文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)サンリオの経営の基本方針
当社はホームページにおいて、企業理念を下記のとおり公表しております。
(2)中期的な経営戦略
当社は、2024年3月期を最終年度とする3ヶ年の中期経営計画『未来への創造と挑戦』を2021年5月25日に発表しました。詳細につきましては、「(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」をご参照ください。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①中期経営計画の取り組み
<実施期間>
2022年3月期から2024年3月期までの3ヶ年
<不変の企業理念>
「みんななかよく」
<ビジョン>
「One World, Connecting Smiles.」
一人でも多くの人を笑顔にし、世界中に幸せの輪を広げていく。
<経営目標>
62期については、新型コロナウイルス感染拡大の経済停滞からの反動、加えて中計施策として取り組んできたコスト構造改革の一部が奏功し、想定以上の営業利益で着地することができました。しかしながら、不安定な世界情勢、局地的な新型コロナウイルス感染拡大等、先行きが不透明なこともまた事実です。どのような局面であっても「簡単に揺るがない“強固な事業基盤”」を作り、いわゆるレジリエンス(適応能力)を重視した土台作りを奢ることなく作り上げ、未来を見据えて「さらなる成長につながる“投資・施策”」を今後も着実に進めていく所存です。
<戦略の三本柱>
ⅰ.組織風土改革
経営チームのガバナンスの課題、個別最適や組織のサイロ化、“頑張っても報われない”組織風土等の課題に対し積極的に対策を講じ、実行力ある組織への変革を進めてまいります。
ⅱ.構造改革の完遂
a.物販事業
聖域化していた国内物販について、利益重視/収益改善を最優先に複数の施策を推進しております。これまで業務量増、ロット減/原価高止まりを招いてきたSKUについても聖域なく見直しを行い、EC事業強化等、トップライン押し上げに寄与する投資・施策も順調に進行しています。中計最終年度の64期末までに17億円 ( *1) の利益改善を掲げており、62期末時点で 約10.7億円 の改善額になっています。
※1:対61期比
※2:Direct to Consumer部門における割合
※3:Digital Asset Management、Product Information Management System
b.海外事業
大きなポテンシャルのある海外事業については、複数の施策を講じ抜本的な改革を進めております。特に米国物販事業の見直し、外部パートナーとの連携推進、中国におけるライセンス事業強化等は順調に進捗しています。11億円の赤字解消を掲げている米国事業については、62期末の時点で 約6.6億円 改善しております。今後もOne Global、永続的な価値創造サイクルの早期実現を目指してまいります。
※1:貢献利益(実質的価値創造額)=営業損益+本社へのロイヤリティ支払い額
ⅲ.再成長の種まき
次期中計での大きな収益の柱づくりを見据え、新規IP仕組み作りや教育領域における新規事業等、IPビジネスへの還流/再活性化に資する取り組みを進めております。また、サステナビリティ経営として相応しいESG経営やSDGsの施策取り組みも全社横断・経営直下の重要プロジェクトとして推進してまいります。
※1:等級ベースで計算
※2:対61期比
②長期成長可能な事業の確立
当社グループは、「One World, Connecting Smiles.」というビジョンを掲げ、1人でも多くの人を笑顔にし、世界中に幸せの輪を広げていくことによって「みんななかよく」という企業理念の達成を目指しています。世界中の人に寄り添い、すべての人々を笑顔にできるグローバルエンターテイメント企業として、さらに変革を起こしていきます。
当社グループはこれまで、『ハローキティ』をはじめとしたキャラクターをブランドとして育て、他社にライセンスすること、また、ギフト商品の企画・製造・販売を行うことで利益を獲得し事業を拡大してまいりました。その主たる収益要因は商品化権ビジネス、いわゆるプロダクトライセンスでした。キャラクターは『ハローキティ』が中心でした。2015年3月期から前連結会計年度の2021年3月期まで7期連続で営業減益となったのは、欧州、米州での、プロダクトライセンス中心、『ハローキティ』中心のビジネスに偏ったことが大きな要因であったと考えています。一方で、中国を中心としたアジア地域については、収益の源泉として、商品化権ビジネス(プロダクトライセンス)以外に広告化権ビジネス(企業向けプロモーションライセンス、カフェ、カラオケ店舗や航空機などのスペースデザインライセンス)とフランチャイズ化権ビジネス(店舗ライセンス)、興行権ビジネス(遊園地、水族館、劇場、テーマパークなどのエンターテイメントライセンス)が並立しており、キャラクターも『ハローキティ』をはじめとする主要キャラクターや、毎年送り出される新キャラクターが、競合・補完し合っています。また、マーケットを熟知した優秀な現地マネジメントが常に市場の変化に合わせた経営を行っています。このようなことから、当社が今後長期成長を図る上では、グローバルな視点でのマネジメント体制の構築と、サンリオのキャラクターライセンスビジネスを理解し、市場の変化にチャレンジできる組織体制の確立が不可欠と考えています。中国を中心としたアジア地域のさらなる事業拡大と、『ハローキティ』の再活性化とともに、現地マネジメントを強化し、欧米市場の再成長、そして中東、東欧、インド、アセアン諸国、アフリカ、中南米などの新規市場の開拓を実行していくことが、当社の長期成長を確実にするものと確信しております。
③ダイバーシティ・マネジメントの活用
当社グループは130の国と地域にキャラクタービジネスを展開しており、今後もますます地域を広げていこうとしております。また、キャラクタービジネスはお子様からお年寄りまで年齢に関係なくマーケットが広がっております。このような状況では、ダイバーシティの考えに根差した商品開発と企業との密接な協業が必須となる一方で、各地域、文化、思想で分断された戦略ではグローバルな人材と商品の流れ、流行への迅速な対応が困難です。そこで、グローバルに一体化した情報管理システムとダイバーシティ・マネジメントによるグローバルなマーケティング体制と連結グループ経営の確立が必須と認識しております。
④キャラクターポートフォリオの構築
キャラクターの開発、育成は、当社の根幹の課題であると認識しております。長期成長には『ハローキティ』を中心とし、二番手キャラクターとしての『マイメロディ』『リトルツインスターズ』『シナモロール』『ポムポムプリン』『クロミ』などの強化、そして、それに続く誰からも愛されるような新キャラクターの不断の開発が重要である一方で、SNSやネット配信などを含むメディア、ゲームなどを通じて『アグレッシブ烈子』『ぐでたま』のようなキャラクター開発や、従来とは異なる市場に向けたキャラクターの開発、そして『ミスターメン リトルミス』などによるキャラクターミックスの適正な構築が必須であると確信しております。
⑤新型コロナウイルス感染症拡大等の危機への対応策の構築
当社グループにおいては、社内外の感染被害抑止と従業員の健康と安全を確保するため、リモートワークの実施、テーマパークの臨時休園、店舗営業の自粛等の緊急の対策を講じてまいりました。今後、世界的な感染症の拡大、気候の変動、紛争の勃発等の予想を超えた事象の発生に備え、在宅勤務時の事業効率化を図るハードウェアやソフトウェアの拡充、それに伴うペーパーレス化の推進、また、商品の製造委託先の所在国の分散などサプライチェーンの見直しによる商品供給リスクの低減を行い、長期にわたり安定した事業運営を継続していくための環境の構築が重要であると認識しております。
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