課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営理念

当社グループは、「人間貢献・社会貢献」の経営理念のもと、「食を通じて人を幸せにすること」を経営ビジョンとして、「おいしさ、安全、健康」にこだわった商品を「真心と笑顔のサービス」とともに提供することに取り組んでいます。同時に、創業の心として「感謝される仕事をしよう」を掲げ、お客様、そして株主の皆様の信頼と期待にお応えするように努めています。これらの実現に向けて、商品開発、店作り、サービスの一層の充実、新業態の開発などによるチェーン基盤の強化と、当社グループならではの独自性の確立に向け、努力を続けております。

 

(2) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略

外食を取り巻く環境は、業界の垣根を越えた競争の激化、人手不足や人件費の上昇、物流費の高騰など今後も厳しい状況が予想されます。また、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大や国際的な政治情勢の変化により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

2021年度においても新型コロナウイルス感染症の猛威は未だ衰えず、2020年度に続いて厳しい事業環境となりました。加えて、原材料費の高騰も外食産業にとっては大きな逆風となりました。

このような状況の中で当社グループは、テイクアウトやデリバリーの強化など、コロナ禍で激動する外部環境への対応に全力を注ぎつつ、2019年度から取り組んできた中期経営計画の施策の推進に取り組みました。その結果、2021年度の連結経営成績は、売上高が784億47百万円(前期比9.0%増)、営業利益は34億73百万円(前期比144.2%増)となりました。

国内モスバーガー事業では、アフターコロナを見据え、「外食でなければ得られない魅力を提供できる店舗づくり」が重要になると考え、カフェメニューやデザートを豊富に揃えた「モスバーガー&カフェ」の展開を加速し、3月末時点で50店舗となりました。今後も既存店の転換や新規出店により、店舗数を増やしていく方針です。一方で、コロナ禍を機に増加したテイクアウトの利用もある程度定着したとみており、テイクアウト専門店や座席数を抑えた小型店舗、移動可能な「キッチンカー MOS50(モスフィフティ)」など様々な業態の店舗を出店し、多店舗展開に向けた検証を行っています。このほか、ドライブスルー店舗における商品提供時間のさらなる短縮や、時間が経ってもできたてのおいしさを味わっていただけるような商品の開発にも努めました。デジタル施策の強化として、SNSなどを活用した販売促進・集客にも注力しました。これらの取り組みの結果、国内モスバーガー事業では、既存店売上高が2021年10月まで27ヶ月連続で前年を上回り、その後も好調に推移しました。

海外事業では、アジアを中心に9つの国と地域で展開しており、ベトナムでの出店準備も進めています。台湾やシンガポールなどで順調に出店が進み、海外事業全体の店舗数は、昨年末から37店舗増加し、2021年12月末時点で450店舗となったことで、出店目標を達成することができました。海外ではデリバリー・テイクアウト専門店、完全非接触型店舗などの先進的な取り組みを積極的に行い、効果のあった事例を日本に導入するというテストマーケティングの場にもなっています。モスバーガー以外の新業態にも取り組んでおり、香港で昨年9月にオープンしたモスバーガーとの複合店舗であるパスタ専門店「モスクッチーナ」は、計画を大幅に上回るスタートとなりました。

その他飲食事業では、テイクアウトや物販の強化など、様々な取り組みを通じて収益力の強化や新たな需要の発掘に努めました。

また、新たなビジネス領域への挑戦として、モスブランドを活用した新事業展開にも取り組んでおり、他業種企業とのコラボレーションによって誕生したユニークな商品・グッズが好評を博しました。

 

① 中期経営方針

当社グループはこのほど、 2022年度を初年度とする3か年の中期経営計画を策定しました。計画の指針となる中長期ビジョンに「「心のやすらぎ」「ほのぼのとした暖かさ」をお届けし、世界が注目する外食のアジアオンリーワン企業へ」を掲げ、「Challenge & Support」をスローガンに取り組んでまいります。

具体的には、国内モスバーガー事業においては積極的な投資を行い、収益力の向上を図ってまいります。また、そのほかの事業については適正規模の投資を行う事で成長を促進させ、収益の多様化を目指してまいります。これら、モスグループの多種多様なビジネスを支えていくためのグローカル事業プラットフォームを構築し、既存事業の収益力向上、新事業展開、M&A・アライアンスによる事業拡大を実現するため、グループ経営体制の整備を進めてまいります。

 

 

② 中期経営目標

当社グループの経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標(KPI)は売上高、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益、営業利益率、ROEであります。当該KPIを採用した理由は、投資家が当社グループの経営方針・経営戦略等を理解する上で重要な指標であり、経営方針・経営戦略等の進捗状況や、実現可能性の評価等を行うことが可能となるためであります。

 

2024年度 連結財務数値

 

売上高

1,000億円

営業利益

50億円

親会社株主に帰属する当期純利益

35億円

営業利益率

5.0%

ROE

6.6%

 

(注)上記KPIについては有価証券報告書提出日現在において予測できる事情等を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。

 

③ セグメントごとの中期計画

<国内モスバーガー事業>

中期方針「お客様との接点の量と質を徹底的に強化する」

a.お店をもっと近くに

・多様な立地に適応する店舗

・積極的な出店

b.もっと愛されるお店に

・利用シーンの創出

・ファン層の拡大

c.モスブランドを活用した新たな事業の展開(マーチャンダイジング事業)

・商品開発

・チャネル開発

<海外事業>

中期方針「国際フランチャイズビジネスモデルの創出」

a.BtoC事業:成長市場に経営資源を集中

・既存国の成長と見極め

・新規事業・新規国へのトライ

b.BtoB事業:グローバルで最適な食材供給ネットワークを構築

・トレーディング部門設立

・製造拠点の拡大

<その他飲食事業>

中期方針「既存事業の収益性改善と新たな付加価値の創造」

a.既存事業の磨き上げと成長

b.紅茶事業の構築

<全社横断テーマ>

・デジタル活用で推進するCX(お客様の体験価値)とEX(社員や店舗スタッフの働きがい)

中期方針「"食を通じて人を幸せにすること"をITで支える」

a.デジタル接点の強化

b.店舗体験価値の向上

c.店舗業務の負荷軽減

 

・SDGs(持続可能な開発目標)の推進

中期方針「モスらしい先進性を発揮し、社会と共創する」

a.SDGsの重点項目

2050年カーボンニュートラルを目指して、モスグループとして貢献できることを積極的に推進

b.地域社会とのコミュニケーションと発信

c.SDGsとESGの重点項目の実現

・人材育成

中期方針「多様な人それぞれの成長と活躍をサポート」

a.一人ひとりの成長と活躍の場づくり

b.働きやすい職場の実現

c.業務のスリム化

d.ベトナム人材の育成・採用プログラム

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大だけでなく、原材料費の高騰、国際的な政治情勢の変化などの影響で、依然として先行き不透明な状況が続いております。厳しい経営環境の中ではございますが、新しく策定した「中期経営計画(2022-2024)」をもとに、お客様の生活様式の変化に対応しつつ、ブランド価値及び業績のさらなる向上を目指し、以下の取り組みを実施してまいります。

 

①国内モスバーガー事業

当社グループの基幹事業である当事業は、お客様のニーズを起点とするマーケティングをもとにオリジナルな差別化商品を開発し、SNSなどのデジタル施策のさらなる強化や、店舗の高いホスピタリティによってお客様の身近な存在となり、新たなファンや利用機会の創出を図ります。また、商圏や立地、客層、多様化するニーズに合わせて柔軟に商品やサービス、店舗形態を変えていく取り組みを推進するほか、出店増による成長へとシフトしてまいります。また、新たに取り組むマーチャンダイジング事業では、当社のブランドを活かした商品展開や、ビジネス領域の拡大を通じて収益基盤を築いてまいります。

②海外事業

新規国への出店も視野に入れ、サプライチェーン構築のための新たな生産拠点を確保し、今後も日本発の外食チェーンとして、モスブランドの定着を図ってまいります。

③その他飲食事業

商品力の強化、サービス品質の向上、テイクアウトやデリバリーの強化によって、収益力の改善に努めてまいります。また、紅茶などの物販も強化し、新たな展開を検討してまいります。

④SDGsの推進

経営理念に基づき、事業活動を通じて、社会課題の解決と価値の創造に取り組み、当社の基本方針にある「心のやすらぎ」「ほのぼのとした暖かさ」を世界の人々に広げていくことを目指します。

 

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