
ましても、従前の取組みを着実に積み重ねていくことが必要であると考えております。
[不動産事業セグメント]
増床したトランクルームサービス「プラスワンストレージ」が着実に契約件数を伸ばすなど、保有物件につきま
しては安定的な稼働率を確保することで、例年通り一定の利益を確保できたものと分析しております。しかしなが
ら、今後、事業規模拡大に向けての展望を見出すためには、マーケット動向を捉えた戦略的な販売用不動産の仕入
及び販売等並びに賃貸用不動産の新規取得と適切な管理・運用による安定的な賃料確保の方策を確立することが必
要であると考えております。
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