業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、ワクチン接種は進展しましたが、新型コロナウイルスの影響が予想外に長引き、通年で影響を受けた一年となり、景気動向は不透明な情勢が継続しました。食品業界におきましては、コロナ禍による内食化や健康志向への対応に加え、気候変動の影響による原料費の高騰や物流費の上昇などを背景に価格引上げが行われました。

このような状況にあって当社グループでは、国内7か所目の工場として茨城県坂東インター工業団地に建設していた新ナッツ工場で全ラインの稼働が実現し、生産機能の活用による自社加工品・付加価値品の一層の拡売に注力しました。

これらの結果、売上面については、下期は日本セグメントが前年同期比での増収となり、連結売上でも前年同期比増加となりました。通年でも日本セグメントは増収でしたが、海外事業での売上減少が大きく、当連結会計年度の連結売上高は、前年同期比0.9%減の996億31百万円となりました。

利益面につきましては、工場建設により減価償却費が大きく増加しましたが、好調な国内販売を背景に売上総利益率は前期の16.1%から当期は16.6%まで上昇し、売上総利益は前年同期比2.4%増の165億72百万円となりました。一方、販売費及び一般管理費が3.4%増となったことから、営業利益は前年同期比0.3%減の41億82百万円となり、経常利益は0.6%減の42億79百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比0.3%減の27億89百万円となりました。

 

当期の品目別の業績は次の通りであります。

 

(乳製品・油脂類)

練乳、液状乳製品など関係会社工場製品および国内仕入のチーズ、バター、粉乳などの販売が好調に推移しましたが、国内生乳生産が増加したこともあり国内乳製品在庫の解消に時間を要していることから、輸入乳製品売上が減少となりました。この結果、乳製品・油脂類売上高は342億67百万円(前期比98.9%)となりました。

 

(製菓原材料類)

マロンペーストを中心にした栗製品が好調に推移し、チョコレート加工品、焼き菓子加工品、フルーツ洋酒漬け、コンビニエンスストア向けなどの国内仕入品が堅調に推移しました。この結果、製菓原材料類売上高は166億35百万円(前期比107.6%)となりました。

 

(乾果実・缶詰類)

日本国内では販売物量は増加しましたが、作柄の影響による原料価格低下を反映し平均販売価格が低下となりました。一方、中国ではコロナ禍の影響から中国産シード類の受入れ量が大きく減少しました。また、米国事業でもクルミ価格の低下による売上減となりました。これらの結果、乾果実・缶詰類売上高は301億43百万円(前期比95.2%)となりました。

 

(菓子・リテール商品類)

リテール商品については、コロナ禍により生じた内食化や健康志向を背景に、食品スーパーなどでの需要が引続き拡大し順調に推移しました。一方、菓子類については、前年のコロナ禍の影響での巣ごもり需要の反動があり、減収となりました。これらの結果、菓子・リテール商品類売上高は182億64百万円(前期比98.5%)となりました。

 

 

当期のセグメントの業績は次のとおりであります。

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

報告セグメント

調整額

連結損益
計算書計上額

日本

米国

中国

売上高

91,785

6,649

6,498

104,933

△5,302

99,631

セグメント利益又は損失(△)

4,231

512

△230

4,513

△330

4,182

 

(注)1.セグメント利益又は損失(△)の調整額△330百万円には、セグメント間消去△10百万円、全社費用△320百万円が含まれております。全社費用は、主に報告セグメントに帰属しない一般管理費であります。

2.セグメント利益又は損失(△)は、連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

 

   (日本)

当地域の売上高は、上期はコロナ禍の影響を受け、前年同期比減収となりましたが、下期は回復基調となり、国内乳製品販売、マロンペースト、コンビニエンスストア向けの国内仕入品売上、サラダベンダー向けのスイートコーンなどが好調に推移しました。また冷凍フルーツ、リンゴ加工品などのフルーツ加工品売上も回復しました。輸入乳製品売上の減少、前年の巣ごもり需要の反動での菓子類の販売減などはありましたが、合計で前年同期比0.4%増の917億85百万円となりました。

セグメント利益は、ナッツ、栗製品などの利益が増加し、生乳の加工事業(余乳処理)が好調に推移しましたが、輸入乳製品の減益と、菓子事業で前年第4四半期の新工場稼働に伴う減価償却費増を吸収できず減益となったことから、前年同期比2.6%減の42億31百万円となりました。

 

   (米国)

当地域の売上高は、コロナ禍での健康志向の上昇などからリテール向けプルーン小袋品の日本向け輸出が増加しました。一方、クルミについては2020年産の収穫増と堅調な需要を背景に販売物量は増加しましたが、平均販売価格の前年同期比低下により売上高は減少となりました。また、収穫量減少によりプルーンの米国内売上が減少となりました。これらの結果、当地域の売上高は前年同期比4.6%減の66億49百万円となりました

セグメント利益は、毎期第1四半期に計上している農園事業の採算が低下しましたが、製造工程の改善や販売戦略の奏功によるクルミの利益率の改善、好調な日本向けプルーン販売などから、前年同期比23.8%増の5億12百万円となりました。

 

    (中国)

当地域の売上高は、中国国内の自社工場を活用したアーモンド、クルミ、ラムレーズン、オレンジピールなどの中国内での販売が増加しましたが、コロナ禍の影響により入荷が制限された中国産シード類の欧州向け輸出売上減少が大きく、前年同期比11.0%減の64億98百万円となりました。

セグメント利益は、中国国内販売の利益は改善しましたが、欧州向けシード類輸出の大幅減少の影響が大きく、また元高の影響による円換算額の増加もあり2億30百万円のセグメント損失(前年同期は1億72百万円の損失)と赤字幅が拡大しました。なお、四半期別では、赤字額は減少傾向にあります。

 

当連結会計年度末の財政状態は次のとおりであります。

 

   (資産)

当連結会計年度末の総資産は、前年同期に比べ18億87百万円増加し、784億70百万円となりました。その主な要因は、流動資産については、「受取手形及び売掛金」が1億66百万円減少したものの、「現金及び預金」が4億31百万円、「仕掛品」が3億22百万円、「原材料及び貯蔵品」が1億22百万円それぞれ増加したことから、前年同期に比べ5億77百万円増加し、470億18百万円(構成比59.9%)となりました。固定資産については、有形固定資産が8億35百万円、投資その他の資産が4億33百万円それぞれ増加したことから、前年同期に比べ13億9百万円増加し、314億51百万円(構成比40.1%)となりました。

 

 

   (負債)

負債合計は、前年同期に比べ13億12百万円減少し、341億17百万円(構成比43.5%)となりました。その主な要因は、流動負債については、「支払手形及び買掛金」が4億96百万円増加したものの、「短期借入金」が8億62百万円、「1年内返済予定の長期借入金」が29億51百万円、「未払金」が5億51百万円、「未払法人税等」が2億85百万円それぞれ減少したことから、前年同期に比べ41億5百万円減少し、242億49百万円(構成比30.9%)となりました。固定負債については、「長期借入金」が27億円増加したことから、前年同期に比べ27億92百万円増加し、98億68百万円(構成比12.6%)となりました。

 

   (純資産)

純資産合計は、前年同期に比べ32億円増加し、443億52百万円(構成比56.5%)となりました。その主な要因は、「利益剰余金」が19億81百万円、「その他有価証券評価差額金」が2億62百万円、「繰延ヘッジ損益」が1億50百万円、「為替換算調整勘定」が7億73百万円それぞれ増加したことによるものです。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前期比4億31百万円増の98億58百万円となりました。

 

    各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりであります。

 

   (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は、63億6百万円(前年同期比5億12百万円増)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益42億61百万円、減価償却費27億27百万円、支払利息1億34百万円、売上債権の減少3億1百万円、たな卸資産の増加2億29百万円、仕入債務の増加3億94百万円、利息の支払額1億32百万円、法人税等の支払額17億1百万円によるものです。

前年同期比で資金が増加となりました要因は、たな卸資産の増減額が22億4百万円減少、法人税等の支払額が3億78百万円増加したものの、税金等調整前当期純利益が1億51百万円増加、減価償却費が4億24百万円増加、役員退職慰労引当金の増減額が2億51百万円増加、売上債権の増減額が10億11百万円増加、仕入債務の増減額が8億65百万円増加したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、40億42百万円(前年同期比17億1百万円減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得によるものです。

前年同期比で使用した資金が減少となりました要因は、有形固定資産の取得による支出額が15億65百万円減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、21億33百万円(前年同期比4億13百万円増)となりました。これは主に短期借入金の返済による支出10億19百万円、長期借入による収入29億円、長期借入金の返済による支出31億50百万円、配当金8億7百万円の支払によるものです。

前年同期比で使用した資金が増加となりました要因は、長期借入による収入が25億円増加、自己株式買取りによる支出が5億19百万円減少したものの、短期借入金の返済による支出が5億32百万円、長期借入金の返済による支出が28億84百万円それぞれ増加したことによるものです。

 

 

 ③ 生産、受注及び販売の実績

 (生産実績)

 当連結会計年度における生産実績をセグメントの区分に替えて事業の部門別に示すと、次のとおりであります。

 

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

乳製品・油脂類

10,685,920

110.5

製菓原材料類

5,884,972

113.8

乾果実・缶詰類

17,602,802

95.4

菓子・リテール商品類

17,605,414

98.3

合計

51,779,109

101.1

 

(注) 1.金額は販売価格によっております。

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(仕入実績)

当連結会計年度における仕入実績をセグメントの区分に替えて事業の部門別に示すと、次のとおりであります。

 

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

乳製品・油脂類

23,689,767

92.8

製菓原材料類

10,048,810

109.3

乾果実・缶詰類

8,942,093

97.4

菓子・リテール商品類

520,691

92.4

その他

336,562

94.7

合計

43,537,924

97.1

 

(注) 1.金額は仕入価格によっております。

2.上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(受注実績)

    当社および連結子会社は需要見込による生産方式をとっているため、該当事項はありません。

 

(販売実績)

    当連結会計年度における販売実績をセグメントの区分に替えて事業の部門別に示すと、次のとおりであります。

 

事業部門の名称

当連結会計年度

(自 2020年11月1日

至 2021年10月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

乳製品・油脂類

34,267,655

98.9

製菓原材料類

16,635,910

107.6

乾果実・缶詰類

30,143,622

95.2

菓子・リテール商品類

18,264,565

98.5

その他

319,401

105.6

合計

99,631,156

99.0

 

(注) 上記の金額には消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

この連結財務諸表の作成にあたっては、当社経営陣による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積もりを必要といたします。経営陣は、これらの見積もりについて過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積もり特有の不確実性があるため、これらの見積もりと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。

 

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度の経営成績等の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載の通りです。

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載の通りですが、中でも、海外も含めた産地からの農産物の調達・仕入れにつきましては、世界的な気候変動や自然災害の影響によって、作柄が影響を受け調達が難しくなる可能性があります。また、これに加え、主要消費地の需要や関税など貿易の枠組みの変化によって、価格が上下する可能性があります。これらの結果、仕入れのタイミングなどで仕入価格と販売価格の変動に時間差が発生する場合には、利益の増減要因となります。当社では販売担当とは別に商品別の担当者を置き、産地の状況を常に把握することで、価格変動リスクに備えると同時に、仕入先の分散や販売先の必要量の把握などにより、このようなリスクの低減を図っております。

経営上の目標の達成状況については以下の通りです。当社グループでは、日本、米国、中国の3地域に有している生産拠点を活用し、日本国内のみならず、中国、アジア、米国、欧州等の海外での売上も拡大しております。一方、現地価格や為替相場の変動による輸入食材の単価の変動がある場合には、販売数量が変わらない場合でも売上高の増減要因となります。従って、売上高よりも、売上総利益や営業利益での増益を主要な経営目標としております。また、企業価値の向上を目指し、ROE(株主資本利益率)で8%以上を目指す方針としております。当連結会計年度の達成状況は、下記の通りであります。

 

(単位:百万円)

前期

2021年10月期

前期比

計画比

実績

期初計画

実績

売上

100,572

100,000

99,631

△0.9%

△0.3%

営業利益

4,197

4,000

4,182

△0.3%

4.5%

経常利益

4,308

4,000

4,279

△0.6%

6.9%

親会社株主に帰属する
当期純利益

2,797

2,750

2,789

△0.3%

1.4%

ROE

7.0%

6.6%

 

当社グループでは安全・安心に向けた設備投資の継続などで一層の付加価値商品をご提供し、ROE8%以上を早期に達成していきたいと考えております。

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品及び製品、原材料等の仕入費用や生産子会社の製造費用並びに、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は生産施設における建物及び構築物の新改築や機械装置等の充実のための事業投資であります。

当社グループは、事業運営上必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金で賄うことを基本方針としつつ、不足分は金融機関からの短期・長期借入金により調達しております。また、一部はグループ内で資金の効率化を目的としてグループ会社間で融資を行っております。

 

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