業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けるなか、ワクチン接種が進んだことによる新規感染者数の減少、緊急事態宣言の解除等により、経済活動に回復の動きが見られました。しかしながら、新たな変異株の感染拡大に加え、ウクライナ情勢の緊迫化により世界経済の停滞が懸念されるなど、先行きの不透明な状況が続きました。

 このような状況の中、当社グループでは本年度よりスタートした中期経営計画”Dash Forward 2023”の基本方針に基づき、グループ総合力の発揮、コア事業の強化、激変する事業環境への対応などに取り組んでまいりました。

 当社グループを取り巻く事業環境につきましては、半導体需要の拡大に伴う設備投資が活発化するとともに、都市部を中心とした建設需要も回復基調で推移しました。一方で、部材不足の長期化や原材料価格高騰などの影響を受けました。

 以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

イ. 財政状態

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ9億80百万円増加し、482億33百万円となりました。

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ62百万円減少し、290億19百万円となりました。

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ10億43百万円増加し、192億14百万円となりました。

 当社グループでは、財務状況の安定性に関する指標である自己資本比率について目標を掲げており、当連結会計年度末における同比率は38.9%となりました。

 

ロ. 経営成績

 当連結会計年度の売上高は947億97百万円(前年同期比8.8%増)、営業利益は23億3百万円(前年同期比22.3%増)、経常利益は23億99百万円(前年同期比26.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は15億66百万円(前年同期比6.4%増)となりました。

 当社グループでは、収益性に関する指標である自己資本当期純利益率(ROE)について目標を掲げており、当連結会計年度における同比率は8.6%となりました。新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより、先々を見通すことが大変困難な状況ではありますが、顧客や社会のニーズにしっかり応えること、すなわちソリューションを提供することにより、当社グループの企業価値を高め、ひいては社会全体のサステナブルな発展に寄与するものと考えております。

 

 セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 なお、セグメント利益は連結損益計算書の営業利益と調整を行っております。

 また、当連結会計年度より、報告セグメントを次のとおり変更しております。建設市場におけるシナジー効果発揮を目的とした会社組織の変更に伴い、「建材・燃料関連事業」と「建設機械関連事業」を統合するとともに「建設・エネルギー関連事業」に名称を変更し、報告セグメントを「電機関連事業」「機械関連事業」「建設・エネルギー関連事業」「海運関連事業」の4セグメントに変更いたしました。

 以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後の報告セグメントの区分に組み替えた数値で比較分析しております。

 

 電機関連事業は、売上高は224億55百万円(前年同期比5.0%減)、セグメント利益は8億87百万円(前年同期比1.0%減)となりました。

 機械関連事業は、売上高は89億10百万円(前年同期比18.9%増)、セグメント利益は1億75百万円(前年同期はセグメント損失8百万円)となりました。

 建設・エネルギー関連事業は、売上高は480億32百万円(前年同期比16.3%増)、セグメント利益は8億56百万円(前年同期比8.9%増)となりました。

 海運関連事業は、売上高は154億円(前年同期比4.5%増)、セグメント利益は3億78百万円(前年同期比68.7%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は110億52百万円(前年同期は112億39百万円)となり、前連結会計年度末に比べて1億87百万円減少しました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、8億15百万円の収入(前年同期は20億79百万円の収入)となりました。

主な収入項目は、税金等調整前当期純利益23億95百万円であり、主な支出項目は、棚卸資産の増加額9億87百万円、売上債権及び契約資産の増加額8億9百万円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、2億15百万円の支出(前年同期は5億24百万円の収入)となりました。

主な支出項目は、有形固定資産の取得による支出2億46百万円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、7億88百万円の支出(前年同期は17億81百万円の支出)となりました。

主な支出項目は、借入金の純減少額3億15百万円、配当金の支払額3億3百万円であります。

 

 当社グループでは、中期経営計画の基本方針として財務基盤の強化とキャッシュフロー経営の徹底を定めており、資産の効率的な活用及び有利子負債の削減に努めております。また、財務体質の強化と今後の事業展開に必要な内部留保の充実を図りつつ、収益状況に応じて安定的な配当を行うことを基本としております。新型コロナウイルス感染症拡大の影響などにより、先々を見通すことが大変困難な状況ではありますが、中長期的な視点に立ち、成長が見込まれる事業分野に経営資源を投入し、企業価値の持続的な向上に努めてまいります。

 

③ 売上、成約及び仕入の実績

イ. 売上、成約の実績

セグメントの名称

当連結会計年度

成約高

(百万円)

前年同期比(%)

売上高

(百万円)

前年同期比(%)

成約残高

(百万円)

前年同期比(%)

電機関連事業

24,654

9.6

22,455

△5.0

3,621

154.7

機械関連事業

8,021

△3.2

8,910

18.9

2,454

△26.6

建設・エネルギー関連事業

49,531

17.8

48,032

16.3

7,191

26.3

海運関連事業

15,400

4.5

15,400

4.5

合計

97,607

11.5

94,797

8.8

13,267

26.9

(注)「当連結会計年度売上高」は、外部顧客に対する売上高を用いております。

 

ロ. 仕入の実績

セグメントの名称

当連結会計年度

金額(百万円)

前年同期比(%)

電機関連事業

19,979

0.4

機械関連事業

7,663

20.6

建設・エネルギー関連事業

45,117

17.6

海運関連事業

13,175

3.3

合計

85,934

11.1

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

イ. 財政状態

 当連結会計年度末における総資産合計は、前連結会計年度末に比べ9億80百万円増加し、482億33百万円となりました。主な要因は、棚卸資産の増加9億87百万円、売上債権及び契約資産の増加8億9百万円、投資有価証券の減少2億15百万円であります。

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ62百万円減少し、290億19百万円となりました。主な要因は、借入金の減少3億15百万円、仕入債務の増加2億85百万円であります。

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ10億43百万円増加し、192億14百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金の増加12億74百万円であります。

 以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ1.4ポイント増加し、38.9%となりました。

当社グループでは、中期経営計画において自己資本比率40%を2023年度の連結数値目標として掲げているため、目標達成に向け有利子負債の削減など財務体質の改善に取り組んでおります。

ロ. 経営成績

(売上高)

 旺盛な半導体需要を背景としてFA機器製品やレーザ加工機などの販売が堅調に推移するとともに、都市部を中心とした建設需要の回復により建築関連資材の輸送・販売が順調に推移しました。その一方、部材不足等に伴い製品確保の難しい状況が広範囲にわたり、また、原材料価格の高騰や価格競争など厳しい市場環境が続きました。売上高は前連結会計年度に比べ8.8%増の947億97百万円となりました。

(営業利益)

 売上総利益は前連結会計年度に比べ3.5%増の98億50百万円(売上総利益率は前連結会計年度に比べ0.5ポイント減少の10.4%)となり、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ1.1%減の75億47百万円となりました。

 以上の結果、営業利益は前連結会計年度に比べ22.3%増の23億3百万円、売上高営業利益率は前連結会計年度に比べ0.2ポイント増加の2.4%となりました。

(経常利益)

 営業外収益は前連結会計年度に比べ46.9%増の1億81百万円となり、営業外費用は前連結会計年度に比べ19.5%減の85百万円となりました。

 以上の結果、経常利益は前連結会計年度に比べ26.2%増の23億99百万円となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ6.4%増の15億66百万円となりました。

 

 当社グループの経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、以下のとおりであります。

 当社グループは、持続的成長の実現と企業価値の向上がすべてのステークホルダーの利益に合致するものとの考えから、自己資本比率と自己資本当期純利益率(ROE)を重要な指標として位置付け、収益基盤・事業基盤の強化並びに財務基盤の強化に取り組んでおります。

 

 当連結会計年度末における自己資本比率は38.9%(前年同期比1.4ポイント増加)、自己資本当期純利益率(ROE)は8.6%(前年同期と同率)となりました。

 これらの指標につきましては、更なる改善に向けて取り組んでまいります。

 

 セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(電機関連事業)

 生産設備および建築設備分野ともに、旺盛な需要を背景としてFA機器製品、レーザ加工機などの販売が堅調に推移しました。一方、部材不足等に伴う製品確保の難しい状況がより広範囲にわたり、受注活動や製品の受渡しに大きな影響を及ぼしました。

 以上の結果、売上高は224億55百万円(前年同期比5.0%減)、セグメント利益は8億87百万円(前年同期比1.0%減)となりました。

(機械関連事業)

 産業機械分野では、コロナ禍による投資抑制の影響を受けつつも、設備投資案件が増加傾向にあり、また、農業施設分野における設備物件の受渡しなども順調に推移したことから、売上高が伸長するとともに、原価削減の効果により、セグメント損益は大きく改善しました。

 以上の結果、売上高は89億10百万円(前年同期比18.9%増)、セグメント利益は1億75百万円(前年同期はセグメント損失8百万円)となりました。

(建設・エネルギー関連事業)

 建材分野では、北海道新幹線工事や札幌近郊の建築案件において生コンの出荷が伸長するとともに、橋梁資材の受注・受渡しが順調に推移しました。建設機械分野では、道路機械の販売が好調に推移しました。エネルギー分野では、原油価格の高騰や価格競争による厳しい市場環境の中で、ガソリン等の販売数量は前年並みを確保しました。

 以上の結果、売上高は480億32百万円(前年同期比16.3%増)、セグメント利益は8億56百万円(前年同期比8.9%増)となりました。

(海運関連事業)

 連結子会社のナラサキスタックス(株)において、北海道内の建築需要が活発化したことに伴い、鋼材など貨物の取扱いが増加しました。また、新規案件の取り込み、外注費や諸経費の圧縮などにより、収益確保に努めました。

 以上の結果、売上高は154億円(前年同期比4.5%増)、セグメント利益は3億78百万円(前年同期比68.7%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、以下のとおりであります。

 当社グループの財務運営の方針及び目的は、効率的な営業活動を心掛けるとともに、資産の効率的な活用及び有利子負債の削減に努め、財務体質の改善・強化を図ることであります。当社グループでは、短期運転資金や借入金の返済については主に営業活動によるキャッシュ・フローを資金の源泉としております。一方、設備投資や長期運転資金の調達につきましては金融機関からの借入れによっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、経営者は見積りが必要な事項について、過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、主に以下の会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

イ. 投資の減損

 当社グループは、長期的な取引関係の維持のために特定の取引先及び金融機関の株式等を保有しております。

 市場価格のある有価証券については、個別銘柄毎に時価を把握するとともに、発行体外部信用格付や公表財務諸表ベースでの各種財務比率の検討による信用リスクの定量評価を行い、時価が著しく下落した銘柄については回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。

 また、市場価格のない有価証券については、純資産額の下落幅、投資先の財政状態及び将来の業績見通し等を総合的に勘案し、時価の下落が一時的であり、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。

 

ロ. 固定資産の減損

 当社グループは、収益性が著しく低下した資産又は資産グループについて、割引前将来キャッシュ・フローを見積りその総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、その金額を減損損失として計上しております。減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討を行っておりますが、資産又は資産グループの市場価格の下落や新型コロナウイルスの感染拡大等により経営環境が変化した場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

ハ. 貸倒引当金

 当社グループでは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、一般の債権については過去の貸倒実績率により、貸倒懸念債権等の特定の債権については個別に債権の回収状況、債務者の財務内容及び担保価値などから回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。

 将来において、債務者の財務内容の悪化や担保価値の下落等により、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。

 

ニ. 退職給付費用及び退職給付債務

 従業員に対する退職給付費用及び退職給付債務を数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しております。これらの前提条件には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率等の要素が含まれており、実際の結果がこれらの前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

ホ. 繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、新型コロナウイルスの感染拡大等により経営環境が変化し、課税所得の見積りが減少した場合や、税制改正により税率の変更等が生じた場合には、繰延税金資産の取崩しにより税金費用が計上される可能性があります。

 

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