当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展により、経済活動の回復に向けた動きがみられましたが、年明けからのウクライナ情勢緊迫化に伴う資源の価格の高騰、物価の上昇、米国政策金利の引上げ等により、先行き不透明な状況となっております。
住宅業界におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等によるライフスタイルやマーケットの変化、低金利の継続等により、当社の事業と関連のある新設住宅着工戸数は、前期比6.6%増の865千戸、うち持家は同6.9%増の281千戸となりました。また、当社の企業ルーツである木材流通業界においては、「ウッドショック」による世界的な木材価格の上昇を受け、国内でも2021年の初頭から輸入材価格が、また、春先からは国産材の価格が高騰しました。その後も、原油等の資源価格の高騰やコンテナ不足に伴う供給制約の深刻化等、木材の安定的な流通に影響を及ぼす様々な事象が生じ、木材の価格は高値で推移いたしました。当社は、このような状況下において、国内における木材流通インフラ企業としての社会的責務を担うべく活動してまいりました。
また、当社は2021年7月16日に株式会社ヤマダホールディングスと資本業務提携契約を締結し、住生活産業に係る事業等で包括的に相互の事業発展を図っております。
こうした環境のなか、当社グループの当連結会計年度における売上高は2,295億14百万円(前期比7.2%増加)、営業利益は102億24百万円(前期比127.5%増加)、経常利益は95億89百万円(前期比143.3%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は44億82百万円(前期比122.2%増加)となりました。
なお、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(ⅰ)建築資材事業
当連結会計年度における建築資材事業につきましては、世界的な木材需給の逼迫に伴い、国内でも急激に木材価格が上昇し高止まりするなか、在庫確保と安定供給に努めたこと、また、持家の新設住宅着工戸数が前期比で増加したことにより木材売上が大幅に伸長しました。
国内における木材流通をルーツとする当社は、国産材・輸入材の安定的な調達を実現するために、これまで培ってきた全国の製材事業者及び海外メーカーとのネットワークを活かした「多産地連携システム」を構築しております。
また、全国13カ所の木材市場と31カ所の物流センターを木材のストックヤードとして活用し、安定的な供給とジャスト・イン・タイムな納材を可能としております。更に、首都圏木材営業部では、エリア内の合計6カ所のストックヤードを活用し、全国から集められた多種多様な木材を常時ストックし、邸別にアッセンブルして供給する体制を整えております。また、木材市場の新たな活用方法として国産材ショールーム「見せる倉庫」の運営を開始いたしました。その他にも「国産材トータルコーディネートフェア」の開催や、「構造材」「内外装材」「断熱材」の全てを国産材仕様とした家づくりをご提案する「国産材プレミアムパッケージ」の販売を開始するなど、国産材の利活用や非住宅の木造化・木質化について提案・普及に努めました。
この結果、売上高は1,815億12百万円(前期比16.2%増加)、営業利益は106億15百万円(前期比237.6%増加)となりました。
(ⅱ)住宅事業
当連結会計年度における住宅事業につきましては、従来のフロービジネスに加えて中期経営計画の重点戦略であるストックビジネスの強化・拡大を図るなど、持続的な成長につながる収益基盤の構築を目指してまいりました。その結果、管理その他部門に含まれる情報館事業(仲介)、マンションの管理・修繕の売上高は増加しました。
一戸建住宅事業・マンション事業におきましては、耐震・健康・省エネに配慮した良質な住宅をエリア特性に合わせて安定的に供給していくことを継続してまいります。一戸建住宅及び首都圏中古マンションのリノベーション事業では、現在の不動産市況を踏まえ厳選した仕入を行いながら引き続き収益力を高めることに注力いたしました。新築マンションでは、契約は順調に推移したものの前期と比べ新築マンションの売上計上戸数が減少したことに加え、前期には販売用不動産の売却があったことなどにより、売上高は375億78百万円(前期比21.7%減少)、営業利益は3億6百万円(前期比86.1%減少)となりました。
また、注文住宅事業では、木をふんだんに使った木造一戸建注文住宅のモデルハウスを日本最大級の総合住宅展示場「tvkハウジングプラザ横浜」に出展するとともに、隣接する当社グループの菊池建設株式会社のモデルハウス「現代数寄屋『檜の家』」及び「tvkハウジングプラザ藤沢」に出展している当社のモデルハウスをリニューアルいたしました。首都圏における契約戸数は前年同期から伸長しており、引き続き、これらのモデルハウスを通じて伝統的な日本家屋に加え、上質な木質空間のご提案、脱炭素化に資する木造住宅の普及に努めてまいります。
(ⅲ)その他の事業
その他の事業には、一般放送事業(有線テレビ放送事業)等の生活関連サービス事業、建築工事事業等が含まれております。一般放送事業を行うYOUテレビ株式会社や、ソフトウェア開発事業及びシステム提供事業を行うナイスコンピュータシステム株式会社が順調に推移した結果、 売上高は104億23百万円(前期比5.6%増加)、営業利益は12億49百万円(前期比45.3%増加)となりました。
総資産は、前連結会計年度末に比べ140億47百万円増加し、1,579億21百万円となりました。これは、現金及び預金、有価証券の増加のほか、売上の増加に伴い売上債権が増加したこと及び「ウッドショック」に対応するための在庫確保と木材価格の上昇により棚卸資産が増加したことなどによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ46億64百万円増加し、1,093億78百万円となりました。これは、仕入の増加に伴い仕入債務が増加したこと及び借入金が増加したことなどによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ93億82百万円増加し、485億43百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことに加え、第三者割当による新株式の発行により資本金及び資本剰余金が増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ53億75百万円増加し、330億6百万円となりました。
営業活動による資金の増加は、17億34百万円(前期比140億94百万円の収入減少)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益66億19百万円、減価償却費17億24百万円、減損損失29億57百万円、仕入債務の増加33億8百万円及び売上債権の増加104億62百万円です。
投資活動による資金の減少は、6億75百万円(前期比52百万円の支出増加)となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出15億63百万円、投資有価証券の取得による支出3億18百万円及び貸付金の回収による収入10億30百万円です。
財務活動による資金の増加は、42億78百万円(前期比112億46百万円の収入増加)となりました。主な内訳は、長期借入金の純増加額36億57百万円、株式の発行による収入39億20百万円、短期借入金の純減少額27億92百万円及び配当金の支払額2億81百万円です。
③仕入及び販売の状況
① 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績等をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(ⅰ) 建築資材
(ⅱ) 住宅
販売用不動産の受払状況
(注) 当期増加額欄の( )は内数で、保有目的の変更による有形固定資産からの振替額であります。
(ⅲ) その他
事業の内容が多岐にわたるため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 当連結会計年度の期首より収益認識会計基準等を適用しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績
当連結会計年度における売上高は2,295億14百万円(前期比7.2%増加)となりました。「ウッドショック」により世界的に木材需給が逼迫し、価格が高騰する中で安定供給に努めたこと等により建築資材セグメントの売上高が伸長したことが主な要因であります。
利益面では、売上高総利益率の向上に加え、販売費及び一般管理費の削減に努めたことにより営業利益は102億24百万円(前期比127.5%増加)、経常利益は95億89百万円(前期比143.3%増加)となりました。なお、特別損失として減損損失を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は44億82百万円(前期比122.2%増加)となりました。
連結売上高、連結営業利益等をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
(注) 当連結会計年度の期首より収益認識会計基準等を適用しております。上表の前連結会計年度は当該会計基準等を適用する前の金額であります。
(参考)収益認識会計基準等を適用したと仮定して算定したセグメント別売上高の内訳
(注) 上表の前連結会計年度は収益認識会計基準等を適用したと仮定して算定した金額であります。
②財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析
財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析は「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは現在、必要な運転資金及び設備投資資金については、自己資金のほか、借入金、社債及び増資等により調達することとしております。今後も営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。なお、2021年7月16日付にて株式会社ヤマダホールディングスと資本業務提携契約を締結し、同年8月2日に同社に対して第三者割当による新株式の発行を行い、39億20百万円の資金を調達いたしました。この資金調達の目的は、建築資材事業における物流センター、倉庫の新築及び建替と一般放送事業における幹線のFTTH化という必要不可欠な設備投資に要する資金を確保するとともに、財務体質をより強固なものにするためであります。また、来年度以降の建築資材事業における経常運転資金や住宅事業における販売用不動産取得といった資金需要等に対応し、今後の金融情勢の変化に備えるとともに機動的な資金調達の実現を図るため、2022年3月31日までに主要取引金融機関との間で、長期借入金20億円及びコミットメントライン契約158億円、総額178億円の資金調達に係る契約を締結いたしました。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
⑤経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4) 定量目標」に記載しております。
中期経営計画の最終年度である2024年3月期の目標は、売上高2,300億円、営業利益50億円、経常利益45億円、親会社株主に帰属する当期純利益35億円であります。
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