(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状況、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概況は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、当連結会計年度の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。このため、前連結会計年度と収益認識に関する会計処理が異なることから、以下の経営成績に関する説明において増減額及び前年同期比(%)は記載せずに説明しております。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大と鎮静化を背景に経済・社会活動の停滞と正常化を繰り返し、その影響が長期化しました。また、上海のロックダウンに伴う物流等の混乱やウクライナ情勢等による資源価格の上昇、更には金融資本市場の変動等かつてない先行き不透明な状況で推移いたしました。
一方、当アパレル・ファッション業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響による雇用・所得環境の悪化や急激な物価上昇により、個人消費がコロナ禍以前に戻るには時間がかかると想定されますが、各種制限の緩和により回復の兆しも見え始めております。
このような経営環境の中、当社グループは「ものを創り 人を創り お客様と共に心豊かな毎日を創る」という不変のミッションのもと、3年後のあるべき姿を目指した中期ビジョン「Yamato2023」を推進しております。人々のライフスタイルや価値観が様変わりする中で、いつの時代でも どのような環境下でも お客様の不満や問題を解決し 求められるものを提供し 最初に想起される真のブランド「シン・ブランド創り」を目指してまいります。
基幹事業である「クロコダイル」は、1963年の発売以来、半世紀以上にわたり愛され続ける当社のオリジナルブランドです。「〝大人のTPO〟をスマートに演出するブランド」をコンセプトに、改めて原点である顧客起点に立ち返り、既顧客の満足度向上と活性化に繋がる商品の強みや付加価値を戦略的に構築し、また潜在顧客が興味を持ち共感できる新しいスタイルを提案してまいります。更に商品・店舗・コミュニケーション等すべてにおいて一貫性を保ち提供することで、お客様のブランドに対する認知・認識を深め顧客を獲得し、事業の持続的な成長を目指してまいります。
「創造的な移動を続ける都市生活者のための機能服」をコンセプトに、オンラインショップをベースに展開する「CITERA(シテラ)」は、常に快適で洗練された、時代に響くスタイルを創り出しております。ブランドの顔となる商品開発に引き続き注力することで更なる売上拡大を目指してまいります。また、米国発アウトドアファッションブランド「Penfield(ペンフィールド)」と、ハワイ発カジュアルサーフブランド「Lightning Bolt(ライトニングボルト)」は、ブランド認知度と価値向上に注力し、ライセンス事業の拡大を目指してまいります。
一方、当社グループの物流業務を請負う子会社ヤマト ファッションサービス株式会社は、在庫管理や入出荷業務の精度向上に努めるとともに、これまでの自動ソーターに加え、成長著しいEC事業に向け新たに自動製封函機を導入する等、積極的な投資を行うことで更なる業務の生産性向上を図っております。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(ア)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、97億3千7百万円となり、前連結会計年度末と比べ6億6千9百万円増加いたしました。現金及び預金と有価証券を合わせた手元流動性資金は58億5千万円から7億8千3百万円増加し、66億3千4百万円となりました。
当連結会計年度末における固定資産は、116億4千7百万円となり、前連結会計年度末と比べ2億9千7百万円減少いたしました。主な要因は、投資有価証券が1億3千4百万円、退職給付に係る資産が8千万円減少したこと等によるものであります。
この結果、総資産は213億8千5百万円となり、前連結会計年度末と比べ3億7千1百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は46億8千4百万円となり、前連結会計年度末と比べ5億9千9百万円増加いたしました。主な要因は、支払手形及び買掛金が7千4百万円、電子記録債務が2億2百万円、1年内返済予定の長期借入金が2億4千5百万円、未払法人税等が1億6百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末における固定負債は7億5百万円となり、前連結会計年度末と比べ2億7千4百万円減少いたしました。主な要因は、長期借入金が1億9千万円、繰延税金負債が1億7百万円減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は53億9千万円となり、前連結会計年度末と比べ3億2千5百万円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は159億9千4百万円となり、前連結会計年度末と比べ4千6百万円増加いたしました。主な要因は、利益剰余金が3億3千4百万円増加し、その他有価証券評価差額金が2億2千5百万円、退職給付に係る調整累計額が7千万円減少したこと等によるものであります。
この結果、自己資本比率は74.8%(前連結会計年度末は75.9%)となりました。
(イ)経営成績
当連結会計年度における経営成績は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等の適用により売上高が193億9千8百万円(前年同期は136億9千1百万円)と増収になりました。利益面では、売上総利益率は58.4%(前年同期は44.9%)となり、販売費及び一般管理費は111億9千1百万円(前年同期は65億5百万円)、営業利益は1億4千4百万円(前年同期は営業損失3億6千4百万円)、経常利益は6億4千1百万円(前年同期は9千2百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億5千2百万円(前年同期は3千万円)となりました。
セグメントごとの売上高では、繊維製品製造販売業191億9百万円(前年同期は133億8千5百万円)、不動産賃貸事業2億8千9百万円(前年同期は3億5百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により11億2千3百万円増加し、投資活動により3億6百万円減少し、財務活動により6千2百万円減少したことにより、前連結会計年度末と比べ7億5千5百万円増加し、当連結会計年度末には66億5百万円となりました。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は11億2千3百万円(前年同期は得られた資金7億5千9百万円)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益5億7千3百万円、仕入債務の増加2億7千7百万円、売上債権の増加1億7千7百万円、棚卸資産の減少2億9千1百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は3億6百万円(前年同期は得られた資金5千7百万円)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出8千6百万円、投資有価証券の取得による支出2億4百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は6千2百万円(前年同期は使用した資金3億円)となりました。主な要因は、長期借入れによる収入3億円、長期借入金の返済による支出2億4千5百万円、配当金の支払額1億2百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当連結会計年度は当社グループ内での生産は行っておりませんので、記載を省略しております。
(2)仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(アイテム別)
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
繊維製品製造販売業 |
カットソーニット |
2,339,117 |
98.2 |
|
布帛シャツ |
1,308,260 |
107.8 |
|
横編セーター |
941,691 |
103.0 |
|
アウター |
2,013,581 |
114.9 |
|
ボトム |
819,761 |
137.5 |
|
小物・その他 |
269,793 |
99.0 |
|
計 |
7,692,207 |
117.9 |
不動産賃貸事業 |
- |
- |
|
合計 |
7,692,207 |
117.9 |
(顧客別)
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
繊維製品製造販売業 |
メンズ |
4,201,634 |
103.3 |
|
レディス |
3,486,990 |
114.0 |
|
その他 |
3,582 |
107.8 |
|
計 |
7,692,207 |
107.9 |
不動産賃貸事業 |
- |
- |
|
合計 |
7,692,207 |
107.9 |
(注)金額は、仕入価格によっております。
(3)受注実績
受注生産を行っていないため、記載を省略しております。
(4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しているため、前年同期比の記載はしておりません。
①セグメント販売実績
(アイテム別)
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
繊維製品製造販売業 |
カットソーニット |
5,954,242 |
- |
|
布帛シャツ |
3,368,894 |
- |
|
横編セーター |
2,273,580 |
- |
|
アウター |
4,790,412 |
- |
|
ボトム |
1,872,296 |
- |
|
小物・その他 |
849,988 |
- |
|
計 |
19,109,414 |
- |
不動産賃貸事業 |
289,195 |
- |
|
合計 |
19,398,610 |
- |
(顧客別)
セグメントの名称 |
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
繊維製品製造販売業 |
メンズ |
10,411,858 |
- |
|
レディス |
8,565,439 |
- |
|
その他 |
132,115 |
- |
|
計 |
19,109,414 |
- |
不動産賃貸事業 |
289,195 |
- |
|
合計 |
19,398,610 |
- |
(注)1.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年9月1日 至 2021年8月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年9月1日 至 2022年8月31日) |
||
金額(千円) |
比率(%) |
金額(千円) |
比率(%) |
|
イオングループ |
3,913,068 |
28.6 |
- |
- |
株式会社イトーヨーカ堂 |
2,956,726 |
21.6 |
- |
- |
ユニー株式会社 |
1,672,657 |
12.2 |
- |
- |
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用したことに伴い顧客の定義を見直した結果、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める顧客が存在しないため、記載を省略しております。
②ブランド別販売実績
区分 |
金額(千円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
クロコダイル |
17,707,488 |
91.3 |
- |
その他 |
1,691,121 |
8.7 |
- |
合計 |
19,398,610 |
100.0 |
- |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成は、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りは過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる方法により行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため実際の結果と異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
②当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度の財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 (ア)財政状態」をご参照ください。
③当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しているため、前年同期比の記載はしておりません。なお、詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
(ア)売上高
当連結会計年度における売上高は、193億9千8百万円となりました(前年同期は136億9千1百万円)。
基幹事業である「クロコダイル」につきましては、平時であった2019年8月期に対して売上が9掛で推移しても利益が出せる体制を構築することをポイントに、引き続き取り組みましたが、結果的には上期の緊急事態宣言発出期間や宣言解除後の経過措置期間、及びまん延防止等重点措置の適用期間においては、店舗の集客等にも影響があり、既存店売上が平時に対し、約8掛と長引くコロナの影響を受けました。また下期においては、感染が拡大していた3月、及び感染拡大第7波となった8月はその影響を受けましたが、感染者数が落ち着いた4月から7月は売上が持ち直したことで、目指していた9掛け水準をほぼ達成することができました。一方、現コロナ禍におけるチャネル戦略で、最も重要な位置付けと言っても過言ではないEコマースは、デジタルとアナログを効果的に融合させたマーケティングに加え、利便性向上を目指した新サービスの導入やSNS広告にも積極的に投資しております。一昨年導入したクロコダイルアプリも順調に利用者が拡大したことで会員数も60万人を突破し、その売上も前年比33%増と伸長、新規事業「CITERA(シテラ)」を加えたEコマースの全社売上は、前年比25%増と引き続き伸長しております。
(イ)売上総利益率、販売費及び一般管理費、営業損益
当連結会計年度における売上総利益率は、コロナ禍でも過度な在庫消化に走らず利益重視の運営を行ったことで58.4%(前年同期は44.9%)となりました。
販売費及び一般管理費は、111億9千1百万円(前年同期は65億5百万円)となりました。新たな会員獲得に向けた新サービスの開発や新聞広告、更には成長著しいEC事業に向け新たに自動製封函機を導入する等優位性を生む事業への先行投資を積極的に行いながらも、これまで取り組んできた不採算分野の整理、および効率化とローコスト経営の成果が着実に表れ始めております。
この結果、当連結会計年度における営業利益は、1億4千4百万円となりました(前年同期の営業損失3億6千4百万円)。
(ウ)税金等調整前当期純損益
当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、5億7千3百万円となりました(前年同期の税金等調整前当期純利益8千7百万円)。
(エ)親会社株主に帰属する当期純損益
これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、4億5千2百万円となりました(前年同期の親会社株主に帰属する当期純利益3千万円)。
④当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移
|
2018年8月期 |
2019年8月期 |
2020年8月期 |
2021年8月期 |
2022年8月期 |
自己資本比率(%) |
75.3 |
74.2 |
75.5 |
75.9 |
74.8 |
時価ベースの自己資本比率(%) |
47.4 |
35.9 |
35.0 |
31.9 |
26.0 |
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年) |
1.6 |
1.3 |
- |
0.8 |
0.7 |
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
38.8 |
103.0 |
- |
158.6 |
220.2 |
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
(注5)2020年8月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオは営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
⑤経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。
⑥資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金及び設備投資資金は、主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入を実施することを基本方針としております。
この方針に従い、当連結会計年度における運転資金及び設備投資資金については、自己資金により充当しました。
今後の資金需要のうち、主なものは、運転資金の他、店舗の出店及び改修などの設備投資資金等であります。これらの資金についても、基本方針に基づき、主に自己資金により充当する予定でありますが、必要に応じて金融機関からの借入を実施する等、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要な資金を調達してまいります。
⑦経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、株主資本の効率的運用及び収益性の追求の観点から、ROE(自己資本当期純利益率)を重要な経営指標ととらえ、その向上を目指して経営に取り組んでおります。
当連結会計年度におけるROEは、2.8%と前年同期比2.6ポイント改善しました。
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