(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、経済活動の停滞や個人消費の低迷等の厳しい状況で推移しました。足下では、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進んだことなどから新規感染者も大幅に減少し、経済・社会活動は緩やかながら回復の兆しがあったものの、感染力の強い新たな変異株(オミクロン株)の流入等により、回復は鈍化し、依然として不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く経営環境においては、電力・ガス自由化以降、脱炭素化、分散化、デジタル化という流れの中で、電力・ガス・熱供給分野の一体的な改革が進み、エネルギー市場の垣根を越えた総合エネルギー市場が創出され、AI・IoT等の革新的な技術の導入や事業者間の活発な競争、異なるサービスの融合などのイノベーションの創発を通じ、エネルギー選択の自由度拡大や料金の最大限の抑制等、消費者の利便性の向上が進展しております。
一方で、世界規模でのCO2削減取り組み強化・脱炭素化の要請や2050年のカーボンニュートラル実現に向けた宣言、自然災害の頻発化・激甚化に伴うエネルギー安定供給のためのインフラ強靭化の要請の高まりに加え、ウクライナ情勢の変化などによる資源価格の高騰、国際的な需給構造の変化、少子高齢化や人口減少による需要変化、そして新型コロナウイルス感染症に伴う生活様式の変化等、エネルギー事業を取り巻く構造的環境は大きくかつ急激に変化しており、国内外の多様な環境変化に即応した対応が求められております。これらの変化の下、エネルギー事業者は環境適合、安定供給、経済効率の観点から、サステナブルな社会に向けた低炭素化・脱炭素化、安全・安心な社会に向けたレジリエンス強化、安定供給継続・事業継続に向けた経営基盤の強化等の更なる高度化を進めることが必要と考えられております。
このような状況下、当社はアジアにおけるセルフストレージ事業に参入すべく、当社の連結子会社である TRIFORCE INVESTMENTS PTE. LTD.が Singapore Post Limited の子会社であるSingPost Investments Pte. Ltd.との間で同社の保有する General Storage Company Pte. Ltd. (以下「GSC 社」)の全発行済株式を譲り受ける契約を、2021年9月に締結し、12月に株式を100%取得(子会社化)いたしました。当社グループは、GSC 社を傘下におくことで、独自の付加価値をもつセルフストレージや倉庫保管等をアジア太平洋地域の地域社会や企業に提供し、アジアでのマーケットシェアの拡大を図ってまいります。
国内においては、当社連結子会社である株式会社ミツウロコビバレッジを通じて、2021年11月に静岡ジェイエイフーズ株式会社(2022年4月1日付で「静岡ミツウロコフーズ株式会社」に商号変更)の株式を100%取得(子会社化)いたしました。本件により清涼飲料水の生産能力を獲得することで、約3,000億円規模と言われているミネラルウォーター市場から約3.8兆円を誇る清涼飲料市場へ参入し、あらたな事業分野において一層の事業規模拡大を図ってまいります。
また、ミツウロコグループ全体の顧客体験価値(カスタマーエクスペリエンス、CX)を向上させるデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)の推進を目的に、2021年12月、当社の孫会社である株式会社トライフォースを持株会社である当社直下の子会社とし、より機動的な組織経営を行うことといたしました。グループ横断的視点でのマーケティングを推進し、ミツウロコグループが提供しているエネルギー、電力、フーズ、リビング&ウェルネスなど様々な分野のサービスや有形無形資産をデジタルによりエコシステム(経済圏)化することで、グループとしての総合的な競争力を高めていきます。
主力のエネルギー事業においては、引き続き堅実な事業基盤のもと、地域に根差したグループの総合力を活かし、地域の安定供給を担う主体として、有事にも対応可能な供給インフラの維持と整備を図るとともに、お客様のニーズの多様化、選択志向に合わせた様々な取り組みを行っております。当社の連結子会社であるミツウロコグリーンエネルギー株式会社は、再生可能エネルギー主力電源化の普及及び電力系統の安定化へ向けた取り組みとして、北海道北広島市に2022年12月の運用開始を目指し、「北広島第一、第二蓄電所」の建設準備を開始いたしました。
当社は、多様なステークホルダーの皆様と新たな価値創造を継続し、持続可能な社会づくりに貢献するため、ESG(環境・社会・ガバナンス)の観点から長期的な視野で当社グループの事業を鑑み、あらゆる社会課題の中から経営が優先的に取り組むべき課題を検討し、6つの重要課題(マテリアリティ)を特定いたしました。環境への取り組みとしては、環境意識の高まりとともにCO2削減を重視されるお客様に向けた、CO2排出量だけでなく再生可能エネルギー由来にこだわった環境低負荷な電力プラン「ミツウロコグリーンプラン」の提供やLPWA通信による遠隔自動検針で取得した指針情報を活用し、最適な容器交換日の提示と配送計画を立案する「SmartOWL配送業務効率化ソリューション」の提供開始など、再生可能エネルギーの普及や燃料消費量の抑制、CO2の削減によるサステナブルな社会の実現に向けてミツウロコグループ全体でESGへの取り組みを推進しております。また、従業員が安心安全に働くことができる環境を維持構築するためにも、健康経営の推進に取り組んでおります。
なお、2022年4月4日に行われた東京証券取引所の市場再編について、当社は、2021年12月24日公表の「新市場区分における「プライム市場」の選択取り下げ及び「スタンダード市場」選択申請に関するお知らせ」に記載のとおり、当社を取り巻く経営環境の変化のスピード、市場の動向並びに当社の状況を踏まえ再度検討した結果、限られた経営資源を既存の主力事業に加え、「環境領域」、「カーボンニュートラルの実現」及び「グローバル対応領域」等における新たな価値を創造する事業への投資や事業開発、組織強化並びに人財育成に傾斜配分することで、今後の中長期的な企業価値向上に取り組むことが、株主利益の向上をはかる上で最適な選択と考え、「プライム市場」の選択を取り下げ、「スタンダード市場」を選択することを決議し、4月より「スタンダード市場」に移行しております。当社はこれからも、コーポレートガバナンスの高度化及びサステナビリティへの取り組みを推進し、持続的な成長及び企業価値の向上に努めてまいります。
グループ全体の業務効率化としては、グループのシェアードセンターであるミツウロコ事務センターにおいて、予てよりDXの概念の下、積極的にRPA(Robotic Process Automation)やAI-OCRを活用し、業務のデジタル化をベースに間接業務コストの削減に取り組んでおります。特にエネルギー事業の受発注業務では、受託を開始した2014年以降、業務プロセス短縮や帳票のデジタル化、フォーム統合等を行いながら、RPAによる業務自動化を継続的に推進しており、前年度までに入力業務の90%が自動化され、一人あたりが処理した業務データの数は2.9倍となり、単位コストを66%削減することができました。
RPA活用範囲を広げるため、現在は紙や画像の活字を読み取りデジタルデータに変換が可能なAI-OCRの積極活用に注力しておりますが、受発注業務においては紙を一枚も排出することなく全ての業務を完結させていることから、一般的に難しいと言われるシェアードセンターのリモートワーク移行についても比較的スムーズに実施することができ、現在も出社率は30%台を維持しております。ミツウロコ事務センターでは、今後も最先端技術を取り入れた業務効率化ツールの利用を進め、グループの生産性向上に貢献してまいります。
更に、日本電気株式会社、京セラコミュニケーションシステム株式会社との協業によるAI・IoTを活用したLPガス業務効率化ソリューション「SmartOWL(スマートオウル)」への取り組みでは、遠隔でLPガスメーターの情報を取得・提供するサービスに続き、日次指針を有効活用した「SmartOWL配送業務効率化ソリューション」の商用を2021年10月より開始し、LPWA等を利用して日次指針を取得している全てのLPガス事業者の課題解決に向けた取り組みをスタートいたしました。このソリューションは株式会社ミツウロコクリエイティブソリューションズが特許を取得し、1年間にわたる実証実験では配送回数を29.1%削減、配送業務時間は30.9%を削減した“LPガス配送計画システム”で、既に多くの事業者の皆様から反響とお問い合わせをいただき、今後一層の利用拡大を見込んでおります。
当連結会計年度は、エネルギー事業における燃料価格の上昇及び電力事業における電力仕入調達価格の上昇等により、売上高は前期比10.4%増の2,500億33百万円、営業利益は前期比84.3%減の8億23百万円、経常利益は前期比51.3%減の29億25百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比43.3%減の19億9百万円となりました。なお、新型コロナウイルス感染症に対する政府・自治体からの各種要請等により、当連結会計年度はフーズ事業の店舗において実施した臨時休業期間中に発生した固定費(人件費・減価償却費・賃借料等)を、新型コロナウイルス感染症による損失として特別損失に9百万円計上(前年度はフーズ事業の店舗やリビング&ウェルネス事業の施設において、2億6百万円計上)しております。
また、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度の売上高は89億31百万円減少し、営業利益、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ3億89百万円増加しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
各セグメントの状況は次のとおりです。
なお、当連結会計年度より、従来は(その他事業)に含めておりました(海外事業)について、海外子会社の連結開始により量的な重要性が増したため報告セグメントとして記載する方法に変更しております。また、当社グループ内での経営管理区分の見直しを行った結果、当連結会計年度より、従来は「その他事業」に含めておりました煉炭・豆炭等の販売事業を「エネルギー事業」に変更しております。報告セグメントに関する詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)1.報告セグメントの概要」をご参照ください。
(エネルギー事業)
LPガス事業におきましては、前年度に新型コロナウイルス感染症の影響を受けた、飲食店をはじめとする業務用の需要が引続き回復傾向にあるため、業務用販売数量は前期比で103.8%となりました。また、新規顧客獲得活動を積極的に行っておりますが、前年度の巣ごもり需要が解消したことにより、家庭用販売数量は前期比96.9%となりました。
石油事業については、外出控えは続いているものの、原油価格高騰に連動した販売価格上昇による需要低下や大雪による配送遅延などにより、家庭用灯油販売数量は前期比95.2%となっております。
住宅設備機器販売事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた海外部品メーカーからの調達遅れ及び世界的な半導体・ハーネス不足によるガス器具全般の納期遅れが継続しており、売上高は前期比92.0%となりました。
なお、(会計方針の変更)に記載のとおり、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更したことに伴い、事業セグメントの利益又は損失の測定方法を同様に変更した結果、従来の方法に比べて、当連結会計年度のエネルギー事業の売上高は4億4百万円減少、営業利益は47百万円減少しております。
以上の要因に加え、仕入価格の上昇に伴う販売価格上昇の結果、売上高は前期比24.0%増の1,378億40百万円となる一方、売上原価率の上昇により営業利益は前期比33.7%減の27億91百万円となりました。
環境意識がより一層高まる中、太陽光発電と蓄電池の「創蓄連携システム」は当社にとって重要な位置付けと考えており、脱炭素 CO2削減に効果的な創エネ・蓄エネ・省エネ等を積極的に推進し、カーボンニュートラルへ向けた取り組みを加速してまいります。
(電力事業)
小売電気事業におきましては、新型コロナウイルス感染症による電力需要へのマイナス影響等はありましたが、経済活動全体が停滞した影響下、コスト削減の希求から「ミツウロコでんき」を選んでいただけるお客様は増加し、電力の単位使用料は低減したものの電力契約数が増加いたしました。
しかし、(会計方針の変更)に記載のとおり、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更したことに伴い、事業セグメントの利益又は損失の測定方法を同様に変更した結果、従来の方法に比べて、当連結会計年度の電力事業の売上高は83億68百万円減少、営業利益は4億37百万円増加しております。当該基準の適用を踏まえ、前連結会計年度まで営業収益に計上していた「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(平成23年法律第108号)第36条第1項の再エネ特措法賦課金及び第28条第1項の再エネ特措法交付金の会計処理は、営業収益より除くこととなり、対応する費用を計上しないこととなった結果、売上高は前期比5.4%減の940億57百万円となりました。また、2021年9月以降、経済回復により電力需要が増加する中で、LNG・天然ガスや石炭等の発電用燃料の輸入価格が高騰し、電力仕入調達価格も高騰した結果、営業損失は13億43百万円(前期は15億90百万円の営業利益)となりました。
昨今の気候変動がもたらす影響が深刻さを増す中、CO2削減が大きな課題となっておりますが、太陽光や風力などの「自然由来の電気」を利用したいと考えるご家庭や個人事業者の方を対象とした、東京都、神奈川県、横浜市、川崎市、相模原市の5都県市にお住いのご家庭や個人事業者を対象とした「みんなでいっしょに自然の電気」キャンペーンにおける小売電気事業者の選定も受けました。また、2021年3月より、沖縄と一部離島を除く全国へ、電気自動車(以下、EV)を利用または購入されるお客様向けの料金プラン「EVグリーンプラン(再生可能エネルギー由来100%)」の提供エリアを拡大しました。2021年7月からは、電力の消費を減少または増加させることにより電力の需要と供給のバランスをとるため、卸市場価格の高騰時または系統信頼性の低下時において、電気料金価格の設定またはインセンティブの支払に応じて、需要家側が電力の使用を抑制するよう電力の消費パターンを変化させる仕組みである「デマンドレスポンスサービス」の提供を、特別高圧・高圧のお客様を対象に開始し、節電やピークシフト、省エネへの取り組みを通じて電力の安定性や経済的なエネルギー利用へ貢献し、脱炭素化社会に向けた再生可能エネルギー導入拡大につなげてまいります。
今後も、対象となるお客様の拡大や、蓄電池・EV等のリソースを活用した調整力の確保など、「豊かなくらしのにないて」として、多くのお客様へ電気をお届けするとともに、社会やお客様の暮らしに役立つサービスを提供できるよう取り組んでまいります。
(フーズ事業)
飲料水事業は、2021年11月に静岡ミツウロコフーズ株式会社(旧社名は静岡ジェイエイフーズ株式会社)を当社グループに加えたことで、清涼飲料の生産拠点が5ヶ所となり、製造能力が大幅に増加しました。同社は、各種清涼飲料水の受託製造を軸に事業を推進しております。また、新商品開発においても大手飲料メーカーとの連携により、お客様に喜ばれる商品の開発にも注力しています。同社の品質向上に対する取り組みと高い製造技術は、グループ全体の品質向上に大きく貢献しています。これはミツウロコグループが標榜する「安心・安全」への取り組みに資するものであり、更なる生産増加に向けた基本戦略となっています。今後も品質の向上を第一とすることでお客様の信頼に応えてまいります。
ミネラルウォーター事業を展開する株式会社ミツウロコビバレッジは、自社工場の常時フル稼働に加え、外部への製造委託等により販売数量は前期比109%と堅調に推移しております。また静岡ミツウロコフーズ株式会社との連携による製品メニューの拡充により、これまでお応え出来ていなかった多様なお客様の要望に対応可能となりました。今後も引き続きサービスを向上させることで、お客さまのご期待に応えられるよう努めてまいります。
全国に店舗を展開しているベーカリーの「麻布十番モンタボー」は、ECサイトをリニューアルし、より親しみやすく、お客様目線に立ったサイトの構築を実施、これまで取りこぼしていた店舗展開エリア以外のお客様へのアクセス向上を図っています。製品では東京学芸大学附属世田谷中学校の学生が考案したパンを商品化しました。同商品は、同中学の授業で行われた「麻布十番モンタボーのパンのマーケティング及び商品開発」で出された案を取り入れました。未来ある生徒とともにブランドを成長させるという思考のもと、これまでにない新商品開発を行うことで、商品開発の多元化を図ります。
ハンバーガーチェーンの「カールスジュニアジャパン」は、引き続きテイクアウトデリバリーの拡充などの対策を施すとともに『お客様の安全を最優先』として店舗内の衛生管理強化を実施しております。またバーガー・ドリンク共に新商品を投入することで、お客様より好評を得ており、リピーターの増加に役立っています。
フーズ事業全体の業績といたしましては、店舗展開を主軸とする食品販売事業におきまして、新型コロナウイルスの感染拡大による影響は一定程度あるものの、飲料水事業が販路拡大により好調に推移しており、売上高は前期比18.7%増の134億76百万円、営業利益は1億27百万円(前期は95百万円の営業損失)となりました。
(リビング&ウェルネス事業)
ウェルネス事業のスパ イアス・ハマボールは、2022年1月21日~3月21日にわたるまん延防止等重点措置の影響を受け、昨年末まで好調であった入館者数が一時的に停滞しました。3月中旬になると、スパ イアスでは健康志向を反映したサウナ需要やコワーキングスペース利用者、ハマボールでは春休み期間の学生利用が増加し、回復基調を見せております。
また、スパ イアスでは創業13周年を記念した横浜DeNAベイスターズ公認オリジナルサウナハットを販売し、各種メディアの注目を集めております。
ハマボールでは、ウェルネスラボ主導のもと「廃棄ボウリングピン」のリユースを目的とした、Rain-Bowling(レインボウリング)プロジェクトを展開しております。その一つとして、リユースアイデアを公募する「リユースコンテスト」(神奈川新聞社協力企画)の開催に向け準備をしております(2022年5月~6月末開催予定)。
引き続き、スパ イアスの温泉IoT(施設混雑可視化サービス)等を活用し、新型コロナウイルス感染防止対策に努め、横浜エリアにおける施設価値とプレゼンスの向上、集客の回復に努めてまいります。
不動産事業では、賃貸スキームの変更による費用の削減や既存物件への追加設備投資等を行い、収益力の維持向上を実現しております。また、ポートフォリオ拡大を目指し、新規物件の取得活動を積極的に行ってまいりました。2021年10月に取得した福岡市のレジデンス「BlancCiel NISHIJIN(ブランシエル西新)」は順調に稼働率を伸ばしており、2022年3月末現在ほぼ満室稼働をしております。また既存物件の価値向上策として、仙台市青葉区に所有する賃貸マンション(一部事務所・店舗)のリノベーションを実施しております。居室のリフォームのみならず、共用部にはシアタールームやライブラリのあるラウンジを設け、利用者がくつろげる空間づくりを進めています。設置する家具はサブスクリプションサービスを活用し、廃棄等の環境負荷を最小限にする取り組みを行っています。
ハマボールイアスビルの来館者数は、2021年9月の緊急事態宣言解除後は緩やかに回復し、ビルを挙げての販促キャンペーンで集客を加速させていましたが、本年1月から3月までまん延防止等重点措置期間に入ったことにより、2~3月の来館者数は低調となりました。
また、(会計方針の変更)に記載のとおり、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更したことに伴い、事業セグメントの利益又は損失の測定方法を同様に変更した結果、従来の方法に比べて、当連結会計年度のリビング&ウェルネス事業の売上高と売上原価は、それぞれ1億59百万円減少しております。
リビング&ウェルネス事業全体としては、営業時間短縮等の影響により、売上高は前期比0.5%増の22億6百万円、営業利益は前期比21.9%減の3億24百万円となりました。
(海外事業)
2021年12月にミツウロコグループ傘下に加わったGSC社他6社のレンタル収納事業の損益について、第4四半期連結会計期間より連結財務諸表に取り込んでおります。連結初年度については、海外事業全体として売上高は5億8百万円(前期は-百万円)となりましたが、買収時に発生したのれんの償却額42百万円に加え、デューデリジェンス等の一過性の費用1億7百万円が発生したことから、営業損失は77百万円(前期は19百万円の営業損失)となりました。
なお、当社と戦略的業務提携契約を締結しているSiamgas & Petrochemicals Public Company Limitedは、原油価格高騰等の影響により業績は好調に推移しており、同社からの当連結会計年度の受取配当金は前期比109.5%増の6億39百万円となり、営業外収益に計上しております。
(その他事業)
情報システム開発・販売事業においては、エネルギー自由化時代の中で、信頼性の更なる向上や顧客密着度の高さ等を意識したLPガス販売管理システムである「COSMOSシリーズ」の拡販を行っておりますが、リース事業における売上高の減少等により、その他事業全体としての売上高は前期比17.3%減の19億43百万円となる一方、リース事業の債権の健全化による引当金の減少により営業利益は46百万円(前期は11百万円の営業損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、50億13百万円(前期比6.1%減)となりました。
主な要因は、税金等調整前当期純利益34億37百万円、減価償却費30億82百万円、売上債権の増加額96億33百万円、仕入債務の増加額68億77百万円、法人税等の支払額23億45百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、84億17百万円(前期は35億23百万円の支出)となりました。
主な要因は、有形固定資産の取得による支出26億37百万円、無形固定資産の取得による支出10億68百万円、投資有価証券の売却による収入13億15百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出57億86百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、7億59百万円(前期は48億58百万円の支出)となりました。
主な要因は、長期借入れによる収入48億52百万円、長期借入金の返済による支出20億21百万円、自己株式の取得による支出13億21百万円、配当金の支払額14億10百万円等によるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期比40億30百万円減少し、212億67百万円となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
エネルギー事業 |
159 |
104.0 |
電力事業 |
2,636 |
117.5 |
フーズ事業 |
4,474 |
119.7 |
合 計 |
7,270 |
118.5 |
(注)エネルギー事業については㈱ミツウロコヴェッセルの煉炭生産実績、電力事業については風力発電会社等の電力生産実績、フーズ事業については㈱ミツウロコビバレッジの飲料水生産実績等であり、それぞれ実際生産金額によっております。
(ロ)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
仕入高(百万円) |
前年同期比(%) |
エネルギー事業 |
116,726 |
130.0 |
電力事業 |
90,593 |
97.2 |
フーズ事業 |
4,135 |
120.1 |
その他事業 |
553 |
124.3 |
合 計 |
212,009 |
113.4 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(ハ)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
エネルギー事業 |
137,840 |
124.0 |
電力事業 |
94,057 |
94.6 |
フーズ事業 |
13,476 |
118.7 |
リビング&ウェルネス事業 |
2,206 |
100.5 |
海外事業 |
508 |
- |
その他事業 |
1,943 |
82.7 |
合 計 |
250,033 |
110.4 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態
(ⅰ)資産の部
当連結会計年度における資産の残高は、前連結会計年度末と比較して95億45百万円増加の1,547億35百万円となりました。
主な要因としては、子会社株式取得の支払等による現金及び預金の減少39億77百万円、売上高の増加等に伴う売掛金の増加108億36百万円、GSC社及び静岡ミツウロコフーズ株式会社の連結開始等に伴う建物及び構築物の増加33億83百万円、土地の増加24億63百万円及び有形固定資産のその他の増加27億68百万円、取得による企業結合により発生したのれんの増加28億29百万円、株式の市場価格の下落及び売却に伴う投資有価証券の減少97億99百万円等によるものです。
(ⅱ)負債の部
当連結会計年度における負債の残高は、前連結会計年度末と比較して151億45百万円増加の670億45百万円となりました。
主な要因としては、売上原価の増加等に伴う支払手形及び買掛金の増加74億63百万円、長期借入金からの振替等による1年内返済予定の長期借入金の増加13億15百万円、子会社株式取得のための資金需要増加等による長期借入金の増加20億24百万円、その他有価証券評価差額金の減少等に伴う繰延税金負債の減少27億49百万円、GSC社及び静岡ミツウロコフーズ株式会社の連結開始に伴う短期リース債務の増加8億42百万円、流動負債のその他の増加26億43百万円及び長期リース債務の増加21億64百万円等によるものです。
(ⅲ)純資産の部
当連結会計年度における純資産の残高は、前連結会計年度末と比較して56億円減少の876億89百万円となりました。
主な要因としては、自己株式の消却等による資本剰余金の減少19億54百万円、親会社株主に帰属する当期純利益及び剰余金の配当に加え、(会計方針の変更)に記載のとおり、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用したことに伴う当連結会計年度の期首の純資産に反映された会計方針の変更の累積的影響額等による利益剰余金の増加16億13百万円、投資有価証券の評価額減少に伴うその他有価証券評価差額金の減少65億86百万円等によるものです。
(ロ)経営成績
当連結会計年度の売上高は前期比10.4%増の2,500億33百万円、営業利益は前期比84.3%減の8億23百万円、経常利益は前期比51.3%減の29億25百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比43.3%減の19億9百万円となりました。
(ⅰ)売上高の状況
エネルギー事業セグメントにつきましては、燃料価格の上昇に伴う販売価格上昇の結果、前連結会計年度に比べて24.0%増加の1,378億40百万円となりました。
電力事業セグメントにつきましては、主として収益認識基準改正の影響により、前連結会計年度に比べて5.4%減少の940億57百万円となりました。
フーズ事業セグメントにつきましては、飲料水事業の好調な推移に加え、静岡ミツウロコフーズ株式会社の連結開始によって、前連結会計年度に比べて18.7%増加の134億76百万円となりました。
リビング&ウェルネス事業セグメントにつきましては、ウェルネス事業において入館者数が回復傾向にある一方、収益認識基準改正の影響により、前連結会計年度に比べて0.5%増加の22億6百万円となりました。
海外セグメントにつきましては、当連結会計年度よりGSC社の連結開始に伴い5億8百万円となりました。(前連結会計年度は-百万円)
その他事業セグメントにつきましては、リース事業の売上高減少等により前連結会計年度に比べて17.3%減少の19億43百万円となりました。
以上の結果、連結損益計算書の売上高は、前連結会計年度と比べて235億71百万円増加の2,500億33百万円となりました。
(ⅱ)営業利益の状況
エネルギー事業セグメントにつきましては、燃料価格の上昇による売上原価の増加により、前連結会計年度と比べて33.7%減少の27億91百万円となりました。
電力事業セグメントにつきましては、電力市場価格高騰の影響により電力仕入調達価格が上昇し、営業損失は13億43百万円(前連結会計年度は15億90百万円の営業利益)となりました。
フーズ事業セグメントにつきましては、食品販売事業において新型コロナウイルスの感染拡大による影響は一定程度あるものの、飲料水事業が好調に推移し、1億27百万円の営業利益(前連結会計年度は95百万円の営業損失)となりました。
リビング&ウェルネス事業セグメントにつきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止のための営業時間短縮等の影響により、前連結会計年度と比べて21.9%減少の3億24百万円となりました。
海外セグメントにつきましては、GSC社の買収時に発生したのれんの償却額及びデューデリジェンス等の一過性の費用により77百万円の営業損失(前連結会計年度は19百万円の営業損失)となりました。
その他事業セグメントにつきましては、リース事業における債権の健全化による引当金の減少等により、46百万円の営業利益(前連結会計年度は11百万円の営業損失)となりました。
以上の結果、連結損益計算書の営業利益は、前連結会計年度と比べて44億8百万円減少の8億23百万円となりました。
(ⅲ)経常利益の状況
営業利益が前連結会計年度と比べて44億8百万円減少した一方、受取配当金の増加3億69百万円や受取保険金の増加3億18百万円、デリバティブ利益の増加51百万円及びデリバティブ損失の減少4億83百万円等により、経常利益は前連結会計年度に比べて30億78百万円減少の29億25百万円となりました。
(ⅳ)親会社株主に帰属する当期純利益の状況
経常利益が前連結会計年度と比べて30億78百万円減少した一方、投資有価証券の売却により特別利益が7億68百万円増加し、新型コロナウイルス感染症による損失等により特別損失が4億56百万円減少しました。また法人税等も4億21百万円減少したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べて14億59百万円減少の19億9百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保するとともに、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持することを基本方針としております。
事業活動にかかる運転資金につきましては、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としておりますが、それに加えて金融機関からの短期借入により流動性を保持しています。また、当社と連結子会社間では、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)により資金融通を行うことで資金効率を高めております。
一方、設備資金等の長期資金につきましては、投資計画に基づき、市場金利動向や既存借入金の償還時期等を総合的に勘案し、金融機関からの長期借入により流動性を維持しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境」にも記載のとおり、グループ全体としては限定的で、資金繰りについても大きな影響は受けないものと見込んでおります。従いまして、投資については引き続き積極的に行っていくとともに、株主還元の観点からも、40%の配当性向を目処として、安定した配当政策を今後も実施していく方針です。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (会計上の見積り)に記載しております。
なお、この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日現在において過去の実績等を勘案し合理的に判断して見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
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