業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

 ① 財政状態及び経営成績の状況

経営成績の状況

当期の連結売上高は264億9千万円(前連結会計年度比12.7%増)となり、この内、国内売上高は248億2千6百万円、中国や米国向けを中心とした海外売上高は16億6千3百万円となりました。営業利益は23億3千2百万円(前連結会計年度比35.2%増)、経常利益は27億7千7百万円(前連結会計年度比24.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は19億1千9百万円(前連結会計年度比10.7%増)となりました。

受注については、カーボンニュートラル分野や次世代自動車技術分野など国内の活況に加えて、中国や米国でも好調に推移し、受注高は302億2千6百万円(前連結会計年度比17.8%増)、受注残高が155億4千7百万円(前連結会計年度比31.6%増)となりました。

中期経営計画“TY2024”(2024年9月期経営目標:売上高300億円、営業利益35億円、ROE8.0%)の初年度である当期は期初に公表した連結業績予想値(売上高260億円、営業利益21億円、経常利益23億円、親会社株主に帰属する当期純利益16億円)の全項目を達成することができました。今後も中期経営計画の達成に向け、成長戦略を推進してまいります。

なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。

事業セグメントごとの業績は、次のとおりです。

 

(情報通信/情報セキュリティ)

情報通信/情報セキュリティにおきましては、引き続き通信事業者の5G商用サービスに向けた試験や、企業のDX化推進に伴う通信品質試験の需要が堅調に推移しました。また、エンタープライズ向け情報セキュリティ製品の販売が堅調でした。しかしながら、電子部品不足などによる納期遅延の影響により、売上高が減少し、受注残高が増加しました。この結果、売上高は68億6百万円(前連結会計年度比0.6%減)、セグメント利益は6億9千3百万円(前連結会計年度比8.9%減)となりました。

 

(機械制御/振動騒音)

機械制御/振動騒音におきましては、振動騒音分野の研究開発投資はコロナ感染拡大前の水準まで回復し、売上高、セグメント利益とも増加しました。また、米国大手自動車メーカーから、自動運転開発向けソリューションの大型受注があり、受注残高が増加しました。この結果、売上高は49億2千6百万円(前連結会計年度比13.0%増)、セグメント利益は8億9千4百万円(前連結会計年度比20.6%増)となりました。

 

 

(物性/エネルギー)

物性/エネルギーにおきましては、引き続きカーボンニュートラル分野への投資が活況で、特に全固体電池などの次世代電池開発用測定システムやEV向け急速充電評価装置が好調でした。需要の高い製品については在庫を潤沢に確保したことにより売上高が増加し、セグメント利益は大幅に増加しました。この結果、売上高は60億3千6百万円(前連結会計年度比23.2%増)、セグメント利益は13億9千7百万円(前連結会計年度比64.8%増)となりました。

 

(EMC/大型アンテナ)

EMC/大型アンテナにおきましては、EMC分野では自動車、産業機械向けの需要が回復しました。OTA・アンテナ分野では、新規投資が活発で需要が増加しました。また、新型コロナウイルス感染再拡大の影響により遅延が発生していた海外技術者による日本での据え付け調整作業や、中国における出荷が行えるようになり、売上高は大幅に増加しました。また、自社開発投資を先行的に行ったために販管費が増加したものの、セグメント利益も増加しました。この結果、売上高は43億2千4百万円(前連結会計年度比32.4%増)、セグメント利益は2億8千7百万円(前連結会計年度比7.8%増)となりました。

 

(海洋/特機)

海洋/特機におきましては、特機関連で大型案件の売上があり、売上高、セグメント利益とも増加しました。一方、電子部品不足の影響で海洋関連の主要製品が製造中止となったことなどにより、受注は減少しました。この結果、売上高は17億1千2百万円(前連結会計年度比31.7%増)、セグメント利益は3億円(前連結会計年度比38.5%増)となりました。

 

(ソフトウェア開発支援)

ソフトウェア開発支援におきましては、ゲーム開発やアプリケーションセキュリティ、車載ソフトウェア開発の分野での需要が堅調に推移し、売上高は増加しましたが、二次代理店との協業など販売拡大の戦略的な取り組みにより、売上総利益率が低下したため、セグメント利益は減少しました。この結果、売上高は18億3千5百万円(前連結会計年度比6.6%増)、セグメント利益は3億7千7百万円(前連結会計年度比0.9%減)となりました。

 

    (ライフサイエンス/マテリアルズ)

ライフサイエンス/マテリアルズにおきましては、ライフサイエンス分野での読影支援システムやマテリアルサイエンス分野での販売が低調となり売上高が減少しました。この結果、売上高は8億4千9百万円(前連結会計年度比24.3%減)、セグメント損失は9百万円(前連結会計年度は1千1百万円のセグメント損失)となりました。

 

 

財政状態の状況

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産は、170億4千7百万円(前連結会計年度末は216億5百万円)となり、45億5千8百万円減少しました。これは流動資産のその他の増加(8億1百万円から29億3千2百万円へ21億3千1百万円増)、商品及び製品の増加(24億3百万円から31億1千6百万円へ7億1千2百万円増)、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度末は受取手形及び売掛金)の増加(42億1千6百万円から47億7千4百万円へ5億5千7百万円増)、及び有価証券の減少(106億8千7百万円から24億3千6百万円へ82億5千1百万円減)が主な要因です。

(固定資産)

当連結会計年度末の固定資産は、245億4千5百万円(前連結会計年度末は172億7千3百万円)となり、72億7千2百万円増加しました。これは土地の増加(56億7百万円から115億7百万円へ58億9千9百万円増)、建物及び構築物の増加(19億7千7百万円から26億5千1百万円へ6億7千4百万円増)、投資有価証券の増加(54億7千9百万円から60億5百万円へ5億2千5百万円増)、及び投資その他の資産のその他の減少(6億3千2百万円から5億2千9百万円へ1億2百万円減)が主な要因です。

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債は、73億4千4百万円(前連結会計年度末は43億6千9百万円)となり、29億7千4百万円増加しました。これは収益認識会計基準等の適用に伴う契約負債の増加(39億4千1百万円増)、支払手形及び買掛金の増加(13億6千2百万円から17億6千8百万円へ4億5百万円増)、及び流動負債のその他の減少(16億9千5百万円から5億7千5百万円へ11億1千9百万円減)、未払法人税等の減少(5億8百万円から1億5千3百万円へ3億5千4百万円減)が主な要因です。

(固定負債)

当連結会計年度末の固定負債は、48億5千万円(前連結会計年度末は47億7千3百万円)となり、7千7百万円増加しました。これは固定負債のその他の増加(7千万円から1億3千5百万円へ6千5百万円増)が主な要因です。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、293億9千8百万円(前連結会計年度末は297億3千7百万円)となり、3億3千8百万円減少しました。これは利益剰余金の増加(234億1千1百万円から236億6千4百万円へ2億5千3百万円増)、及び自己株式の増加(27億2千1百万円から30億4千4百万円へ3億2千3百万円増)、その他有価証券評価差額金の減少(1億9千6百万円から3千万円のマイナスへ2億2千6百万円減)が主な要因です。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ12億8百万円減少し、37億8千7百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

資金の主な増加要因は、税金等調整前当期純利益28億2千4百万円及び減価償却費9億1千7百万円です。一方、資金の主な減少要因は、法人税等の支払額8億8千万円及び売上債権及び契約資産の増加額7億2千9百万円です。

この結果、営業活動によるキャッシュ・フローは18億2千5百万円の増加となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

資金の主な増加要因は、有価証券の売却による収入80億1千万円及び有形固定資産の売却による収入2千7百万円です。一方、資金の主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出71億3千7百万円及び投資有価証券の取得による支出16億6千5百万円です。

この結果、投資活動によるキャッシュ・フローは17億3千5百万円の減少となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

資金の主な減少要因は、配当金の支払額11億1千2百万円及び自己株式の取得による支出3億7千2百万円です。

この結果、財務活動によるキャッシュ・フローは14億8千5百万円の減少となりました。

 

 ③ 生産、受注及び売上の状況

 a. 受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前期比(%)

受注残高(千円)

前期比(%)

情報通信/情報セキュリティ

7,163,516

+1.8

2,648,327

+15.6

機械制御/振動騒音

6,121,904

+29.2

2,508,396

+91.1

物性/エネルギー

7,557,199

+49.6

3,617,690

+72.5

EMC/大型アンテナ

5,263,585

+42.9

4,363,697

+27.4

海洋/特機

1,290,747

△44.0

1,251,976

△25.2

ソフトウェア開発支援

1,939,356

+14.5

659,025

+18.8

ライフサイエンス/マテリアルズ

889,729

△22.9

498,562

+8.9

合計

30,226,038

+17.8

15,547,677

+31.6

 

 

 

 b. 売上実績

当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

売上高(千円)

前期比(%)

情報通信/情報セキュリティ

6,806,918

△0.6

機械制御/振動騒音

4,926,197

+13.0

物性/エネルギー

6,036,351

+23.2

EMC/大型アンテナ

4,324,094

+32.4

海洋/特機

1,712,362

+31.7

ソフトウェア開発支援

1,835,168

+6.6

ライフサイエンス/マテリアルズ

849,104

△24.3

合計

26,490,197

+12.7

 

(注) 主な相手先別の売上実績及びその割合については、いずれも売上高の100分の10未満のため、記載を省略

  しております。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループは、中期経営計画“TY2024”において、2024年9月期の経営指標を連結売上高300億円、連結営業利益35億円、ROE8.0%としております。

当連結会計年度は、売上高264億9千万円(前連結会計年度比12.7%増)、営業利益は23億3千2百万円(前連結会計年度比35.2%増)、経常利益27億7千7百万円(前連結会計年度比24.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益19億1千9百万円(前連結会計年度比10.7%増)、ROE6.5%となりました。

以下、連結損益計算書に重要な影響を与えた要因について分析いたします。

(ⅰ) 売上高

売上高の分析は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。

(ⅱ) 売上原価、販売費及び一般管理費

売上原価は、149億3千万円(前連結会計年度比13.2%増)、売上総利益は115億5千9百万円(同12.0%増)となりました。販売費及び一般管理費は、従業員給与賞与の増加、諸手数料の増加、及び減価償却費の減少等に伴い92億2千7百万円(同7.4%増)となりました。

(ⅲ) 営業外損益

営業外損益は、前連結会計年度の5億6百万円の利益から、4億4千5百万円の利益へ6千万円減少しました。これは主に、為替差益の増加1億4千7百万円、及び助成金収入の減少7千3百万円、受取保険金の減少6千3百万円、有価証券売却益の減少6千2百万円等によるものです。

(ⅳ) 特別損益

特別損益は、前連結会計年度の3億3千9百万円の利益から、4千6百万円の利益へ2億9千2百万円減少しました。これは主に、固定資産売却益の増加4千6百万円、及び投資有価証券売却益の減少3億3千8百万円によるものです。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

当社グループの資金需要のうち主なものは、売上原価、販売費及び一般管理費の営業費用、各種税金の納付及び配当金の支払です。また、成長戦略として、自社のオリジナル製品・ソリューションの開発投資を積極的に行うとともに、M&Aによる事業拡大を検討しており、有望なM&A案件があれば投資を実行してまいります。これらの必要な資金に関しては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金で賄うことを基本方針としております。

また、株主の皆様への利益還元を重要な経営政策と考えており、安定的かつ積極的な配当を行うとともに、自己株式の取得を積極的に推進し、事業拡大に伴う営業活動によるキャッシュ・フローの増加と合わせて、資本効率向上を目指した資金運営を行ってまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

その作成には、経営者による会計方針の採用や、資産・負債及び収益・費用の計上及び開示に関する経営者の見積りを必要とします。

経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

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