業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度(2019年3月1日~2020年2月29日)におけるわが国経済は、消費税増税の影響や新型コロナウイルス感染症拡大による世界規模で過去に類を見ない影響により、厳しい経済環境及び個人消費の停滞が続いております。

 当社におきましても、ウイルス感染拡大の影響を受け、一部の商品供給や店舗運営に支障が生じております。このような状況において、お客様や加盟店・ストアスタッフの安全を第一にしながらもそれぞれの地域のお客様に寄り添いながら地域社会に貢献し、さらなる事業の成長へ向けた取組みを継続しております。

 当連結会計年度の業績につきましては、営業収益は5,170億6千万円(前連結会計年度比16.2%減)、事業利益(注)は645億4千7百万円(同25.2%増)、税引前利益は462億2千1百万円(同994.1%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は435億2千9百万円(同4.1%減)となりました。

 

(注)事業利益は、営業収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した当社独自の利益指標であり、IFRSで開示が要求されているものではありません。

 

②財政状態の状況

 資産合計は、前連結会計年度末より6,039億9千9百万円増加し1兆9,761億1千6百万円となりました。これは主として、IFRS第16号「リース」(2016年1月公表)(以下「IFRS第16号」という。)の適用に伴う使用権資産の増加によるものであります。

 負債合計は、前連結会計年度末より 5,953億6百万円増加 1兆3,776億8千6百万円となりました。これは主として、IFRS第16号の適用に伴うリース負債の増加によるものであります。

 資本合計は、前連結会計年度末より 86億9千3百万円増加 5,984億3千万円となりました。これは主として、利益剰余金が増加したことによるものであります。

 これらの結果、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は 29.7 %、D/Eレシオ(ネット)は△0.2倍となりました。なお、当社ではD/Eレシオの算定においてリース負債を有利子負債に含めておりません。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,535億2千5百万円となり、前連結会計年度に比べ937億8千3百万円増加しております。これは主に、IFRS第16号の適用に伴い減価償却費及び償却額が増加したことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は1,238億2百万円となりました(前連結会計年度は1,092億5千7百万円の資金獲得)。これは主に、投資の取得による支出が増加したこと、前連結会計年度において完了したユニー株式会社の株式譲渡により非継続事業からの投資活動キャッシュ・フローが減少したことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は2,114億8千2百万円となり、前連結会計年度に比べ552億4千8百万円増加しております。これは主に、IFRS第16号の適用によりリース負債の返済額が増加したことによるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度末の資金は、前連結会計年度末に比べ819億1千8百万円減少し、2,832億4千5百万円となりました。

 

④生産、受注及び販売の実績

セグメントごとの営業収益

 当社グループは「コンビニエンスストア事業」の単一セグメントであり、当連結会計年度のセグメントごとの営業収益は以下のとおりであります。

 

当連結会計年度

(2019年3月1日~2020年2月29日)

金額(百万円)

前期比(%)

構成比(%)

コンビニエンスストア事業

517,060

83.8

100.0

合計

517,060

83.8

100.0

(注)上記金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(1976年大蔵省令第28号)第93条の規定により、IFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 及び 4.重要な会計上の判断及び見積り」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度の営業収益は、前連結会計年度より 1,001億1千4百万円減少 (前連結会計年度比 16.2%減 )し 5,170億6千万円 となりました。

 事業利益は売上原価、販売費及び一般管理費の減少により 129億9千4百万円増加 (同 25.2%増 )し 645億4千7百万円 となりました。

 税引前利益は、店舗資産やのれんに係る減損損失等の減少により 419億9千6百万円増加 (同 994.1%増 )し 462億2千1百万円 となりました。

 しかしながら当期利益は、税金費用の増加、非継続事業からの当期利益の減少により、 101億6千1百万円減少 (同 17.7%減 )し 471億5千4百万円 となりました。

 非支配株主利益を控除した親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度より 18億4千万円減少 (同 4.1%減 )し 435億2千9百万円 となりました。

 

 当社は当連結会計年度においては、『加盟店支援の強化』『店舗収益力の強化』『デジタル推進』を中心として下記の事項に取り組みました。

(加盟店支援の強化)

 『加盟店支援の強化』では、加盟店支援「行動計画」に基づき、店舗の人手不足や人件費高騰の深刻化への対策として店舗作業の効率化を図るセルフレジやスライド棚などの設備投資及びスタッフ派遣サポートなどの取組みを開始いたしました。また、2020年3月より実施する「24時間営業分担金」の増額、「複数店及び再契約奨励金」の増額、そして2020年6月より本格始動する「時短営業」など加盟店の事業基盤を強化すべくさまざまな支援を準備しております。「廃棄ロス削減策」として土用の丑(うなぎ)商品、クリスマス関連商品や恵方巻などの季節商材を予約販売化したことにより廃棄ロスが削減され、利益が増加した加盟店比率は増加しております。これらの施策を通じて加盟店が経営に集中できる環境づくりを推進しております。

(店舗収益力の強化)

 『店舗収益力の強化』では、当連結会計年度に全店導入が完了した新型コーヒーマシンを活用した拡販策の一つとして当社独自の電子マネー機能「FamiPay決済」を実装したスマートフォンアプリ「ファミペイ」の回数券サービスを開始いたしました。「カフェラテ」を中心とした各種メニューも順調に販売が伸長しております。また、「お母さん食堂」シリーズは、惣菜に加えラインナップを強化している冷凍食品も継続して売上を牽引しております。デザートでは累計販売数1900万個を突破した「スフレ・プリン」シリーズや2020年2月より食感に特徴のあるワンハンドタイプスイーツ「デザートモンスター」シリーズなどを展開し、デザートカテゴリーが好調に推移しております。そして健康意識の高まりを受けて販売を開始した「スーパー大麦」使用商品は累計販売数1億食を突破いたしました。

(デジタル推進)

 『デジタル推進』では、2019年7月にスタートしたスマートフォンアプリ「ファミペイ」が2019年11月のマルチポイント化以降「dポイント」「楽天スーパーポイント」「Tポイント」との継続した連携キャンペーンを実施し、2020年2月末時点で累計500万ダウンロードを突破いたしました。「FamiPay決済」の利用者数も増加しており、お客様に店頭でお得に便利にご利用いただけるさまざまな施策を企画・実施しております。

(サステナビリティ)

 当社は、サステナビリティ経営の高度化に向けて、事業活動を通じて優先的に解決すべき重要課題(マテリアリティ)を特定し、取組みを継続的に強化しております。その中でも持続可能な社会の実現への貢献のため、2030年及び2050年に向けた中長期目標として「ファミマecoビジョン2050」を策定いたしました。テーマに基づき中長期的な数値目標を設定し、全社一丸となって目標達成に向けた取組みを推進いたします。

(事業構造の変革)

 当社は、時代に適応したビジネスモデルを追求するために、市場環境に適した店舗運営体制の構築に向け事業構造の変革に取り組んでおります。エリア本部を新設し本社機能から各地域に営業・開発機能の移管を行うことで地域に密着した組織づくりに努めるとともに、現在の店舗数に合わせた人員体制の適正化を図るために実施した早期退職優遇制度を経て、チェーン全体の競争力を高めてまいります。なお、早期退職優遇制度利用者は計1,025名(割増退職金総額155億円)となり、2021年2月期以降、連結決算における税引前利益段階において年間約80億円の経費減につながると見込んでおります。

 

 当連結会計年度末の国内店舗数は16,611店(国内エリアフランチャイザー3社計925店を含む)となりました。海外事業では、東アジアを中心に7,952店となり、国内外合わせた全店舗数は24,563店となりました。

 

 なお、当社グループは、従来「コンビニエンスストア事業」及び「総合小売事業」の2事業を報告セグメントとしておりましたが、前連結会計年度及び当連結会計年度における子会社株式の譲渡に伴い、報告セグメントの見直しを行った結果、当連結会計年度より当社グループの報告セグメントは「コンビニエンスストア事業」の単一セグメントに変更しております。

 また、当社は、2019年9月1日を効力発生日として、完全子会社である株式会社ファミリーマートの吸収合併を行い、本合併後の商号を株式会社ファミリーマートに変更すると同時に、コーポレートメッセージ「あなたと、コンビに、ファミリーマート」のもと基本理念を改定いたしました。

 

③資本の財源及び資金の流動性に関する情報

a.キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

b.資金需要

 当社グループの資金需要は主に大きく分けて運転資金需要と設備資金需要の二つがあります。運転資金需要のうち主なものは販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、設備資金需要としましては、コンビニエンスストア事業における新規出店、既存店改装及び什器・システム機器等の店舗投資によるものであります。

 

c.財政政策

 当社グループは現在、運転資金につきましては自己資金により充当し、設備資金につきましては、自己資金のほか設備資金計画に基づく調達計画を作成することにより対応しております。自己資金に不足が生じる場合、リース、借入金又は社債等による調達を行うこととしております。

 なお、海外子会社につきましては、運転資金、設備資金とも、原則として直接現地法人により調達を行っておりますが、必要に応じ、当社が保証を差入れております。

 

 

(3) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報

 IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は以下のとおりであります。

(のれんの償却)

 日本基準では、のれんの償却については、償却年数を見積り、その年数にわたり償却しておりましたが、IFRSでは、移行日以降の償却を停止しております。 この影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が前連結会計年度において8,812百万円、当連結会計年度において9,819百万円減少しております。

(退職給付にかかる費用)

 日本基準では、発生した数理計算上の差異及び過去勤務費用をその他の包括利益として認識した後に一定期間にわたり償却しておりました。IFRSでは、数理計算上の差異は発生時にその他の包括利益として即時認識するとともに、直ちに利益剰余金に振り替えております。また、過去勤務費用は発生時に損益として認識しております。

 利息の計算において、日本基準では退職給付債務に割引率を乗じて算定した利息費用と、年金資産に長期期待運用収益率を乗じて算定した期待運用収益を使用しておりましたが、IFRSでは確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除した金額に割引率を乗じて算定した利息純額を使用しております。

 これらの影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が前連結会計年度において1,455百万円増加し、当連結会計年度において52百万円減少しております。

(固定資産税)

 日本基準では、日本国内で賦課される固定資産税について、納税した連結会計年度にわたって費用処理しておりましたが、IFRSでは賦課基準日において一括して負債計上しております。この影響により、IFRSでは日本基準に比べて販売費及び一般管理費が前連結会計年度において4,209百万円減少し、当連結会計年度において138百万円増加しております。

(リース)

 日本基準では、借手のリースについてファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、オペレーティング・リースについては通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っておりましたが、IFRSでは原則としてすべての借手のリースについて使用権資産及びリース負債を計上しております。この影響により、IFRSでは、連結財政状態計算書において使用権資産を765,081百万円、リース負債を707,740百万円それぞれ計上しております。また、連結損益計算書において販売費及び一般管理費が12,188百万円減少し、その他の収益が135百万円増加し、その他の費用が1百万円増加し、金融収益が431百万円減少し、金融費用が5,934百万円増加しております。

 

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