業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)および「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日)を当連結会計年度の期首より適用しています。

また、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項  表示方法の変更」に記載のとおり、当連結会計年度より表示方法の変更を行っており、経営成績等については当該表示方法の変更を反映した組替え後の前連結会計年度の連結財務諸表の数値を用いて比較しています。

 

① 財政状態および経営成績の状況 

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワクチン接種率等の向上により一時的に感染の拡大を抑制できたものの、オミクロン株の急速な感染拡大に伴ったまん延防止等重点措置の適用による外出自粛や、原材料価格の高騰など厳しい状況が続きました。

このような状況の中、当社グループではアパレル関連事業の重点施策であるリアル店舗とEコマースの融合を着実に推進し、「クリック&トライ」サービスを導入したOMO(Online Merges with Offline)型店舗数を拡大するとともに、在庫一元管理システムの本格稼働によって欠品による販売機会ロスを減少させ、既存リアル店舗、Eコマース双方の売上高伸長と粗利益率の向上を実現しました。

また、2020年2月期より取り組んできたグローバル事業構造改革として、不採算事業・不採算店舗からの撤退を進めたことにより、営業損益が大幅に改善しました。加えて、固定資産の流動化、資金運用の効率化等による財務体質の健全化に努め、自己資本比率は前期比13.5%増の42.4%となりました。

以上の結果、連結売上高は1,684億53百万円(前年同期比4.2%減)、連結営業損失は10億79百万円(前年同期は営業損失201億73百万円)、連結経常利益は5億7百万円(前年同期は経常損失201億74百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は85億66百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失231億81百万円)となりました。

 

セグメント別の状況は、次のとおりです。

 

[アパレル関連事業]

国内事業は、中核事業会社である株式会社オンワード樫山では、不採算事業や不採算店舗からの撤退や、OMO型店舗の拡大等の販売戦略を着実に遂行することで、増収し赤字幅を大幅に縮小しました。BtoB事業を手掛けるオンワード商事株式会社は、減収ながらも利益率の高いユニフォーム事業の売上高が堅調に推移し増益となりました。また、Eコマースを販路とするティアクラッセ株式会社、今期就活スーツで高い評価を獲得しているオーダースーツ「KASHIYAMA」を展開する株式会社オンワードパーソナルスタイルで増収となりました。

海外事業は、グローバル事業構造改革による不採算事業からの撤退等により、収益性が改善し、大幅に収支改善しました。

以上の結果、売上高は1,290億27百万円(前期比7.5%減)、営業損失は32億79百万円(前期は営業損失201億17百万円)となりました。

 

[ライフスタイル関連事業]

ウェルネス事業を手掛けるチャコット株式会社では、前期は新型コロナウイルス感染症の影響で厳しい情勢にあった主力のバレエ用品の受注が回復したことにより、大幅に増収し黒字に転換しました。ギフト事業の株式会社大和、ペット関連事業の株式会社クリエイティブヨーコ、ビューティ・コスメ事業を行う株式会社KOKOBUYで増収増益となりました。

グアム島でリゾート事業を行うオンワードビーチリゾートグアムINC.等は、グアム島への来島者数の激減の影響により引き続き減収となりました。

以上の結果、売上高は394億26百万円(前期比8.1%増)、営業利益は24億3百万円(前期比113.0%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益、減損損失、売上債権の減少、仕入債務の減少等により78億14百万円の収入(前年同期は196億14百万円の支出)となりました。

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の売却および連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却等により216億85百万円の収入(前年同期は60億91百万円の収入)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の増減および長期借入金の返済による支出が主なもので361億73百万円の支出(前年同期は58億60百万円の収入)となりました。

これらの結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べて60億70百万円減少し、151億99百万円となりました。

 

 

③ 生産、受注および販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

なお、ライフスタイル関連事業セグメントについては、生産実績を定義することが困難なため、「生産実績」は記載していません。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

アパレル関連事業

17,572

45.3

 

 

(注)1 金額は製造原価です。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

b. 受注実績

当社グループは、ほとんどが受注生産ではなく見込生産を行っています。

また、受注生産につきましても、同一品目において受注生産と見込生産を行っており、区分して算出することが困難なため、記載を省略しています。

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

アパレル関連事業

国 内

112,768

108.8

海 外

16,259

45.4

129,027

92.5

ライフスタイル関連事業

39,426

108.1

合 計

168,453

95.8

 

 

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。

2 上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 経営成績の分析

a. 売上高および売上総利益

グローバル事業構造改革に伴う事業廃止の影響により、売上高は74億45百万円減少し、1,684億53百万円となりました。

売上総利益は、グローバル事業構造改革の効果および在庫一元化システムの稼働による販売機会ロスの減少効果で、前連結会計年度に比べ169億9百万円増加、売上総利益率は11.8%向上し、876億12百万円となりました。

 

b. 営業損失および経常利益

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度から21億84百万円減少886億91百万円となりました。新収益認識基準適用により97億52百万円増加し、固定費削減とグローバル事業構造改革の効果により119億36百万円減少しました。

その結果、営業損失は前連結会計年度から190億94百万円改善の10億79百万円となり、経常利益は前連結会計年度から206億81百万円増加5億7百万円となりました。

 

c. 税金等調整前当期純利益および親会社株主に帰属する当期純利益

特別利益は、固定資産売却益および関係会社株式売却益等により213億27百万円となりました。特別損失は、グローバル事業構造改革による関係会社株式売却損、関係会社整理損や減損損失に加え、緊急事態宣言下の休業期間中に発生した固定費を「臨時休業等による損失」として特別損失に計上したことにより79億21百万円となりました。税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ394億73百万円増加し、139億12百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ317億48百万円増加し、85億66百万円となりました。

 

② 財政状態の分析

a. 資産

資産の部は、前連結会計年度末に比べ383億24百万円減少し、1,577億27百万円となりました。流動資産は、現金及び預金、受取手形、売掛金及び契約資産の減少等により199億52百万円減少しました。固定資産は、有形固定資産の売却等により183億72百万円減少しました。

 

b. 負債

負債の部は、前連結会計年度末に比べ560億73百万円減少し、804億70百万円となりました。流動負債は、短期借入金、支払手形及び買掛金の減少等により437億88百万円減少し、固定負債は、長期リース債務、長期借入金の減少等により122億84百万円減少しました。

 

c. 純資産

純資産の部は、前連結会計年度末に比べ177億48百万円増加し、772億57百万円となりました。株主資本は、親会社株主に帰属する当期純利益、剰余金の配当、会計方針の変更による期首利益剰余金の増加等により、61億4百万円増加しました。その他の包括利益累計額は、為替換算調整勘定の増加等により40億58百万円増加しました。

 

(3) 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

(4) 資本の財源および資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用です。投資を目的とした資金需要は、主に新規出店および既存店舗の改装等の設備投資や、システム投資によるものです。

これらの運転資金や投資資金は、基本的に自己資金により充当していますが、必要に応じて資金調達を行っています。

また、当社グループの資金の状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

(5) 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しています。

 

(6) 経営者の問題意識と今後の方針について

① 会社の経営の基本方針

当社グループは、「人々の生活に潤いと彩りを与えるおしゃれの世界」を事業領域に定め、「ファッション」を生活文化として提案することによって新しい価値やライフスタイルを創造し、人々の豊かな生活づくりへ貢献することを経営理念としてきました。

また、2021年4月に策定した当社グループの中期経営ビジョン『ONWARD VISION 2030』の中で、今までの経営理念の上に、地球環境の潤いと彩りを大切にするサステナブル経営の理念を重ね合わせた、「ヒトと地球(ホシ)に潤いと彩りを」という新しいミッションステートメントを定めました。

当社グループを取り巻く経営環境が構造的に大きく変化する中、「社員の多様な個性を生かしたお客さま中心の経営」を日々実践し、「お客さまにとっての価値をお客さま自身と共創できる企業」へと進化するために、グループ社員一丸となって努力を続けていきます。

 

② 目標とする経営指標

当社グループは、成長性と収益性を高め、継続的・安定的に企業価値の向上をはかることが株主重視の経営と認識し、売上の拡大と効率的な経営をより推進して、中長期的には売上高や各利益率指標の更なる向上をめざすとともに、資本の投資効率を高め、ROE8%を早期に実現したうえで、将来的にROE10%以上の水準をめざします。

また、当社グループでは、新規事業の創出やM&A等を活用した事業基盤の強化・拡大による成長を加速していく中で、会計基準の差異にとらわれることなく企業比較を容易にすることを目的とし、EBITDA(営業利益+減価償却費およびのれん償却費)を経営指標としています。

なお、当連結会計年度のEBITDAは39億15百万円(前年同期は△141億33百万円)となりました。

 

③ 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、「社員の多様な個性を生かしたお客さま中心の経営」への進化をめざし、「アパレルセグメントのビジネスモデル改革」「ライフスタイルセグメントの成長の加速」「法人ビジネスの強化」「多様で個性的な人財が活躍できる企業への進化」「地球と共生するサステナブル経営の推進」を2030年度に向けた5つの戦略とし、事業規模の拡大と経営基盤を強化し、企業価値の一層の向上をはかっていきます。

 

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