当連結会計年度における当社グループ(当社及び当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
これに伴い、前連結会計年度と収益の認識方法が異なることから、以下の経営成績に関する説明において前年同期比較は基準の異なる算定方法に基づいた数値を用いております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、前連結会計年度に引き続き新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の発出・延長、まん延防止等重点措置の適用が各自治体において断続的に行われ、全国的に経済活動の停滞、個人消費の低迷が続きました。昨年9月末以降は、ワクチン接種の進行もあり、感染者数の減少から、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除されたことで消費環境が回復基調に転じつつありましたが、本年1月以降のオミクロン株の感染急拡大を受け、多くの都道府県にまん延防止等重点措置が適用されたことで、再び急速に悪化いたしました。
服飾雑貨業界におきましても、昨年4月以降の緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の実施を受けた外出自粛、商業施設の時短要請等の影響は大きく、同9月末に緊急事態宣言が解除された後も感染再拡大の懸念等から個人消費の戻りが鈍い状態が続き、本年1月以降、オミクロン株の感染急拡大を受けて再び悪化に転じました。また、このような影響の下、リモートワークの導入拡大等を受けたライフスタイル、購買志向の変化などから、経営環境は、不確実性を高めております。
このような状況の下、当連結会計年度を初年度とする第1次中期経営計画に基づく経営方針より、成長領域である専門店・量販店の販路拡大、Eコマース事業及び直営店事業の強化による売上高の回復に注力しましたが、主力販路である百貨店部門の回復が想定よりも進まず計画を大幅に下回りました。
前連結会計年度より推進中の構造改革による販売費及び一般管理費等の抜本的見直しによる削減が想定以上に進捗しているものの、製品生産国の原材料・人件費の上昇、海上運賃の高騰、為替相場の円安等による仕入コストの上昇に加え、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のライセンス商品を損失計上した影響もあり、損益面も大幅に計画を下回る結果となりました。
その結果、当連結会計年度の売上高は74億55百万円(前年同期比4.0%増)、営業損失は5億56百万円(前年同期は7億17百万円の営業損失)、経常損失は4億49百万円(前年同期は6億7百万円の経常損失)となりました。また、特別利益に投資有価証券売却益を1億2百万円計上したこともあり、親会社株主に帰属する当期純損失は3億79百万円(前年同期は18億58百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
①衣服装飾品
衣服装飾品(毛皮・宝飾品部門)につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大による外出自粛等の影響により、営業活動の回復は限定的となりましたが、商品の希少性から高額商品を中心に富裕層宛の販売が比較的好調となり、加えて、前期からの毛皮リフォーム・リメイク等のサステナブルな提案により売上高は前年同期を上回り、セグメント利益は黒字に転換しました。
以上の結果、衣服装飾品の売上高は6億49百万円(前年同期比6.1%増)、セグメント利益は41百万円(前年同期は1億20百万円のセグメント損失)となりました。
②身回り品
身回り品(洋傘・洋品・帽子部門)につきましては、昨年4月以降の緊急事態宣言・まん延防止等重点措置の実施を受けた外出自粛、商業施設の時短要請等の影響が大きく、昨年9月末の緊急事態宣言解除後も感染再拡大の懸念等から個人消費の戻りが鈍い状態が続き、本年1月以降、オミクロン株の感染急拡大を受け再び悪化に転じ、売上高は前年同期を上回っているものの、本格回復には程遠い結果となりました。
洋傘部門につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は依然大きく、7月から8月にかけての集中豪雨等による天候不順もあり、Eコマース及び前期に開店した小売店舗の売上貢献はあったものの、主販路である百貨店マーケットの低迷により売上高は前年同期を下回りました。
洋品部門につきましては、数年ぶりの寒い冬となったことや昨年9月末の緊急事態宣言の解除が秋冬物販売の最盛期と重なったことから、売上高は前年同期を上回りましたが、本格回復には、至っておりません。
帽子部門につきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を完全には払拭できてはいないものの、昨年9月末の緊急事態宣言の解除以降、秋冬物の販売は個人消費の戻りを取込み、一部ブランド品の人気の高まりもあり、売上高も前年同期を大きく上回りました。
以上の結果、身回り品の売上高は68億6百万円(前年同期比3.8%増)、セグメント損失は、4億13百万円(前年同期は3億33百万円のセグメント損失)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、税金等調整前当期純損失の計上、短期借入金の減少等により、前連結会計年度末に比べ5億96百万円減少(前年同期は1億72百万円増加)して6億57百万円(前年同期比47.6%減)となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、1億1百万円の支出(前年同期は17億5百万円の支出)となりました。これは主に棚卸資産が2億12百万円減少(前年同期は4億12百万円の増加)したこと、減価償却費を1億45百万円計上(前年同期は1億99百万円の計上)したこと、及び税金等調整前当期純損失を3億57百万円計上(前年同期は税金等調整前当期純損失を17億47百万円計上)したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1億52百万円の収入(前年同期は20百万円の支出)となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入が1億41百万円(前年同期は1億7百万円の収入)となりましたこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、6億61百万円の支出(前年同期は18億94百万円の収入)となりました。これは主に短期借入金の純減額が5億円(前年同期は22億円の純増)となりましたこと、及び長期借入金の返済による支出が1億32百万円(前年同期は65百万円の支出)となりましたこと等によるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 商品仕入実績
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
衣服装飾品(千円) |
243,612 |
87.2 |
身回り品(千円) |
4,151,943 |
97.0 |
合計(千円) |
4,395,555 |
96.4 |
② 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
前年同期比(%) |
衣服装飾品(千円) |
649,108 |
106.1 |
身回り品(千円) |
6,806,404 |
103.8 |
合計(千円) |
7,455,512 |
104.0 |
(4)財政状態の状況
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、72億19百万円となり、前年度末比50百万円減少いたしました。この主な要因は、収益認識会計基準等の適用により返品資産が7億70百万円増加したこと、現金及び預金が5億96百万円減少したこと、商品及び製品が2億10百万円減少したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、38億43百万円となり、前年度末比1億52百万円減少いたしました。この主な要因は、建物及び構築物が80百万円減少したこと、及び投資有価証券が62百万円減少したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、57億84百万円となり、前年度末比3億95百万円増加いたしました。この主な要因は、収益認識会計基準等の適用により返金負債が11億32百万円増加したこと、短期借入金が5億87百万円減少したこと、及び返品調整引当金が1億76百万円減少したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、7億74百万円となり、前年度末比35百万円減少いたしました。この主な要因は、長期借入金が21百万円増加したこと、及びリース債務が60百万円減少したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、45億3百万円となり、前年度末比5億63百万円減少いたしました。この主な要因は、親会社株主に帰属する当期純損失を3億79百万円計上したこと、及び収益認識会計基準等の適用に伴う会計方針の変更による累積的影響額により期首の利益剰余金が1億97百万円減少したこと等によるものであります。
(5)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度のキャッシュ・フローは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の発出・延長、まん延防止等重点措置の適用が各自治体において断続的に行われ、全国的に経済活動の停滞等の要因により、主力販路である百貨店部門の回復が想定より悪く計画を大幅に下回ったため、税金等調整前当期純損失となったことから、売上債権・棚卸資産は減少し・仕入債務は増加したことで改善したものの、営業活動によるキャッシュ・フローは支出となりました。ただし、売上債権・棚卸資産の改善に伴い短期借入金は減少いたしました。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入費用及び原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源として事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保するよう努めております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、リース契約及び金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は39億30百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6億57百万円となっております。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、当社経営者は、期末日における資産及び負債、当連結会計年度における収益及び費用に影響を及ぼすような見積りを実施いたします。
見積り及びその基礎となる仮定は、過去の実績やその時点での入手可能な情報等を基に、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で判断しておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響をはじめとする様々な見積り根拠となる仮定又は条件等の変化により、見積り内容が実際の結果と異なる可能性があります。
見積り及び仮定のうち、当社グループの連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える見積り及び仮定は、以下のとおりであります。
① 棚卸資産評価損
第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 返金負債並びに返品資産
当社グループは、販売シーズンの終了に伴う返品の損失に備えるため、返品されると見込まれる商品及び製品について「返金負債」を流動負債に、「返品資産」を流動資産に表示しております。
収益は顧客との契約において約束された対価から返品、値引き等を控除した金額で測定しております。これらの商品及び製品の返品については、返品に伴う予想返金額が天候要因を含む各商品のマーケットの好不調の影響等により変動することから、発生し得ると考えられる予想返金額を確率で加重平均した金額(期待値)による方法を用いて算定し、収益より控除する方法を用いて取引価格を算定しております。よって、実際の結果は、見積り根拠となる仮定又は条件等の変化により、見積り内容と異なる可能性があります。
(7)経営上の目標の達成状況
当社グループは、株主の皆様に対する利益還元を最重要課題のひとつと位置付けた上で、継続的・安定的に実施したいと考えており、連結配当性向30%程度を目処としております。
当連結会計年度は、事業環境は依然厳しい状況にありますが、株主の皆様の日頃のご支援にお応えするため、3円の配当実施とさせていただきました。今後も、中長期的な視点に立って、新事業の開発を含めた成長が見込まれる分野に経営資源を投入することにより、持続的な成長と企業価値の向上並びに株主価値の増大に努めてまいります。
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