当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況は次のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う断続的な緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の発出、新たな変異株の出現による急激な感染拡大により経済活動は制限され個人消費は低迷し、依然として厳しい状況で推移いたしました。
流通業界におきましても、コロナ禍による人流抑制の長期化に加え、依然として厳しい雇用・所得環境により消費者マインドは冷え込み、先行き不透明な状況が続きました。
このような状況のなか、当社グループは、第6次中期経営計画初年度となる2021年度におきまして、経営環境の急激な変化に対し、当社グループの強みを最大限発揮することで、お客様の期待を越える商品・サービスを提供し、更なる成長に向け取り組みました。そして、信頼性の高い企業グループの構築に向けサステナブル経営を実践し、内部統制機能の強化、株主への利益還元、利益成長に繋がる中長期的投資等を実行することによって企業価値の向上に取り組みました。
その結果、当期の連結業績は、売上高380億50百万円(前期比3.5%減)、営業利益17億21百万円(前期比37.8%減)、経常利益22億93百万円(前期比28.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は14億90百万円(前期比8.1%減)となりました。また、重要な経営指標として定めている「のれん償却前営業利益」は22億18百万円(前期比32.0%減)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
ジュエリー事業は、売上高184億24百万円(前期比10.7%減)、営業利益11億30百万円(前期比47.2%減)となりました。
アパレル事業は、売上高196億26百万円(前期比4.3%増)、営業利益8億89百万円(前期比0.8%減)となりました。
財政状態については、次のとおりであります。
当連結会計年度の資産の合計は、前連結会計年度と比べて38億83百万円増加し、568億84百万円となりました。
当連結会計年度の負債の合計は、前連結会計年度と比べて5億9百万円増加し、139億66百万円となりました。
当連結会計年度の純資産の合計は、前連結会計年度と比べて33億74百万円増加し、429億17百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億67百万円増加し、当連結会計年度末には29億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果、資金の増加は18億71百万円(前連結会計年度比47億62百万円減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益22億34百万円や非資金項目である減価償却費8億31百万円があったものの、法人税等の支払額16億2百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、資金の増加は1億6百万円(前連結会計年度比22億76百万円増)となりました。これは主に、投資有価証券の償還による収入25億円や定期預金の払戻による収入5億円があったものの、投資有価証券の取得による支出25億32百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、資金の減少は18億16百万円(前連結会計年度比6億99百万円減)となりました。これは主に、配当金の支払額17億61百万円があったことによるものであります。
③ 仕入及び販売の状況
(仕入実績)
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
ジュエリー事業 |
5,321 |
0.1 |
アパレル事業 |
13,492 |
5.1 |
合計 |
18,813 |
3.6 |
(注)1 上記金額は、仕入価格によっております。
2 上記金額には、消費税等を含めておりません。
(販売実績)
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
ジュエリー事業 |
18,424 |
△10.7 |
アパレル事業 |
19,626 |
4.3 |
合計 |
38,050 |
△3.5 |
(注) 上記金額には、消費税等を含めておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の分析
当連結会計年度末における流動資産は148億99百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億17百万円減少いたしました。主な要因は、原材料及び貯蔵品が3億45百万円減少したこと等によるものであります。
固定資産は419億85百万円となり、前連結会計年度末に比べ46億1百万円増加いたしました。主な要因は、のれんが4億96百万円減少したものの、投資有価証券が55億48百万円増加したこと等によるものであります。
流動負債は54億47百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億55百万円減少いたしました。主な要因は、未払消費税等が5億8百万円減少したこと等によるものであります。
固定負債は85億19百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億64百万円増加いたしました。主な要因は、繰延税金負債が19億29百万円増加したこと等によるものであります。
純資産は429億17百万円となり、前連結会計年度末に比べ33億74百万円増加いたしました。主な要因は、その他有価証券評価差額金が37億2百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度は、その他有価証券評価差額金の増加等により自己資本比率が、前連結会計年度の74.6%から75.4%と増加しております。
② キャッシュ・フローの分析
当社グループは、営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、事業活動にかかる運転資金については営業キャッシュ・フローにて獲得した資金を主な財源としております。
その一方で、当社は国内金融機関からの借入について、相対での借入枠を十分に確保しており、将来にわたって必要な営業活動および債務の返済に備えるため、自己資金のほか、必要に応じて金融機関からの借入により資金調達を図ります。設備投資の一部はリース取引によっております。
なお、国内グループ会社の資金については、当社にてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)による一元管理を行っており、必要に応じて資金を融通しております。
当社グループの当連結会計年度の資金は、前連結会計年度末に比べ1億67百万円増加し、当連結会計年度末には29億円となりました。当連結会計年度は、営業活動によるキャッシュ・フローにて前連結会計年度末に比べ47億62百万円の資金の減少、投資活動によるキャッシュ・フローにて前連結会計年度末に比べ22億76百万円の資金の増加、財務活動によるキャッシュ・フローにて前連結会計年度末に比べ6億99百万円の資金の増加となりました。
③ 経営成績の分析
a.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は中期的な数値目標としてのれん償却前当期純利益を用いて算出するROEにて8%以上、のれん償却前当期純利益を用いて算出する一株当たり当期純利益にて150円以上を掲げております。また、経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を客観的に判断するため、「のれん償却前営業利益」を重要な経営指標と位置付けております。
第72期は、のれん償却前営業利益22億18百万円となりました。のれん償却前当期純利益を用いて算出するROEは4.8%、のれん償却前当期純利益を用いて算出する一株当たり当期純利益は92.7円となりました。
(のれん償却前営業利益 = 営業利益 + のれん償却額)
b.セグメントごとの経営成績等の状況に関する分析
(ジュエリー事業)
国内のジュエリー市場は、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受け、極めて不透明な状況が続いています。また、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の長期化が影響し、外出自粛や人流抑制の影響から特に店舗は落ち込みましたが、ECチャネルは堅調に推移いたしました。
そのような状況のなか、ジュエリー事業を展開するエフ・ディ・シィ・プロダクツグループは、引き続きコロナ禍の影響を受け、厳しい経営環境となりました。特にブライダルジュエリーにおいては、婚姻組数の一時的な減少により苦戦しました。また、前期に一部特別損失に計上していた人件費の反動増もあり、営業利益減少の要因となりました。一方、ブランド価値向上投資の継続により女性客の自家需要は2桁伸長いたしました。
その結果、売上高は184億24百万円(前期比10.7%減)、営業利益は11億30百万円(前期比47.2%減)となりました。
(アパレル事業)
国内のアパレル小売市場は、百貨店や専門店チャネルでは、引き続きコロナ禍の影響を受けるなか、一部回復の兆しは見られたものの、依然として厳しい状況になりました。一方で、衣料スーパーはワンマイルウェアの需要拡大等を受け好調に推移し、成長チャネルであるECも拡大いたしました。
そのような状況のなか、デイリーファッション「パレット」を展開する㈱アージュは、8店舗の新規出店に加え、販促活動や25周年記念催事が奏功したことにより、売上高、営業利益ともに過去最高を更新いたしました。アスティグループは、コロナ禍の影響による一時的な需要の低迷はあったものの、商品企画力の強化に引き続き取り組んでまいりました。
その結果、売上高は196億26百万円(前期比4.3%増)、営業利益は8億89百万円(前期比0.8%減)となりました。
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