文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2021年2月1日~2022年1月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言の断続的な発出により、外食産業を中心に経済活動が制限されるなど引き続き厳しい状況で推移いたしました。一方で、ワクチン接種が進み感染者数が減少したことから9月末をもって同宣言が解除され、10月以降は経済活動が正常化に向かっておりました。しかしながら、年明け以降は新たな変異株の出現により感染者が急増するなど先行き不透明な状況が継続しております。
このような状況のなか、当社グループは第8次中期経営計画(3ヵ年計画)「SHIFT UP 2023」(2022年1月期(2021年度)~2024年1月期(2023年度))の初年度として、新たな環境に適合し、成長し続ける筋肉質な企業グループへの変革を図るべく、収益構造改革による損益分岐点の引き下げや新たなサービスを開発するなど、5つの重点施策に沿った取り組みを推進いたしました。
以上の結果、売上高は1,885億67百万円(前期比1.3%増)と増収となりました。また、収益構造改革による損益分岐点の引き下げを推進したことで営業損失は4億46百万円(前期は31億41百万円の営業損失)と前期より26億95百万円改善いたしました。経常利益は雇用調整助成金の特別措置延長などにより1億78百万円(前期は20億63百万円の経常損失)となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、当社グループが保有する固定資産の一部売却などにより特別利益を計上したことで、3億35百万円(前期は35億91百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)と、2期ぶりに黒字を確保いたしました。
セグメント別の概況につきましては、次のとおりであります。
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の適用が繰り返され、特に酒類提供の制限・禁止により飲食業態の多くが休業に追い込まれるなど、当事業部門の主要顧客である外食産業の経営環境が引き続き悪化いたしました。一方で、コロナ禍では健康や簡便などをキーワードとしたヒット商品の登場やデジタル技術を活用したビジネスの変革により、新しい潮流が生まれ関心度も高まっております。
このような状況のなか、当期はオンラインメニュー提案やプライベートブランド商品の動画プロモーション、SNSやデジタルブックを活用した情報発信など、デジタルを活用した新しい営業スタイルの開発と展開を推進いたしました。また、10月に自社焙煎「toho coffee」の定期便サービスを新たに開始するとともに、11月には万全の感染対策のもと、㈱トーホーフードサービスが約1年9ヵ月ぶりに総合展示商談会(熊本県)を開催いたしました。一方で、コロナ禍でも比較的需要が安定している介護・病院給食業態への対応を強化するため、プロジェクトチームを発足し情報共有とそれに基づく具体的な取り組みを推進いたしました。
海外事業は、香港で日本食材などの業務用食品を卸売するSuitfit Company Limitedが新規顧客を獲得し好調に推移するなどコロナ禍でも増収となりました。
なお、㈱トーホーフードサービスは、2月に㈱トーホー・共栄(横浜市磯子区)および河原食品㈱(川崎市川崎区)を吸収合併いたしました。また、同社としては約6年ぶりの新規事業所となる京阪営業所(大阪府高槻市)を開設するとともに、仙台営業所(宮城県岩沼市)を移転するなど事業基盤を強化いたしました。
以上の結果、国内外で新規開拓を進めたこともあり、当事業部門の売上高は1,234億75百万円(前期比6.2%増)、営業損失は10億11百万円(前期は41億85百万円の営業損失)となりました。
当事業部門は、感染再拡大に伴い主要顧客である飲食店への休業・時短営業要請などに加え、前期の巣ごもり需要の反動の影響を大きく受けました。
このような状況のなか、プロの食材の店「A-プライス」では、主要顧客である中小飲食店に対して、省力化につながるプライベートブランド商品や特色のある産直食材・専門食材・調理機器など、コロナ禍により変化した顧客ニーズに対応した提案を強化いたしました。また、多様化する顧客ニーズに対応するとともに新たな販路を開拓し新規顧客を獲得するため、9月に「A-プライスオンラインショップ」を開設いたしました。一方、継続的に注力する「A-プライスアプリ」については、会員への有力な情報発信、優待イベントの開催などを行いアプリ入会を推進した結果、過去最高となる年間会員数を獲得し総計で60万人を突破いたしました。
なお、2月に㈱トーホーキャッシュアンドキャリーが㈱トーホー・C&C静岡(静岡市葵区)を吸収合併したことで、当事業部門は1社体制となりました。また、事業基盤の強化に向けて、5月に和歌山店(和歌山市)を改装いたしました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に加え、前期および当期に実施した閉店の影響もあり、当事業部門の売上高は358億70百万円(前期比8.1%減)、営業利益は5億51百万円(同28.3%減)となりました。
㈱トーホーストアは、コンセプトである「健康で安心な地域の冷蔵庫」「あなたの街の食品スーパー」「毎日のおかずを提供する店」を実践するため、鮮度や美味しさにこだわった商品の品揃えに注力いたしました。特に寿司に注力し、生ネタを使用した鮮度の高い美味しい商品を拡充し、主要顧客であるシニア世代を中心にご好評をいただきました。一方、事業活性化のため4月に上高丸店(神戸市垂水区)、10月にかりばプラザ店(神戸市西区)の2店舗を改装いたしました。
しかしながら、前期の巣ごもり需要の反動や前期および当期に実施した閉店の影響に加えて、競争激化が継続しており、当事業部門の売上高は175億68百万円(前期比6.7%減)、営業損失は3億84百万円(前期は1億35百万円の営業損失)となりました。
食品の品質管理、業務支援システム、業務用調理機器、店舗内装設計・施工などの「外食ビジネスをトータルにサポートする」機能について引き続き提案を強化し、グループシナジーの最大化を図りました。
食品の品質管理サービスを展開する㈱トーホービジネスサービスは、JFSM(一般財団法人食品安全マネジメント協会)が運営する食品安全マネジメント規格の監査会社として、食品事業者に対して監査、評価、適合証明の発行を行うサービスを実施しております。当期は、7月にホームページをリニューアルし、8月より同規格の取得および維持に必要な書類を作成・管理・共有できるクラウドサービス「Easy Filers」の提供を開始するなど、顧客の利便性向上に努め、食品業界の安心・安全、品質管理の向上に貢献する体制の充実を図りました。併せて、収益力の向上を図るべく、コスト・コントロールにも継続して取り組みました。
また、業務用調理機器を製造・販売する㈱エフ・エム・アイは、主力販売先である飲食業界などに加え、スーパーマーケットなどの食品小売や食品製造業など新規顧客を開拓いたしました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響により、当事業部門の売上高は116億53百万円(前期比3.6%減)、営業利益は3億97百万円(同2.9%減)となりました。
(総資産)
当期末の総資産は前期末に比べ4億60百万円減少し、827億2百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加17億11百万円、たな卸資産の増加5億52百万円に対し、有形固定資産の減少21億66百万円、のれんの減少5億4百万円などによるものであります。
(負債)
当期末の負債は前期末に比べ13億13百万円減少し、624億64百万円となりました。主な要因は、支払手形及び買掛金の増加26億99百万円に対し、長期借入金の減少31億61百万円、前期末が休日であったことによるその他の流動負債の減少9億63百万円などによるものであります。なお、借入金の総額は307億28百万円(前期339億31百万円)となりました。
(純資産)
当期末の純資産は前期末に比べ8億53百万円増加し、202億37百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益による増加3億35百万円、非支配株主持分の減少2億75百万円、為替換算調整勘定の増加7億5百万円によるものであります。自己資本比率については当期末24.1%と前連結会計年度末の22.6%に比べ1.5ポイント上昇いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、35億47百万円の収入(前期1億39百万円の収入)となりました。
主な収入は税金等調整前当期純利益による増加11億47百万円(前期33億67百万円の税金等調整前当期純損失)、減価償却費21億97百万円(前期22億27百万円)、のれん償却費8億60百万円(前期8億22百万円)、仕入債務の増加26億61百万円(前期65億24百万円の減少)などに対し、主な支出は固定資産売却益10億14百万円(前期6百万円の固定資産売却損)、退職給付に係る負債の減少3億7百万円(前期4億63百万円の減少)、その他債務の減少7億67百万円(前期4億73百万円の増加)、たな卸資産の増加5億8百万円(前期20億50百万円の減少)、売上債権の増加3億75百万円(前期42億68百万円の減少)、法人税等の支払額5億56百万円(前期は11億66百万円)などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、20億78百万円の収入(前期24億74百万円の支出)となりました。
これは主に、キャッシュアンドキャリー事業の店舗の改装、食品スーパー事業の店舗の改装など固定資産の取得による支出10億15百万円(前期19億99百万円の支出)に対して、固定資産の売却等による収入25億95百万円(前期5億11百万円の収入)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、40億3百万円の支出(前期24億53百万円の収入)となりました。
これは主に、長期借入れによる収入96億50百万円(前期166億90百万円の収入)に対し、長期借入金の返済による支出125億53百万円(前期129億43百万円の支出)、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出3億18百万円(前期8億49百万円の支出)、リース債務の返済による支出4億54百万円(前期4億90百万円の支出)によるものであります。
以上の結果、当期末の連結ベースの現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ、17億57百万円増加し、85億96百万円となりました。
仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント内及びセグメント間の取引については相殺消去しております。
販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント内及びセグメント間の取引については相殺消去しております。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりましては、連結決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に投資の減損、資産除去債務、繰延税金資産の回収可能性、貸倒引当金、退職給付債務及び退職給付費用であり、継続的な評価を行っております。これらの見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響による会計上の見積りについては、「第5経理の状況1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。
当連結会計年度は、売上高の増加により受取手形及び売掛金、たな卸資産などの流動資産と支払手形及び買掛金などの流動負債が増加しました。一方で、不動産の売却などを進めたことや投資の抑制により固定資産は減少し、合わせて借入金を圧縮したことで固定負債も減少しました。また親会社株主に帰属する当期純利益の計上などによる純資産の増加で、自己資本比率は24.1%に上昇し、ネットDEレシオについても1.15まで低下するなど財政状態の改善が進みました。
個別の財政状態の分析については、「1 経営成績等の状況の概要(2) 財政状態の状況」をご参照ください。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は1,885億67百万円(前期比1.3%増)となりました。引き続き新型コロナウイルス感染症の影響はあったものの、当社グループの主要事業であるディストリビューター事業が新規獲得の推進やデジタルを活用した営業活動に注力したことで売上が伸長し、全体の増収要因となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度の売上総利益は370億90百万円(前期比1.9%増)となりました。増収による売上総利益の増加とともに、ディストリビューター事業の売上総利益率の改善などにより全体の売上総利益率が前期から0.12%上昇したことも寄与いたしました。
(営業損失)
当連結会計年度の営業損失は4億46百万円(前期は31億41百万円の営業損失)となりました。2期連続の営業損失となりましたが、売上総利益の増加に加え、収益構造改革による損益分岐点の引き下げを推進したことで、前期より26億95百万円改善いたしました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は1億78百万円(前期は20億63百万円の経常損失)となりました。営業損失の改善に加え、雇用調整助成金の特別措置延長などにより、2期ぶりに黒字転換いたしました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は3億35百万円(前期は35億91百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。経常利益の黒字転換に加えて、当社グループが保有する固定資産の一部売却による特別利益の計上により、2期ぶりに黒字転換いたしました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローにつきましては、税金等調整前当期純利益の計上に加えて減価償却費等により営業キャッシュ・フローは35億47百万円のプラスとなりました。また、不動産他の売却を行ったため、投資キャッシュ・フローについても20億78百万円のプラスとなりました。これらに対し、借入金の圧縮を進めた結果、財務キャッシュ・フローは40億3百万円のマイナスとなり、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は17億57百万円増加しました。
個別のキャッシュ・フローの分析については、「1 経営成績等の状況の概要(3) キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
a.資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、成長戦略に基づく設備投資やM&A投資などの長期資金需要と商品仕入などの運転資金需要であります。当連結会計年度では店舗の新規出店・改装等10億36百万円の設備投資を実施しております。設備投資については連結会社各社が個別に策定したものについて当社がその投資判断について調整を行っております。
b.財務政策
当社グループは事業活動のための流動性の維持と、適切な財務バランスの実現を方針としております。設備投資・出資などの長期資金需要に対しては、主に内部留保や金融機関からの長期借入金により、運転資金需要には主に短期借入金により調達しております。なお、短期流動性を補完する目的でコミットメントライン契約を締結しております。
当連結会計年度につきましては、財務バランスの改善のために長期借入金の圧縮を進めた結果、借入金残高は307億28百万円(前期比32億3百万円減)となっております。
また、グループ内資金の効率化を目的に、当社と主要な子会社での資金一元管理を行っております。
当社グループは、事業の成長を示す「売上高」と収益力を示す「営業利益」、最終的に事業のリスクを負担する株主から預かっている資金に対し、そのリスクに見合う利回りが確保されているかという観点から「ROE」を中長期的な指標として位置付けております。
当連結会計年度における売上高は 1,885億67百万円 ( 前期比1.3%増 )、営業損失が4億46百万円(前期は営業損失が31億41百万円)となり親会社株主に帰属する当期純利益3億35百万円(前期は35億91百万円の親会社株主に属する当期純損失)となったためROEは1.7%に改善しましたが、引続きこれらの指標の継続的な改善に向け、取組んでまいります。
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