当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、ワクチン接種率の進展に伴う新規感染者数の減少により、景気は回復基調へ転じる動きがみられたものの、新たな変異株による感染再拡大に加え、ウクライナ情勢の悪化などにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く繊維・アパレル業界におきましても、政府や自治体の緊急事態宣言やまん延防止等重点措置等の実施により、商業施設の一部休業や営業時間短縮、外出自粛による消費低迷や購買志向の変化により、極めて厳しい状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは、更なる企業価値向上を目指し、3ヶ年の中期経営計画「CHALLENGE NEXT 100」を策定、3つの基本戦略である「アジア市場」「DX推進」「全社戦略」を中心に、長年にわたり培ってきた経営資源を有効活用し、収益拡大に取り組んでまいりました。
売上高及び売上総利益
新型コロナウイルス感染症の影響により、国内外ともに厳しい市場環境が続くなか、売上高は前連結会計年度に比べて252百万円(1.5%)減の16,914百万円となり、売上総利益は前連結会計年度に比べて515百万円(7.2%)減の6,647百万円となりました。
営業利益及び経常利益
経費削減に努めた結果、販売費及び一般管理費の合計額が前連結会計年度に比べて302百万円減少いたしましたが、営業利益は前連結会計年度より213百万円(10.9%)減の1,743百万円となり、経常利益は前連結会計年度に比べて354百万円(13.1%)減の2,349百万円となりました。
税金等調整前当期純利益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益として債務免除益など1,243百万円計上し、特別損失として商標権の減損損失など757百万円計上し、また前連結会計年度は使用権資産等の減損損失を計上したことなどにより、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べて1,317百万円(86.7%)増の2,836百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて995百万円(87.1%)増の2,137百万円となりました。
また、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の26円14銭から23円05銭増加の49円19銭となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
英国ブランド「DAKS」を軸に、国内をはじめ、中国・香港・マカオ・台湾・韓国・タイなどのアジア市場において、ブランド価値向上を重視し、EC販売の強化など、ブランドビジネスの展開拡大を図っております。
国内事業は、「DAKS」「LEONARD」を百貨店などに販売する国内子会社では、不採算店舗から撤退、プロパー販売を重視し、粗利率の向上に努めるなど、収益体質の強化策を推し進めてまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響による消費低迷などにより、微増収となりました。人件費などの経費削減の効果が大きく、増益となりましたが、休業期間中の固定費の特別損失への振替額が前年同期に比べ少なかったことなどにより、前期並みの利益となっております。
また、海外事業は、「DAKS」などを展開するアジア市場において、新規店舗をオープンするなど事業展開を拡大しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた地域もあり減収、英国DAKS社の事務所移転などの経費削減の効果もありましたが、微減益となっております。
以上の結果、当事業全体の売上高は前期比1.4%減の7,482百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比1.5%減の1,430百万円となりました。なお、収益認識会計基準等の適用により、売上高、セグメント利益はそれぞれ31百万円増加しております。
繊維関連事業
製品OEM事業は、依然として厳しい市況が続き、受注競争が加速する中、販売面においてはアパレル商材以外の取り組みを強化し、生産面においては顧客ニーズに対応した商品の供給体制を整備することにより、重点得意先との取引拡大を図っております。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、取引先各社が商品生産計画の見直しを行っている中、取引先とのより一層の取り組み強化に注力し、微増収となりました。人件費などの経費削減効果もありましたが、為替によるコスト高の影響などにより前期並みの利益となり、加えて、前連結会計年度は引当金の取り崩し益を計上しているため、結果として減益となりました。
以上の結果、当事業全体の売上高は前期比0.5%増の8,446百万円、セグメント利益(営業利益)は前期比41.1%減の242百万円となりました。
不動産関連事業
大阪の賃貸ビルをメインとして東京・横浜・神戸などの不動産賃貸事業は、稼働率は安定的に推移し、イベントホール事業は、一定期間の営業自粛があった前連結会計年度に比してイベント数が増加いたしましたが、内装工事事業は、新型コロナウイルス感染症の影響もあり工事件数が減少いたしました。
以上の結果、当事業全体の売上高は前期比8.5%減の1,737百万円、セグメント利益(営業利益)は前期比3.2%減の579百万円となりました。
(注)上記のセグメント売上高には合計752百万円のセグメント間の内部売上高又は振替高が含まれております。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
生産金額は僅少であるため記載を省略しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については、相殺消去前の数値であります。
① 流動資産
流動資産は、前連結会計年度末に比べて909百万円(4.1%)減少し、21,221百万円となりました。
これは、現金及び預金が693百万円減少、商品及び製品が317百万円減少したことなどによるものであります。
② 固定資産
固定資産は、前連結会計年度末に比べて54百万円(0.2%)減少し、29,462百万円となりました。
これは、商標権が409百万円減少、建物及び構築物(純額)が364百万円減少した一方で、投資有価証券が873百万円増加したことなどによるものであります。
③ 流動負債
流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,134百万円(15.5%)減少し、6,173百万円となりました。
これは、未払費用が598百万円減少、リース債務が362百万円減少したことなどによるものであります。
④ 固定負債
固定負債は、前連結会計年度末に比べて1,165百万円(19.4%)減少し、4,844百万円となりました。
これは、リース債務が1,239百万円減少したことなどによるものであります。
⑤ 純資産
純資産は、前連結会計年度末に比べて1,335百万円(3.5%)増加し、39,666百万円となりました。
これは、自己株式が875百万円減少、その他有価証券評価差額金が320百万円増加、純資産から控除している為替換算調整勘定が309百万円減少したことなどによるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて693百万円減少(前連結会計年度は2,712百万円の増加)し、当連結会計年度末には16,414百万円(前連結会計年度末における現金及び現金同等物は、17,108百万円)となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上額が2,836百万円、減損損失が714百万円、減価償却費の計上額が570百万円となった一方で、債務免除益が941百万円、法人税等の支払額が438百万円あったことなどにより、2,389百万円の収入(前連結会計年度は2,502百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の取得による支出が401百万円あったことなどにより、457百万円の支出(前連結会計年度は1,127百万円の収入)となりました。
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、リース債務の返済による支出が1,452百万円、配当金の支払額が655百万円あったことなどにより、2,719百万円の支出(前連結会計年度は1,061百万円の支出)となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入を資金の源泉としております。また、設備投資ならびに事業投資等の長期資金需要につきましては、自己資金はもとより、金融機関からの借入等、金利コストの最小化を図れるような調達方法を検討しております。
当社グループは、売上高経常利益率を重要な指標として位置づけており、当連結会計年度の売上高経常利益率は13.9%(前連結会計年度比1.9%減)となりました。
引き続き当該指標について改善されるよう取り組み、2024年3月期に連結経常利益25億円を目指しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断を行っております。当社グループは特に下記の会計方針が重要な見積り及び判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
① 棚卸資産
当社グループは、棚卸資産の評価基準に原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しております。商品及び製品については、それぞれの販売可能性について推定される将来需要及び市場状況を踏まえて、販売見込額まで減額しています。当該商品及び製品に関する実際の販売価格が、販売見込額を下回った場合には追加の損失が発生する場合があります。
② 固定資産の減損
当社グループは、有形固定資産、商標権等の固定資産を保有しております。有形固定資産及び商標権等のうち、減損の兆候が認められる資産又は資産グループについては、回収可能価額(当該資産又は資産グループから得られる割引後将来キャッシュ・フローの総額もしくは当該資産又は資産グループの正味売却価額のいずれか高い方の金額)が帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで減損し、減損した当該金額を減損損失として計上することとなります。そのため、当該資産又は資産グループが属する事業の経営環境の著しい変化や収益状況の悪化等により、見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合には減損損失が発生する可能性があります。
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