当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当社グループは、「成長戦略」として①自社品事業の強化 ②アスレチックビジネスの深化 ③ライフスタイルビジネスの進化 ④主力ブランドの再強化 ⑤EC市場での多面的対応 ⑥商品・ブランドの絞り込みと新規販路の開拓、「構造改革」として①利益率の向上 ②経営の生産性向上 ③物流改革、「体質強化」として①人財と組織の活性化 ②グループの一体化を基本方針とし、業績向上に努めました。
成長戦略は、①自社品事業の強化については、SNS等の積極的な活用や硬式野球ヘルメットにおいて2021年グッドデザイン賞受賞等によるゼットブランド価値の向上に努めました。②アスレチックビジネスの深化については、同業のベンゼネラル株式会社から事業譲受により売上の向上を図りました。③ライフスタイルビジネスの進化 ④主力ブランドの再強化については、当社独占取扱いブランドの認知拡大に努めました。⑤EC市場での多面的対応 ⑥商品・ブランドの絞り込みと新規販路の開拓については、拡大し続け競争が激化するEC市場において、ユーザーニーズに迅速対応し、また、ベンゼネラル株式会社から事業譲受による新規販路拡大する等成果を上げております。
構造改革は、①利益率の向上 ②経営の生産性向上 ③物流改革については、販売ロスの低減、仕入・在庫の管理徹底により利益率が向上し、売上増加に伴う変動経費やベンゼネラル株式会社から事業譲受による人員増加等もあり経費が増加したものの、経費比率は削減しております。
体質強化は、①人財と組織の活性化 ②グループの一体化については継続的な課題であり、今後も強化に努めます。
その結果、当連結会計年度の売上高は44,762百万円(前期比19.0%増)、営業利益は491百万円(前期は営業損失129百万円)、経常利益は885百万円(前期比502.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は723百万円(前期比560.0%増)となりました。
売上高は、前期は新型コロナウイルス感染症の影響が大きかったことからの回復に加えて、ベンゼネラル株式会社から事業譲受があった事等により大幅な増収となりました。連結売上高営業利益率は2%を目標としておりますが、結果は1.1%となり、引き続き安定した収益基盤の確立に努めます。
当社グループは、スポーツ事業の単一セグメントであるため、下記の区分は、「第1 企業の概況」の「5 従業員の状況」における事業部門の区分と同一であり、関連付けております。
部門別の経営成績は、次のとおりであります。
スポーツ事業
(卸売部門)
卸売部門は、コロナ禍の影響により、特に国外の生産体制が逼迫し、一部の商品に供給取り止めや遅れが発生しましたが、「アスレチックス」マーケットは、前期に比べ営業活動の制限が緩和されたことに加えて、事業譲受効果もあり主力カテゴリーが前期比で大幅な増収となり、コロナ禍前と比較しても増収となりました。また、YouTube「ZETT BASEBALLチャンネル」では、登録者が1万人を突破する等視聴者の高評価を得ております。「ライフスタイル」マーケットは、アウトドア用品が引き続き堅調に推移しました。「ボディケア」マーケットは、事業譲受による事業拡大により堅調に推移しました。
この結果、売上高は43,071百万円(前期比19.5%増)となりました。
(製造部門)
製造部門は、商品企画、生産計画、販売戦略の精度をさらに上げ、製品認知度の向上、在庫ロスの低減、売り逃しの削減に努めました。野球・ソフトボール用品は、「プロステイタス」グラブが引き続き好調に推移したことに加え、商品企画においては、硬式野球用ヘルメットが2021年度グッドデザイン賞を受賞する等、ゼットブランドの向上に寄与しました。「コンバース」のバスケットボール用品は、屋内スポーツの回復が依然として厳しい状況であり、大幅減収となった前期比では回復したものの、コロナ禍前の水準には回復していません。
この結果、売上高は234百万円(前期比9.9%増)となりました。
(小売部門)
小売部門は、店頭販売では当期中の緊急事態宣言期間は来店者が減少し苦戦したものの、11月以降は雪山登山用品を求める来店者が増加し、また、前期は春先の緊急事態宣言期間中約1ヶ月間休業したこともあり、前期比で増収となりました。登山用品ECサイト「ロッジ PREMIUM SHOP」は、専門店色をより強化したこともあり、堅調に推移しました。
この結果、売上高は549百万円(前期比19.2%増)となりました。
(その他部門)
物流部門は、経済活動が回復傾向にあり、前期とほぼ同水準で推移しました。
スポーツ施設運営部門は、前期比では微増収となりましたが、感染症対策を徹底し、安心、安全な健康のサービスを提供する地域一番店として、館内の機能を最大限活かした施設魅力の向上による、新規会員数増加や休会者の復帰に努めましたが、会員数がコロナ禍前に戻らず、厳しい状況が続いております。
この結果、売上高は906百万円(前年比2.1%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当連結会計年度における生産実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
事業部門の名称 |
生産高(百万円) |
前年同期比(%) |
スポーツ事業 |
|
|
内 製造部門 |
834 |
14.9 |
合計 |
834 |
14.9 |
②受注実績
当連結会計年度においては、見込生産を行っており、一部について受注生産を行っております。その全体に占める割合は僅少であるため記載を省略しました。
③販売実績
当連結会計年度における販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
事業部門の名称 |
販売高(百万円) |
前年同期比(%) |
スポーツ事業 |
|
|
内 卸売部門 |
43,071 |
19.5 |
内 製造部門 |
234 |
9.9 |
内 小売部門 |
549 |
19.2 |
内 その他部門 |
906 |
2.1 |
合計 |
44,762 |
19.0 |
(2)財政状態
流動資産の残高は、19,428百万円と前期比1,706百万円増加しました。この主な要因は、売掛金が659百万円、電子記録債権が419百万円増加したこと等によるものであります。
固定資産の残高は、5,881百万円と前期比603百万円増加しました。この主な要因は、投資有価証券が829百万円増加したこと等によるものであります。
流動負債の残高は、11,801百万円と前期比1,005百万円増加しました。この主な要因は、支払手形及び買掛金が322百万円及び電子記録債務が258百万円増加したこと等によるものであります。
固定負債の残高は、2,318百万円と前期比33百万円増加しました。この主な要因は、長期借入金が206百万円減少したものの、繰延税金負債が205百万円増加したこと等によるものであります。
純資産の残高は、11,189百万円と前期比1,271百万円増加しました。この主な要因は、利益剰余金が683百万円及びその他有価証券評価差額金が573百万円増加したこと等によるものであります。
財政状態においては、流動比率をはじめ安全性を維持しながら推移しました。また、自己資本比率は44.2%となり、財務基盤は業績の回復傾向により強化されつつあるものの、経営目標としている50%には至っておりませんので、引き続き財務基盤の強化に努めます。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、営業活動により437百万円獲得し、投資活動により137百万円使用し、財務活動により281百万円獲得した結果、当連結会計年度末における残高は4,872百万円となり、前連結会計年度末に比べ34百万円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は437百万円となりました。これは主に、売上債権の増加1,147百万円があったものの、税金等調整前当期純利益803百万円、仕入債務の増加580百万円があったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は137百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出22百万円、無形固定資産の取得による支出102百万円があったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は281百万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出206百万円、配当金の支払額39百万円があったこと等によるものであります。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの主な資金の原資は、主に売上債権の回収ほか、金融機関からの借入による資金調達にて対応しております。また、主な資金需要は、商品の調達費用、労務費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備取得、改修等に係る投資であります。翌連結会計年度におけるキャッシュ・フローは、仕入と在庫のコントロール、経費削減等、あらゆる対策を講じて営業活動によるキャッシュ・フローの獲得を見込んでおります。一方、設備の維持・改修を目的とする使用を見込んでおります。また、長期借入金の返済を目的とする使用等もあります。
翌連結会計年度は営業利益確保、今期比増益を見込んでおり、翌連結会計年度末の現金及び同等物の残高については、当連結会計年度より増加を見込んでおります。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えております。
(棚卸資産)
棚卸資産の評価基準は原価法(収益性低下による簿価切下げの方法)を採用しております。通常の販売目的で保有する棚卸資産の簿価切下げにあたり、収益性の低下の有無に係る判断について正味売却価額を見積りますが、正味売却価額の算定に用いられる、過去の販売実績や流行、市場環境の変化等を織り込んだ需要予測には高い不確実性が存在しております。
そのため、予測不能な前提条件の変化等により、正味売却価額が低下した場合、翌事業年度の連結財務諸表において、商品及び製品の金額に重要な影響を与える可能性があります。
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