(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2021年2月1日~2022年1月31日)における国内経済は、当初、新型コロナウイルス感染症の感染状況緩和に伴い、個人消費や企業収益などに持ち直しの動きが見られていましたが、昨年末からは新たな変異株による感染再拡大が見られるなど、今後の見通しについては依然として不透明な状況が続いております。
当社グループが属するエレクトロニクス業界につきましては、幅広い分野において設備投資が底堅く推移し、旺盛な需要に下支えされましたが、半導体をはじめとする電子部品の供給不足や原材料価格の高騰などによるサプライチェーンの混乱は長期化しており、各分野において生産活動に影響が生じたほか、一部のICT製品の調達においてもタイト感が強まりました。
このような状況の中、当社グループは「環境変化に強い事業基盤の形成」を当連結会計年度における重点施策と位置づけ、既存ビジネスの推進・拡大のみならず、新たなビジネスモデルの構築、新たな事業の柱の育成に注力すると共に、これらを支えるインフラの整備に取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績につきましては、前期の新型コロナウイルス感染症による影響からの着実な回復が幅広い分野で見られたほか、デジタル家電向け半導体ビジネスの一層の拡大、半導体供給不足下における堅調な需要の下支えなどにより、売上高は1,120億99百万円(前期比17.0%増)、営業利益は22億58百万円(前期比78.2%増)、経常利益は24億円(前期比165.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は18億73百万円(前期比132.4%増)となりました。
売上高の品目別の概況は次のとおりです。
(半導体/デバイス)
売上高は637億93百万円で、前期より139億39百万円(28.0%)増加しました。
これは、主にデジタル家電向け半導体が増加したためです。
(ICT/ソリューション)
売上高は483億5百万円で、前期より23億67百万円(5.2%)増加しました。
これは、企業のIT関連投資の回復に伴い、幅広い商材で販売が堅調に推移したためです。
セグメントの業績概況は次のとおりです。
イ.日本
半導体供給不足下における旺盛な需要の下支えや、企業のIT関連投資の回復などにより、半導体/デバイス、ICT/ソリューション共に幅広い分野、商材で堅調な推移となり、外部顧客への売上高は755億69百万円で、前期より70億4百万円(10.2%)増加し、セグメント利益は17億97百万円で、前期より7億3百万円(64.4%)増加しました。
ロ.アジア
デジタル家電向け半導体が増加したことにより、外部顧客への売上高は365億29百万円で、前期より93億2百万円(34.2%)増加し、セグメント利益は5億89百万円で、前期より3億67百万円(166.0%)増加しました。
なお、連結損益計算書上の営業利益の金額は、上記の各セグメント利益に調整を行い算定しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、新株予約権の行使による自己株式の処分による収入等により92億4百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億59百万円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が25億26百万円となりましたが、たな卸資産が75億27百万円増加したこと等により、80億90百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ110億93百万円減少しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入22億67百万円等により25億54百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ78億76百万円減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、新株予約権の行使による自己株式の処分による収入等により68億72百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ252億円増加しました。
③仕入及び販売の実績
イ.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年2月1日 至 2022年1月31日) |
前年同期比(%) |
日本(百万円) |
75,314 |
16.8 |
アジア(百万円) |
33,455 |
60.4 |
合 計(百万円) |
108,770 |
27.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
ロ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年2月1日 至 2022年1月31日) |
前年同期比(%) |
日本(百万円) |
75,569 |
10.2 |
アジア(百万円) |
36,529 |
34.2 |
合 計(百万円) |
112,099 |
17.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年2月1日 至 2021年1月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年2月1日 至 2022年1月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
TCL ELECTRONICS (HK) LTD |
12,559 |
13.1 |
17,729 |
15.8 |
株式会社日本HP |
9,917 |
10.4 |
- |
- |
当連結会計年度における株式会社日本HPへの販売実績は、総販売実績に対する割合が10%未満のため、記載を省略しております。
3.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年1月31日)現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があることから、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表の作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
イ.棚卸資産の評価
当社グループは、正味売却価額が帳簿価額を下回っている場合は期末帳簿価額を当該正味売却価額まで切下げておりますが、仕入日から1年以上経過している商品及び製品(以下、「滞留在庫」という。)のうち、販売先からの注文書又は在庫引取に関するエビデンスがない滞留在庫について、過去の販売実績や廃棄実績に基づき決定した方針により規則的に帳簿価額を切下げると共に、切下げを行っていない残高についても、個別の販売可能性に基づいて帳簿価額を切下げております。
販売可能性については、市場動向、顧客への直近の販売実績や受注動向、今後の生産計画や受注見込み等の需要予測を勘案し、見積っております。
当該見積りは不確実性を伴うため、将来の市場環境の変化によって顧客の需要数量が急激に下落した場合や滞留在庫が増えた場合、追加の評価減が必要となる可能性があります。
ロ.貸倒引当金
債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
将来、顧客の財務状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
ハ.投資有価証券の減損
営業面での取引関係の維持・強化のために、特定の顧客・仕入先・金融機関の株式を保有しております。
市場価格のある上場株式については、期末における株価が取得原価に比べ30%以上下落した場合を著しく下落したものとし、回復可能性を総合的に判断の上、回復する見込みがあると合理的な根拠をもって予測できる場合を除き、株価と取得原価の差額に相当する額について減損処理することとしております。また、市場価格のない非上場株式については、実質価額が著しく下落し、かつ、その下落が一時的でないと判断した場合には、その下落した額について減損処理を行うこととしております。
将来、株式市場の悪化又は投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
ニ.退職給付費用
退職給付費用及び債務は、割引率等の数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率に基づいて算出されておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件が変更された場合、その影響は累積され、将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.経営成績等
a.財政状態
・ 当連結会計年度末の資産合計は726億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ133億15百万円増加しました。
流動資産は629億52百万円となり、前連結会計年度末に比べ155億29百万円増加しました。この主な要因は商品及び製品が78億52百万円増加したことによるものです。
固定資産は97億円となり、前連結会計年度末に比べ22億13百万円減少しました。この主な要因は、投資有価証券が24億21百万円減少したことによるものです。
・ 当連結会計年度末の負債合計は303億42百万円となり、前連結会計年度末に比べ89億98百万円増加しました。
流動負債は288億84百万円となり、前連結会計年度末に比べ90億59百万円増加しました。この主な要因は短期借入金が51億26百万円増加したことによるものです。
固定負債は14億58百万円となり、前連結会計年度末に比べ60百万円減少しました。この主な要因は、長期借入金が79百万円減少したことによるものです。
・ 当連結会計年度末の純資産合計は423億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ43億17百万円増加しました。この主な要因は、新株予約権の行使により自己株式が64億83百万円減少したことによるものです。
b.経営成績
当連結会計年度における当社グループの売上高は1,120億99百万円となり、前連結会計年度に比べ163億6百万円(17.0%)増加しました。
半導体/デバイスの売上高は637億93百万円で、前連結会計年度より139億39百万円(28.0%)増加しました。これは、主にデジタル家電向け半導体が増加したためです。
ICT/ソリューションの売上高は483億5百万円で、前連結会計年度より23億67百万円(5.2%)増加しました。これは、企業のIT関連投資の回復に伴い、幅広い商材で販売が堅調に推移したためです。
売上原価は1,013億66百万円(前期比147億68百万円増、原価率90.4%)となり、売上高から売上原価を差し引いた売上総利益は107億32百万円(前期比15億38百万円増)、売上総利益率は9.6%となりました。
販売費及び一般管理費は84億74百万円となり、前連結会計年度に比べ5億47百万円増加しました。この主な要因は、賞与引当金繰入額の増加によるものです。
以上の結果、営業利益は22億58百万円となり、前連結会計年度に比べ9億91百万円増加しました。
営業外収益は2億86百万円となりました。その主な内容は、投資事業組合運用益1億34百万円であり、前連結会計年度に比べ49百万円減少しました。
営業外費用は1億44百万円となりました。その主な内容は、支払利息90百万円であり、前連結会計年度に比べ5億53百万円減少しました。
以上の結果、経常利益は24億円となり、前連結会計年度に比べ14億95百万円増加しました。
特別損益は1億26百万円の利益となりました。その主な内容は、特別利益として投資有価証券売却益2億91百万円であり、前連結会計年度に比べ2百万円増加しました。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は25億26百万円となり、前連結会計年度に比べ14億97百万円増加しました。
税金等調整前当期純利益から法人税、住民税及び事業税5億45百万円、法人税等調整額1億7百万円を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は18億73百万円となり、前連結会計年度に比べ10億67百万円増加しました。
c.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社では、2019年3月に公表いたしました2022年1月期を最終年度とする3ヶ年計画において、当初「売上高:1,100億円」「営業利益:30億円」の業績目標を設定しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響長期化をはじめとする、足元の経営環境の変化等を踏まえ、2021年3月11日に新たな2022年1月期の連結業績予想を発表いたしました。
当連結会計年度における上記計画の達成状況については下記のとおりです。
指標 |
当初計画 (2019年3月公表) |
修正計画 (2021年3月公表) |
2022年1月度(実績) |
売上高 |
1,100億円 |
1,000億円 |
1,120億99百万円 |
営業利益 |
30億円 |
20億円 |
22億58百万円 |
なお、2023年1月期を初年度とする新・3ヶ年計画におきましては、「売上高」「営業利益」「ROE」を重要な経営指標と位置付けております。
<新・3ヶ年計画における数値目標>
売上高 |
営業利益(率) |
ROE |
1,100億円 |
33億円(3%) |
5.5% |
ロ.資本の財源及び資金の流動性
a.キャッシュ・フロー
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」において記載しております。
b.資金需要及び財政政策
当社グループの運転資金需要の主要なものは商品の仕入代金、販売費及び一般管理費等、設備投資や取引先への投資です。
これらの資金の調達は、自己資金及び金融機関からの借入れを基本としております。
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