課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 経営方針

当社グループは、「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、中長期の経営方針を定め、それをさらに年度の全社方針に展開し事業推進しております。当社グループは、この経営理念により、スポーツの振興と発展のため積極的に使命と役割を果たし、社会への貢献と企業の発展を目指しております。

また、当社グループは、主たる経営指標としてROA(総資産事業利益率)を採用しております。ROAは収益的成長と財務状態が適正にバランスすることにより向上する指標であり、現時点で中期的な目標を連結ベースで7%以上といたしております。この目標を達成するために、資産の効果的・効率的な投下による収益の最大化を図り、企業価値を増大させていきたいと考えております。

 

(2) 経営環境及び対処すべき課題

当社グループは、持続的成長と企業価値向上のため、下記のとおり経営の重点課題に取り組んでまいります。
 

世界が直面する新型コロナウイルス感染症の拡大はいまだ収束の時期は見通せず、また気候変動リスクも年々高まりを見せております。これらコロナ禍や気候変動といった社会情勢の変化は、私たちの社会や経済に多大な影響を及ぼし、消費動向にも大きな変化をもたらしております。環境保全や社会への配慮を重視するエシカルな消費者が増え、より環境負荷の低いもの、何らかの社会課題解決につながるものが選ばれるなど、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の方向に世の中の価値観が大きくシフトしています。

当社グループは、1991年から地球環境保全活動「Crew21」を開始し、環境配慮型製品の開発や資源の有効活用などの取り組みを進めてきました。こうした活動は企業の社会的責任として今後も継続して取り組みを強化してまいります。

さらに、SDGsへの貢献に向けて策定した「価値創造ストーリー(※)」を踏まえ、社会貢献と事業収益を一本化させたビジネスモデルをより進化させることを目的に、「環境保全」「スポーツを通じた心身の健康」「人間性の尊重」をサステナビリティ活動の戦略領域とし、グローバルで取り組みを加速させ、情報開示も積極的に行っていきます。

変化の激しい新たな時代を迎える中、スポーツがもたらすさまざまな価値がいま改めて見直され、スポーツへの期待がより高まっています。当社グループは、これまでもスポーツの分野で培ってきた強みを生かし、一つのものに偏らずに多くの柱を持ち、機能や素材を生み出す開発力と、高い品質のモノづくりを実現する技術力を培ってきました。そして、2022年度にはスポーツの力で社会課題を解決するさらなるイノベーションの創出に向けた「新研究開発拠点(イノベーションセンター)」が完成します。アスリートのさらなるパフォーマンス向上と一般生活者のクオリティ・オブ・ライフを向上させる商品・サービス・場を開発・提供することを目的に、その時々の社会動向や人々のニーズをいち早くキャッチしながら、価値創造に取り組んでまいります。

 

※2030年に向けた価値創造ストーリー

■ミズノの強み:Heritage & Beyond

これまでに培った強みを生かし、新たな戦略ドメインにチャレンジ

Heritage:これからも全事業で継続して
培うべきビジネス資産

 Beyond:強みを生かした新規戦略ドメインと
 今後新たに獲得していく強み

• スポーツブランドとしての信頼
• トップアスリートに選ばれる開発力
• 高い品質を実現する技術力
• スポーツに関連するネットワーク
• スポーツマインドを持つ人材

• ライフスタイル
• 健康
• ワークビジネス
• 施設運営サービス
• BtoB
• イノベーション創発(新研究開発拠点)

 

 

 

■ミズノのビジネス領域:Sports & Beyond

スポーツを核としたビジネス領域の拡大にチャレンジ

Sports

Beyond:Sports

• for Sports Players

 スポーツをする人をターゲットとしたビジネス

• for Sports Community

 スポーツを応援する人をターゲットとしたビジネス

• 快適な日常生活をサポートするビジネス

• 中高年の健康、子どもの発育、障がい者の支援を

  ターゲットとしたビジネス

• 作業安全・効率化をターゲットとしたビジネス

• 技術・知見を生かしたSDGs貢献型ビジネス

 

 

 ■ミズノの提供する社会価値:Responsibility & Beyond

ステークホルダーの期待に対応するCSRから、その期待を超える新たな事業展開を通じた

サステナビリティとSDGsへの貢献にチャレンジ

 Responsibility:ビジネスに伴う責任ある企業行動

Beyond:ビジネスを通じた社会的価値の提供

• 安全で高品質な製品への責任
• 人権に配慮した責任ある調達
• ライフサイクルを通じた地球環境問題への責任
• 責任ある事業慣行

• スポーツの持つ多面的な価値への貢献

・スポーツを通じた心身の健康
・スポーツを核とした地域コミュニティの発展
・スポーツを軸とした多様性の推進
・スポーツを通じた平和貢献

• 社会課題解決(SDGs)への貢献

・健康寿命の延伸
・子どもの運動能力・体力の向上
・ミズノの技術を応用したSDGs貢献

 

 

また、当社グループは、社会からの期待や懸念、また、当社グループ事業が環境や社会に与える影響を踏まえて、CSR・サステナビリティ上の重要課題(マテリアリティ)の特定を行い、製造サプライヤーにおける環境・社会影響への低減、子どもの体力・運動能力の向上やシルバー世代の健康寿命の延伸、ダイバーシティなどを重要課題として定め、取り組みを進めております。

当社グループの経営理念「より良いスポーツ品とスポーツの振興を通じて社会に貢献する」は、単に良質なスポーツ品の提供のみならず、スポーツの楽しさを一人でも多くの人々に届け「フェアプレー、フレンドシップ、ファイティング・スピリット」というスポーツの宿す精神を一人でも多くの人々に体験してもらうこと、また、社会が直面する課題に対しスポーツの持つ可能性を最大限に活かしたソリューションを関係機関と協力して提供すること、そして、それらの活動を通じて、一人ひとりが輝ける豊かでサステナブルな社会の実現に貢献することを包含しております。

この取り組みの一環として、2018年9月に当社は、ベトナム社会主義共和国の教育訓練省と「ミズノ・ヘキサスロン運動プログラム導入と定着に関する協力覚書」を締結しました。

「ミズノ・ヘキサスロン」とは、運動が苦手な子どもでも楽しくスポーツの基本動作を習得できる運動遊びメニューと運動能力測定を組み合わせた当社が開発した運動プログラムであります。

ベトナム初等義務教育の新学習指導要領にミズノ・ヘキサスロン運動プログラムが、正式に導入されることを目指し、2015年から活動を続けておりましたが、一連の活動に対し、2018年9月に、経済産業省を主務官庁とするニュービジネス協議会主催の「第6回グローバル大賞(経済産業大臣賞)国際アントレプレナー賞」を受賞するなど一定の評価を得ております。

今後も、日本だけではなく、海外の国や地域に根差したグローバルなスポーツ振興活動を積極的に推進してまいります。

 

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