業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により年初から断続的に緊急事態宣言等が発出され、厳しい状況が続きました。ワクチン接種の進展もあり、9月末で宣言等は一旦解除され、人流や経済活動の回復による景気の持ち直しが期待されましたが、オミクロン株の感染拡大で再びまん延防止法等重点措置がとられるなど、先行き不透明な状況が続いております。

衣料品業界におきましても、時短営業や外出自粛の影響による来店客数の減少が長期化し、厳しい状況が続きました。

このような状況の中、当社グループは、当期を最終年度とする第4次中期経営計画の定性基本戦略を着実に実行するとともに、既存卸売り販路での売上回復と、ECとカタログによる無店舗販売での売上拡大に取り組みました。

卸売り事業では、当社1社体制の売場及び服飾雑貨企業との連合自主運営売場の増設に引き続き努めるとともに、メンズアンダーウェア、リラクシングウェアで新規ブランド展開を開始するなど、売場占有率のアップによる売上回復に努めました。

小売り事業では、インターネット販売、カタログ販売において、ご来店が難しいお客様やネットショッピングに不慣れなお客様の購買利便性の向上による売上拡大に取り組みました。

企業ブランディング戦略につきましては、新たなナイガイファンの獲得に向け、SNSでの企業情報の発信強化や、自社ECサイトへの誘客施策に注力しました。

これらの結果、当連結会計年度の売上高は13,465百万円(前年同期比15.2%増)、営業損失は89百万円(前年同期は1,807百万円の損失)、経常損失は26百万円(前年同期は1,747百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益等を計上したことから124百万円(前年同期は1,837百万円の損失)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

 

(卸売り事業)

卸売り事業につきましては、メンズアンダーウェア、リラクシングウェアで、“HUGO BOSS”、“LACOSTE” の展開が本格化したことに加え、2022年春夏商品からは“EMPORIO ARMANI”の同アイテムと、新規アイテムとして“LANVIN”のメンズパジャマの販売を開始しました。婦人靴下では、生活スタイルの変化に伴い堅調なカジュアルソックスとイエナカ商品の販売に注力し、丸洗いできて清潔なニットシューズや、ワンマイル需要にマッチしたレギンスパンツの販売が好調に推移しました。ホームウェアでは、好調なエプロンでの新アイテムとして、お出かけスタイルにもなるジャンパースカートや、そのまま家事ができるチュニックタイプの商品を拡大し、売上に寄与しました。

新規需要開拓策としては、女性特有の悩みを解決する製品を集結した「Femtech Fes! 2021」に当社オリジナルブランド“整TOTONO”を出展し、成長市場参入に向けた新たな取り組みに着手しました。ゴム製品の製造・販売を営むロンデックスタイランドでは、中国での市場開拓に取り組み、前年から売上を拡大しました。

これらの結果、当連結会計年度の卸売り事業の売上高は11,512百万円(前年同期比15.1%増)、営業損失は28百万円(前年同期は1,668百万円の損失)となりました。

 

(小売り事業)

小売り事業につきましては、直営店販売では、Happy Socksの靴下と、キャンディーやオリジナルティーを楽しめる「Happy Socks Candy Café」をオープンしたほか、当社オリジナル商品を中心に、靴のインソールなど足にまつわる商品を取り揃えたコンセプトショップ「HitoAshi(ヒトアシ)」をオープンし、異業種と協働した新たな店舗運営に着手しました。また、主要顧客である高齢層の購買利便性向上を目的に、郵便局での店頭販売と、電話で注文をお受けする通販カタログ「くつしたお届け便」を開始しました。

インターネット販売では、自社ECサイト「ナイガイオンラインショップ」で、品揃えの強化と、欠品を防止する在庫管理体制の整備に取り組みました。ファッション通販サイトでは、当社の強みであるライセンスブランドを活用した品揃えが奏功し、売上が拡大しました。センティーレワン株式会社が展開するバッグ売上は、自社ECサイトでの限定ノベルティーとレビュー強化による顧客誘導に注力しました。ECモールでは、大型イベントに合わせた販促、仕入れの徹底を行い、機会損失の削減に努めました。

これらの結果、当連結会計年度の小売り事業の売上高は1,953百万円(前年同期比15.9%増)、営業損失は61百万円(前年同期は144百万円の損失)となりました。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して61百万円減少し、11,712百万円となりました。自己資本比率は59.5%となり、1株当たり純資産額は847円48銭となりました。

(流動資産)

 当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ157百万円減少し、9,269百万円となりました。受取手形及び売掛金が726百万円、商品及び製品が241百万円増加し、現金及び預金が1,321百万円減少しました。

(固定資産)

 当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べ96百万円増加し、2,443百万円となりました。有形固定資産が51百万円増加し、投資有価証券は一部売却したものの、時価の上昇により38百万円増加しました。

(流動負債)

 当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ304百万円減少し、3,483百万円となりました。支払手形及び買掛金が276百万円、電子記録債務が382百万円増加し、短期借入金が900百万円、返品調整引当金が61百万円減少しました。

(固定負債)

 当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べ25百万円減少し、1,265百万円となりました。繰延税金負債が17百万円、退職給付に係る負債が19百万円減少しました。

(純資産)

 前連結会計年度末と比較して268百万円増加し、6,963百万円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益124百万円と投資有価証券の株式市場の相場上昇によるその他有価証券評価差額金92百万円の増加等によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、4,115百万円となり、前連結会計年度末と比べ1,321百万円減少しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により使用した資金は511百万円(前年同期は321百万円の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益105百万円及び仕入債務の増加652百万円の増加項目と売上債権の増加714百万円及びたな卸資産の増加251百万円の減少項目によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により獲得した資金は47百万円(前年同期は104百万円の使用)となりました。投資有価証券売却により166百万円獲得し、固定資産の取得に118百万円使用しました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は900百万円(前年同期は2,099百万円の獲得)となりました。短期借入金の返済により900百万円使用しました。

 

④生産、受注及び販売の実績

 a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

卸売り事業

291

189.1

 (注)1.金額は製造原価によっております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 b.受注実績

 該当事項はありません。

 c.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

卸売り事業

6,622

133.3

小売り事業

794

97.4

合計

7,417

128.2

 (注)1.金額は仕入価格によっております。

       2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

    3.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

 d.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

卸売り事業

11,512

115.1

小売り事業

1,953

115.9

合計

13,465

115.2

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

    2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討の内容は以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、当社経営者は、期末日における資産及び負債、当連結会計年度における収益及び費用に影響を及ぼすような見積りを実施いたします。

 見積り及びその基礎となる仮定は、過去の実績やその時点での入手可能な情報等を基に、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で判断しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響をはじめとする様々な見積り根拠となる仮定又は条件等の変化により、見積り内容が実際の結果と異なる可能性があります。

 見積り及び仮定のうち、当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定は、以下のとおりであります。

(a) たな卸資産評価損

 当社グループは、商品在庫の評価ルールを定め、収益性の低下が認められる商品在庫については、たな卸資産評価損を原価計上しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響等を含む市況の急激な変化、天候変動要因を含む様々な消費動向の変化により評価ルールが想定しない変化が発生した場合、追加的に評価損計上が必要となる場合があります。

 

(b) 固定資産の減損損失

 当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主として事業セグメントを基礎に資産のグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。

 回収可能価額の評価の前提条件には、投資期間を通じた将来の収益性の評価や資本コストなどが含まれますが、これらの前提条件は長期的な見積りに基づくため、新型コロナウイルス感染症の影響による減収・減益等、将来の当該資産グループを取り巻く経営環境の変化による収益性の変動や市況の変動により、回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合、減損損失の計上が必要となる場合があります。

 

(c) 返品調整引当金

 当社グループは、販売シーズンの終了に伴う返品の損失に備えるため、得意先における保管在庫に基づいた一定の見積方法による返品見積額から算出した損失見込額を計上しております。

 返品見積額を算定する過程、及び損失見込額を算定する過程においては合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で算出しておりますが、実際の結果は、見積り根拠となる仮定又は条件等の変化により、見積り内容と異なる可能性があります。

 

②当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(a)経営成績

(売上高)

 売上高は、卸売り事業の百貨店販路は、前年の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う臨時休業や時短営業が縮小されたため、大幅増収となりましたが、年末以降のオミクロン株の感染拡大もあり、計画未達となりました。量販店販路も、アウターアパレルの減収により前年を下回り、計画未達となりました。小売り事業も、コロナ禍で強化したレッグ、アンダーウェア等のEC販売は前期比170.4%増となり、直営店事業も前期比23.8%増となりましたが、計画未達となりました。結果、全体では13,465百万円(前期比1,776百万円の増収、計画比535百万円の減収)となりました。

(売上総利益)

 売上総利益は、売上増に伴い大幅増益となりました。前期は秋冬商品の仕入を絞り、セール販売強化で繰越在庫削減に努めましたが、当期はプロパー販売強化に加え、メンズアンダーウェア、リラクシングウェアの新ブランド投入により、利益確保を目指しました。結果、売上総利益率は39.0%と前年より6.6ポイント改善しましたが、売上総利益は5,245百万円(前期比1,461百万円の増益、計画比465百万円の減益)と計画未達となりました。

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は、管理職手当の減額やフレックスタイム制の導入により残業代を削減するなど、退職給付費用を除く人件費で261百万円削減し、5,335百万円(前期比256百万円減、計画比296百万円減)となりました。

(営業外損益)

 営業外損益は、62百万円の利益(前期比3百万円の増益、計画比42百万円の増益)となりました。収入面では、貯蔵品売却益が13百万円発生しましたが、コロナ禍による雇用調整助成金収入が10百万円減少しました。費用面では、支払利息が4百万円、持分法による投資損失が5百万円減少しました。

(経常損失)

 結果、経常損失は26百万円(前年は1,747百万円の損失)と、前期比1,721百万円の改善となりましたが、計画に対しては126百万円減益となりました。

(特別損益)

 特別損益は、154百万円の利益と22百万円の損失により132百万円の利益(前年は76百万円の損失)となり、経常利益の計画未達額を補完しました。利益は投資有価証券売却益で、損失は減損損失13百万円と投資有価証券評価損9百万円であります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税を30百万円、過年度法人税等戻入額を48百万円計上し、124百万円(前年は1,837百万円の損失)となり、計画に対して44百万円の増益となりました。

 

(b)財政状態

 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a)キャッシュ・フロー

 キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

(b)資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループは、安定した収益と成長性を確保するための運転資金及び設備投資に必要な資金は、営業活動によるキャッシュ・フローを源泉としておりますが、当期も前期に引き続きコロナ禍の影響による収入不足から営業キャッシュ・フローは赤字となりました。また、前期に調達した取引銀行6行の当座貸越1,800百万円の内、融資枠はキープした上で900百万を返済しましたが、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は4,115百万円あり、当社グループの事業活動を推進していくうえで十分な流動性を確保していると考えております。

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの経営方針、経営戦略、経営上の目標については、2021年12月14日に公表いたしました第5次中期経営計画(for the NEXT STAGE 2024)でお知らせしているとおりでありますが、当該中期経営計画の初年度となる2023年1月期につきましては、新型コロナウイルス感染症によるマイナス影響があるものと想定しております。

 現時点では、営業利益及び営業キャッシュ・フローの黒字化を喫緊の経営課題として捉え、各施策に取り組み、2023年1月期連結会計年度の売上高は14,000百万円、営業利益は50百万円、経常利益は70百万円の達成を当面の経営指標といたします。

 セグメント別には、卸売り事業は、百貨店販路における売場シェア率アップ施策や、カテゴリー専門チェーン店、カタログ通信販売先の新規開拓による拡販に加え、介護、フェムテック市場での新たな需要の創造等により、安定的な収益の確保に努めてまいります。

 小売り・直販事業につきましては、直営店事業では、(ⅰ)レッグ、アンダーウェア等の総合セレクトショップ (ⅱ)足に纏わる商品を取り揃え、靴下の試着や測定のできる体験型コンセプトショップ (ⅲ)Happy Socksのブランドコンセプトショップ (ⅳ)ホームウェアとレッグウェアの総合コンセプトショップの4業態を軸としたショップ展開により、事業の成長を図ってまいります。

 EC通販事業につきましては、自社運営ECサイト「ナイガイオンラインショップ」と各モールでのインターネット販売の強化に加え、ご来店が難しいお客様やネットショッピングに不慣れなお客様の電話による注文をお受けするカタログ通販による事業の拡大に取り組んでまいります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得