業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から経済活動が停滞し、一時的に持ち直しの動きが見られたものの、依然として先行き不透明な状況が続いております。

このような環境の中、当社グループは既存事業において従来とは異なる営業・提案方法を工夫し、また、新規・休眠顧客の開拓に努める等、営業基盤の再構築に取組みました。加えて、新たに事業譲受、業務提携したモーションコントロール及びエンジニアリング・サービス事業への本格展開、セキュリティ事業におけるサーマルカメラ販売への注力など、このような状況下において出来ることを粛々と行なってまいりました。

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要はつぎのとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

1)財政状態

(資産合計)

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ5億7千1百万円減少し、665億1千2百万円となりました。この主な要因は、現金及び預金の増加12億9百万円、受取手形及び売掛金の減少32億6百万円、電子記録債権の増加1億5千2百万円、有価証券の増加3億円、たな卸資産の減少4億3千6百万円等により、流動資産が18億9千1百万円減少したこと、及び有形固定資産の増加7億6千6百万円、無形固定資産の減少3億5千3百万円、投資有価証券の増加5億1百万円、退職給付に係る資産の増加3億5千5百万円等により、固定資産が13億2千万円増加したことによります。

 

(負債合計)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ25億3千万円減少し、222億5千万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金の減少13億5千9百万円、未払法人税等の減少2億6千7百万円等により、流動負債が30億8百万円減少したこと、及び繰延税金負債の増加4億7千2百万円等により、固定負債が4億7千7百万円増加したことによります。

 

(純資産合計)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ19億5千9百万円増加し、442億6千1百万円となりました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上19億3千5百万円、剰余金の配当8億4千9百万円、その他有価証券評価差額金の増加5億5千6百万円、退職給付に係る調整累計額の増加2億7百万円等によるものであます。

 

2)経営成績

売上高は、前連結会計年度に比べ14.5%減の894億7千8百万円となりました。販売費及び一般管理費は運賃及び荷造費の削減、貸倒引当金戻入の増額、人件費の増加等があり同0.5%減となり、営業利益は同30.1%減の27億7千8百万円となりました。

営業外収益は前連結会計年度に比べ11.7%減の6億2千万円、営業外費用は17.5%減の2億8千2百万円となり、経常利益は同28.1%減の31億1千6百万円となりました。

その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ31.1%減の19億3千5百万円となりました。

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

(機器・工具セグメント)

コロナ禍による落ち込みからは徐々に回復してきたものの、世界的な半導体需給のひっ迫が生じ、特に自動車生産において減産等の影響が見られました。一方、セキュリティ事業が好調に推移したことから、 当セグメントの売上高は、前年比8.3%減の455億3千4百万円となり、営業利益は同18.8%増の14億6千1百万円となりました。

 

・工業機器事業(前年比10.5%減)

自動車生産に半導体不足の影響が出たことなどにより、足下の鉱工業生産は減産基調となっている中にあって、当事業においては下期に回復傾向が見られました。オリジナル商品販売、EC拡販、モーションコントロール等における政策効果に因るところです。

 

・自動車向け機械工具事業(同26.8%減)

世界的な半導体需給のひっ迫により、完成車メーカーは減産や操業停止を迫られています。その影響で回復基調にあった自動車生産は12月を境にマイナスに転じており、早急な回復は見通しにくい状況となっています。当事業もマイナス幅は縮小傾向にあるものの、回復には時間がかかると思われます。

 

・住宅設備機器事業(同3.3%減)

市場環境が横ばいの状況下、受注拡大等に注力した結果、下期は前年増となりました。引き続き施工機能等を活かした案件受注等の施策により収益拡大に取り組みます。

 

・セキュリティ事業(同59.8%増)

1-3月の売上の伸びに鈍化が見られたものの、大口プロジェクト案件、サーマルカメラが業績に寄与する形となり、大幅な増収増益となりました。

 

(機械・設備セグメント)

企業業績低迷の影響で設備投資が抑制される中、工作機械の内需受注は年度前半の大幅な落ち込みから期末にかけて急速に回復してきましたが、 当セグメントの売上高は前年比30.8%減の143億2千万円となり、営業利益は同49.2%減の3億5百万円となりました。

 

・工作機械事業(前年比36.3%減)

受注額は1-3月に前年同期比1.2%の増加に転じ、売上高の対前年減少幅も段階的に縮小しました。3月末時点の受注残は前年比2.3%増となりました。

 

・FAシステム事業(同18.0%増)

受注は10-12月まで前年同期比大幅減にて推移しましたが、1-3月は1.1%減まで回復しました。3月末時点の受注残は前年比50%減となりました。

 

(建築・配管資材セグメント)

非居住建築物が中心となる鉄骨造において設備投資減少の影響を受け、需要は年間を通して回復の兆しは見られず、 当セグメントの売上高は前年比13.6%減の296億2千4百万円となり、営業利益は同55.5%減の8億9千9百万円となりました。

 

・建築資材事業(前年比15.9%減)

需要減少の影響をうけ、一年を通して2桁の減少で推移しました。自社製品は需要減少により販売量、販売単価とも前年同期比減となりました。主要な仕入商品のハイテンションボルトは前年の特殊要因の影響が薄まり、1-3月は10-12月までの2桁減から1桁の減少幅となりました。

 

・配管資材事業(同4.5%減)

全体的な需要減少による工事の延期・中止や生産量の減少が影響し、大口案件があった4-6月は前年同期比微増となったものの、7-9月以降は1桁の減少にて推移しました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動における資金の増加、投資活動及び財務活動における資金の減少により、期首残高に比べ12億9百万円増加したことから、当連結会計年度末には140億9千3百万円(前年同期は128億8千3百万円)となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、46億4千4百万円(前年同期は得られた資金47億5千万円)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益31億4千7百万円、減価償却費9億8百万円、のれん償却額1億1千8百万円、貸倒引当金の減少1億8千8百万円、売上債権の減少28億1千6百万円、たな卸資産の減少4億3千6百万円、仕入債務の減少11億1千7百万円、法人税等の支払額18億1千万円等によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、25億6千1百万円(前年同期は使用した資金35億5千万円)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出14億3千3百万円、無形固定資産の取得による支出11億6千1百万円、投資有価証券の売却による収入4千6百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、8億7千3百万円(前年同期は使用した資金15億2千万円)となりました。この主な要因は、配当金の支払額8億4千7百万円、長期借入金の返済による支出2千5百万円等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

1)生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

機器・工具(千円)

930,954

159.1%

機械・設備(千円)

建築・配管資材(千円)

3,866,029

86.7%

合計(千円)

4,796,984

95.1%

(注)1.金額は、製造原価で表示し、消費税等は含まれておりません。

2.セグメント間の取引については相殺消去しておりません。

 

2)商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

機器・工具(千円)

38,649,112

88.8%

機械・設備(千円)

13,367,334

69.2%

建築・配管資材(千円)

19,019,364

83.9%

合計(千円)

71,035,811

83.1%

(注)1.金額は、仕入価格で表示し、消費税等は含まれておりません。

2.セグメント間の取引については相殺消去しておりません。

 

3)受注実績

当社グループの製品は見込み生産を行っております。

4)販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

前年同期比(%)

機器・工具(千円)

45,534,655

91.7%

機械・設備(千円)

14,320,179

69.2%

建築・配管資材(千円)

29,624,109

86.4%

合計(千円)

89,478,943

85.5%

(注)1.上記金額には消費税等は含まれておりません。

2.セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、本項のうち将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度における財政状態及び経営成績につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析  (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。

売上高は前年に比べ59.8%の大幅な増加となったセキュリティ事業と18.0%増のFAシステム事業を除く事業で減収となり、住宅設備機器と配管資材事業で1桁減、残りの事業は2桁減となっており、全体で151億4千万円、率にして14.5%の減少となりました。

売上総利益は売上高の減少により前年に比べ22億8千8百万円減少しましたが、セキュリティ事業の売上比率が上昇したことによる売上総利益率の1.2ポイント向上により10億3千8百万円増加し、12億5万円、率にして7.9%の減少となりました。

営業利益は前年に比べ11億9千5百万円、率にして30.1%減少し、27億7千8百万円となりました。事業セグメント別では、機器・工具セグメントはセキュリティ事業の増収により18.8%増加し14億6千1百万円、機械・設備セグメントは工作機械事業の大幅減収により49.2%減少し3億5百万円、建築・配管資材セグメントは売上の減少と売上総利益率の低下により55.5%減少し8億9千9百万円となりました。

営業外収益は受取配当金などの計上により6億2千万円、営業外費用は2億8千2百万円となりました。その結果、経常利益は前年に比べ12億1千8百万円、率にして28.1%減少し、31億1千6百万円となりました。

特別利益は投資有価証券売却益の計上により3千万円となり、法人税等は11億1百万円となりました。

これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年に比べ8億7千2百万円、率にして31.1%減少し、19億3千5百万円となりました。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度における投資キャッシュ・フローの主な使途は、日本電産シンポ株式会社エンジニアリング・サービス事業の信託受益権による譲り受け、及び物流倉庫用地取得によるものです。

当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、建築資材事業における資材調達、配管資材事業や機械設備セグメント、機器工具セグメントにおける立替資金、各事業についての一般管理費等があります。設備資金需要としては、事業所建造物や建築資材事業での生産効率向上に資する製造設備更新に加え、グループでの物流システムや情報処理のための無形固定資産投資等があります。また、M&Aや業務提携など当社グループ事業の成長戦略への投資があります。

当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保し、より機動的かつ戦略的に資金投下を行っていくために、グループ各社の資金を親会社が一括管理し、子会社へ恒常的に集約・配布する仕組みを導入しております。また、資金需要に備えて、金融機関において当座貸越や資産流動化枠のほかコミットメントラインを設定しており、流動性の補完にも対応が可能となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)、また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 2 財務諸表 (2)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

会計方針を適用するにあたり、より重要な判断を要し財政状態及び経営成績に影響を与える項目は下記のとおりであります。

 

1)退職給付費用及び退職給付債務

従業員の退職給付に備えるため、当事業年度末における退職給付債務及び年金資産の見込額に基づき計上しております。

退職給付費用は、割引率、昇給率及び長期期待運用収益率等のさまざまな仮定によって算出しております。割引率及び期待運用収益率は、金利の変動等を含む現状の市場動向等を、また昇給率は実績及び直近の見通しを考慮して決定しております。

退職給付債務に関する会計上の見積りも重要な会計上の見積りとしております。それは仮定の変化が当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があるからです。当社は現在使用している仮定は妥当であると考えておりますが、仮定の変更により退職給付費用及び退職給付債務に影響を与える可能性があります。

 

2)繰延税金資産の回収可能性

繰延税金資産の回収可能性があると考えられる金額まで減額するために評価性引当額を計上しております。評価性引当額の必要性を検討するに当たっては、将来の課税所得見込み及び税務計画を検討しておりますが、繰延税金資産の取崩しが必要となる可能性があります。

 

3)投資有価証券の評価

その他有価証券で時価のあるものについては、期末日の時価が取得価額に比べて著しく下落したものを減損の対象としております。将来、株式市況や投資先の業績が悪化した場合には、追加的な減損損失の認識が必要となる可能性があります。

 

 

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