当連結会計年度における当企業グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症の影響が世界的に続き、また、年度末にはロシアによるウクライナ侵攻が勃発するなどの影響も加わり、半導体やエネルギー不足、物流の停滞、原材料価格等が高騰するなど、各国の社会及び経済に多大な影響を及ぼしました。国内においても、感染症の収束の兆しは見えておらず、地方自治体によっては、まん延防止等重点措置が講じられることなどにより経済活動が抑制されました。また、原油高をはじめとする物価高騰の影響も加わり、国内経済は低迷が続いており、今後の先行きについても全く見通せない状況となっております。
このような状況下にあって、当企業グループでは、客先・仕入先、グループ内の役職員やその家族をはじめとする、全ての皆様の安全・健康を第一に考え、感染拡大防止に努めながら、お客様のニーズを掴むべく、その活動範囲を徐々に拡大してまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績につきましては、中国において偏光板生産設備を受注したことやグループ全体の受注活動が活発化したことから、受注高は前年同期に比べ大きく増加いたしました。売上高もこれに伴い増加いたしました。また、利益面では、売上高が増加したことに加え、経費使用を必要最小限にとどめた結果もあり、それぞれ前年同期を上回ることができ、増収増益の経営成績となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の金額はそれらを適用した金額となっております。
(単位:百万円)
受注高は、前連結会計年度に比べ28.8%増加し、1,160億24百万円となりました。当連結会計年度についても新型コロナウイルス感染症の影響下、将来の売上高につながる受注獲得に特に注力いたしました。この結果、中国における大口受注契約締結に加え、比較的好調な業種、即ち、半導体製造設備メーカー、食品・物流業界、環境関連設備業界向けの受注を中心に増額することができました。
売上高は、前連結会計年度に比べ8.1%増収の968億90百万円となりました。営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は、それぞれ43億96百万円(前期比133.9%)、47億62百万円(前期比125.5%)、31億77百万円(前期比116.1%)となり、前連結会計年度に比べ増収増益となりました。
この経営成績の主な要因は、比較的好調な業種に対して受注活動に注力した結果として、売上高もそれにつれ増加したものであります。また、中国における大口受注設備も、工事の進捗に応じその一部を売上計上しておりますので売上高に積み増しすることができました。一方、売上高増額の結果に加え交通費を中心とした経費削減を徹底して行いました結果、利益額も増加いたしました。
海外市場におきましては、新型コロナウイルス感染症からいち早く回復した中国を中心に、順次売上高が回復基調となりました。
経営指標による連結経営成績の状況は、上記の状況の結果、受注高の前期比成長率が28.8%、売上高の前期比成長率が8.1%、営業利益の前期比成長率が33.9%、経常利益の前期比成長率が25.5%、親会社株主に帰属する当期純利益の前期比成長率が16.1%となりました。売上高経常利益率は4.9%、総資産経常利益率が6.7%、ROEが10.8%となり、前連結会計年度に比べ全ての指標において増加いたしました。これは、売上高増収に伴う利益額の増加が最大の要因でありますが、比較的利益率の高い設備装置部門や海外子会社の売上高の増加、経費削減効果が、営業利益率の増加となって現れております。また、かねてより10%維持を目標としているROEは10.8%となっており、収益力維持に努めている結果が反映していると考えております。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響が実体経済になお及んでいる状況下、今後の当企業グループの企業活動は、すぐにコロナ前に戻ることは出来ず、徐々に回復していくといったものにならざるを得ませんが、受注高・売上高の拡大並びに収益力を堅持し、客先をはじめとするステークホルダーへの貢献や、喫緊の課題である環境問題への対処などの社会的責任について事業を通じて果たしていきたいと考えております。
報告セグメントの業績は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の期首より、中部地区の業容拡大による組織変更を行い、中日本本部を設置しました。これに伴い、報告セグメントを従来の「西日本本部」から「西日本本部」と「中日本本部」に分割しております。このため、前年同期との比較については、セグメント変更後の区分に基づき比較を行っております。
(単位:百万円)
北海道・東北・甲信越・関東地区が担当エリアであり、全体の売上高の約36%を占めております。
当連結会計年度の売上高は、348億72百万円(前期比106.6%)となりました。当年度は、新型コロナウイルス感染症拡大により営業活動が制限されたものの、部品需要については、半導体製造設備メーカー向け関連部品をはじめ、全体的に売上が大幅増加基調となりました。この結果、営業利益は、19億54百万円(対前期4億73百万円増)となりました。受注高につきましては376億13百万円(前期比107.6%)と、前期に比べ大幅増額となりました。この結果、受注残高も前期に比べ増加しておりますので、これが今後の売上増加に寄与していくものと考えております。
北陸・関西・中国・四国・九州地区が担当エリアであり、全体の売上高の約34%を占めております。
当連結会計年度の売上高は、331億43百万円(前期比120.1%)となりました。当年度は、中国における偏光板生産設備の大口設備装置の売上が工事の進捗に応じ一部を計上出来たこと、比較的好調な食品・物流、環境関連設備業界向けの設備装置販売が好調であったことで、売上高が増加いたしました。また、部品需要についても、重工業向けや一般産業向けを中心に売上高が増加いたしました。営業利益は、23億51百万円(対前期7億3百万円増)となりました。これは、上記の大口設備装置分の利益計上に加え、部品需要の売上増による増益の影響であります。受注高につきましては469億41百万円(前期比166.1%)と大幅増額いたしました。これは、大口設備装置の受注に加え、重工業向けや一般産業向けの部品需要が回復したこと等が影響しております。受注残高も前期に比べ大幅増加しておりますので、これが今後の売上増加に寄与していくものと考えております。
東海地区が担当エリアであり、全体の売上高の約13%を占めております。
当連結会計年度の売上高は、125億0百万円(前期比87.7%)となりました。当年度は、新型コロナウイルス感染症拡大による営業活動が依然として制限されたことに加え、自動車減産等の影響により関連業界の設備投資が低調であったため、設備装置部門の売上高に影響を受けました。営業利益は、5億15百万円(対前期2億29百万円減)となりました。これは、売上高減少に伴う減額であります。受注高につきましては143億45百万円(前期比120.7%)と増額いたしました。これは、重工業向けや一般産業向けの部品需要が回復してきたこと等が影響しております。受注高回復により、受注残高は前期に比べ大幅増加しておりますので、今後の売上増加に寄与していくものと考えております。
当企業グループ全体の海外ビジネスやマテリアルビジネスを担当し、それらビジネスの拡大や、制御・センシングビジネスに向けた新商品の開発にも取り組んでいる部門で、その売上高は全体の約17%を占めております。
当連結会計年度の売上高は、163億73百万円(前期比108.7%)となりました。当年度は、海外子会社については、新型コロナウイルス感染症からいち早く回復した中国を中心に、順次売上高が回復を見せました。また、マテリアルビジネスについては、介護・衛生関連商品にかかる不織布等の売上は堅調に推移いたしましたが、海外展開している紅茶包装機等は、新型コロナウイルス感染症拡大による活動制限の影響を大きく受けました。この結果、営業利益は6億74百万円(対前期1億80百万円増)となりました。受注高については、海外子会社の活動拡大や介護・衛生関連商品にかかる不織布等の引合いが好調であったこと、また、新規事業であるセンシング・画像処理ビジネスも確実に受注額が拡大していることから、受注高については171億24百万円(前期比114.4%)と増額いたしました。受注残高も前期に比べ増加しておりますので、これが今後の売上増加に寄与していくものと考えております。
当連結会計年度における報告セグメントの業績を一覧表として示すと以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(3) 財政状態の分析
(単位:百万円)
当連結会計年度末の資産合計は767億73百万円であり、前連結会計年度末の644億96百万円に比べ、122億76百万円増加いたしました。このうち流動資産は、前連結会計年度末に比べ、124億33百万円増加いたしました。主な要因は、営業活動が活発化したためにより、現金及び預金が56億68百万円、受取手形、売掛金及び契約資産と電子記録債権が合計で48億75百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ、1億56百万円減少いたしました。主な要因は、投資有価証券の時価が下落したことにより前連結会計年度末に比べ1億10百万円減少したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は460億10百万円であり、前連結会計年度末の361億19百万円に比べ、98億91百万円増加いたしました。このうち流動負債は、前連結会計年度末に比べ、98億95百万円増加いたしました。主な要因は、営業活動が活発化したためにより、支払手形及び買掛金と電子記録債務が合計で64億75百万円、前受金が25億30百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ、4百万円減少いたしました。
当連結会計年度末の純資産合計は307億62百万円であり、前連結会計年度末の283億77百万円に比べ、23億85百万円増加いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を31億77百万円計上した一方で、配当金の支払い7億58百万円を実施したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は39.8%となり、財務安全性指標として維持する目標の30%を大きく超え、前連結会計年度に引き続き財務安全性を確保することができました。
(単位:百万円)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金)は、176億4百万円となり、前連結会計年度末より56億68百万円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ99億83百万円多い65億70百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益は47億48百万円、仕入債務の増加額64億46百万円等による資金の増加があった一方、売上債権の増加額50億21百万円等の資金の減少によるものであります。
当年度は、前年度から一転し、営業活動によるキャッシュ・フローが大幅な増加となりました。これは、前年度は、前々年度以前に回収した売上債権に対応した中国における大口の設備装置販売にかかる仕入債務の決済が影響し、当年度は、別案件であるものの、中国における大口の設備装置受注にかかる前受金の受領により増加したものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によって使用した資金は、前連結会計年度に比べ52百万円少ない1億52百万円となりました。
これは主に、当年度には固定資産の取得が減少し、1億6百万円の支出にとどまったためであったため資金の使用が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によって使用した資金は、前連結会計年度に比べ40百万円少ない8億8百万円となりました。
これは主に、配当金の支払額7億58百万円等の資金の減少以外には財務活動に要する資金が必要でなかったためであります。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当企業グループは、強固な財務体質と資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。このため、中期経営計画の中でも、自己資本比率の水準を30%以上に維持するという目標を掲げております。当連結会計年度末の自己資本比率は39.8%でありました。また、短期・長期借入金は必要最小限となるよう資金繰りを徹底し、増加運転資金には手元資金を効率的に運用することで対応しており、加えて、万一に備えての資金調達が行えるよう金融機関と貸出コミットメント契約を締結しております。一方、適切な情報開示・IR活動を通じて株主資本コストを低減できる様に努めております。
②経営資源の配分に関する考え方
当企業グループでは、適正な手元現預金の水準について目安を持っており、概ね年間売上高の1~2か月分が安定的な経営に必要な手元資金水準と考えております。この水準を大きく超えるものについては、企業価値向上に資する経営資源として適正に配分できるように努めております。
③資金需要及び資金調達
資金需要につきましては、売上原価又は棚卸資産に該当する仕入高、並びに販売費及び一般管理費の営業費用が、当企業グループの運転資金として要する主なものであります。販売費及び一般管理費の主なものは、人件費、出張旅費を主体とする旅費交通費、及び事務所家賃を主体とする地代家賃であります。
また今後、当企業グループの新たな収益の源泉となり、企業価値向上に貢献していくとの判断から、新規事業や海外事業について子会社の新設やM&Aも含めた投資の検討を行ってまいります。
資金調達につきましては、手元資金を効率的に運用することで対応しており、加えて、万一に備えての資金調達が行えるよう金融機関と貸出コミットメント契約を締結しております。
近時の新型コロナウイルス感染症拡大に直面し、当面の事業運転資金は手元資金により十分に確保しており、加えて、貸出コミットメント契約の他、銀行借入枠の確保等により、資金調達には万全を期しております。
当企業グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」の項目に記載の通りであります。重要な見積りについては、財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り・予測・判断が必要となり、当企業グループでは過去の実績値や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報に基づき、継続的に見積り・予測・判断を行っております。しかしながら、見積り特有の不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
当企業グループにおける重要な見積りとして、以下の事項が考えられます。
(進捗度に基づく売上高の計上)
進捗度に基づく売上高の計上は、工事ごとの管理体制を整備した上で、受注時に工事内容が特定され、その見積原価が反映していること、また受注後に工事内容に変化があった場合には、速やかに見積原価の変更を行うなど進捗管理を厳正に管理することで進捗率を合理的に見積り、それに見合った売上高を算定しております。
これらの見積りに対し、将来発生する様々な要因に伴い追加原価及び工期遅延が発生する可能性があるため、実際に生じた金額が見積りと異なる可能性があります。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」として記載しております。
(新型コロナウイルス感染症の影響に関する会計上の見積り)
当企業グループは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が少なくとも一定期間続くとの仮定のもと会計上の見積りを行っておりますが、翌年度の連結財務諸表に与える影響は軽微であると考えております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大による影響は不確定要素が多く、感染が再拡大した場合は翌連結会計年度の当企業グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)その他
当企業グループにおいて、重要な取引先として株式会社椿本チエイン及びそのグループ会社があります。その取引内容につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 関連当事者情報」の事項に記載の通りでありますが、株式会社椿本チエイングループの製品は当企業グループの事業戦略展開上の重要なコアの一つであり、従来から販売面のみならず、商品開発面及び相互間の業務処理の効率化といった面から継続的な協力・協働を進めてきております。同グループ製品群に係る市場でのコスト面、品質面での競争は激化しており、製・販一体となった更なる販売力・商品力の強化が求められております。
このような状況を踏まえ、当企業グループは、株式会社椿本チエイングループと共に統一した営業戦略の下での協力・協働関係を更に強化することとし、ターゲットとした事業領域・商品領域については、両者によるワーキングチームの編成等、一歩進めた共同営業の展開により同グループ製品の販売拡大を図って行くと共に、IT化により、相互間の事業処理面でも効率化を更に進めていくこととしております。
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