課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

①企業理念 「すべての人々に、スポーツを遊ぶ楽しさを」
 スポーツ本来の「体を動かす楽しさ」、「競い合う楽しさ」を提供することで、一人ひとりのいきいきとしたライフスタイルの創造に貢献します。
②「SPIRIT OF DESCENTE(創業の精神)」
 「創造」:豊かな発想力は、いつの時代でも発展の原動力である。
      センスを磨き、日々の仕事に明確な判断を下せる力を養え。
 「挑戦」:変化の時にこそ、チャンスがある。
      新しいものを創り出す仕事なら失敗も覚悟のうちに入れよ。
 「誠実」:信頼するものには徹底して任せる。
      人の誠意に対しては、人の誠意で応えよ。
 「調和」:人間が人間を知って初めて商売は成り立つ。
      力を集めて前向きに"協走"せよ。
③企業スローガン 「Design for Sports」
 意味合い
 スポーツを通じて人々の身体と心を豊かにし、健全なライフスタイルを創造すること。そのためにすべてのスポーツシーンにおける時代の最適を具現化し、そして次代の可能性を追求し続ける姿勢を表す言葉です。柔軟な発想と最先端技術と機能を集結させた「デザイン」で、アスリートの限界への挑戦やスポーツを愛するすべての人々の熱き想いにアシストし、たくさんの感動と希望を創出していきます。

 

(2)中期的な会社の経営戦略

 当社グループは、2022年3月期から2024年3月期までの3ヵ年計画として「D-Summit 2023」を策定しており、以下3つの重点戦略を掲げ、日本・韓国・中国の3つの市場で安定的な収益を上げることを目指しています。
 
1.「日本・韓国・中国 地域別戦略の実行」

日本は収益性向上、韓国は安定成長、中国は規模拡大を目指し、地域別戦略を実行

2.「日本事業の収益改善」

・DTC(Direct to Consumer)事業の強化を主とする商品企画及び流通改革

・収益性向上を図る経営指標明確化

・基幹システムの刷新

・Pay for performanceの考え方に基づく新人事制度への転換

3.「モノづくりの強化」

・プレミアムスポーツウエアとしての圧倒的存在感を発揮し、動くためのウエア「MoveWear」を展開

・研究開発拠点(DISC)と自社工場を活用した消費者ニーズに応えるモノづくり

・マテリアリティ解決につながるモノづくり

 

(3)目標とする経営指標

 ビジネス環境がめまぐるしく変化する中、先の見通せない中長期の定量的指標を掲げることはせず、単年度の計画にコミットすることが誠実な企業慣行であると考え、「D-Summit 2023」を基軸にした事業活動全体が生み出す価値を定量化した単年度の財務目標を2022年度の目標として定め、2023年3月期においては、営業利益6,000百万円、経常利益10,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益7,000百万円を計画しています。

 また、当社グループは日本事業におけるDTC構成比率の向上に重点を置いており、直営店、百貨店、EC及びBusiness to Business事業等による売上構成比率を、2024年3月期終了時点で当社国内物販売上全体の55%以上とすることを目標としております。

 

(4)経営環境及び対処すべき課題 

 当社グループの経営状況として、2022年3月期においては上述の「D-Summit 2023」にて掲げる3つの重点戦略に着手し、主要セグメントである日本、韓国、中国において前年から増収増益、特に日本事業は前年から大きく収益を改善する結果となり、「D-Summit 2023」の初年度は好調な滑り出しとなりました。

また外部環境として、新型コロナウイルス感染拡大(以下、新型コロナ)による事業への影響については地域差があります。日本では2021年の春先に緊急事態宣言が発令され、百貨店の一部店舗を一時的に閉鎖しておりましたが、年間を通じた事業への影響は大きくなく、中国においても事業への影響は軽微でした。韓国においては、2022年3月期は主に第2四半期会計期間と第4四半期会計期間において特に新型コロナによる影響を受けました。各セグメントにおいて、EC事業を強化することにより実店舗以外での販売機会の増加を図ったほか、特に韓国においてはSNSおよびTV広告等のコンテンツを活用したマーケティング活動を積極的に実施する等、新型コロナ禍で人流が制限されている環境においても当社ブランド価値向上、販売力強化に着手しました。これに加えて、年間を通じて前年からは経済活動が回復、ならびにスポーツ活動が再開されつつあることも奏功し、当社事業エリア各地において新型コロナの影響を受けながらも、前年対比で増収増益となりました。

加えて、当社グループは、社会から期待される責任を果たし、事業の持続可能な成長をより促進させるため、マテリアリティ(重要課題)の解決に向けた取り組みを行っております。2022年3月期においては、環境保護活動への取り組み強化の一環として生産量を抑制し、生産工程における資源や在庫の削減に努めました。また、『デサント』ブランドにおいて資源の再利用をテーマとした新シリーズ「RE:DESCENTE BUILD(ビルド)」を秋冬シーズンより新たに展開を行いました。

 

当社の事業はまだ成長の途中段階であり、さらなる発展に向けて、次の戦略に取り組んでまいります。

  ①日本・韓国・中国 地域別戦略の実行

日本事業は引き続き収益性の向上を目指し、2024年3月期において直営店、百貨店、EC及び「Business to Business」等を含むDTC事業による売上構成比率55%以上を目指してまいります。

韓国事業は、さらなる新規顧客の獲得に向けた取り組みを強化しており、事業の主力である『デサント』ブランドではシューズの販売拡大を目指し、研究開発拠点であるDISC BUSANを活用して韓国人の足に合わせた形状やクッショニング等の機能開発を行っていくほか、シューズを活用したオンライン、オフライン両面でのイベントを積極的に実施していきます。また、前期に大きく成長を遂げた『アンブロ』では、20~30代の若者を対象としたストリートファッションをイメージしたブランドとして、若者に人気のあるオンラインストアへの出店を行うなど、新しい取り組みを進めていきます。その他のブランドについても事業の回復に向けた取り組みを行い、韓国事業全体の収益性のさらなる改善を目指します。なお、韓国では2022年3月期において新型コロナや気候による影響が強く、当社事業エリアの中でも特に外部要因による影響を受けておりました。そのようなビジネス環境においても2021年3月期対比で増収増益を達成しており、今後外部環境の好転に伴いさらなる事業の伸長が期待できるエリアであります。

中国事業は、『デサント』ブランド事業をさらに拡大させるとともに、『アリーナ』ブランドの事業拡大を目的としたARENA(SHANGHAI) INDUSTRIAL CO., LTD.の連結子会社化や、上海デサント商業有限公司が展開する『マンシングウェア』の販売を拡大するなど、『デサント』ブランド以外の当社展開ブランドの規模拡大にも取り組みます。加えて、中国では政府がスポーツ活動を奨励していることから、今後更なるスポーツ人口の増加が予想され、当社ビジネスにとっても追い風となることが期待されます。

なお、各国の本有価証券報告書作成時点(2022年6月時点)における新型コロナの状況としましては、日本及び韓国では新規感染者数は減少傾向であり、人々の外出も増え、新型コロナ前のビジネス環境に近い状況であります。一方、中国では新型コロナ感染者数が急増し、ロックダウン等の政策が実施されていることを受け、一部地域における売上への影響が生じておりますが、オンラインでの販売強化に着手する等、臨機応変な対応を行っております。

 

  ②日本事業の収益性改善

   以下の3つの項目に着手し、さらなる収益性の改善を目指します。

  ・DTC事業の強化

 DTC事業の拡大に向けて、既存の直営店の収益性向上に着手し、各店舗でユーザーの皆様のニーズに合わせた商品構成や当社ブランドのイメージがよりユーザーの皆様に伝わるようなVMD構築等に重点的に取り組むことで、1店舗当たりの売上の増加を目指すとともに、新規店舗の出店、EC事業の強化も行ってまいります。また、ユーザーの皆様とのコミュニケーション強化を目的として、当社会員サービス「CLUB DESCENTE」の活用を進めており、今期はSNSアプリ等のデジタルツールを追加導入することにより会員数の更なる増加と、顧客ロイヤリティの向上を図ります。

 加えて、店頭と自社EC「DESCENTE STORE ONLINE」との在庫共有によるオムニチャネル化の推進について前期から取り組んでおり、お客様から好評をいただいております。2023年3月期においては在庫共有可能な店舗をさらに拡大し、お客様のニーズに素早く応えるための体制の整備及び在庫管理の効率化を進めます。

 

  ・MoveWearの販売拡大

 近年韓国や中国においては、日常生活で着る服とスポーツで着る服との間の境界線がほとんどなく、スポーツウェアの持つ機能性や快適性を日常生活にも求める方が増加しており、日本においても、同様の変化が生じております。そのため、当社が強みとしている機能性を日常生活で着用する服に落とし込み、スポーツシーンに限定せず着用できる当社独自の“動くためのウェア”「MoveWear(ムーブウェア)」として受け入れられる商品企画のさらなる充実を図るほか、それらMoveWear商品をより多くのお客様に紹介するため、当社直営店での展開を強化します。このMoveWearを当社直営店及びECにおけるキーアイテムとして、DTC事業による利益拡大を目指します。

 

  ・経営指標の明確化、経営の効率化

 売上ではなく利益を重視するという方針は前期から変えず、販売ロスの抑制や販管費の削減に引き続き取り組みます。その達成のため、ブランド別・流通別の営業利益率や在庫月数等をKPIとして設定し、進捗状況を定期的に確認することで、状況に応じて迅速、適切な対応を行っております。

 また業務プロセスの標準化・集約化による更なる業務効率化、各種オペレーションの再設計に伴う物流経費等販管費の削減、チャネルを横断した在庫活用等を目的として、前期より基幹システムの刷新に着手しており、2023年度の導入に向けて着実に準備を進めております。

 

③モノづくりの強化

日本・韓国・中国の成長の基盤となる商品の開発に注力し、また、当社研究開発拠点であるDISC OSAKA及びDISC BUSAN、国内外5つの自社工場を活用した消費者ニーズに応えるモノづくりに着手し、他にはない、当社にしか作ることができない高機能商品を開発してまいります。

 加えて、今期はサプライチェーンマネジメントのさらなる強化を推進します。国内4つの自社工場については、各工場で生産する商品の見直しを行い、各工場の特徴を活かした当社を代表する商品を作ることを目指します。また、協力工場との連携も強化し、各工場の強みを活かせる商品を集中的に発注することで、より高品質の商品の生産、商品原価の削減に着手します。

 

④持続可能な成長に向けた取り組み

当社グループは、スポーツを通して人々の身体と心を豊かにし、健全なライフスタイルを創造することに貢献すると共に、経済・社会及び環境との関わりの中で求められる期待に、事業活動を通じて答えることによって、社会と共に持続的な相乗発展を目指しています。この方針の下、当社として最も貢献できる4つの持続可能な開発目標(SDGs)(「3.全ての人に健康と福祉を」、「8.働きがいも経済成長も」、「12.つくる責任つかう責任」、「13.気候変動に具体的な対策を」)の達成に向けて、マテリアリティ(重要課題)を特定し、解決に取り組んでいます。

持続的なモノづくりの実現に向けて、当社グループでは2022年秋冬シーズンの商品を最後に、リアルファーを使用した商品の新規企画・生産及び外部仕入を一切禁止する方針を策定したほか、環境保護活動の一環として、引き続き発注プロセスの見直しや仕入コントロールの強化を行い、無駄な廃棄を減らすための取り組みを実施致します。

 

2022年3月期に取り組んだ日本事業の改革によって利益を出すための経営体質の確立を達成したことで、2023年3月期からは、各事業エリアにおいて上述のような取り組みを行い、さらなる利益の拡大を目指します。

「D-Summit 2023」の2年目である2023年3月期の連結業績としては、売上高114,000百万円、営業利益6,000百万円、経常利益10,000百万円、親会社株主に帰属する当期純利益7,000百万円を計画しています。

 

 

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