業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を経過的な取扱いに従って適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の相次ぐ変異株の感染再拡大により各国の経済活動が停滞したほか、原材料価格の高騰やロシアによるウクライナ侵攻等の影響も加わるなど、厳しい状況となりました。

 当社グループの事業領域であるエレクトロニクス業界におきましては、半導体や電子部品の需給が逼迫する状況が続き、その向け先となる自動車や電子機器等の生産に影響を及ぼしました。一方、国内のICT業界におきましては、半導体の需給逼迫に起因した製品の納期遅延問題が顕在化したものの、DX(Digital Transformation)関連投資が総じて堅調に推移しました。

 このようななか、当社グループにおきましては、デバイス事業では既存ビジネスの収益性向上と高利益率の新規事業の開拓によるポートフォリオ改革、ソリューション事業ではサービス提供型のビジネスモデルの構築や最新デジタル技術力の拡充、顧客の増大に努めました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は1,235億83百万円(前期比9.6%増)となり、損益面につきましてもデバイス事業の好調を受けた結果、営業利益は42億9百万円(前期比94.2%増)、経常利益は35億60百万円(前期比89.5%増)となりました。また、親会社株主に帰属する当期純利益は25億24百万円(前期比53.4%増)、自己資本当期純利益率(ROE)は6.8%(前期は3.9%)となりました。

 なお、セグメント別の業績概況は次のとおりであります。

 

(デバイス事業)

 デバイス事業におきましては、主にエレクトロニクスメーカー向けに半導体(システムLSI、マイコン、液晶ディスプレイドライバIC、メモリ等)や電子部品(コネクタ、コンデンサ、液晶パネル等)の販売に加え、ソフト開発やモジュール開発等の技術サポートを行っております。

 当連結会計年度におきましては、ルネサスエレクトロニクス株式会社との特約店契約を前年度6月に解消したことから同社製品の販売が減少したものの、海外半導体メーカー製品の伸長や既存仕入先の商権拡大、新規仕入先の商権獲得などにより総じて販売は好調に推移しました。また、半導体等の需給逼迫を含む一時的な要因も加わった結果、売上高は1,105億22百万円(前期比11.7%増)、セグメント利益は21億88百万円(前期比1,168.0%増)となりました。

 

(ソリューション事業)

 ソリューション事業では、ネットワークシステム機器やセキュリティ製品、基幹系業務システム、クラウドやデータセンター等を活用し、お客様毎に最適なICTインフラを提供しております。また、AI/IoT等の革新的な技術やクラウドの発展に伴うテクノロジーの進化にも対応し、設計や構築、運用保守まで一貫して行っております。

 当連結会計年度におきましては、映像分野は好調に推移したものの、その他の分野は半導体の需給逼迫に起因した製品の納期遅延等により、総じて販売が低迷しました。この結果、売上高は130億61百万円(前期比5.4%減)となりました。また、売上高総利益率は前期並みを維持したものの、売上高の減少や人員増強による販管費増加の影響が大きく、セグメント利益は13億72百万円(前期比19.6%減)となりました。

 

(注)各事業のセグメント損益は経常損益ベースの数値であります。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べて117億93百万円減少し、728億9百万円となりました。これは主に現金及び預金の減少162億36百万円、未収消費税等の減少37億円、商品の増加53億98百万円等によるものです。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて7億33百万円増加し、421億25百万円となりました。これは主に仕入債務の増加13億51百万円、未払法人税等の増加3億14百万円、短期借入金の減少9億24百万円等によるものです。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて125億26百万円減少し、306億83百万円となりました。これは主に自己株式の消却による資本剰余金の減少53億29百万円及び利益剰余金の減少104億51百万円等によるものです。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、自己株式の取得等により支出が増加したため、前連結会計年度末に比べて162億36百万円減少し、93億7百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上及び未収消費税等の減少による収入が棚卸資産の増加等による支出を上回り、21億89百万円の収入となりました。その結果、前連結会計年度が16億86百万円の支出であったことから、収入が38億76百万円増加しております。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得及びソフトウエアの取得による支出等により、1億49百万円の支出となり、前連結会計年度に比べて支出が2億30百万円減少しております。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の返済及び自己株式の取得による支出等により185億84百万円の支出となりました。その結果、前連結会計年度が89億25百万円の収入であったことから、275億10百万円の支出増となりました。

 

 

④仕入、受注及び販売の実績

a.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(百万円)

前期比(%)

デバイス事業

103,624

16.8

ソリューション事業

9,033

△3.4

合計

112,657

14.9

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

デバイス事業

146,553

30.7

70,628

104.0

ソリューション事業

13,773

2.1

5,530

14.8

合計

160,326

27.6

76,158

93.1

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

デバイス事業

110,522

11.7

ソリューション事業

13,061

△5.4

合計

123,583

9.6

 (注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、総販売高の100分の10以上を占める相手先がないため記載しておりません。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

①経営成績の分析

 当社グループでは、当社第73期(2024年3月期)を最終年度とするV73中期経営計画(V73)を策定し、その

定量目標として「自己資本当期純利益率(ROE)5%」の早期達成を目指すとともに、最終年度での「経常利益25億円以上」「親会社株主に帰属する当期純利益18億円以上」を掲げておりました。このうちROEの目標値に関しては、2022年3月期に実施した自己株式の公開買付けをはじめとする株主還元の強化策を通じて自己資本の適正化が順調に進捗したことを受けて、当社グループの自己資本コストをターゲットにすることとし、V73の定量目標を「V73期間中におけるROE6%以上の維持」に変更いたしました。

イ.定量目標(連結基準)

 当社は、ROEと経常利益を重要な経営指標と捉え、V73期間中のROE6%以上の維持を目指してまいります。

 

2022年3月期実績

2023年3月期予想

2024年3月期目標

 ROE

6.8%

6.7%

6%以上

 経常利益

3,560百万円

2,900百万円

2,500百万円以上

 親会社株主に帰属する

 当期純利益

2,524百万円

2,100百万円

1,800百万円以上

 

ロ.重要な経営指標向上に向けた課題

・事業構造改革による収益力向上と成長市場での事業拡大

・資本効率の向上

・コーポレート・ガバナンスの強化

 

ハ.上記課題における施策

 「1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営環境、中期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

②資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資金需要のうち主なものは、営業取引から生じる運転資金であります。運転資金につきましては、金融機関等からの短期借入により資金調達を行うことを基本としております。なお、不測の事態に備え、機動的かつ安定的な資金調達手段を確保することを目的として、取引金融機関3行とコミットメントライン契約を締結しております。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は、246億4百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は93億7百万円となっております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

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