当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス禍による社会活動の規制が他の先進諸国と比較して長期化したこと等から、個人消費の回復は弱いものにとどまった一方で、輸出が世界的な経済活動の回復を背景に概ね好調で、全体としては回復基調で推移しました。
他方、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、国際情勢の激変により資源・原材料調達の不安定化及び高値が更に長期化する様相を見せており、急激な円安も相まって不確実性が高まってきました。
このような状況の下、当社グループにおいては、コロナ禍で落ち込んでいた商材の受注回復傾向が徐々に広がってきたなか、国内外の新たな機能性商材の取引拡大及び経費節減により売上の回復と収益の確保に努めました。
これらの結果、売上高は242億3千9百万円(前年同期比12.2%増)、営業利益は1億8千7百万円(前年同期比218.7%増)、経常利益は3億1千9百万円(前年同期比73.9%増)と、前年同期比で増収増益となりました。
他方、固定資産の減損を特別損失に計上したことにより、株式売却益との差引の特別損益が1億1千万円の損失となったこと、及び法人税等が前年同期よりも増加したことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は6千2百万円(前年同期比18.1%減)と減益になりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号2020年3月31日)等の適用による経営成績への影響は軽微であります。
事業セグメント別の概況は次のとおりであります。
[科学事業]
<土木・建材資材関連分野>
土木関連分野では、大型コンクリート構造物用及び地盤改良用セメント用添加剤の増量により増収となりました。
建材資材関連分野では、建材ボード用薬剤の増量及び塗料や接着剤用原料の増加があり、壁紙用添加剤や発泡断熱システム用薬剤は減少したものの増収となりました。
<情報・輸送機器関連分野>
情報関連分野では、自動車関連部材等の新規採用や端末機器の受注回復があり増収となりました。
輸送機器関連分野では、機能性樹脂関連部材の新規採用などにより微増収となりました。
<日用品関連分野>
日用品関連分野では、一部製靴用関連商材の回復やレンズ関連薬剤の増量があり、化粧品関連薬剤は減少したものの微増収となりました。
フィルム関連分野では、生鮮野菜、チルド食品及び冷凍食品包装フィルム製品の販売が引き続き堅調に推移し増収となりました。
<化学工業関連分野>
繊維関連分野では、国内繊維加工の縮小は続いているものの、工業用繊維用薬剤の増加により増収となりました。
化学工業関連分野では、コロナ禍で低迷していた化粧品関連材料の輸出の回復や輸入基礎化学品のスポット販売などがあり、増収となりました。
これらの結果、科学事業セグメントの売上高は200億1千8百万円(前年同期比12.4%増)、営業利益は3億8千9百万円(前年同期比32.1%増)と、増収増益となりました。
[建装材事業]
住宅用部材関連は、コロナ禍による需要の低迷から、造作部材、樹脂製品、建具のほか、キッチン関連商品は回復が見られましたが、在宅勤務定着など働き方の変化に伴いオフィス関連製品は低調が続きました。
これらの結果、建装材事業セグメントの売上高は42億2千1百万円(前年同期比10.9%増)、営業損失は1千4百万円(前年同期は営業損失5千4百万円)となりました。
(2) 財政状態
① 資産の部
流動資産は前連結会計年度末に比べ、11億8千5百万円増加し102億3千1百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が9億1千3百万円、電子記録債権が4億8千4百万円、商品及び製品が1億9千5百万円増加し、現金及び預金が5億4百万円減少したことによるものであります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ、9億8千3百万円減少し54億4千1百万円となりました。これは主に、投資その他の資産が8億7百万円、有形固定資産が1億7千5百万円減少したことによるものであります。
この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べて、2億2百万円増加し156億7千2百万円となりました。
② 負債の部
流動負債は前連結会計年度末に比べ、8億9千9百万円増加し58億5千4百万円となりました。これは主に、買掛金が5億1千8百万円、電子記録債務が2億6千万円増加したことによるものであります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ、2億4百万円減少し8億7百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が1億9千1百万円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて、6億9千5百万円増加し66億6千2百万円となりました。
③ 純資産の部
純資産合計は前連結会計年度末に比べ、4億9千2百万円減少し90億1千万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金が4億6千8百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、11億4千7百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億4百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、減少した資金は5億2百万円(前連結会計年度は9億2千5百万円の増加)となりました。これは主に、仕入債務の増加額7億6千9百万円、税金等調整前当期純利益2億8百万円、減損損失1億9千2百万円などの収入に対し、売上債権の増加額13億7千7百万円、棚卸資産の増加額1億8千8百万円、法人税等の支払額1億1千4百万円などの支出によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、増加した資金は1億3千1百万円(前連結会計年度は2億2百万円の減少)となりました。これは主に、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による2億5千8百万円などの収入に対し、有形固定資産の取得による9千7百万円、投資有価証券の取得による2千万円などの支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は1億4千4百万円(前連結会計年度は2億円の減少)となりました。これは主に、短期借入れによる5千1百万円の収入に対し、配当金の支払額1億1千2百万円、リース債務の返済による5千7百万円、借入金の返済による2千4百万円などの支出によるものであります。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度の仕入及び販売の実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、仕入合計実績を売上比率で配分しております。
(注) 総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中にある将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等不確実性が大きく、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もありますが、現時点において入手可能な情報を基に検証等を行っております。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度における経営成績等の状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要)」をご参照ください。
また、当社の事業経営に用いられる主要業績評価指標(Key Performance Indicators。以下「KPI」という。)は以下のとおりであります。
(収益及び利益率)
当社が経営において重点を置いている指標の1つに収益が挙げられます。以下は経営者が重要だと捉えている収益に関連したKPIであります。
売上高はKPIの1つと考えております。当社は主に仕入商品による売上を計上しております。売上高は、当社が扱う商品への需要、会計期間内における取引の数量や規模、また原料及び販売価格の変動といった要因によって変化し、その他にも、市場環境等も売上高を変化させる要因です。また当社は商社でありながら、技術指向型の営業を特長としており、技術提案力及び顧客サービス機能に対するお客様からの評価が、事業成長の原動力であると認識しております。また事業分野別の売上は、重要な指標の1つであり、市場の変化に当社の経営が対応しているかを測定するための目安としております。
売上高総利益率は、収益性を測るもう1つのKPIであります。当社は、子会社または取引先を通じたものづくりを行うなど、より付加価値の高い商品提供を目指しております。お客様からのいわゆるQCDをはじめとした要求事項を迅速且つ的確に捉え、取引先の生産性の向上に協力して取組むことで、競争力の強化に努めるとともに、売上高総利益率の改善を推進しております。
営業利益も当社のKPIとして考えております。販売費及び一般管理費そのものを統制し金額の低減に努めるとともに、輸入品を含めた在庫販売品においては、商品回転率と輸送効率の最適組合せによる売上高物流費率の低減と在庫ロスの最小化に努めております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
当社グループにおける資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用による運転資金ならびに設備投資資金であります。これらの資金需要に対しては、自己資金で賄うことを基本としておりますが、必要に応じて銀行借入による資金調達を行っております。
また、取引銀行4行との間で当座貸越契約を締結しており、資金の流動性を確保しております。
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