業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

 当連結会計年度末の総資産は838億円で、前期末比12億円減少しました。資産の部の主な増加項目は現金及び預金15億円です。主な減少項目は建物及び構築物(純額)11億円、土地16億円です。
 負債の部は400億円で前期末比77億円減少しました。主な減少項目は有利子負債78億円です。純資産の部は438億円で前期末比65億円増加しました。主な増加項目は、利益剰余金27億円、為替換算調整勘定23億円、退職給付に係る調整累計額14億円です。その結果、自己資本比率は52.1%で前期末比8.4ポイント上昇しました。

 

② 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、ワクチン接種の拡大により新型コロナウイルス感染症の収束が期待されたものの、変異株の出現等による感染拡大が繰り返され、経済活動が本格的な回復基調に達しないまま推移いたしました。また、欧州での紛争による世界的な影響や東アジアの地政学的リスク、原燃料価格の上昇、金融施策・為替相場の動向等、世界経済の先行きや国内経済への影響についても引き続き注視していく必要があります。当社では、引き続きお客様及び従業員の健康を守り、新型コロナウイルス感染症拡大の防止策を講じつつ、安心できる店舗や施設の運営を行っております。
 また当社は、2024年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画「未来への創造と挑戦」を2021年5月25日に発表しました。本計画は「1.組織風土改革」、「2.構造改革の完遂」、「3.再成長の種まき」を3本柱とし、大幅に社内体制を刷新し、計画を遂行しております。当連結会計年度は中期経営計画の初年度に位置付けられますが、計画の進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ①中期経営計画の取り組み」をご参照ください。
 当連結会計年度における当社の状況ですが、国内では緊急事態宣言が全面解除となった10月以降、それまでコロナ禍の影響を受けていた当社直営店も集客が戻り、「おうち需要」で好調の服飾、雑貨関連、またアニメ、トイホビー、デジタル関連、EC事業と合わせ、事業全体の売上が伸長しました。
 またサンリオファン会員向けアプリ「Sanrio+」の会員数は昨年10月に100万人を突破した後も順調に推移し、3月末現在の会員数は113万人となりました。
 テーマパーク事業では、今年に入り新型コロナウイルス感染症の変異株が急激に感染拡大した影響で入園者数が一時的に減少しましたが、通期では緊急事態宣言が全面解除された昨年10月以降に入園者数が大幅に回復したこと等により、売上が前期と比べ大きく伸長しました。(サンリオピューロランドでは一日の入園者数の上限を設定しております。)
 海外では、欧州でのアパレルライセンシーとの取り組みが大きく伸長し、北米のライセンス事業では玩具メーカーとの取り組みが堅調に推移し、物販事業ではECの売上が伸長しました。中国では、ほぼ全てのカテゴリーにおいて売上が好調で、その中で特にヘルス&ビューティカテゴリーが大きく伸長しました。

これらの結果として、売上高は527億円(前期比28.5%増)、営業利益は25億円(前期は32億円の損失)、営業外収益に受取利息、投資事業組合運用益等を計上し、経常利益は33億円(前期は17億円の損失)でした。特別利益として固定資産売却益38億円等、特別損失として非連結子会社であるSanrio Brand Development Shanghai Co., Ltd.に係る関係会社株式評価損11億円、代表取締役会長 辻 信太郎の退任に伴う創業者功労引当金繰入額3億円等を計上し、法人税等15億円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は34億円(前期は39億円の損失)となりました。
 なお、すべての海外連結子会社の決算期は1月~12月であり、当連結会計年度の対象期間は、2021年1月~12月であります。

 

セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

ⅰ 日本:売上高401億円(前期比27.2%増)、営業利益22億円(前期は29億円の損失)

物販事業は、新型コロナウイルス感染症による、まん延防止等重点措置が1月~3月まで広い地域にわたって続きましたが、リテール事業の当社直営店舗、EC店舗ともキャラクターファンや、推し活の回復による様々なお客様の商品購入が増加し、売上高が前年同期比で二桁増と好調に推移しました。卸売事業は、コロナ禍の中、入園入学・進学における学童商品の需要が停滞し、売上高が僅かに前年実績を下回りました。商品動向としては、人気イラストレーターである「ナガノ」氏やポテトチップスの代表ブランド「プリングルズ」とのコラボ商品が人気を博しました。3月は、20周年のアニバーサリーイヤーを迎えた『シナモロール』のバースデーに合わせた様々な施策を行い、商品販売が大きく伸長しました。また同月に、国連と共同でデザイン開発をした、「ハローキティSDGsシリーズ」を発売し、SDGsの推進を図っています。昨年より取り組んでいる、店舗を単一キャラクターで大胆にジャックする企画が、1月に「Hello Kitty Japan ダイバーシティ東京 プラザ店」を『シナモロール』で、3月には「Sanrio Gift Gate なんば戎橋店」を『クロミ』で行い、大きな反響を呼びました。

ライセンス事業の対企業企画では引き続きコンビニ分野が大きく増進しました。セブン-イレブンのシナモロールくじ、ミニストップのオールキャラクターくじなどの当りくじ取扱数が飛躍的に伸長しました。また、カゴメ株式会社のトマトケチャップや日清シスコ株式会社のチョコフレークなど、大手食品メーカーとの商品化、広告宣伝案件が貢献しました。
 商品化権ライセンスでは、株式会社ユニクロの春物衣料品に加え、「しまむら」「ユニー/ドン・キホーテ」などの大型チェーン店向けのルームウエア、パジャマ類などが堅調でした。
 エンターテイメント事業では、各部門においてロイヤリティ収入が大きく伸長しました。デジタル部門ではLINE株式会社やココネ株式会社への継続的なサンリオキャラクターの供与が順調に推移している他、「パズル&ドラゴンズ」との取り組みが貢献しました。「HAKUNA LIVE」など、好調なライブ配信系各社との提携も増加しております。トイ・ホビー部門では引き続き「クレーンゲーム向け商品」や、「カプセルトイ」へのライセンス供与が伸長したことに加え、『シナモロール』の20周年に関連する「ぬいぐるみ関連商品」、株式会社タカラトミー「リカちゃん」とのコラボ商品が大変好評でした。今後も話題性の高い商品化を進めてまいります。
 テーマパーク事業では、東京都多摩市のサンリオピューロランドにおいて、緊急事態宣言が全面解除された昨年10月以降、集客も増え活気が戻りました。今年に入り新型コロナウイルス感染症の変異株が急激に感染拡大した影響で入園者数が一時的に減少に転じましたが、見送りとなっていたシーズンイベントや他社とのタイアップイベントなどを再開したこと、卒業シーズンやまん延防止等重点措置が春休み前に解除されたことなどにより3月には入園者数が前年同月を上回る水準まで回復しました。このような状況から第4四半期の入園者数は、264千人(前年同期比92千人増、53.8%増)、通期累計では893千人(前年同期比440千人増、97.1%増)となり、営業損益は大幅に改善しました。大分県のハーモニーランドでは、2021年4月に開園30周年を迎えました。九州圏内の新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けましたが、感染防止策に留意しながら新たなショーの展開や魅力ある商品にも注力し集客の回復に努めたことで、第4四半期の入園者数は75千人(前年同期比26千人増、55.1%増)、通期累計では306千人(前年同期比129千人増、73.3%増)まで回復しました。新規の有料キャラクターグリーティングやECでのオリジナル商品の販売も好調に推移し、こちらも営業損益が大幅に改善しました。両テーマパークとも引き続き新型コロナウイルス感染症拡大に注意を払ってまいります。

 

ⅱ 欧州:売上高16億円(前期比40.7%増)、営業損失1億円(同1億円損失減)

サンリオキャラクターに関しては、大手アパレルライセンシーとの取り組みが大きく伸長しました。またNFT分野での新規契約もありました。
 『ミスターメン リトルミス』に関しては、主要カテゴリーである出版ライセンスが堅調に推移しております。また50周年を記念し、ファストフード店でのキャンペーンも実施しました。
 

ⅲ 北米:売上高35億円(前期比67.3%増)、営業損失4億円(同7億円損失減)

ライセンス事業では、ぬいぐるみをメインで扱う玩具メーカーとの取り組みが好調で、多くの小売店で販売を開始しております。また、アニメキャラクターとのコラボレーションアパレルやオンライン限定商品、そしてファストファッションブランドとの新規取り組みが好調なこともあり、アパレルカテゴリ全体が伸長しました。物販事業では、ECの売上が前年同期と比べて米国発のIPであるPusheenとのコラボレーションもあり、好調に推移しております。

 

ⅳ 南米:売上高3億円(前期比17.9%増)、営業利益34百万円(同375.2%増)

ブラジルでは、オンラインゲームとのコラボレーションが牽引し、売上が大きく増加しました。また、主力商品であるサンダルとの取り組みも好調に推移しております。一方、メキシコでは、主要取引先の生理用品を扱うメーカーの売上は減少したものの、全体の売上は前期を上回りました。

 

ⅴ アジア:売上高69億円(前期比19.3%増)、営業利益21億円(同7.5%増)

香港・マカオでは、不織布マスクの売上が好調の他、コンビニやスーパーマーケットのキャンペーンも売上増加に貢献しています。
 台湾では、新型コロナウイルス感染症拡大により、一部アパレルメーカーでは引き続き生産停止に追い込まれる等、影響を受けました。一方、マスク関連メーカーを中心にヘルス&ビューティカテゴリーでは既存の売上増加に加え、新規契約も獲得できております。
 韓国では、デジタルカテゴリーにおいて、パズルゲームやメッセージアプリのスタンプの取り組みが 今期も好調です。また、文具カテゴリーの売上も引き続き増加しており、文具や雑貨商品を複数キャラクターで展開しております。
 中国では、雑貨メーカーや化粧品メーカーの好調を受けて、ヘルス&ビューティカテゴリーが大幅に伸長している他、アパレルカテゴリーでも新規契約を獲得しており、ほぼ全てのカテゴリーにおいて売上が好調でした。また、『ミスターメン リトルミス』に関しては、50周年を記念してライブコマースを行いました。
 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より9億円減の238億円となりました。
 営業活動によるキャッシュ・フローは、50億円の収入(前期は22億円の支出)となりました。これは、税金等調整前当期純利益が49億円(前期は26億円の損失)、減価償却費が16億円(前期比1億円減)、関係会社株式評価損が11億円(前期比11億円増)、棚卸資産の減少額が11億円(前期比8億円の収入増)であった一方、固定資産処分益が38億円(前期比38億円増)であったことなどによるものです。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、23億円の収入(前期比47億円の収入減)となりました。これは、有形固定資産の取得売却の差額55億円の収入(前期は7億円の支出)に対し、定期預金預入払戻の差である8億円の支出(前期は65億円の収入)、投資有価証券の取得売却の差額15億円の支出(前期は1億円の収入)、非連結子会社株式取得による支出7億円(前期比2億円の支出増)などによるものです。
 財務活動によるキャッシュ・フローは91億円の支出(前期比82億円の支出増)となりました。これは、長・短借入金の借入返済の差額73億円の支出(前期は92億円の収入)、配当金の支払額6億円(前期比10億円減)、財務活動その他の収支による6億円の支出(前期比2億円減)などによるものです。

 

④ 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

前期比(%)

日本

40,183

+27.2

欧州

1,693

+40.7

北米

3,574

+67.3

南米

360

+17.9

アジア

6,952

+19.3

合計

52,763

+28.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ117億円増加し、527億円(前期比28.5%増)となりました。売上高に占める報告セグメント別の割合は、日本が76.1%(前期末比0.8ポイント減)、欧州が3.2%(同0.3ポイント増)、北米が6.8%(同1.6ポイント増)、南米が0.7%(同0.1ポイント減)、アジアは13.2%(同1.0ポイント減)となりました。なお、報告セグメント別の経営成績の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載しております。

(営業利益)

当連結会計年度における営業利益は、25億円(前期は32億円の損失)となりしました。主な増加要因としましては、全てのセグメントにおける売上高の増加によるものと、原価率の低減等によるものであります。

(経常利益)

 当連結会計年度における営業外収益は、受取利息2億円、受取配当金1億円、投資事業組合運用益1億円等を計上したことにより、10億円(同54.2%減)となりました。営業外費用は、支払利息1億円等を計上したことにより、3億円(同62.7%減)となりました。
 以上の結果、経常利益は、33億円(前期は17億円の損失)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度における特別利益は、固定資産売却益38億円、投資有価証券売却益3億円等を計上したことにより、42億円(同319.3%増)となりました。特別損失は、投資有価証券売却損4億円、非連結子会社であるSanrio Brand Development Shanghai Co., Ltd.に係る関係会社株式評価損11億円、代表取締役会長 辻 信太郎の退任に伴う創業者功労引当金繰入額3億円等を計上したことにより、26億円(同34.1%増)となりました。
 以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、34億円(前期は39億円の損失)となりました。

なお、当社グループが中期経営計画「未来への創造と挑戦」において掲げた目標に対する進捗状況につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 ①中期経営計画の取り組み」をご参照ください。

 

財政状態の分析

当連結会計年度における財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財務状態の状況」に記載のとおりであります。

 

キャッシュ・フローの分析・検証内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入れのほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金は自己資金、金融機関からの借入及び社債を基本としております。
 なお、当連結会計年度末における借入金及び社債を含む有利子負債の残高は200億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は238億円となっております。

 

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