業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績等の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、昨年に引き続き新型コロナウイルス感染症の影響に左右される不安定な推移となりました。ワクチン接種の進行による感染者数の減少に加えて感染防止対策が行き渡ったこともあり、昨年9月末の緊急事態宣言の全面解除以降は、消費環境が回復基調に転じつつありましたが、本年年明け以降のオミクロン株感染急拡大を受け、多くの都道府県にまん延防止等重点措置が適用されたことで、再び急速に悪化いたしました。

 当アパレル・ファッション業界の市況も、昨年9月末以降徐々に改善に向かっておりましたが、秋冬商戦がピークを迎えた本年1月以降、オミクロン株感染の急拡大を受けて再び悪化に転じ、特に実店舗の集客が著しく低下することとなりました。

当社グループにおきましても、昨年9月までは主販路である百貨店中心に外出自粛による集客減や店舗休業の影響を受け売上の低迷が続いておりましたが、緊急事態宣言解除後の昨年10月以降は集客が徐々に回復し、実店舗中心に秋冬商材が順調に稼働し、市場がほぼ正常化した昨年10月~12月においては計画通りの売上高を確保することが出来ました。しかしながらオミクロン株感染急拡大による再度の商況悪化により、本年1、2月においては売上高が大幅に計画を下回ったことで、結果として当連結会計年度の累計売上高は計画未達成に終わりました。なお、前年に対しては101.9%の微増収となりました。

 一方で、『再生プラン』に基づく事業構造改革は順調に進捗しております。売上総利益率については、仕入原価低減、在庫管理の強化、さらに実店舗・EC双方プロパー販売体制の強化等の施策により、ほぼ目標通りの水準を維持し、累計で48.0%と前年に対して9.7%改善いたしました。また、販売費及び一般管理費の削減についても想定以上に進捗いたしましたが、売上高の計画未達による売上総利益の減少を補うことが出来ず、営業損益については、前年に対しては大幅な改善となったものの、目標としていた黒字化は未達成に終わりました。一方、親会社株主に帰属する当期純利益については、特別利益の計上もあって黒字を確保することが出来ました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は386億4千2百万円(前年比1.9%増)、営業損失は10億5千8百万円(前年は89億1千3百万円の営業損失)、経常損失は7億3千5百万円(前年は90億3千6百万円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は6億6千1百万円(前年は49億8千8百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 なお、当社グループは、アパレルを核とするファッション関連事業の単一セグメントでありますので、セグメント情報の記載はしておりません。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の減少による増加額が6億1千8百万円、たな卸資産の減少による増加額が15億3千5百万円ありましたが、その他の流動負債の減少による減少額が29億5千8百万円、事業構造改善費用の支払額が12億3千2百万円あったこと等により、16億3千8百万円の支出(前連結会計年度は、56億5千6百万円の支出)となりました。

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入が6億2千2百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が12億8千6百万円ありましたが、定期預金の預入による支出が16億1千万円、無形固定資産の取得による支出が16億7千9百万円あったこと等により、13億5千6百万円の支出(前連結会計年度は、157億6千1百万円の収入)となりました。

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が10億円あったこと等により、5億2千7百万円の収入(前連結会計年度は、42億7千6百万円の支出)となりました。

 この結果、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ25億2千6百万円減少し、新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額3千2百万円を加味した結果、162億8千7百万円となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、アパレルを核とするファッション関連事業の単一セグメントとしておりますが、生産実績、販売実績については、服種別に以下の3区分で示しております。

 

イ. 生産実績

 当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

区分

生産高(百万円)

前年同期比(%)

紳士服・洋品

6,910

102.6

婦人服・洋品

9,528

100.6

服飾品他

2,084

92.7

合計

18,523

100.4

 (注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

ロ. 受注実績

 該当事項はありません。

 

ハ. 販売実績

 当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

区分

販売高(百万円)

前年同期比(%)

紳士服・洋品

14,267

109.9

婦人服・洋品

19,848

99.1

服飾品他

4,526

91.6

合計

38,642

101.9

 (注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 当連結会計年度の財政状態の分析

イ. 資産

 資産に関しましては、商標権が32億1千4百万円、退職給付に係る資産が14億1千1百万円それぞれ増加いたしましたが、現金及び預金が8億8千4百万円、商品及び製品が15億8千6百万円、のれんが12億4千8百万円それぞれ減少したこと等により、前連結会計年度末に比し12億9千7百万円減少し、516億2千9百万円となりました。

ロ. 負債

 負債に関しましては、1年内返済予定の長期借入金が28億円増加いたしましたが、未払費用が35億6千8百万円、長期借入金が18億円それぞれ減少したこと等により、前連結会計年度末に比し17億5千5百万円減少し、177億8百万円となりました。

ハ. 純資産

 純資産に関しましては、利益剰余金が6億5千9百万円増加したこと等により、前連結会計年度末に比し4億5千8百万円増加し、339億2千万円となりました。

 この結果、自己資本比率が65.40%、ROE(自己資本利益率)は1.97%となりました。今後は、DOE(株主資本配当率)2%を目標に努めてまいります。

② 当連結会計年度の経営成績の分析

 当連結会計年度の経営成績の分析につきましては、「3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループの資金需要のうち恒常的なものは、増加運転資本と店舗売場設備の新設や更新に伴う設備資金の他、製造費、販売費及び一般管理費の営業費用であります。これに加えて非恒常的な投資として、事業成長のためのアライアンス投資、M&A投資があります。

 今期の資金変動の中で、運転資本に関しましては、昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症の蔓延に対応するため仕入債務の削減に努めて参りました。仕入債務削減に伴い棚卸資産も削減しましたが、コロナ禍により支払を猶予されていた厚生年金費用を今期分に加えて支払ったこと等により営業キャッシュ・フローはマイナスとなりました。今後はさらなる運転資本の削減に加えて営業費用等のコントロールの強化により営業キャッシュ・フローの創出を推進してまいります。

 一方、非恒常的要素として今後のブランド戦略の推進のため、ポール・スチュアートブランドの国内商標権を取得いたしました。

 また連結子会社でありましたルビー・グループ株式会社を売却しキャッシュポジションを補強しております。

加えて、政策保有株の一部流動化等により資金を回収して新型コロナウイルス感染症によって継続している不確実性に備えております。

 当社グループは新しい中期経営計画を策定し、ファッションカンパニーとしての基礎収益力の改善を進め、新型コロナウイルス感染症のダメージを最小限に抑え、また国際紛争等による不確実性が存在する中、キャッシュ・フローの最適化を最重要課題と捉えて業績立て直しに向けて邁進してまいる所存でございます。

 これを支える資金といたしまして、金融機関より68億円の資金調達を行っております。

 なお、当連結会計年度末における借入金、転換社債型新株予約権付社債及びリース債務を含む有利子負債残高は77億5千7百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は162億8千7百万円となっております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(5)経営者の問題意識と今後の方針について

 「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、経営全般にわたる一層の効率化を追求し、業績の向上を図るべく全社一丸となって専心努力いたします。

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