(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。これに伴い、当連結会計年度と前連結会計年度とでは、売上高に対する認識が異なるため、以下の経営成績に関する説明では、売上高については前年同期数値、増減額及び前年同期比(%)を記載しておりません。
詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が繰り返し発令される等、経済活動に大きな制約を受けました。その後、新型コロナウイルス感染症の第5波に対する緊急事態宣言の解除やワクチン接種率の増加に伴う感染者の減少もあり、経済活動は徐々に正常化に向かうものの、第6波の到来、オミクロン変異株の出現も影響し、サプライチェーンの混乱が回復しきれず、依然として厳しい状況で推移いたしました。オミクロン変異株の重症化率や死亡率の低さを踏まえ、防疫措置を緩和する動きは広がっているものの、家計の貯蓄は依然として過剰を示しており、需要回復の遅れが続きました。
世界情勢を概観しますと、国や地域によるばらつきを伴いつつも、政策効果に支えられ、総じてコロナ危機による落ち込みから回復基調となりました。欧米先進国では、ワクチン接種率が上昇し、防疫と経済活動の両立が進みましたが、部品・原材料不足の深刻化、資源価格の高騰、中国の電力不足による生産減速などの影響から、回復のペースは減速いたしました。また、ロシアによるウクライナ侵攻が、資源・原材料高に拍車をかけ、地政学リスクによる調達難が世界経済に悪影響を及ぼしたことで景気回復に陰りが生じ、先行き不透明な状況で推移いたしました。
このような状況の下、当社グループは、中期経営計画「第5次MMプラン」の2年目として神奈川エリアを中心とした水産物流通システムの構築を実現すべく、顧客密着型営業の展開によってグループ一丸となって邁進してまいりましたが、その成果は限定的であり、取り巻く環境の変化が大きく、中期経営計画「第5次MMプラン」の最終年度へ課題を残す結果にいたりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は37,592百万円となりました。なお、前連結会計年度に収益認識会計基準等を適用したと仮定して算定した前連結会計年度の売上高は33,194百万円となり、4,397百万円(前年同期比13.2%増)の増収となりました。
利益に関しましては、経費節減に努めたものの、一部経費の増加の影響もあり、営業損失は152百万円と前連結会計年度に比べ67百万円(前連結会計年度営業損失84百万円)、経常利益は98百万円と前連結会計年度に比べ119百万円(前年同期比54.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は160百万円と前連結会計年度に比べ130百万円(前年同期比44.8%減)それぞれ減益となりました。
財政状態の分析は、次のとおりであります。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、6,900百万円(前連結会計年度末は7,290百万円)となり、390百万円減少いたしました。現金及び預金の減少930百万円、受取手形及び売掛金の増加163百万円、商品及び製品の増加369百万円が大きな要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、11,246百万円(前連結会計年度末は10,721百万円)となり、525百万円増加いたしました。新たな賃貸管理物件の取得による建物及び構築物(純額)の増加346百万円及び土地の増加347百万円、投資有価証券の時価評価差額等による減少90百万円が大きな要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、3,443百万円(前連結会計年度末は3,259百万円)となり、183百万円増加いたしました。支払手形及び買掛金の減少129百万円、短期借入金の増加200百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加154百万円が大きな要因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、2,452百万円(前連結会計年度末は2,534百万円)となり、81百万円減少いたしました。長期借入金の減少60百万円、退職給付に係る負債の減少30百万円が大きな要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、12,251百万円(前連結会計年度末は12,218百万円)となり、33百万円増加いたしました。利益剰余金の増加64百万円、その他有価証券評価差額金の減少32百万円が大きな要因であります。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、売上高については、セグメント間取引の相殺消去後の数値であり、営業利益又は営業損失については、セグメント間取引の相殺消去前の数値であります。
(水産物卸売事業)
売上高は29,942百万円となり、営業損失は102百万円と前連結会計年度に比べ77百万円(前年同期 営業損失25百万円)の減益となりました。
(水産物販売事業)
売上高は7,284百万円となり、営業損失は113百万円と前連結会計年度に比べ45百万円(前年同期 営業損失158百万円)の改善となりました。
(不動産等賃貸事業)
売上高は114百万円となり、営業利益は52百万円と前連結会計年度に比べ33百万円(前年同期比38.7%減)の減益となりました。
(運送事業)
売上高は250百万円となり、営業利益は12百万円と前連結会計年度に比べ0百万円(前年同期比8.8%増)の増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による使用した資金448百万円、投資活動による使用した資金651百万円及び財務活動による獲得した資金169百万円により、前連結会計年度末に比べ930百万円減少し、当連結会計年度末には2,314百万円(前年同期比28.7%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果使用した資金は448百万円(前連結会計年度獲得資金686百万円)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益172百万円、売上債権及び棚卸資産の増加額538百万円、仕入債務の減少額129百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は651百万円(前連結会計年度獲得資金107百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出938百万円、有形固定資産の売却による収入243百万円、投資有価証券の取得による支出80百万円、投資有価証券の償還による収入102百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は169百万円(前連結会計年度使用資金293百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純増額200百万円、長期借入れによる収入400百万円、長期借入金の返済による支出306百万円、配当金の支払額95百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
水産物卸売事業 |
30,325,889 |
-12.6 |
水産物販売事業 |
4,489,624 |
25.8 |
不動産等賃貸事業 |
91,273 |
30.9 |
運送事業 |
304,993 |
1.8 |
合計 |
35,211,781 |
-8.8 |
(注)1.上記の金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
b.受注実績
該当事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
水産物卸売事業 |
29,942,059 |
-12.2 |
水産物販売事業 |
7,284,786 |
6.7 |
不動産等賃貸事業 |
114,557 |
-4.9 |
運送事業 |
250,835 |
4.2 |
合計 |
37,592,238 |
-9.0 |
(注)1.上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の数値であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。当社グループの自己資本比率は、当連結会計年度末において67.4%となっており、リスク耐性及び財務体質の健全性は引き続き高い水準にあると認識しております。また、当連結会計年度に銀行から600百万円の借入を実施、不動産等賃貸事業の拡大を目的として、新たに賃貸管理物件を取得しております。今後も必要に応じて設備投資等に資金を投じつつ、中長期的な成長による持続的かつ安定的な企業価値の向上、健全な財政状態の保持、基本方針であります安定配当継続の実現を目指してまいります。
当社グループの当連結会計年度の経営成績に関して、国際的な水産資源の需要拡大や、海洋環境の変化による漁獲量の減少も相まって、仕入単価の上昇を販売単価に転嫁しれきず、売上総利益率は低下(前連結会計年度に収益認識会計基準等を適用したと仮定して算定した売上総利益率との比較)し、更には、繰り返し発令された緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、対面型サービス業や外食産業を中心に大きな影響を受け、回復の遅れが長期化いたしました。
当社グループは、2020年4月よりスタートした3ヵ年の中期経営計画「第5次MMプラン」の最終年度として、当社が目指す姿に到達できるよう、「顧客密着型営業の展開」及び「プロフェッショナル人財の輩出」の2つを最重要戦略として、引き続き売上高の強化を図りながら、持続的な成長と発展に努めてまいります。
当社は、「1(経営方針、経営環境及び対処すべき課題等)(2)目標とする経営指標」に記載のとおり、連結自己資本配当率(DOE)1.0%を目安として、株主への利益還元の重要な手段であるとの認識に基づく安定的な配当を継続することを基本方針としております。当連結会計年度のDOEは0.9%(前連結会計年度0.8%)となりました。また、安定配当継続の基本方針に合わせまして、資本効率や市場環境などを考慮のうえ自己株式の取得等を実施してまいります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状態に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
(水産物卸売事業)
当連結会計年度末における資産の残高は、8,721百万円(前連結会計年度末は9,309百万円)となり、588百万円減少いたしました。現金及び預金の減少864百万円、受取手形及び売掛金の増加318百万円が大きな要因であります。現金及び預金の減少に関しましては、新たに賃貸管理物件を取得したこと等によるものであります。
水産物卸売事業は、供給制約や資源価格の高騰、欧米を中心としたインフレ率の上昇など、新たなグローバルリスクも顕在化し、海洋環境の変化による漁獲量の減少も相まって、集荷に大きな影響が生じ、仕入単価の上昇を販売単価に転嫁しきれなかったこともあり、営業損失は膨らみました。
中期経営計画の最重要戦略であります「顧客密着型営業の展開」を念頭に置き、集荷力向上に向けた集荷体制を整備し、グループ全体の利益を創出できるように進めてまいります。
(水産物販売事業)
当連結会計年度末における資産の残高は、1,694百万円(前連結会計年度末は1,455百万円)となり、239百万円増加いたしました。商品及び製品の増加204百万円が大きな要因であります。取り扱う商品の需給バランスや価格の変動により、一時在庫が増加することはありますが、毎月1回行っている在庫会議にて、常に滞留在庫の有無を確認し、今後も適正在庫の維持に努めてまいります。
水産物販売事業は、当社グループの中期経営計画「第5次MMプラン」の顧客密着型営業の取組みにより、グループネットワークを最大限に活用し、邁進してまいりましたが、繰り返し発令された緊急事態宣言やまん延防止等重点措置に加えて、消費者に根付いた新型コロナウイルス感染症対策による自発的な自粛が、対面型サービス業や外食産業を中心に大きな影響を受け、宣言解除後の改善傾向に乗り切れず、回復の遅れが長期化いたしました。
様々な商品情報が満ち溢れた横浜市・川崎市中央卸売市場に存在する横浜丸魚との情報共有を図り、グループシナジーと付加価値を付けた差別化商品の販売強化などを通じて、収益力の強化を図ってまいります。また、さらなる「食の安全・安心」の実現のため、品質管理の強化と徹底した低温管理のために設備投資を行ってまいります。
(不動産等賃貸事業)
当連結会計年度末における資産の残高は、3,172百万円(前連結会計年度末は2,468百万円)となり、703百万円増加いたしました。前述のとおり、中長期的な成長による持続的かつ安定的な企業価値の向上を目的に、新たに賃貸管理物件を取得したこと等によるものであります。
不動産等賃貸事業は、賃貸管理物件の売却による減少はあったものの、新たな賃貸管理物件の取得により、安定的な収益体制が稼働いたしましたが、新規取得による費用が増加したため、営業利益は減益となりました。
既存賃貸物件の安定的な運用と賃貸管理を通して、安定収益を確保しつつ、新たな安定収益確保に繋がる可能性のある賃貸物件につきましては、入念に分析を行いながら、積極的な投資を行ってまいります。
(運送事業)
当連結会計年度末における資産の残高は、352百万円(前連結会計年度末は344百万円)となり、7百万円増加いたしました。
運送事業は、当社グループの中核事業であります水産物卸売事業の新規取引先の増加や市場施設の有効利用による物流の変化が影響し、業績は回復基調で推移いたしました。
中期経営計画の経営戦略の一つでありますローコストオペレーションを実現すべく、グループ全体の物流コスト削減や顧客サービスの強化に繋がる物流ソリューションの構築を目指してまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。営業活動の結果使用した資金は448百万円(前連結会計年度獲得資金686百万円)となりましたが、今後も売上債権及び仕入債務の管理、並びに在庫の適正化を図りつつ、運転資金の効率的な調達の実現を目指し、営業活動によるキャッシュ・フローの改善に努めてまいります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては以下のとおりであります。
当社グループの資金の調達方法及び状況につきましては、(財務政策)にて記載のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、商品仕入費用や人件費等の販売費及び一般管理費、及び設備投資資金であります。現時点において、重要な資本的支出の予定はございません。
(契約債務)
2022年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
|
年度別支払額(千円) |
||||
契約債務 |
合計 |
1年以内 |
1年超 3年以内 |
3年超 5年以内 |
5年超 |
短期借入金 |
200,000 |
200,000 |
- |
- |
- |
長期借入金 |
609,976 |
410,036 |
185,142 |
14,798 |
- |
リース債務 |
66,633 |
27,999 |
35,095 |
3,492 |
46 |
上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
(財務政策)
当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金又は銀行からの借入により資金調達することとしております。当連結会計年度末現在、短期借入金、1年内返済予定の長期借入金、および長期借入金の残高はそれぞれ200,000千円、410,036千円、および199,940千円となっております。今後も必要に応じて借入れを行い、品質管理の強化や安定的な収益体制の確保など、中長期的な成長に繋がる基盤強化に向けた設備投資を実施してまいります。また、資金の流動性確保のため、金融機関と当座貸越契約を締結しております。当座貸越契約とその借入実行残高の状況は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結貸借対照表関係)」に記載のとおりであります。
当社グループは、その健全な財務状態により、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備資金を調達することが可能であると考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計方針の選択、適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。見積りにつきましては、過去の実績や状況を踏まえた合理的な判断を基礎として行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
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